あの後、健康チェックを終えたヴィヴィオが俺から離れようとしなかったため、一時的に俺が預かることとなった。
なのはとフェイトが何気に悔しがってたのが、ちょっと印象に残っている。
明日の教導が不安でならん。
教導じゃなくて、しごきになりそうだ。
そして今、ヴィヴィオと手を繋ぎながら、夕暮れの街中を帰路についている。
ヴィヴィオの反対の手にはウサギのぬいぐるみこと、クリスが抱っこされている。
「「おーてーてー♪つーないでー♪のーんびーりとゆーけーばー♪」」
途中のコンビニでパピコを買い、二人で分けて食べながら歩くこと30分。
疲れないか気遣いながら歩いていたが、その様子はなかった。
流石お子様。
元気は有り余っている。
っと、家に着いたか。
「ただいまー」
「おー、おかえりなー」
扉を開けて玄関に入ると、奥からはやてがパタパタと駆けて来て、出迎えてくれた。
それはそれはとても綺麗な笑顔で。
俺と手を繋いで立っている、ヴィヴィオを見るまでは。
「…誰の子?」
「…え?」
ヴィヴィオを見る笑顔が、硬いものになっている。
これってまさか、隠し子を連れて来たと思われてる?!
「フェイトちゃんなんか!?…はっ!それともまさか、シャマルか!?」
「こいつ家族まで疑いやがった」
金髪か。
ヴィヴィオが金髪だからか。
「なんでなん!?なんでうちじゃないの!?」
「おーちーつーけー」
「これが落ち着けるかぁ!?」
「む、むろくパパー!?」
「パパァ?!」
俺の胸元をつかんで、ガクガク揺するはやて。
ちょッ、マジでキツイから。
ヴィヴィオが怯えた眼をして、俺の手を強く握ってるからやめて。
「落ち着けはやて!この子はヴィヴィオだ!ほら、保護されたあの子!」
「…へ?」
俺の言葉を聞き、ようやく動きを止めるとじっとヴィヴィオを見る。
そして…。
「…なんやぁ、よかったぁ………」
ペタンッ、とその場に座り込んでホッとした、安堵の笑みを浮かべた。
「六禄君、格好良いし優しいから、断りきれずにもしかしてって…」
「…マイナスの印象じゃない分、良かったと思うべきなのだろうか?」
ヴィヴィオを挟んで、はやてを抱きしめながらそんなことを言う。
…今まで、ずっと不安にさせてたのかな?
それは、嫌だなぁ。
「…ヴィヴィオ、この人は八神 はやて。ママって、呼んであげてくれるか?」
「六禄君…?」
優しい声でヴィヴィオにそう言うと、はやてが少し、不思議そうな、そしてどこか期待しているかのような声を出した。
「…はやてママ?」
「そう。俺がお前のパパなら、はやてがお前のママだ」
「…うん。…私があなたの、ヴィヴィオのママやで」
はやてと一緒にヴィヴィオを抱きしめながら言うと、くすぐったそうに身をよじりながら嬉しそうに微笑む。
その額にキスをして、次に頬にキスをする。
『祝福』と、『親愛』。
お前がここにいることに祝福を。
お前が俺たちの子であることに親愛を。
はやてが俺と同じようにヴィヴィオにキスをすると、今度はヴィヴィオから俺たちの頬にキスをしてくれた。
「むろくパパも、はやてママもだいすき!」
「私もやでー」
「俺も大好きだよ、ヴィヴィオ」
三人で抱き合いながら、一つ、決意する。
この先起こる全ての苦難から、こいつらを守る。
と。
実は「誰かのために誰かを守る」のは、初めてな主人公。