海賊大戦士 マスターコウジ 【序章】 光の子伝説 ~ロタ王国・支配編~ 作:マスターコウジ
トーマス:心の準備はいいな?
ベン&ヘンリー:う、うん!
トーマス:それじゃあ、ご対面~!
トーマスは社の扉を開けると、3人は中に入った。
ヘンリー:真っ暗で何も見えないな・・・。
ベン:けれど中はそれほど狭くはないみたいだ。
3人はそれぞれ懐中電灯を点けると辺りを探し回る。するとここでトーマスは何かを見つけた。
トーマス:ん?何だ?
トーマスはその場所に懐中電灯を向けるとそこには3歳くらいの少年が全裸で壁にもたれながらうずくまっていた。
ベン:子供?
ヘンリー:なんでこんな真っ暗な所に?しかも裸で?
トーマス:さぁな?おい!お前、こんな所で何してんだ?
トーマスは少年に声をかけた。だが返事はなく、怯えていた。
ベン:なんか僕たちを見て怯えてるみたいだな。
ヘンリー:まさか、お供え物のお団子を盗み食いした犯人だとか?
トーマス:んなわけあるか・・・!お前じゃあるまいし!そもそもお供え物なんて見当たらねえじゃねえか。
ヘンリー:君、名前はなんて言うんだ?
晃司:こ、晃司・・・。
ヘンリー:えっ!?こ、コウジ!?コウジってたしか光の子と呼ばれる生き物って・・・!?ま、まさか・・・!?
トーマス:んなわけあるか!名前が一緒だってこともあるだろう?仮にこんなのがコウジだとしたら僕たちは気持ち悪くて食えやしねえよ!
ヘンリー:そ、そうか・・・!ハハハ!そ、そうだよ!それじゃあ、僕たち人食いだよ!
ヘンリーはそう笑いながら胸を撫で下ろす。
ベン:でもあの肉、なんか人の肉だったような・・・。
ベンは独り言のようにそう呟く。
トーマス:な~に!俺たちと初対面だから少し戸惑っているだけだ。
トーマスは怯える少年・晃司に近づくとこう話しかけた。
トーマス:大丈夫だ!俺たちはお前を取って食うようなやつじゃねぇよ!俺たちはただ、お前と同じ名を持つ「光の子」を見に来ただけだ。
晃司:え?ウチと同じのがいるの?
トーマス:さぁな?だから俺たちもそいつを探しているんだ。なんならお前も俺たちと一緒に来るか?お前の事は俺たちが守ってやるよ!
トーマスはドンと胸を張って言った。ベンもヘンリーも賛成し、うなずいた。晃司は半信半疑ながらもうなずき、トーマスたちに付いていくことにした。
トーマス:俺はトーマス。ちなみに俺の家は馬屋を営んでいるんだ。そんでこいつはベン。少し頭が冴える勉強家だ。
ベン:「少し」は余計だよ。僕はベン。よろしく。
ヘンリー:僕はヘンリー。よろしく。
晃司:よ、よろしく・・・。
恐る恐るながらもなんとかトーマスたちと握手を交わす晃司。その後、ヘンリーから大きな荷物から取り出した少しダボ付いた銀色の服を着せられる。
ヘンリー:君はここで暮らしてるの?
晃司:う、うん。前はトルガル村ってのがあったんだけどロタ兵という人たちにやられちゃったんだ。
ベン:そうか。最近トルガル村はロタの護衛士・ガカイ率いるロタ兵たちに襲撃されたって聞いてるけど、噂は本当だったんだな・・・。
トーマス:じゃあ、トルガル村の生き残りってことか。まあ、辛い目にあったんだな。
トーマスは晃司の頭に手を置く。コウジはロタ王国のトラウマが残っているのか、少しビクつく。
トーマス:晃司も仲間に加えたことだし、さっそく光の子を見つけるぜ!
ヘンリー&ベン:おー!!
晃司:お、おー・・・。
晃司を仲間に入れたトーマス一行は光の子を探すために森の奥へと進んでいった。
―その頃、ロタ城ではヨゴが王室でガカイと共にステーキの味を堪能していた。
ヨゴ:(´~`)モグモグ・・・・・ ほう、これはこれはなんともくせになる美味な味だ!
ガカイ:はい!しかもこれを頂いた途端に不思議に力が湧き上がる、そんな感じがしますな!
ヨゴ:うむ・・・。もし、これを世界に売り出せばロタはますます潤うのかも知れぬな。
ガカイ:はい!うまくいけば、このロタ貴族、世界貴族に入れるかもしれませぬぞ?
ヨゴ:フハハハ!ガカイ、そち面白いことをぬかすのう?まあ、もうすぐ世界貴族がここを訪れる日が来る。それまでこの肉を確保したいものだ。
ヨゴとガカイの会話が盛り上がっていたその時。
バタン!
扉が勢いよく開くとともに、青い鎧を身に纏った男性が王室へと入ってきた。
???:失礼します!
ヨゴ:ん?お前はシュガ
ガカイ:何だ今食事中だぞ!
ヨゴ:構わん。で、私に一体何の用だ?
シュガ:ヨゴ陛下!トルガル村を滅ぼしたというのは本当でございますか?
ガカイ:ふん!何かと思えばそんなことか?くだらん!
シュガ:そんなこと?あれはイーハン前陛下がお創りになった村なんですよ!?
ヨゴ:まあ、それはガカイが勝手にやったことだ。私の指示ではない。だが、ロタ王国は元々貴族の街だ。自然に囲まれた国などこのロタ王国には無用だ。
シュガ:だからあなたの兄・イーハン様を殺めたのですか?
ヨゴ:何?
シュガの言葉にヨゴとガカイは手を止めた。
シュガ:私は知っていますよ!あなたが部下にイーハン様に毒を盛るように指示しているのをこの目で見たのですから!
ガカイ:ふん!何をたわけたことを・・・。もしその部下がイーハン派であったとしたら、その時のヨゴ様の命令に背くことも出来るであろう?
シュガ:そうですね。確かにその部下がイーハン派だったとしたら、陛下ではないヨゴ様の命令に背くことも出来たはず・・・。だが、それが普通に出来た場合の話・・・。
ガカイ:普通だと?
シュガ:私はヨゴ陛下の指示に背いた者を目にしたことがないのです。例えそれが無茶苦茶な命令であってもです。
ガカイ:何寝ぼけたことを!お前が見てないだけだろうが!
シュガ:イーハン元陛下がお倒れになった時、その見舞いに来たロタの民たちをヨゴ陛下は追い返したことありましたよね?あれ以来、お見舞いに来る者はいなくなった。何故でしょう?
ガカイ:ふん!ばかばかしい!イーハンに愛想が尽きたんだろう?
シュガ:イーハン派の者もトルガル村の人たちもですか?ヨゴ陛下に断られたからってイーハンに愛想が尽きるというのはいくら何でもおかしくはありませんでしょうか?他にもまだまだありますよ。ヨゴ陛下の就任式での演説時にあなたが「トルガル村をロタから切り離す」という宣言に対しロタの民たちは猛抗議してましたね?
ヨゴ:ああ、あったな。しかし、その時私の巧みな話術でロタの者たちを見事納得させることが出来た。
シュガ:本当にそうでございますでしょうか?
ヨゴ:何?
シュガ:たしか、あなたの言葉はこうだったはず・・・。
―回想―
ヨゴ ≪黙れ!ここは世界政府加盟国だぞ!豊かで平和な国?そんなものが何の役に立つ!それに我が兄のイーハンの死因は過労死。つまりトルガル村のやつらにこき使われたせいで、兄は死んだのだ!≫
ヨゴ ≪そもそもこのロタというものはもともと気品あふれる誇り高き国なのだ!お前らのような貧乏人の集団がこれ以上大きくなられればこの国の地位が下がるのだ!よいか!トルガルの者はロタから一歩も足を踏み入れてはならん!もし一歩でも足を踏み入れてみろ?その時は即刻死刑だ!≫
―回想終了―
シュガ:あんな言い方をしてロタの民が納得できるとは到底思えませんがね?
ガカイ:貴様!陛下に向かってなんたる無礼な言い草だ!
ガカイは立ち上がるとナイフを突きつけ怒鳴った。
ヨゴ:よせ、ガカイ。で、シュガよ。何故お前がそう感じるのだ?
シュガ:はい。ロタのほとんどの者たちは先代のイーハン陛下を慕っていた。イーハン様は愛に溢れていてどんな者でさえも温かく迎えていましたからね。ですが、あなた様はロタ貴族としての誇りしか持たず、国民に対して暴力を振るうなど冷酷極まりない行動を行ってきた。
ガカイ:それは当たり前のことだろう?それが貴族というものだ。貴族というのは常に神と同じくらいの存在なのだ。そこらへんの汚いネズミと一緒にされては困る。
シュガ:その言葉、聞いたら激怒してロタ中が暴動起こしてしまうでしょうね。
ヨゴ:それはない。私の一言で説き伏せてしまうのだからな。
シュガ:そうですよね。国民たちにどんな抗議を受けようともあなた様の一言で全て解決してしまうんですから!ただ、私にとってみればどうしてもそれが不思議でならないのですが・・・。
ヨゴ:何が言いたい?
シュガ:失礼ながら、私から見る民に対する陛下の態度はあまりに酷いものでした。抗議する民の目の前で悪態をつくだけでなく、彼らの話をを一切聞かずに「帰れ」と言い放ったり、暴行を加えるなどの彼らに様々な侮辱をするなど・・・
ヨゴ:ふっ、それがどうした?それでも私の命令には従っているのだぞ?
シュガ:はい、国の民たちは陛下にあまりにひどい仕打ちを受けたのに対し命令に誰一人背くことなく従っていた。ですが、その者たちの顔はどれも苦虫を噛み潰したような怨念を抱いたような顔だった・・・。
ヨゴとガカイはシュガにヨゴの正体を見破られたとわかったのか、両者とも笑いが込み上げて来た。
ヨゴ:ほう。
ガカイ:シュガよ!探偵気取りもいい加減にせんか!言いたいことがあるんだったらもったいぶらないではっきり言えばよいではないか!
シュガ:わかりました。では率直に申し上げましょう。ヨゴ陛下、私からの見解によりますとこのようなことからあなた様はもしや悪魔の実の能力者なんかじゃないかと・・・
ヨゴ&ガカイ:フッ、ハッハッハッハッハッハ!
すると突然、シュガの言葉が言い終わる前に2人は笑いだした。
ヨゴ:ハッハッハッハ!シュガよ。よくぞわかったな!我はコトコトの実の言葉人間。我が発する言葉の前には誰であろうとも逆らうことは不可能。
ガカイ:ヨゴ陛下、真実を見破った暁にこの肉を差し上げてはいかがでございましょうか?
ヨゴ:おお!奇遇だな、ガカイ!私も今そう思っていたところだ。
ガカイは皿に残っているステーキ肉をヨゴに見せると、ヨゴは笑いながら返した。
シュガ:そのお肉は?
ヨゴ:おお、これか?これはな「光の子」という者の肉なのだ。
シュガ:光の子・・・?光の子っていうのはたしかトルガル村にいる・・・。はっ!まさか・・・!
ガカイ:そうだ!この私がトルガル村の滅亡とともにその光の子をロタの街へと誘い込んだのだ!
シュガ:まさか、それでその子を殺してその肉を食べているっていうのですか!?
ヨゴ:フッ!安心せい!そいつはまだ生きている。しかもピンピンにな!
シュガ:生きている・・・?
ガカイ:お前も噂で聞いておるだろう?そいつの自己再生の能力ちからを。だがそいつの力はかなり強力らしくてな、例え心臓をえぐられようが、首を斬られようがすぐ体が復活するというのだ。
ヨゴ:まさに不死身的な者よのぅ?
ガカイ:誠に。
そう言うとヨゴはガカイと微笑えんだ。これを聞いてシュガは驚く。
シュガ:心臓や首を・・・!?なんて惨いことを!相手は5歳も満たない子供なんですよ!?
ヨゴ:シュガよ、これは我が命じたのではないぞ?我の兵士やロタの貴族たちが勝手にやり始めたことだ。
シュガ:ならばそれをお止めになるのが陛下の役目でしょう!それもせずその子の肉を食したとならばあなた様もそいつらと一緒になってやったのと同然です!
ガカイ:口を慎め、無礼者!陛下の前で恐れ多いぞ!
激昂したガカイは、シュガに近づきつかみかかる。
しかし、シュガを掴む前に逆に彼に腕を掴まれた。シュガはそのまま彼を睨みつける。
ヨゴ:もうよい、ガカイ!そんなことにいちいち構うな!
ガカイは無理矢理シュガの手を振り払うと舌打ちして見下しながら席へと戻る。
ヨゴ:まあ、私の能力を見抜いたのだ。褒美に真実を教えてやろう。
ヨゴは立ち上がると窓の方へと歩き始めると外の景色を見やる。
ヨゴ:確かに我が兄・イーハンの暗殺を命じたのはこの私だ。あやつには貴族としての誇りというものがが全くない。それどころかあんな貧相なゴミどもをロタ王国の一部だなんてほざいた挙句、その者の村まで作りおって、このままでは代々気品や誇りで栄えたこの国がいつの間にか自然で豊かで貧相な国に変貌してしまうと思うと今でも恐ろしい・・・!
シュガ:では、その気品のせいで職を失った者たちはどうするのですか?もし、そのような者が天竜人を傷付けてしまうなどすれば逆にこの国が滅んでしまうのも歴然です!
ヨゴ:容易いことだ。そんなやつらなどあの者に売ってしまえばいいではないか。
シュガ:なっ!?陛下は失業者たちを天竜人の奴隷にする気ですか!?
ヨゴ:所詮はこの国のゴミなのだ。いらないものはマーケットなどで売りに出せばいいことだろう?
ガカイ:まさにフリーマーケットならぬ「ヒューマンマーケット」ですな!
ヨゴ:おっ!!ガカイ、そいつはよい名だ!フハハハ!!
ヨゴは高らかに笑った。
シュガ:くっ!やはり、そんな冷酷で情のかけらもないあなた様・・・いや、そんなお前にこの国を任せておくことは出来ない!
ヨゴ:では、どうする?
シュガ:こうさせてもらいます!
シュガがそう言い放つと、後方の扉から兵士たちが次々と部屋に入って来た。そして2人の周りを取り囲み刃を向ける。
ガカイ:何だ!?何をする気だ!?
シュガ:イーハン元陛下の敵、討たせてもらう!
ヨゴ:して、この国の次の王は誰がやるのだ?
シュガ:そんなことは後で決める!今、お前のような人をないがしろにするやつを放っておけばこの国は民たちにとって悪魔の国と化してしまう!
ガカイ:ふん、何かと思えば民、民と・・・言っただろう?それが貴族というものだと、貴族というのは常に神と同じくらいの存在なのだと、世界貴族を見てみろ。あれは貴族たちの象徴であり貴族たちの憧れなのだ。
ヨゴ:いつかはこの私も天竜人となる日が来るだろう。
シュガ:そんなことは断じてさせない!いや、あってはならない!
ヨゴ:ヨゴ:ふむ、やはり話は通じぬか・・・。だがそんなことをしてもこの私の能力の前では無力!そなたら、その刀を納めよ!
自分に刃を向ける周りの兵士たちに命令するヨゴ。
兵士:・・・・・・・・。
しかし、兵士たちはヨゴが支持を出したにも関わらず、何の反応もなかった。
ヨゴ:!?聞こえなかったのか?剣を納めよと言っている!!
ヨゴはもう一度兵士たちに聞こえるように大声で言い放つ。しかし、やはり兵士たちは動くことはなかった。これにはヨゴも戸惑いを隠せなかった。
ヨゴ:何故だ?何故私の声に従わぬのだ?
シュガ:やはりその能力はあなた様の声を聴かせることで相手を従わせているようですね。ならば、その声を聴かないようにすれば済むこと。
ガカイ:そうか。こやつらは耳栓をしているのか。道理で陛下の命令が背けるわけだ。
ヨゴ:だが、この後どうするのだ?こう耳栓していればそちの指示も聞こえないのではないか?まあ、合図をしたとしても後ろを向いている兵士にはわからんと思うがな。
シュガ:恐れながら陛下。私は生まれつき見聞色の覇気が強くてですね。相手の気配を察知する事のほか、心と心との会話、いわゆるテレパシーのようなものが使えるんですよ。ですから私の場合は思念だけで相手に指示することが可能なんです。
ガカイ:あぁ、そうだった!お前にそういう能力があることを忘れておったわ!ん?ってことはあの時も我々の計画を知っていたのか?
シュガ:いえ、あの時はヨゴ陛下の思想から読み取ったものでしたので、時は遅くイーハン元陛下をお救いすることは叶いませんでした。陛下の能力を知ったのもそこでしたしね。
ヨゴ:なるほど。そこで我々のことを調べ上げて私の暗殺を謀ったのだな。
シュガ:そのとおりでございます。さぁ、ヨゴ陛下!お覚悟を!
そう言い放つと周りの兵士たちも剣を振り上げる。だが、窮地に陥っている2人は焦ることもなく余裕たっぷりの表情を見せている。
ヨゴ:なるほど。このように我々の隙を突いて奇襲すればガカイであってもここまではさすがに対応出来ぬし、この私の能力を持ったとしても耳栓していれば意味はない。まあ、実によく出来た策であったな。
ガカイ:はい。だが、少し見誤ったようですな。
シュガ:何?
ガカイ:能力者は陛下だけではないということだ。
兵士:うぉっ!?
兵士:なっ!?
兵士:!?
そう言い終わった途端、兵士たちに異変が起きた。彼らが振り上げた剣が何かの力が働きみるみる下がり始めたのだ。
シュガ:!? お前たちどうした?
シュガは顔色を変え、声を荒げた。
兵士:か、体が勝手に・・・
兵士 :く、くそ・・・な、何だこれは・・・俺の剣が勝手にしまっていく!?
そして、兵士たちは剣をしまうと今度は両手が顔の傍まで近づいた。
兵士:ま、まさか・・・な、何故だ!?陛下・・・いや、ヨゴの言葉は聞こえてないはず!
兵士:や、やめろ!!やめてくれ!!
兵士たちは抵抗しようと拒むが勝手に動く身体ではなすすべがなかった。
シュガ:い、一体何が・・・?はっ!!
シュガはガカイを見ると何かに気付いた。
シュガ:ガ、ガカイ様の眼が赤く光って・・・!?まさか!?
スポッ!
兵士:うわぁ!!
スポッ!スポッ!スポッ!スポッ!
そして、兵士たちは健闘虚しく強制的に動かされた自身の手によって耳栓を取り外される。
するとヨゴが不敵な笑みを浮かべ、兵士たちに号令をかける。
ヨゴ:お前たち!!その者を捕らえよ!!
すると兵士たちはシュガの所へと向かって行き、シュガを羽交い締めにした。
シュガ:うわっ!!し、しまった!!
ガカイ:クハハハハ!これで形勢逆転だな。シュガよ。
ガカイは身柄を拘束されて身動きが取れなくなったシュガを見下して言った。
兵士:も、申し訳ございません。体が勝手に動いてしまって・・・。
シュガ:くっ!お前も能力者だったのか!?
ガカイ:そうだ。私はリソリソの実を食べた理想人間。私の理想を実現することが可能な能力なのだ。お前の策、なかなかのものだったぞ。だがしかし、私の能力が見抜けなかったのが少し惜しかったな。まあ、お前の策略なんぞとっくのとおに気付いておったがな!
シュガ:なっ!?
ガカイ:何故お前がイーハンの暗殺を阻止できなかったのかわかるか?私がお前の行動を操り、時を稼いでたからだ。
シュガ:くっ!私はお前の掌に踊らされていたとでも言うのか。
ガカイ:まあ、そのようなものだな。この私がいる限り、ヨゴ陛下を王の座から引きずり下ろすことは不可能に厳しい!
そう言い放つガカイに歯を食いしばりながら悔しそうに睨むシュガ。
ヨゴ:もう、よい。お前たちシュガを放せ。
兵士たちはヨゴの命令に従い、シュガを解放した。
ヨゴ:シュガよ、お前はこの兵士達を使ってこの私に暗殺を企てたこの罪は重罪に値する。よってお前を死刑とする! ・・・が、それでは普通過ぎて面白くないな。よし!シュガよ、お前をこの城から追放することにした!
シュガ:追放?しかもロタからではなく城から?
ヨゴ:そうだ。そして、二度と城に足を踏み入れる事を禁ずる。
シュガ:ちょっとお待ちください!それはどういうこと・・・
ヨゴ:行け!
ヨゴの言葉に疑問を持ったシュガは問いただそうとしたのだが、彼の命令で強制的に身体が動き退室させられてしまった。その後ヨゴとガカイは食卓へと戻り食事を再開する。
ヨゴ:おお、そうだ!お前たち―
ヨゴは残った兵士たちにある指示を出した。
―
その頃、トーマスたちは森の中で光の子を探し続けていた。もちろん晃司を連れて。
ヘンリー:なかなか見つからないね、その光の子コウジって珍獣ヤツ。
トーマス:まあそりゃあ、神の子と呼ばれるほどだからな。そういえば晃司は光の子ってやつ知ってんのか?
晃司:え?あ、う、ううん、み、見たことも聞いたこともない。
トーマスは晃司に問いかけると晃司は必死に否定した。
トーマス:ふ~ん、そうか。
トーマスたちはその後も辺りを見回しながら森の中を進んでいった。
トーマス:うん?あれは何だ?
トーマスは岩の社付近の草むらの中から何かを見つけた。ふと駆け寄ってみるとそこには白髪の1人の老人がうつ伏せになって倒れていた。
ベン:この人、トルガル村のモウムさんじゃないか!
トーマスは急いでモウムを抱き起こし、彼の耳元で大きな声で声掛けをした。だが、モウムは既に事切れていて彼の目や体は動くことはなかった。
トーマス:ダメだ・・・。既に死んでる。
ベン:無理もないよ。こんな致命傷を負わされて長い間放置されてたんだから。
ベンはモウムの身体にある傷を見て言った。その傷は肩から腹にかけてザックリ斬られた深い傷だった。
ヘンリー:一体、誰がこんなことを?モウムのじっちゃんは誰からも恨まれる人じゃないはずなのに!
晃司:ガカイだよ。
トーマス&ベン&ヘンリー:え?
晃司:モウムはガカイと戦ってやられたんだ。
トーマス:ガカイ?
晃司:ガカイって人が急に現れて、ウチの村を襲ったんだ。
ベン:ガカイっていうのは、ヨゴの護衛士を務めているガカイのことか。
トーマス:あ~、あの闇夜のガカイか。ってことはあの噂は本当だったのか?
ヘンリー:あの噂って?
トーマス:お前も聞いたろ?一昨日、夜のガカイがトルガル村を襲撃したって。
ヘンリー:あぁ、あれか!
トーマス「あぁ、あれか!」じゃねぇよ!ったく・・・。んで、その村はまだあるのか?
晃司:う、うん・・・。
トーマス:よし、取り合えずいっちょその村へ行ってみるとするか!
こうしてトーマスたちはトルガル村へと向かって行った。
―その頃、ロタ王国では・・・
ジョニー:う~ん・・・大丈夫かな?
ジョニーは自分の精肉店「ジョニーズ」の中で何か思いつめたような顔をして右往左往していた。するとそこにドクとポニーが店の中に入ってきた。
ドク:ジョニー、何をそううろついているんだ?
ジョニー:うろつきたくもなるよ!「光の子」の正体を知ったら、息子たちあいつらどんな顔をするだろうと思うと・・・ああ!もう、とてもじゃないけど落ち着いてなんかいられないよ・・・。
ポニー:それにあなた、それをバーベキューにして普通にパクパク食べてたからね。子供にも分け与えてたし・・・。
ジョニー:そうなんだよ!そこなんだよ、一番気にしてるのは!僕が子供たちに人食い扱いして非難するんじゃないかと思うと・・・ああぁぁ・・・!んもう、どうしよう!!
ジョニーは泣きながら2人に寄り縋ってきた。
ポニー:し、知らないわよ!そんなこと! 自業自得じゃない!!
ドク:まあ、それは大丈夫じゃないかな。ベンはその事をいち早く気付いてたみたいだったし。
ジョニー&ポニー:気付いてた?
ドク:ああ。昨日、ベンが夜中にこっそりゴミ箱の中をあさっていたんだ。どうやら光の子を探す前に会った時から気になってたみたいなんでな。
ポニー:さっすがあんたの息子ね・・・。察知力が半端じゃないわ・・・!
そう話していると1人の客が店に訪ねてきた。
???:すいませ~ん!コロッケ10個とシュウマイ10個、餃子10個下さ~い!
ジョニー:え?あ、・・・ってお前シュガじゃないか!
ジョニーズに入ってきたのはいるのはなんとシュガだった。ちなみにシュガはジョニーたちの幼馴染である。
ジョニー:おお、シュガじゃないか!どうした?
シュガ:いや、まあ、ちょっと急用でトルガル森の方まで。
ポニー:トルガル森?もしかして「光の子」のこと?
シュガ:知っているのか?
ドク:え?ああ・・・いや、まあ噂は聞いたことある・・・かな?ハハハ・・・。
ドクは苦笑いしてみせた。その後ろではまるでこの世の終わりかのように手を頭全体を押さえるジョニーがいる。
シュガ:もしかして、その光の子を狩りに行ったとか?
ジョニー&ポニー&ドク(ギクっ!!!す、鋭い!!!Σ(◎_◎;))
シュガの問いに顔を青ざめながら思わず仰け反る3人。
シュガ:その様子だと本当に行ってたんだな。
ドク:まあな、道端で「光の子」の精肉を売っている売店から情報を聞いて、その「光の子」というものをみたんだ。
ポニー:でも実際見た時は本当に驚いたわ。だって見た目がどこにでもいてそうな普通の男の子なんですもの。狩る気にも食べる気にもなりゃしないわ!
ドク:だけど他の奴らはそいつをただの動物肉にしか思えていなくてな・・・
ドクたちは自分たちが見てきた光景をシュガに話し出した。ドクたちの口から聞いた話の内容はとてもではないがどれも耳を疑うものばかりだった。
シュガ:それは・・・本当の話なのか?兵士やならず者ならともかくとして、街の住民たちがそんな野生の本能を剥き出しにするようなことが・・・?
ドク:まあ、信じられないのも無理はない。僕もあの時は本当に夢ではないかと何度も思ったよ。
ポニー:本当、まさに酷い光景ったらありゃしないわよ!みんな情をそっちのけにしてあんな幼い子にあんな仕打ちが出来るなんて、本当にロタ人なの?って思えて来たわ。
シュガ:ふぅ~ん・・・。で、何であいつはあんなに凹んでるんだ?
シュガは店内の角の隅で後ろ向き座り込むジョニーを見て言った。
ドク:あぁ・・・。実はトーマスたちが「光の子」を探しに出かけたことに気に病んでるんだ。
ドクの今の言葉を聞いてシュガはギョッとした。
シュガ:トーマスたちって・・・、まさか、ベンやヘンリーもか?
ドク:ああ。昨日の「光の子」の正体を知る前に売店で買って来てな。その肉をその晩飯としてバーベキューにして食べたんだ。
シュガ:バーベキュー?え?でもさっき「狩る気にも食べる気にもならない」って・・・?
ポニー:ええ。さすがに気が滅入っちゃって私とドクは一昨日の残り物で済ませたわ。でもあの人だけは「食べなきゃ子供たちが怪しむ」な~んて言って、美味しそうにパクパク食べてたけどね~。
ポニーは後ろを向いて落ち込んでいるジョニーに憎まれ口を言う。
ジョニー:ど~せ、僕は人食いジョニーですよ~・・・。子供の手足を肉としか見ない冷酷で残酷なお肉屋さんですよ~・・・。(♀_♀)lll
ドク:別にそこまで言ってないだろう・・・?(^_^;)
ジョニー:あああぁぁぁ~~~~・・・・!!!!!まさかこんなことになるなんて!僕の人生おしまいだ~~!!
シュガ:自分が肉を食べたことを後悔してたのか・・・。(^_^;) だけどそれがも本当だとするとこの国はもっと冷酷で荒んだ国へと変貌してしまう。
ドク:冷酷で荒んだ国?一体どういうことだ?
シュガ:ああ、実は・・・
シュガはドクたちにヨゴ陛下の実態を話した。角の隅で落ち込んでいたジョニーも悩んでいたことなど忘れシュガの話に聞き入っていた。
ドク:なるほどな。やはりやつがイーハン暗殺の首謀者だったか。しかも、どんな者でも言葉で服従させるコトコトの実の能力者・・・。でなければ今革命が起きてもおかしくはない。
ポニー:言葉人間か・・・。まさか、あんな情もクソもないやつがそんな能力を持ってるなんてね。
ジョニー:だけど、その護衛士も能力者だったなんて以外だな。
シュガ:ああ。俺もそのことに気付いてれば達成できたんだがな。
ジョニー:達成?何のこと?
シュガ:え?まあ、その・・・実は、―――――――かくかくしかじか。
ジョニー&ポニー&ドク:暗殺!?Σ(◎Д◎;)
シュガ:まあ、あともう一歩の所でダメだったんだけどな。ハハハ・・・(^▽^;)
ジョニー:いや、ハハハって・・・。ロタの主を殺そうとしといて、よく生きてこれたもんだなぁ・・・!!(◎Д◎;) 命令される前に逃げて来たのか?
シュガ:いや、国王に城を追放を命じられた。
ポニー:え!?命じられた!?国王の暗殺って城の追放だけで済むことなの?
ドク:いや、それはないだろう。国王の暗殺ってのは例え未遂に終わったとしても死罪に値する程の重罪にすぎない。それを城の追放だけで済ませるってことは何か裏があるとでしか思えない。
シュガ:ああ。それは俺も思っていることだ。ただ、気になるのは俺と共に王の暗殺を実行した俺の部下たちのことだ。ついさっきロタの城から出る所を見た。
ポニー:あら、その部下たちにも追放処分を受けたのかしら?
シュガ:いや、わからない。ヨゴから処分を言い渡されたのは俺だけだったからな。ただ、俺が気にしてるのはその部下たちの行き先だ。
ポニー:行き先?
ジョニー:どこへ向かって行ったの?
シュガ:トルガル村だ。
ジョニー&ポニー&ドク:トルガル村!?
3人はシュガの口から元部下たちの行き先を知ると表情を一変させた。
―一方、トルガル森では・・・
ヘンリー:そ、そんな・・・!?
トーマス:う、ウソ・・・だろ・・・!?
ベン:うっ・・・!これは酷い!!
トーマスたちはトルガル村に訪れていた。だが、あまりにも無残に荒れ果てた姿の村の惨状を見てトーマスたちは愕然としてしまい、拍子抜けしてしまっていた。