先に言っておきますが、本編とは関係がありません。
それでは、お楽しみください!
シガーキス。
「へえ?六禄君、煙草吸ってたんや?」
「そうそう。あいつ昔…、中学くらいだったか?まあ、そんくらいの頃はヤンチャしててな、その頃に吸ってたんだよ」
JS事件が終結し、機動六課が解散して数ヶ月経つ今でも六禄君はうちにいる。
そんな弟を気にかけてか、事件後家族共々保護観察処分になったアベルさんはご家族を連れてチョイチョイ遊びに来る。
………保護観察って、なんやったっけ?
ま、まあ、ええわ。
遊びに来るたびに、あまり自分の昔の話をしたがらない………、いや、できない六禄君に代わって、六禄君の昔の話をしてくれる。
私はいつもその話を楽しみにしながら彼らを出迎え、その度に六禄君はヴィヴィオとルーテシアちゃんを連れてどこかに出かけている。
今日は『マリンガーデン』に行くとか言うてたな。
「でも、なんでやめたん?私とおうたときには、もう吸ってなかったで?」
「俺に喧嘩で勝てなかったから、持久力アップのためだと」
ククッ、と笑いながら明かされた理由は、割としょうもなかった。
いや、本人には大事なことなんやろうけど。
「でも、ま、今は違うと思うぞ?」
「え?」
「昔からあいつは、ガキの前じゃ絶対に吸わなかったからな。父親になった今じゃ、吸うことはもうないだろうさ」
………そっか。
六禄君は、昔から変わってなかったんやね。
出逢った頃から今でも変わらずやけに秘密主義で、そのくせ細かいところで優しい。
…そんなところに、惚れちゃったんよね………。
「おい、はやてちゃん。顔を真っ赤にしてうねうねするな。見ててアレ過ぎるから」
はっ!?
しばらくすると、子供を一人増やして六禄君が帰ってきた。
そして連れてこられた子供は、ルーテシアちゃんと一緒にアベルさんがゲラゲラ笑いながら連れて帰った。
………あの子がまともに育つかが不安や。
なぜ私はあの男を止めることができなかったのか。
なぜあの子を管理局の保護施設で保護できなかったのか。
いや、メガーヌさんがおれば何とか…!
その晩、ヴィヴィオが寝静まり、寝室に二人きりになった時に、訊いてみた。
「煙草って、どんな味がしたん?」
「ファーストキスと同じ味」
思わず首を絞めたくなった私は、間違っていないと思う。
あ、そや。
「アベルさんがな、これを置いていったんや」
「兄貴が?」
寝巻きのポケットから出したそれは、一箱の煙草。
それとジッポ。
100円ライターじゃないのが憎らしいとこやな。
「…ククッ。兄貴の奴、まだゴロワーズを吸ってるのか。て、ことは酒もバカルディ一択のままか?」
煙草の箱を眺めながら、懐かしそうに、どこか嬉しそうに、六禄君が言った。
その手から青い
「おいおい」
呆れたように言うが、止めようとしない六禄君。
私を信じているからか、放任してくるのはいつものこと。
ジッポを使い、火をつけて、一息吸う。
「ゲッホッ!ゲホゲホッ!!」
「あー、やっぱりか」
分かりきっていたいたというように、悪戯っぽく笑う六禄君を睨む。
放っておいたのは、このためか。
「まったく」
「………一本どうや?」
「貰う」
ジト目で箱とジッポを渡すと、六禄君が箱をトントン叩きながら一本咥える。
その動作の一つ一つが、手馴れて様になっているからつい見てしまう。
そして、火をつける段になって、
「ん?」
何かを思いついたような顔をする。
一体、何を思いついたんやろうか?
「動くなよ」
「んん?!」
いきなり私に顔を近づけて、煙草と煙草をくっつけてくる。
キスとはまた違う距離感に、思わず顔が紅くなってドキドキしてくる。
「んー」
「ん~!!」
あかんあかんあかんあかん!!!
私今凄いドキドキしてる!
顔が近い!
目が見える!
口元が見える!
これはあかん!!
「ククッ!ありがとうよ」
「あ、あわわわ……………」
スッと顔を離し、煙を吐く六禄君。
その顔が思いっきり笑っていて、いかにも余裕ですと言っているのがちょっと腹立たしい。
でもキュンと来てしまう。
その顔のまま私の煙草に手を伸ばし、私の口からそれを取る。
その手で私に火を近付けないようにしながら、私の頭を抱き寄せ、耳元で言った。
「腹の子に障るから、こんなものは止めておけ」
俺も二度と吸わんから。
そう言うと、両手に持っていた煙草の火を握りつぶし、私のお腹に手を添える彼。
「………………うん」
決めた、二度と煙草なんて吸わない。
もう一度。
これは本編とは関係ありません。
ただし、本編の行き着く、可能性の一つではあります。