今回はビートチェイサー編の後半で、秋華賞に挑むお話です。それまでの間は簡単なダイジェストのみで、ほぼ飛ばします。
レース描写も雑ですが、それでも良ければどうぞ。
病院から帰った翌日。俺はビートとのトレーナー契約の書類を提出して受理され、正式にビートのトレーナーとなった。それから半月をかけてビートの得意な距離と脚質を確認し、芝はもちろんダートも走れ、得意な距離はマイルと中距離、脚質は逃げだとわかった。
「どう、トレーナー? 私の走りは…」
「これなら、トリプルティアラを取るのも夢じゃないな」
「よっし!!」
そこから俺とビートは、トリプルティアラを目指す為の特訓を始める。
先ずは基本トレーニングの他に、短所の克服と長所の強化だ。ビートの走りを見ていた時、直線での加速は凄まじいものを持っていたが、カーブに入った時に重心が悪いのか、少しずつ外側に流されていた。トライチェイサーの記録を越えるには、これを直さない限り難しい…なので、カーブの少し手前から全力ダッシュし、コースの内側を維持して走る特訓をした。
最初は何度やっても外に流されていたが、走り方をビデオで撮影してフォームをチェック、そこから修正箇所を探り動きを変えていった。
それを1ヶ月ほどでものに出来たので、次はスタートダッシュの練習も始める。逃げの脚質を持つビートにとって、スタートダッシュを逃すのは致命的なミスといえる。秋華賞でそれをやってしまえば、トライチェイサーの記録を越える事はできない。
普段は俺が吹く笛の合図で、ゲートマシンを借りれた時はそれを使ってスタートダッシュのタイミングを体に叩き込む。
それらを完全にものにしたところでメイクデビュー戦にエントリーし、ビートは後方と5バ身差で1位を取った。
「やったー!! 見てたトレーナー?」
「もちろん。ここからが本当のスタートだ…トリプルティアラ目指して突き進むぞ!!」
「オーッ!!」
それからはトレーニングをしつつ、マイルと中距離を中心に幾つかレースに参加。全勝とはいかずも、ほとんどが1着で他は悪くても3着と好成績を残しながら、初のG1である【朝日杯フューチュリティステークス】に挑んだ。そこでビートの勝負服がお披露目される。 赤のTシャツの上に、袖に同じ赤いラインが入った黒のジャケットを羽織り、黒のスラックスに光沢を落とした金色のブーツという少し地味な感じがしたが、当の本人はえらく気に入ったらしい。レース場の地下道で俺に向かってサムズアップしてターフに出ていった。
そしてビートは最初から最後まで逃げきり、2位と2バ身差で1着を手にした。初のG1勝利に俺はあまりの嬉しさで、ウィナーズサークルに来たビートを抱き上げ、その場でクルクルと回り、途中で恥ずかしくなったのかビートに脇腹を軽く(ウマ娘基準)で蹴られ悶絶するハメとなった。
「全く…!! ああいうのは、周りに誰もいない時にしてよね!!」
控え室に戻った後、俺は顔を赤くしたビートにお説教された。けど、その言い方だと誰もいなければやっていいのか? そう思っていたら、頭に軽いチョップ(ウマ娘基準)を喰らい、再び悶絶した。
それからクラシック期に入り、目標とするトリプルティアラの1戦目である【桜花賞】が迫ってきた。ビートはスピードとパワーを中心に鍛え、俺は桜花賞に出場する対戦相手を調べあげていた。今回のレースで1番の敵は、ビートの暮らす美浦寮の寮長であるヒシアマゾンだ。彼女の末脚による追い込みはとてつもなく、下手すればビートに追いつく可能性があった。だからこそ、桜花賞では逃げつつも余力を残し、最終直線で一気に突き放す作戦で行くことにした。
そして桜花賞当日…レースは最初、ビートの逃げで先頭をキープしていたが、最終コーナー付近でヒシアマゾンが加速。徐々にビートとの差を詰めていき、最後の直線では2バ身差にまで迫り、ビートは残っていた力を振り絞って走るも差は広がるどころか狭まっていく。それでもビートは走り、ヒシアマゾンとほぼ並んでゴールした。決着は写真判定となり、その結果……ビートがハナ差でギリギリ1着となり、俺は安堵のため息を吐いた。
それからビートを労おうとウィナーズサークルに行けば、ヒシアマゾンに肩を組まれ剥れた頬を突つかれてるビートがいた。どうやら、ハナ差でしか勝てなかったのが悔しいようだ。
だけど俺達の目的は秋華賞だ。桜花賞は勝つ以外の目的はないから充分なので、慰める為にビートの頭を撫でたら何故か彼女の顔が赤くなり、それをヒシアマゾンがニヤニヤしながら「青春だね~ニシシ♪」と言って走り出し、ビートがなんか言葉にならない叫びを上げながら追いかけるといった事があった。
それから1ヶ月ほどでオークスが始まり、今回はヒシアマゾンだけでなくビートの同室である【ダンデライナー】も参戦してきた。そして最大の敵となりそうなのが【イクサリオン】だ。彼女は王道の先行型だが、最終直線での加速力はビートを越える可能性を持っていた。
そこで俺はある作戦をビートに伝えた。もちろん、できる可能性は低いが、上手く嵌まればイクサリオンの動きを抑えて勝ちにいける方法だ。それを聞いたビートはニヤリと笑い、俺にサムズアップしてターフに向かった。
そしてレースが始まり、ビートはスタートダッシュから1位を走り、後ろにダンデライナーとイクサリオンが付き、最後方にヒシアマゾンが走る。
そこから順位はあまり変動しないまま最終コーナーへと入り、ここでビートが仕掛ける。いつもなら最内を走るが、少しずつ外へとずれていった。それは本当に僅かだが、その隙間を狙うウマ娘がいた。それがダンデライナーだ。小柄な彼女はそこを攻めようと最内へと向かう。それを見てイクサリオンは外から攻めようとしたが…
「今回はアタシが貰うよッ!!」
「なッ!?」
その更に外からヒシアマゾンが走り込んできたのだ。イクサリオンのほぼ横に並んだ事で、イクサリオンは完全に前へ出れなくなっていた。これが俺の考えた作戦で、最内を行かない事でビートの余力を増やし、ダンデライナーとヒシアマゾンでイクサリオンの道を塞ぐ。殆んど賭けに近い方法だったが、上手くいってよかった…
その後の最終直線、ビートは全ての力を振り絞って加速。ダンデライナーは小柄故に体力はそこまで多くなかったのか速度を落とし初め、イクサリオンは前に出れない。ヒシアマゾンが食らいついてくるも、前回より余力が多いビートは見事逃げきって2バ身差の1着となった。
「うっし!!」
「ああ~!! また負けちまったよ…!!」
これでビートはダブルティアラとなった。ウィナーズサークルでハイタッチした俺達は、目標である秋華賞へと向けて特訓を始める。
夏には海辺の施設を使って夏合宿を行い、更なる肉体強化をしていく。途中、夏休みの宿題が終わってない等の問題もあったがなんとか切り抜け、合宿を終えた俺達は最終調整とレース相手の研究をしていた。
今回出るメンバーはオークスとさほど変わらない。しかし、今回はビートにとって
「ビート、イケるか?」
「もちろん。この為に頑張ってきたんだから」
そう呟くビートの目は、俺は熱く燃える炎を見た。それから数週間後……秋華賞が始まる。
ビートside
私は控え室でトレーナーさんに手伝ってもらいながら、柔軟をしていた。
「いいかビート? 今回は特に作戦はない。お前の持つ全力で…トライチェイサーに勝ってこい!!」
「了解!!」
最後に気合い注入とばかりに肩を叩かれ、レースへと気持ちを切り替えて勝負服に着替えようと思ったら…
トントン…
「ん? はーい、どうぞー……って、伯父さんにお従姉ちゃん!?」
部屋のドアがノックされて、入ってきたのは車イスに乗ってるお従姉ちゃんと、それを押してる伯父さんだった。
「元気だった? ビートちゃん」
「応援に来たよ」
「お二人とも、ご無沙汰しています」
「ああ、トレーナーさんこそビートちゃんがお世話になってます」
トレーナーさんと伯父さんはそのまま話し出し、その間にお従姉ちゃんが膝の上に少し大きめな風呂敷包みを乗せて私のところにきた。
「気合い十分みたいね?」
「うん、絶対にお従姉ちゃんの記録を越えてあげるから!!」
「フフ…期待してるわ。それでこれは……ここまで頑張ってるビートちゃんにプレゼントよ」
そう言って風呂敷包みをほどくと…その中には、一着の服……細部が違うけど私の勝負服と同じものが入っていた。
「これは…?」
「私が作ったビートちゃんの勝負服よ」
「お従姉ちゃんが…!!」
昔から裁縫が得意だったのは知ってるけど…!!
「貴女ならきっと、私の記録を越えられる。だから、私に見せてちょうだい。この服を着て、貴女が伝説を塗り替えるところを……」
「……うん、わかった」
お従姉ちゃんの激励に頷き、トレーナーと伯父さんを控え室の外に出してから、お従姉ちゃんがくれた勝負服に着替える。赤だったTシャツが金に近い黄色に変わり、黒のジャケットの両肩には金色の肩章が付き、袖口周りが金のラインに縁取られた銀色になり、スラックスには左右の太腿横にある赤いラインを斜め上へと走る金のラインが2本ずつ足されていて、両手には、昔読んでいたお話に出てくる古代語で【
「どう、お従姉ちゃん?」
「うん、バッチリ♪」
「えへへ~♪」
着替え終えて、お従姉ちゃんから褒められた私は部屋の外に出てトレーナーと伯父さんにも新しい勝負服を見せたけど……トレーナーったら「ビートの活発なところとか、可愛いところや格好良いところを表してて、すごくよく似合ってるよ」なんて言って…なんか顔が熱くなってきちゃったよ…ってお従姉ちゃん? なんで私とトレーナーを交互に見てニヤニヤしてるの!?
「それじゃ、私達は観客席に行ってますので」
「頑張ってね、ビートちゃん♪」
そして出走時間が迫り、お従姉ちゃん達は観客席に向かい、私はトレーナーと地下道の前まで来ていた。
「今までありがとう、トレーナー」
「どうしたいきなり?」
「なんとなく……かな?」
「緊張し過ぎだ」
「わぷッ!?」
トレーナーは私が緊張してるのかと思って頭を撫でてくる。別に緊張してるわけじゃないのに…
「もぉ~…子ども扱いしないでよ~!!」
「悪い悪い。でも、お前の頑張りは俺が誰よりも知ってる。そしてお前なら…夢を叶えられると確信してる」
「トレーナー…」
「だから……いつも通り、レースを楽しみながら勝ってこい!!」
そう言って背中を叩くようにして前に出された。
「解ってるよ。私だって、負けて悲しい顔の皆を見るより、勝って笑顔の皆を見たいもん。だからトレーナー…」
そこで私はトレーナーへと振り返って…
「見ててね、私の……全力!!」
「おう!!」
「それじゃ、行ってきま~す!!」
サムズアップしながらの言葉に、トレーナーもサムズアップしながら答えてくれて、それで心が暖かくなった私はそのまま走ってコースに出た。
ビートside end
ビートを送り出し、観客席に移動した俺はビートの伯父さん達と合流して、レースを観戦する事にした。
「ビートちゃんは大丈夫かな…」
「心配し過ぎよ、お父さん。ビートちゃんなら大丈夫」
「ええ、今の彼女はこれ以上ないほどに絶好調ですから」
彼女を心配する伯父さんに、俺とトライさんで落ち着かせていると、ファンファーレが鳴り始めた。
「ッ!! いよいよか…!!」
『賑やかな秋を彩る秋華達、秋華賞の舞台で美しく花を咲かせるのは誰か!! 3番人気を紹介しましょう、ダンデライナー。この評価は少し不満か? 2番人気はこの娘 ヒシアマゾン』
実況も始まり、レースの参加者達がゲートに入るにつれて俺の心臓の鼓動も少しずつ加速していく。
『今日の主役はこのウマ娘を置いて他にいない、二冠ウマ娘 ビートチェイサー 1番人気です!! 悲願の三冠達成なるか!?』
そして全員がゲートに入った。
『各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました』
観客席にいる俺に出来るのは、ビートの走りを見届ける事だけ…だからこそ、俺は彼女から一瞬たりとも目を離さない!!
―ガコンッ!!―
『スタートです!!』
そしてゲートが開くと同時に、ビートが他のウマ娘達より先に飛び出した。
どうやらスタートダッシュは成功したみたいだな…
『先頭に躍り出たのは1番ビートチェイサー。そこから3バ身離れて2番ダンデライナー。続けて5番エールストライカー。その後ろ、8番マガノイクタチ。続けて6番イーゲルシュテルン。1バ身差9番シュベルトゲベール。外側11番タイガーピアス。半バ身離れて13番アサルトシュラウド。12番ローエングリン。その内側から17番ヤタノカガミ。2バ身差3番ランサーダート。外側4番ヴァリアント。15番イゾルデ。1バ身差7番フェイズシフト。4番ジュウザントウはここに着けています。その後方に10番ガナーウィザード。14番ブラストシルエットの後方に16番マイダスメッサー。最後方に18番ヒシアマゾンとなっています。ここで先頭が第一コーナーに入ります』
実況が順位発表をしている間に、ビートは既に第一コーナーに入っていた。体を傾け、柵に触れるギリギリの位置を維持しながらも、速度は一切落とさずに彼女は走り続けた。
「あらあら、ずいぶんと無茶をするわね…」
その走りを見て、トライさんが少し驚いた。それもそのはず、今のビートの走りは危険極まりないものだ。1歩間違えて、体が柵に触れれば高確率でバランスを崩し、転倒して大ケガは免れない。それでも、ビートはその走り方を選んだ。全ては
『猛然と先頭を行くのはビートチェイサー。すごい速さですね?』
『このタイムなら、トライチェイサーの残した秋華賞のレコード記録に届くかもしれませんね』
そのままビートはコーナーを駆け抜け、直線に入ると少しだけ足の動きを速め、ゆっくりと加速していく。
そうだ…!! 今は焦らずゆっくりとだ!! 本当の全力は最後まで残しておくんだ!!
『ビートチェイサーの5バ身後方、ダンデライナーがイーゲルシュテルン・シュベルトゲベールと熾烈なデッドヒートを繰り広げています。ヒシアマゾンは脚を溜めているのか、まだ動きません』
実況が他のウマ娘達の現状を報告している間に、ビートは遂に最終コーナーへと入った。
『さあ最終コーナー!! ここまでトップを走るビートチェイサーが更に加速!! ゴールへと向かってアクセルを解き放つぅッ!!』
その中盤、遂にビートが仕掛けた。彼女がトライチェイサーのレコードを越えるには、最後のスパートが1番重要だ。早すぎればバテて途中で速度が落ち、遅すぎればレコードには届かない。最高速度を最後まで維持できる距離を見極めれば、ビートはレコードを越えられるのだ。その為に秋華賞を模したコースを何度も走り、全力で走っていられる距離を調べ、それが最終コーナーの中盤だと分かったのだ。
「こんなに早くスパートを掛けて…大丈夫なのかい、ビートちゃんは?」
「もう…心配するなら、応援してあげたら?」
「それに……ビートならイケます…!!」
『ターフを駆けるビートチェイサー!! だが、後方からダンデライナーが、大外からヒシアマゾンが迫って来てるぞ!!』
だけど、そんな彼女を倒そうとダンデライナーとヒシアマゾンが迫ってくる。しかし、ビートとの距離は縮まるどころか逆に離れていく。
『速い速い!! ビートチェイサーが後続をグングン突き放す!! もはや今の彼女に恐れるものは何もなぁぁぁぁぁぁい!!!!』
そして最後の直線にビートが入ってきた。そんな彼女に会場の観客達が声援を送る。
「行っけーッ!!」
「頑張れーッ!!」
「もう少しだぞー!!」
「俺達に、三冠達成の瞬間を見せてくれー!!」
その応援を力に変えたのか、ビートの速さが更に上がった。
「ビートちゃん、負けるなッ!!」
「最後まで諦めないで!!」
伯父さんとトライさんも彼女に声援を送る。その時、俺とビートの目が合った。
ここは、俺も応援してやらねぇとなッ!!
「駆け抜けろ、ビートォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
ビートに届くように、俺は出せる限りの大声で叫んだ。するとビートが笑みを浮かべてまた加速した。
『ここで更に加速ッ!? どこまで力を隠していたのか!! ビートチェイサー!! もはや完全独走ダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!』
そしてその勢いのまま走ったビートは、後続と7バ身差をつけてゴール板を通り抜けた。
ビートside
最終コーナーの中盤、勝負に出た私は全力でターフを走った。それでもお従姉ちゃんの幻影とは少しずつしか差が縮まらず、このままじゃ勝てないと思っていたら観客席からたくさんの声援が聞こえた。
(そうだ……こんなところで諦めてる場合じゃない!!)
限界に近い体に鞭を打ち、スピードを上げる。それによって何とか隣に並べるところまでこれたけど、そこからどうしても抜けなかった。
(後少し…!! 後少しなんだ!! お願い!! 動いて!!)
必死に脚を前に出そうとしても、既に限界に近い私の体は後1歩が出ない。その時、私の目にトレーナーが写った。
「駆け抜けろ、ビートォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
その応援が私の耳に届いた。その声には、私が夢を叶える事を一切疑ってなくて、それが無性に嬉しかった。それと同時にどこからか溢れる力が、私の脚を加速させる。
(ありがとう、トレーナー……私も、最後まで全力で駆け抜けるよッ!!!!)
「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!」
そこからはがむしゃらだった。ゴール板までもう距離はない。だから残った力と溢れてきた力を総動員して脚を動かし……ゴール直前でお従姉ちゃんの幻影を抜き、私が先にゴールした。
『ビートチェイサーが今、1着でゴォォォォォルッ!! 見事、トリプルティアラ達成!! 秋の京都にて、ビートチェイサーが自身の強さを証明したァッ!! 2着はヒシアマゾン!! 3着にダンデライナー!!』
「私の…勝ちだよ」
―おめでとう―
幻影に勝利宣言したら、私を笑顔で祝福して消えた。
『ここでビートチェイサーのタイムが発表されます!! 果たして彼女は、トライチェイサーの記録【1:56.9】を越えられたのか!?』
実況の人が興奮気味に叫んでいるけど、私は電光掲示板を見ないでトレーナーの所へ行き…
「勝ったよ、トレーナー♪」
「ああ、おめでとう!!」
笑顔でサムズアップする私に、トレーナーもサムズアップしてくれた。それと同時に記録が表示され…
『出ましたッ!! 記録は【1:56.3】ッ!! やりましたッ!! ビートチェイサーがここ京都で、1つの伝説を塗り替えましたァァァァァァァァァァァッ!!!!』
私は最大の目標を叶える事ができた。
ビートside end
ビートは見事にトリプルティアラと、トライチェイサーの記録越えの目標を叶えた。あのレースの後、ウィナーズサークルで嬉しさのあまり泣き出してしまった彼女を、ヒシアマゾンやダンデライナーと一緒になだめたり、トリプルティアラを達成したウマ娘とそれに導いたトレーナーとしての取材を受けたり、学園からの表彰やチーム設立と新たな担当ウマ娘のスカウト要請など、日々が慌ただしく過ぎていった。
そして今の【チームカペラ】が出来上がった。それもこれもビートのお陰だ。しがない新米トレーナーだった俺に、こんな栄誉をくれたビートに俺はお礼を言ったが…
「それは私の台詞だよ? トレーナーのお陰で私は夢と目標を同時に叶えられたんだし……だから、ありがとうございます。それと、これからもよろしくね♪」
と、逆にお礼を言われてしまった…
それからのビートは、レースだけでなくチームのサポートも積極的に手伝ってくれて、俺はだいぶ楽させてもらってる。
「おーい、トレーナー?」
その時、ビートに声を掛けられて俺は追想から戻ってきた。
「…ん? どうした?」
「いや、休憩時間がそろそろ終わりだから呼びに来たんだけど…」
そう言われて腕時計を見ると、休憩終了の3分前だった。どうやら、ずいぶんと思い出に浸っていたようだ。
「悪い、ちょっとお前との出会いを思い出してた」
「なになに? 私との出会いに運命でも感じちゃった?」
「そうだな、お前と出会うのは運命だったんだろうな」
「…………ふぇッ!?」
ビートの言葉に本音で答えると、何故か彼女の顔が赤くなった。
「そ、それってどういう…!?」
「さてな? ほら、ライズの所に行くぞ~」
「あッ!? ちょっと待ってってば~!! どういう意味か教えてよ~!!」
そんなビートを置いて歩きだした俺を、彼女は慌てて追いかけてきて、俺の背中に飛びついてきた。
「うおッ!? 危ないだろ…」
「へへ~♪ トレーナーなら受け止めてくれると思ってたよ」
「信頼されてて何よりだ…さ、早く降りろ」
「ええ~? 折角だからこのまま運んで~♪」
「たく……しょうがないな…」
ビートの言葉に多少の呆れを感じながら、俺はそのまま彼女を背負って、ライズの所へ向かった。
「2人とも、そこに正座しなさい」
「「ハイ…」」
そしてライズの所に着くとイルもいて、俺達を見て顔を少し赤くした後にターフに正座させられて説教されたのは余談だ…
いかがでしたか?
前回から続き少しシリアスでしたが、次回からは他のウマ娘達との日常orレース系の話になる予定です。
そして今回紹介するのは、ダートの才溢れる不運系ウマ娘、マシンデンバードについてです。
自己紹介:こ、こんにちわ…マシンデンバードです。え、テンションが低い…? ああ、気にしないでください。さっき練習コースを走っていたら、いつの間にか屋上のフェンスに体が挟まってただけですので…
学年:中等部
所属寮:美浦寮
バ場適正
芝:G ダート:A
脚質適正
逃げ:G 先行:E 差し:C 追込:A
距離適正
短距離:A マイル:A 中距離:A 長距離:A
スキル
道悪・疾風怒濤・トリック(後)・眠れる獅子
身長:163cm
体重:測定不能(体重計の故障連発のため)
誕生日:2月4日
好きな事:電車の写真を見る事
嫌いな事:ひじきサラダを食べる事
耳の事:不運の度合いによって、耳の垂れ方が違う
尻尾の事:たまに自分の体を叩いてしまう
足のサイズ:左右ともに23.5cm
家族の事:姉が喫茶店を経営していて、たまに寄ってはトレーナーの事を話している。
マシンデンバードの秘密
実は、歴代トップの立ち幅跳び記録保持者
外見
腰まで届く長い葦毛の髪に、前髪の一部に青のメッシュが入っていて、少しタレ目に金の瞳
マシンデンバードの固有スキル
【クライマックスダッシュ!!】
能力
最終直線で後ろの方だと、特急列車と並ぶ速度で走ろうと速度が上がる。
カットイン
ダートを走ってコケる→隣を電車(デンライナー)が走っていく→顔を上げて目を輝かせる→起き上がって走り出す
台詞
「あいたッ!?……あ、うわぁ~!! よ~し、頑張りますよ~!!」
専用楽曲
【Climax Jump】
それと、チームカペラの新メンバーのアンケートを実施しています。よければ投票お願いします。