五位相当、罷り通る!   作:四季冬夏 夢見

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鬼人の狙い

 私は服を買うだけのお金を回収して、日の出ていない時に子供服や紳士服を手に入れた。

 

 魔人や鬼人はやろうと思えば姿形を変えられる。魔人となると一部分を大きくするくらいだが、鬼人は能力に想像力が追いつく。

 

 しかし自由自在とはいかず、肌色はどうしても青白いままになる。また時間制限があり、私の場合一時間経つと元に戻ってしまうのだった。

 

 こんな当たり前に出来る身体の変化で、面白いくらいに私の存在は特定されなかった。

 

 様々な死んだふりを行ってきたが、お手軽なのは日に焼かれて死んだふりをすることだ。

 私たちは日光に当たると皮膚が焼き付き中々治らない。人を食べれば耐性がつくが、上位の殿上人でさえしばらく痛みが残るという。

 

 なって間もない魔人の場合たちまち焼け爛れ、遺灰も残さず死ぬため、人間はまだ弱い魔人を見つけると縛り上げ、日の当たるところで焼き殺す。これは一般人でも出来る討伐方法として知られている。

 

 死んだふりのやり方としては、控えめに人を食べてから服と縄を残すのだ。腹のあたりには食べた人間の小骨や髪などを忍ばせておく。

 死ぬ瞬間を見せる手間がかからないが、こそこそ用意するところを見られないよう注意が必要だ。

 

 他にも魔人に襲われたと言って通行人に助けを求め、やってきた隊士を捕食したこともあった。魔人や鬼人は大抵肌が青白くなるが、人間に助けを求める時には怪我を作って大量に失血して見せる。

 

 そうして相応の隊員が差し向けられるのを避けてきたが、最近新生新撰組が怪しい動きを見せるようになった。

 私が作り出した魔人たちが本物なら大量発生していることになり、警戒を強めるのは妥当だ。

 

 しかし見ているとどうも他の地区と連携を取ろうとしている。隊士は増えているが単に巡回させるだけではなく輸送任務も見られる。

 

 試しに飛ばされている伝書鳩を殺したところ、意味不明の文字列が書かれた紙がくくりつけられていた。これは暗号だろうか。

 

 大規模な討伐を行うつもりならこちらも何か手を打つ必要がある。この紙だけでは情報不足であり、輸送する隊士たちを襲撃し情報を集めることに決めた。

 

 隊士の服を奪った上に事後処理の班を全滅させた鬼人は討伐されていない。本性を出していないだけで、私はまだ存在するのだ。

 

 薄雲を張りながらもにわかに晴れた日。久しぶりに高本さんの服を着て、物陰から輸送に従事する隊士たちを眺めていた。

 

 襲撃の時を目前にし、息を整える。腰を下げて腕を後ろに持って行き、前で交差するほど激しく振った。

 たちまち隊士たちの足が崩れ落ち阿鼻叫喚の地獄と化す。

 

 距離を取っての襲撃だったが、以前よりも斬撃がよく伸びるようになった。それでも運良くこぼれた者には強い眼差しを向け的確に斬撃を飛ばした。

 

 とどめに何度か斬撃を振り飛ばし、呻き声は小さくなっていく。

 

 大量に殺してしまえば必ず騒ぎになるが、全滅してしまえば私の特徴を知られることはない。これらを全て食べればたとえ強い隊士を差し向けられても返り討ちにできる。

 

 加勢するかのように空が陰り、意を決して茂みから飛び出る。バラバラの体を素早く集めて抱えると、日が出る前に茂みに戻る。

 

 これを何度も繰り返し、間に食事を行いつつ持ち物をまさぐった。隊士たちが来ないことに気付けば捜索は免れない。脅威はいつくるかわからないため忙しなく動いていた。

 

 大きめの集団を襲撃したことで多くの紙を入手できたが、肝心の内容はわからない。

 口を止めてまで考えてみたが、規則性は掴めなかった。

 

 こんな大事になってしまうと、せっかく紙を入手したのに計画を練り直されるかもしれない。もう少し慎重に動くべきだったかと思いながら食事を進めた。

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