あれから一時間ほど経って、はやてが
「はやての料理はギガうまだろ?」
とかしつこく訊いてくるのを、
「まいう~」
と言っていなしたりした後、いい時間だから風呂に入っているわけだが、
「うええぇぇぇいぃぃぃ」
「おっさん臭いぞ」
「うるせえよ、需要のない獣耳」
「私は別に、それで構わんのだがな」
「そうかい」
なぜムキムキの獣耳と一緒に入らねばならんのだ。
そっちの趣味は俺にはないぞ。
「てか、何故狼形体のままで風呂に入らないんだ?」
「毛を洗うのが面倒だし、手を使えたほうがいいだろう?」
ああ、なるほどね。
で、
「なんで俺といっしょに入ってんだ?」
いや、ここんちの風呂は広いから、大丈夫っちゃあそうだけどさあ。
「なに、我が家で私以外に男がいたのは初めてでな。裸の付き合いというものをしてみたかったのだ」
ほう。
それはそれは。
「よほど自分のものに自信があるようだな」
「ああ、これでも雄なのでな」
そうか。
「なら、勝負だああぁぁぁっっ!!」
「臨むところだ!!」
よりデカイのは、俺の方だ!
「おい、シャマル!なんであたしの耳を塞ぐんだよ!?」
「ダメよ、今はダメなの」
「何が?!」
なんか扉の向こうから聞こえてくるが、なんにしろ勝ったのは俺だ。
結構良い勝負で、割と焦ったが。
で、しばらくした後風呂から上がると、
「うりゃっ、そりゃっ」
「ははっ。甘いでヴィータ」
ヴィータとはやてが、懐かしのマ○オカートをやっていた。
それも64のやつ。
ふむ。
「次のレース、俺も混ぜてくれ」
「ええでー」
さてさて、どこまでできるか。
「アイテムのルーレットは目押しだああぁぁぁっっ!!」
「ちょっ?!またスター出しよった?!」
「ああ?!あたしのヨ○シーが
「てか、直ドリも使うわんでク○パが何で一位を取れるん?!」
「直ドリ禁止だったからなぁ。俺の地元は」
「「だからって?!」」
直ドリ禁止なのに、勝負は非情とか言って平然とするバカ野郎もいたから、それに対抗するにはスターで撥ね飛ばしとか、何人かでバナナを大量に撒き散らして進路を完全に塞いだりしたりとか、そんなのが当たり前だったからなぁ。
もう、速さ以外で戦うしかなかったんだよ。
「ほい、ゴール」
「私が、負けた…やと?」
ショックを受けるはやて。
そして、
「クソ!もう一度だ!」
床に胡坐を掻いて座っていた俺の脚に乗り、身を乗り出して言ってくるヴィータ。
正直、脚が痛いから止めてほしいのだが。
「はいはい」
「やった!」
満面の笑みを浮かべ、喜色満面といった感じのヴィータ。
………ま、脚の痛みくらいは良いだろう。
やれやれ。
どうにも子供に甘くていかんな。
「む?ゲームをしていたのか?」
「お、シグナム」
二戦目に入ろうとした時、丁度風呂から上がってきたシグナムが居間に来た。
風呂上りのせいか濡れた髪とか、高潮した頬とかが色っぽい。
「そういえば主。思い出したが、先程シャーリーから連絡が来てそやつの『デバイス』ができたそうです」
「お、さよか」
「『デバイス』?」
フェイトが使っていた鎌とかのあれか。
なんでも、魔法を使う際に補助してくれるとか何とか。
「………何時の間に」
「データはフェイトちゃんと戦った時のがあるし、シャーリーは仕事が速いからな。それに、六禄君は『非殺傷設定』ができひんと困るし」
「何?手加減一切抜きで気を使わなくても殺さなくて済むってことか?」
「大雑把に言うとそうやね。て、おい」
ほう。
それは便利だな。
あれはいちいち加減が難しいんだ。
特に鉄パイプぶん回している時とか。
「詳しくは明日渡す時のお楽しみにしとくとして、ザックリ説明すると『ブーストデバイス』っていう、補助機能に特化したデバイスや」
「何故に補助」
「いや、六禄君の場合、獣とか現地調達した武器とかに『非殺傷設定』できた方がええやん?それなら、補助機能に特化した『ブーストデバイス』がええ思ったから。それに、戦況を把握して広く戦える視野も持ち合わせておるみたいやし、それならチームで動いた時に皆のカバーをして貰いたくてなぁ」
「なるほどねぇ」
なら、しょうがないか。
「ちなみに、リインは『ユニゾンデバイス』っていって、融合することで魔導師や騎士の人達の能力を上げられるんですよ!」
「フュージョン?」
「………いや、大体合ってますけど~」
そうか。
あの恥ずかしいあれか。
「そうそう。まだそのデバイスの名前は決まっとらんから、今夜一晩考えといてな」
「ういうい」
いい加減眠そうながらも、教えてくれたはやて。
名前、ねぇ。
これから相棒になる得物の名前なんて、どうしたものやら。
悩む。
次回はデバイス入手回です。