海賊大戦士 マスターコウジ   【序章】 光の子伝説 ~ロタ王国・支配編~   作:マスターコウジ

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トーマスたちに晃司の正体がバレます。


第六話 残酷な正体

トルガル村襲撃の爪痕はあまりにも酷いものだった。畑はほぼ荒らされており、どの家も黒焦げやいくつもの矢が突き刺さるなどの全壊・半壊状態。そして地面には何人もの村人や兵士、家畜の死体が転がっている。

 

トーマス:何だよこれ・・・!? 

 

ヘンリー:・・?

 

ベン:う、噂は・・・本当だったのか・・・?

 

焼けた跡の家の中に入ってみるとそこには母親と思われる人物とそれに抱きかかえる乳飲み子や子供たちが矢に射られながら全身黒焦げという無残な状態になって息絶えていた。村辺りを回ってみても誰一人として生存者はいなかった。

 

ベン:ダメだ・・・。どれもみんな死んでしまっている。

 

トーマス:クッソ・・・、なんでこんなことに・・・!

 

ヘンリー:この村の人たちはいい人たちだったのに殺すなんてひどいよ!

 

トーマスたちはこの荒んだ村の惨状にやりきれない気持ちになっていた。

 

晃司:トーマスたちもこの村に好きだったの?

 

トーマス:そりゃあな。俺たちはここの村にお世話になってるからな。

 

ヘンリー:時々、僕たちが村へ遊びに行ったときなんか野菜や果物とかいっぱいくれるしね。

 

晃司:へぇ~。

 

ベン:たぶん、こうなったのはロタ王国の新しい王が誕生してからだろうな。

 

トーマス:ああ、たしかイーハンが急に亡くなったから代わりにその弟のヨゴっていう野郎が就任したんだっけか?あいつはやたらと貴族アピールしてくるだけでなく、少し服が汚れただけなのに自分が気に入らないとなればそいつを容赦なくボコボコにする下衆野郎だからな。

 

ベン:しかも父さんから聞いたことだけど、あの国王、どうも最初からこの村のことが気に食わなかったみたいで、演説の際、ここの国が世界政府加盟国であることを理由に「トルガル村をロタ王国から引き離す」と宣言してたみたいなんだ。

 

ヘンリー:世界政府加盟国?なにそれ?

 

ベン:世界政府というのは国同士が集まって出来た一つの組織、つまりグループの事。僕たちが住んでるこのロタ王国もそのグループに入ってるんだ。

 

トーマス:ふぅ~ん。で、何でそれがトルガル村を引き離すことに繋がるんだ?

 

ベン:これは僕の推測なんだけど、このトルガル村っていうのは前の王、イーハンが「豊かで平和な国にする」という願いを込めて作られた村らしいんだ。けど、貴族の気品だけしか持たないヨゴにとってみればその村は貴族の終わりを告げる不吉な村でしかない。しかもそこに光の子というものが現れ、トルガル村の人たちはその光の子を村の宝としてしまった。そのため、ヨゴは光の子によって村の勢力が増すことを恐れたんだと思う。

 

トーマス:じゃあ、それが村を滅された理由だったてのか?

 

ベン:うん、まあ、これは僕の推測だから確証出来ないけどね・・・ん?

 

ヘンリー:どうしたの、ベン?

 

ベン:シーッ!静かに!・・・・・何か聞こえない?

 

ベンは何かの気配を察知すると耳を澄ませた。するとカサカサと何か草を踏む足音のようなものが聞こえてきた。

 

トーマス:たしかに何か聞こえて来るな。何かがこっちに向かってくる足音みたいな・・・。

 

ヘンリー:もしかして光の子?

 

トーマス:さあな。だけど金属みたいな音も聞こえてくるからたぶん違うだろ。

 

トーマスたちは一旦、半壊した家にある小屋の中に入ると、小屋の格子状の窓の隙間からのぞいた。すると草の中から現れたのはなんとロタ兵士だった。

 

 

 

 

―ロタ王国・ジョニーズ店内

 

 

 

 

ジョニー:ヨゴが「光の子」の捕獲を!?

 

シュガ:ああ、たぶんそういうことだろうな。討ち入りの時にやつが食してたステーキは「光の子」の肉を使ったものだったしな。

 

ポニー:ひ、「光の子」の肉を使ったステーキって・・・!?(゚-゚;)

 

ドク:おそらくロタの貴族か兵士たちに勧められたんだろう。あの日、一緒になって「光の子」の身体を生・き・た・ま・ま・解体してたしな。

 

シュガ:ヨゴはその肉の味に大変気に入った様子だった。

 

ドク:なるほど。それでやつは「光の子」の捕獲、もしくは解体を命じたんだな。

 

ポニー:あんなに幼い子供を食糧にするなんて、あいつ本当に人間なのかしら?

 

ジョニー:だけど何で自分の兵士じゃなくて、シュガの部下の兵士たちを?

 

シュガ:さあな。だが俺は諦めない!このままやつの思うがままにはさせるわけにはいかない!

 

ポニー:でもどうするの?

 

シュガ:「光の子」はトルガル村の人たちが神として崇められた存在だ。やつが「光の子」を食糧として利用するならば、俺は神・・・いや、1人の人間の子供としてそいつを守る・・・いや、守ってみせる!

 

シュガは決心したような顔つきで言った。

 

 

 

 

―トルガル森・トルガル村

 

 

 

 

ベン:あれはロタ兵士!?

 

ヘンリー:なんでこんなところに?しかもあんな大勢で?

 

その数はざっと10人を超えるものだった。しばらくするとロタ兵士たちからの口からこんな話し声が聞こえた。

 

兵士1:ここか?トルガル村ってのは?

 

兵士2:酷い有様だな。地面したは死体で足の踏み場もない!

 

兵士3:しょうがないさ!あの陛下が「光の子を奪え、抵抗すれば滅ぼしても構わない」なんてこと言ったんだからな。

 

兵士1:クッソ!あのクソ下衆陛下やろう!もう少しで殺れると思ったのにまさかあのガカイカラス野郎も能力者だったとはな・・・!

 

兵士2:今度はあの護衛士をなんとかしなくてはな。まあ、シュガ軍師がロタ王国から追放されなかったのが唯一の救いだな!

 

兵士3:だけど何故、ロタ王国ではなくロタ王国の城・なのかな?

 

兵士1:ふん!知るか!そんなことよりさっさと晃司ってのをとっ捕まえてこの俺の鬱憤晴らさせてもらうぜ!

 

兵士4:でも、たしかそれって人間の子供なんじゃなかったか?

 

兵士5:ああ、俺が見たのはそんな感じだったな。たしか見た目は2~3歳くらいの普通のガキだったな。

 

トーマス&ベン&ヘンリー:え・・・!?(◎▫◎;)?

 

トーマスたちはその兵士の言葉に耳を疑った。

 

兵士4:お前、よくそんな幼い子供相手によくそんなこと出来たな!普通だったら出来ねぇぞ!

 

兵士5:いや、でも普通にあいつら平気でやってたから、仲間外れみたいでなんか嫌だったし・・・。まあ、遠くからカカシのように突っ立って見ていたあの肉屋と馬小屋と学者の3人に「いい加減にしろ!」って止められたがな。

 

兵士4:それが普通だろうが!全くヨゴの兵士と一緒にやりやがって、それでもイーハン派の兵士か!

 

兵士5:わ、悪かったよ!;そんなに怒らなくてもいいだろう?

 

兵士1:しょうがねぇよ。こうなったのもあの腐れ国王のせいだ!ったく・・・、血も涙も神もないったらありゃしねぇ!いつの日か絶対ぜってぇ吠え面掻かせてやるぜ!(パキパキ)

 

ロタ兵士たちはヨゴに対する悪口を言いながらトルガル村の辺りを徘徊し始める。その様子をトーマスたちは小屋の藁の中に入って見ていた。

 

トーマス:どうやら、あいつらも光の子ってのを探しに来てたみたいだな・・・。

 

ヘンリー:うん、だけど・・・、今のあの人たちの話聞いた?

 

トーマス:ああ、俺も聞いた。でもたしか光の子ってのは肉を何度切っても再生する珍しいサルなんだよな?だけど、あいつらの話からするとその光の子ってのは2~3歳ぐらいの人間の子供だなんて言ってるぞ?

 

ベン:前々からおかしいと思ってたんだ。やはり光の子ってのは・・・って、あれ?晃司は?

 

トーマス:ん?え?あ、あれ?どこだ?

 

トーマスは後ろを向いたり小屋の周りを見回してみたりしてみた。だが晃司の姿はどこにも見当たらなかった。

 

 

 

 

―ロタ王国・ジョニーズ店

 

 

 

 

ジョニー:「光の子」の護衛か・・・。シュガらしいや。

 

ポニー:でもそうなると、自分の部下と戦うことになるんじゃ?

 

シュガ:はっ!くっ・・・。

 

ポニーの何気ない言葉を聞いてシュガは苦い顔をする。

 

ドク:やつの狙いはそこかも知れないな。

 

ジョニー:え?

 

ドク:シュガの部下である兵士たちに光の子の捕獲のためにトルガル森に向かわせることでシュガが彼らを止めるために必ず出向くと踏んでいるのだろう。

 

ジョニー:でもそれを止めるといってもどうやって・・・まさか!?

 

シュガ:ああ。やつのコトコトの実は例え誰であってもやつの命令に逆らうことは出来ない。しかもその能力者に指示された者たちは自分の意図を無視して強制的に従わされる、いわば呪縛のようなものだ。元凶を叩く以外の方法でその呪縛を解くには指示された事を徹底的にやり遂げるか、誰かから殺してもらうかだ。

 

ポニー:ということは、つまりヨゴの真の狙いはシュガとその部下たちの同士討ちってこと?

 

ドク:わからない。同士討ちなのか、むしろただ光の子の護衛をさせたいだけなのか。ただ何にせよ、やつが何か企んでいることには変わりはない。

 

ポニー:まあ、あの情も知らないろくでなしがただ光の子の護衛をさせたいなんて到底思えないわね。

 

ジョニー:でもこのままじゃあの子がロタ王国の餌食にされてしまうよ。

 

ポニー:そうね。それにあのような出来事が毎日毎日続くとなるって思ったらかわいそうでしかたがないわ。

 

ドク:それにあの子は空から舞い降りた神のような存在だ。そのような者をぞんざいに扱えばいつの日か世界を滅ぼすような大きなしっぺ返しを食らうのがオチだ!

 

シュガ:ふっ、同士か、世界かということか・・・。究極の選択だな。だが、私の取るべき道は一つしかない!

 

 

 

 

 

 

 

 

トーマスたちはその後も小屋の辺りを何度も探し回るが、晃司が見つかる気配はなかった。

 

ヘンリー:はぐれたのかな?

 

トーマス:いや、さっきまで俺たちと一緒だったはずだ。

 

ベン:たぶん、さっきの兵士たちの話を聞いて思わず逃げたんじゃないかな?

 

ヘンリー:へ?逃げた?

 

ベン:おそらくね。

 

ヘンリー:いや、ちょ、ちょ、ちょっと待って!今の話で逃げたって、それじゃあまるであいつらが晃司が「光の子」だって言ってるようなもんじゃ・・・

 

ベン:でも僕からしてみるとあの子の様子初めっから少し変だったよ。

 

トーマス:変?

 

ベン:うん。僕たちが岩の社で見つけた時、彼、僕たちに怯えてたよね。

 

トーマス:それは極度の人見知りだったんじゃないのか?

 

ベン:でも僕たちを見ていたあの子の顔、あれがただの人見知りだとはどうしても思えないんだよね。

 

ヘンリー:そういえば晃司、最初僕たちを見た時もなんかものすごく怯えてたね。

 

ヘンリーは何か思い当たるような感じで言った。

 

トーマス:ん~・・・まあ、そう言われてみればたしかにあいつの顔、なんか俺たちを猛獣であるかのような目で見てたような気も・・・。

 

ベン:それに昨日の父さんたちのあの仕草もなんか気にならなかったか?

 

ヘンリー:え?ああ、たしか父さんたち「光の子」の肉を探しに行ってたんだっけ?

 

トーマス:そういえばあいつらも「光の子」を探しに行くだけなのになんかやけに変だったよな。俺の母さんも俺が「見に行きたい」って言ったらテンパって全力で拒否ってたし。

 

ヘンリー:でも「光の子」の肉を獲ってきた後、その肉を食べたのは僕たちと僕の父ちゃんだけ。

 

トーマス:ああ。俺の母さんとドクさんは「光の子」の肉を毛嫌いしてたしな。

 

ベン:それに僕たちが十字路にあった血だまりのことを聞いたらなんか思い当たるように驚いてなかった?

 

トーマス&ヘンリー:え?う~ん・・・

 

トーマス:そう言われてみればなんか言った途端になんかぎこちなかったよな・・・。すぐ肉の話に切り替えてたし。

 

ベン:でもそれ、肉を獲ってくる前から様子が変じゃなかった?

 

トーマス:ああ、だな。俺もそう思ってたところだ。

 

ベン:だからね、昨日の夜調べてみたんだ。

 

ヘンリー:調べた?

 

ベン:うん、ごみ箱やキッチンとかでね。そしたら驚くことにごみ箱の中からあるものが出てきたんだ。

 

ヘンリー:あるものって?

 

ベン:うん・・・。それはね・・・

 

ベンは答えようとして言いかけたが思いとどまるように言葉を詰まらせる。その様子にトーマスとヘンリーは何かもどかしい感じがした。

 

トーマス:おいおい・・・、もったいぶらないで教えてくれよ。

 

ベン:え?あ、うん・・・、ごめん、わかった。実はねそのゴミ箱に入ってたものが・・・

 

トーマス&ヘンリー:ゴクン! 

 

ベン:人間の手と足だったんだ!しかも、幼い子どものね・・・。

 

トーマス&ヘンリー:えっ・・・!?(゚Д゚;)

 

ベンの答えに2人は愕然とした。その後、しばらく沈黙が続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わって、その晃司はというとトーマスたちがいる小屋から少し離れた半壊した家の中だった。急に入ってきた兵士たちに戸惑い、はぐれてしまったのだ。晃司は兵士たちの今の話を聞いたことにより、ここにいると危ないと判断し、トルガル村から離れる隙を伺っていた。トルガル村はロタ王国から見れば小さな村だが一端入ってみれば敷地はそれなりに広い。しかも今のロタ兵士の数は10数人程度だ。タイミングを見誤らなければロタ兵士に見つからずに村を離れることはたやすいものだろう。

 

 一方、晃司を捕獲するためにトルガル村に訪れたロタ兵士たちはそれぞれ村のあちこちを徘徊していた。草の根を分けたり刈り取ったりするなど必死になって探す者もいるが、瓦礫となった家の傍に座り寝っ転がったり怠けたりするものもいた。ここにいる者たちは皆、シュガとともにヨゴ陛下の暗殺未遂の罰として「光の子」の身体または肉の捕獲する命令を下された者たちである。ヨゴ陛下の命令に従う気はさらさらないのだが、ヨゴの能力としかも「光の子の肉が手に入るまで城の出入りはおろかトルガル森から出る事も許さない」という条件まで課されたのでやらないわけにはいかなかった。

 

兵士1:うが~~っ!!くそ~~!!光のガキはどこだ~!!出てきやがれ~!!

 

兵士11:まるで猛獣だな。

 

兵士4:しかも、光のガキって・・・。

 

兵士1:うるせぇ!てめぇもそんなとこでくつろいでねぇでさっさと探しやがれ!

 

兵士4:いいじゃねぇか!城に帰れねえなら帰れねえで。あんなやつに従うことなんてねぇんだし。このまま森に暮らすってのもたまにはいいんじゃねぇのか?

 

兵士2:そうだな。あの王の指示に従うよりこっちに来てのんびり暮らすほうがいいもんな。

 

兵士1:黙れ!俺はなんとしてでもあの野郎ぶちのめさねぇと気が済まねぇ・・・ん?

 

列の1番目にいた大柄な兵士が気楽そうに話す兵士たちに文句を言いながら辺りを見回していると、半壊した家の中から1人の子供が出て来るのが見えた。

 

兵士1:ガキ・・・?にしても、小せぇガキだな?

 

1番目の兵士は目を凝らしながらその男の子の様子をしばらく見続けるが、その男の子はそのまま森へと走って行った。すると後ろから5番目の兵士が何気ない声で言った。

 

兵士5:あ、光の子・晃司だ。

 

兵士1:な、何!?あれが光の子・・・!?

 

兵士4:どう見ても普通の子供じゃないか!?

 

兵士1:よ~し、見つけたのならこっちのもんだ!

 

1番目の兵士はしめた顔をしながら、両手で指の関節を鳴らした。

 

兵士4:おい!お前、まさか・・・!?

 

兵士1:おうよ!そのまさか・・・よ!

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘンリー:ゴミ箱から出てきたのが人間の手足・・・!?しかも、子供の・・・!?

 

トーマス:ウソだろ・・・!?じゃ、俺らが食った肉ってのは、まさか本当に・・・!?

 

ベンから衝撃な真実を聞いて2人が顔を青ざめているその時・・・

 

???:待て待て小僧~~~~!!!!!

 

 

???:光の子~~待ちやがれ~~~!!

 

突然、大きな声が小屋のほうまで聞こえてきた。

 

トーマス:な、何だ!?

 

ベン:今のは、たぶん外の方からだよ!

 

トーマスたちは外の様子を見に一端小屋を出てみると、丁度兵士たちが何かを追いかけるように森の中へ走って行く姿が見えた。

 

ヘンリー:ていうか今、光の子って言ってなかった?

 

ベン:どうやら兵士たちが見つけたみたいだね。

 

トーマス:俺たちも行ってみよう!!そして、真相を確かめるんだ!!

 

トーマスたちは互いにうなずき、兵士たちが向かって行った森の中へと進んだ。

 

 その頃、森の中では晃司が何かから逃げるように必死になって走っていた。するとその時、後ろから何かが聞こえてきた。

 

兵士1:待て~このガキ~!肉よこせ~!!

 

晃司はふと後ろを振り向いてみると、その後ろにはトルガル村で探し回っていた大柄な兵士がすぐそこまで走って追いかけて来ていた。その後ろには何人かの兵士たちが付いて来ていた。それを見た晃司は一目散に逃げるように全力で走る。だが、大柄な兵士を筆頭に何人かのロタ兵士たちも追いかけるスピードを上げていった。

 

トーマスたちはロタ兵士たちよりも先に行き、木に隠れながらロタ兵士たちが走っている先を見た。だが、その先にいるのはトーマスたちにとって信じられないものだった。

 

トーマス:え・・・?あれは、晃司!?

 

それは紛れもなく晃司の姿だった。なんと晃司は数十人のロタ兵士たちに追いかけられているのだ。

 

ヘンリー:どういうこと!?何で晃司がロタ兵士に・・・!?ハッ・・・!まさか・・・!

 

兵士1:くっそ!噂通りにすばっしこいガキだな!全然、先が縮まらねぇ!

 

兵士4:おいおい、本当にあの子供を獲る気か?

 

兵士1:当ったり前だろ!俺はまだあいつの暗殺をあきらめてねぇんだ!あのガキの肉を獲って帰れば俺たちは自由の身だ!その時こそぶっ殺すチャンスじゃねぇか!

 

兵士2:本当にうまくいくのかな?それで。

 

兵士1:うるせぇ!黙って俺に従え!!ったく!こうなったら一か八かだ!

 

すると大柄な兵士は剣を抜いた。

 

トーマス:お、おい!?何をする気だ!?まさか・・・!?

 

兵士3:おい、お前まさか・・・!?

 

兵士1:ああ、そのまさかだ!

 

大柄な兵士は剣を槍のように投げつける。

 

晃司:ぐはっ!?

 

放たれた剣はそのまま晃司の背中に突き刺さった。

 

トーマス:晃司!!

 

ベン:止せ、トーマス!

 

その光景を目撃したトーマスがとっさに晃司のもとに駆け寄ろうとするが、ベンに止められる。するとそこに大柄な兵士は倒れている晃司のもとへ近づいた。。

 

兵士1:やっと捕まえたぜ・・・!

 

他の兵士たちも彼の傍に近寄りのぞいて見た。

 

兵士2:お前、本当容赦ねぇな・・・。

 

兵士1:仕方ねぇだろうがよ!ヨゴ暗殺の為だ!やつの所へ行くには、こいつの条件をクリアしねぇといけねぇんだしよ!

 

兵士3:だからって、槍投げはねぇだろうが!見ろ、お前の馬鹿力のせいで槍が胸の所まで突き抜けてるぞ!

 

兵士5:まあ、いいんじゃない?こいつ、こんくらいじゃ死なねぇし。

 

兵士3:なんでそんなことがわかんだ?

 

兵士5:まあ、見てなって!

 

そういうと5番目のすっとぼけの兵士が晃司の身体に刺さっている槍を一気に引っこ抜く。その拍子に彼の傷口から鮮血がどっと流れ出す。だがその数分後、晃司の血は傷口から流れることはなかった。

 

兵士4:流血が止まったのか?

 

兵士3:もう全部の血が流れ出たのか?

 

兵士5:いや、彼の傷を見てみろ。

 

兵士2:傷?なっ!?

 

すっとぼけの兵士に言われ他の兵士たちはもう一度彼の背中の傷を見てみる。すると、槍で受けた背中の傷はオレンジ色の光とともにだんだん塞がれていっていた。

 

兵士11:背中の傷が消えていく!?

 

そして、背中の傷が治まると同時に胸の傷もきれいさっぱり消えていた。

 

兵士4:身体が全快した・・・?

 

兵士6:これが光の子・晃司。

 

兵士たちはまるで夢でも見ているかのように驚いていた。だが、その光景は遠く離れた距離の木陰に隠れているトーマスたちには

 

には見えなかった。

 

ヘンリー:晃司、大丈夫かな?

 

トーマス:わからねぇ。俺の見た感じだとあのロタ兵が投げた槍、晃司の身体に深く刺さったような感じがするんだ。もし、俺の予想が正しければ晃司は助からねぇかも知れねぇ・・・。

 

ヘンリー:そ、そんな・・・!?

 

ベン:いや、それはわからないよ。

 

トーマスの言い分にベンは少し否定気味に言った。

 

トーマス:え?なんでだよ?

 

ベン:ロタ兵士たちは晃司があの「光の子」だと言って追いかけて行った。もし、それが本当なら彼の傷はもうとっくに治ってるはずだよ。

 

トーマス:んなわけあるかよ!晃司があの「光の子」だったなんて。例えそれがもし本当だと知ったとしても(ヘンリー:ねぇ、トーマス、・・・)俺は・・・

 

ヘンリー:トーマス! 

 

トーマス:な、何だよ!?せっかく人が意見を述べている時に!

 

ヘンリー:あれ見て!

 

トーマス:どうしたんだよ?

 

ヘンリーの声に従いトーマスたちはふとロタ兵士たちと晃司がいる所を見た。

 

すると、そこには致命傷を負っているはずの晃司がまるで寝起きのような感じで起き上がる光景があった。しかも、槍を無理矢理引っこ抜いたせいで上半身の衣服に大穴が開くほどボロボロになっている。

 

トーマス:晃司が起き上がった?

 

ベン:それだけじゃないみたいだ。あの身体を見て?

 

ベンの指示通りに晃司を見た2人はあまりにも信じがたい光景が目に浮かんだ。

 

ヘンリー:あれ?晃司に傷がない!?

 

トーマス:おっかしいな?たしかあの時、槍が刺さって致命傷になってたはずだぞ?

 

トーマスは目を何度もこすっては彼を二度見、三度見するがやはり背中に血が付いているだけであって身体には傷1つ付いていなかった。

 

晃司は起き上がり、兵士たちから逃れようと這って歩き始める。すると、それを見つけた大柄な兵士が目の前に剣を刺して彼の行動を止めた。

 

兵士1:ちょっと待ちな!目の前の獲物をそうやすやすと逃がしてたまるかよ?

 

大柄な兵士は鋭い目付きで晃司を睨みを利かせる。それを見て木によりかかりながら硬直する晃司。その光景はまさに蛇に睨まれた蛙のようだった。

 

兵士2:んで?この後どうするんだ?

 

兵士1:そりゃあ、こいつを城のところまで持っていくんだろう?こんなガキ1人わけねぇよ!

 

兵士5:どうせなら、こいつの首を何度かはねればいけるのに。

 

兵士4:アホ!こんな幼気な子供にそんなことできるかよ!ヨゴでもガカイでもあるまいし!

 

そんな時、兵士たちの頭上から1つの紙飛行機が落ちてきた。

 

兵士1:ん?何だ?

 

兵士2:紙飛行機?

 

兵士9:何でこんなところに?

 

兵士5:さあ?あ、翼の所に何か書いてあるぞ?

 

兵士1:ん?どれどれ・・・?

 

その紙飛行機の右翼のところを見るとそこには少し大きめな字で「開け」と書かれてあった。

 

兵士1:ん?「開け」?

 

大柄な兵士はおもむろに紙飛行機を崩し、紙を広げてみるとその中からは手紙のように綴られていた。

 

兵士1:んなっ!?Σ(◎□◎;)

 

ところが、その手紙にはとんでもないことが書かれており、それを見た大柄な兵士は愕然とした。そして、顔を真っ赤にしながら紙をくしゃくしゃと丸めると乱暴に投げ捨てた。

 

兵士1:くっそ!こんな馬鹿げた話があるか!

 

その紙を他の兵士が拾い上げると仲間たちとともに見てみた。すると手紙には1文でこう書かれていた。

 

 

 

光の子の肉だけを持ってこい。

 

 

 

 

兵士2:こ、これって、一体・・・?

 

兵士5:つまり、光の子の肉を解体して持ってこいという事だろう。

 

兵士4:ウソだろ!?まだ5歳も満たない子供だぞ!?こいつの身体を八つ裂きにしろってのか!?

 

兵士5:ああ。だが、お前らも聞いているとは思うがこいつには肉体を瞬時に復活させる強い再生能力を持っていると噂だ。ヨゴはそこを見込んで言っているんだろう。

 

兵士4:くそ~!!人の体をなんだと思ってんだ!?

 

兵士3:で?どうすんだ?こいつの指示通りにやらないと城に入れないし、国王も殺せないぞ?

 

兵士1:でぇ~い!こうなったらやけくそだ!って・・・あ、あれ?光のガキはどこ行った?

 

兵士5:あぁ、それならあそこに。

 

すっとぼけの兵士は小さくなって走って逃げる晃司の姿を指で指した。

 

兵士1:「あぁ、それならあそこに。」じゃねぇよ!すぐ追いかけるぞ!!

 

大柄な兵士はすっとぼけの兵士をポカッと殴る。その一方、晃司は突如現れた紙飛行機による手紙で混乱している隙に、こっそり抜け出し、その場から離れるように急いで走り出していた。だが、そのことに気付き全力で走る大柄な兵士に即座追い付かれすぐ腕を捕まれてしまった。

 

兵士1:捕まえたっと!!たくっ、お前もちょっと目を離している隙にこっそり抜け出してんじゃねぇよ!

 

大柄な兵士は晃司を人形のようにズルズル引きずりながら仲間のいる所へと連れ戻すと、仲間の兵士たちのいる所に放り投げ、彼を押さえるように言った。兵士たちは彼の指示通りに晃司をうつ伏せの状態にすると力づくで取り押さえた。

 

その後も何とか逃れようと必死にもがく晃司だったが、ロタ兵士たちに5人がかりで身体を地面に押さえられ、もうどうすることも出来なかった。

 

兵士1:さ~てと。で、何個ぐらい切り分ければいいんだ?

 

兵士5:どうせなら、首を斬り落としたほうがいいと思うんだけど?

 

兵士1:そうか・・・ん?く、く、く、首!?

 

兵士5:うん、僕の経験から言わしてもらうとこの子の身体は手や足、内臓などどこを切り取ってもすぐに再生するんだ。だけど、頭の方はかなり頑丈で刃が立たないんだ。

 

すっとぼけ兵士の唐突な発言に一瞬驚く大柄兵士だが、すっとぼけ兵士はまるで動物の解体の仕方を教えるような口振りで話した。

 

兵士1:な、なるほど。だがう~ん・・・、ただ、いきなりそれはちょっとな・・まずは手始めに手足から行くとするか!

 

というと大柄な兵士は地面に刺さった自分の剣を抜くと、晃司の足がある方へと移動する。晃司は兵士たちに押さえられながらも恐怖心に満ちたような顔で彼を見る。

 

兵士1:悪ぃな。こんなことはしたくはねぇが、俺たちの命運がかかっているのでな。恨むならここの王を恨むんだな!

 

そういうと大柄な兵士は剣を上に掲げた。

 

ヘンリー:ま、まさか!?

 

トーマス:おい!やめろ!

 

ザンッ!

 

晃司:ぎゃあああぁぁぁ~~~!!!!

 

 

しかし、そんなトーマスの叫びも虚しく、剣は彼の足に振り下ろされ、彼の足は胴体から切り離された。晃司の悲痛な叫び声が森の中に響き渡る。晃司の足の断面からは血が勢いよく流れ出ていた。

 

ヘンリー:晃司の足が・・・!

 

トーマス:く、くっそ・・・なんてこった!!

 

ベン:くっ!! ・・・・ん!?ねぇ、あそこ見て!ほら、あの晃司の足の所。

 

トーマス&ヘンリー:うん?

 

ベンは晃司の足の異変に気付くと2人に声をかける。見てみると脚の断面が光っていた。そしてしばらくすると足が瞬く間に復活していった。

 

兵士2:うおっ!?足が復活した!!

 

兵士4:す、すげぇ!本当に再生しやがった・・・。

 

ヘンリー:こ、晃司の足が元に戻った!?

 

ベン:これで、全てのつじつまが合った。やはり「光の子」の正体は正真正銘、晃司だったんだ!

 

トーマス:嘘だろ・・・!?じゃあ、俺たちはあいつの肉を食ってたってことだったのかよ!!

 

ベンは確信したような顔付きで見ていたが、トーマスに至っては目の前で起こっている事実がまだ飲み込めずにいた。

 

その時、トーマスたちの後ろの方からガサガサと茂みの中に何かがのような音が聞こえてきた。ふと振り返って見るとその中から現れ出たのはなんと紺色の鎧を身に纏ったシュガだった。

 

ヘンリー:シュガさん!

 

トーマス:なんだ、シュガかよ!脅かすなよ。

 

シュガ:いや、悪い悪い。それにしてもあれが「光の子」というものなのか。遠くで見てたんだが見た目が幼い子供だとはいえ、あの致命的なダメージを食らっても完治する不死身的な体質を持っている。やはりあの子ただ者ではないな。

 

ヘンリー:それにしても、シュガさんはどうしてここに?

 

シュガ:ああ、それはヨゴにめ(兵士1:よし!んじゃ、本番といくとするか!)ん?

 

ヘンリーの問いに答えようとするシュガだったが、途中で聞こえてきた兵士の声が気になり、その声がする方へのぞいて見た。するとそこには、大柄な兵士が剣を上に持ちながら晃司の目の前に現れていた。

 

トーマス:ん?あいつ、今度は何するつもりなんだ?

 

シュガ:あの様子からすると、たぶんトム大柄な兵士はあの子の首を切り離すつもりだろう。

 

ベン:せ、切り離すって・・・!?

 

シュガ:あの子供には手足を切ったり、心臓を刺したとしても一瞬のうちに復活するという話題が噂として広まっている。それであの子の足を見て自信がついたのだろう。

 

ヘンリー:自信がついたってまだ切ったのは足だけだよね!?

 

シュガ:それに、おそらくこれはヨゴ陛下の命令だろう。

 

ベン:ヨゴの命令?

 

トーマス:なんでだよ?あんなやつの命令なんて聞くこたぁねぇだろ!!

 

シュガ:それは出来ない。

 

トーマス:え・・・?

 

シュガ:ヨゴはコトコトの実を食べた服従人間。彼の口から出た命令を聞いた者は自分の意志とは関係なく強制的に従わされる。

 

ベン:つまり、ヨゴの命令には誰にも逆らうことが出来ないってことか。

 

シュガ:まあ、その声を聞かなければ命令に背くことも出来るのだが、もう一人曲者がいるからな。

 

トーマス:曲者?

 

その頃、晃司はなんとかこの場から逃げようと最後の力を振り絞り全力で立ち上がろうとした。

 

兵士3:あ、こら!暴れるな!

 

兵士4:そうだ!一瞬で終わるんだ!おとなしくしていろ!

 

だが、彼を逃がしまいと躍起になる兵士たちは腕にさらに力を強め、身動きが取れないくらいに地面に押さえつけた。そして大柄な兵士は晃司の真横に移動すると位置を確かめるように剣を首の後ろに置くと、そのまま真上に振り上げる。

 

シュガ:ああ、実はその(ヘンリー:みんな見て、晃司が!?)

 

シュガ&トーマス:え?

 

兵士1:ふんっ!

 

そして大剣は大柄兵士の腕の動きに合わせて勢いよく振り下ろされる。

 

ベン&シュガ&ヘンリー:!!

 

トーマス:晃司~!!

 

だが、その時・・・

 

 

 

晃司:うわあああぁぁぁ~~~~!!!! (((ドクン!)))

]

 

 

 

 

晃司の悲鳴とともに周り全体にからまるで爆風のような強烈な衝撃波が放たれた。

 

兵士1:うおわっ!?

 

兵士たち:うわ~~!!!?

 

大柄兵士とその晃司を押さえつけていた者たちは突然の突風に煽られて吹き飛び、その周りにいる何人かの兵士たちは晃司から放たれる衝撃波を受けてバタバタと口から泡を吹きながら次々に倒れていった。また、その衝撃波は遠く離れたトーマスたちの所にも及んでいた。

 

トーマス:な、何だこれは!?

 

シュガ:こ、これは、まさか!?

 

ベン:くっ!意識が飛びそうだ!!

 

トーマスたちは襲ってくる強烈な衝撃波を岩や木に捕まりながら必死に堪えていた。やがてその衝撃波は次第に納まり、静かになった。地面に伏していた大柄な兵士はやっとの思いで起き上がった。するとそこには思いがけない光景が目に浮かんでいた。そこには地面や木の傍など至る所には目を開けたまま横たわる兵士たちが散乱しており、衝撃波を受けた影響で、枝が折れ、丸裸にされた木には突風に吹き飛ばされ木の枝に貫通し息絶えた兵士などがいた。その光景を見ていた大柄な兵士は唖然としたままあっけにとられていた。

 

兵士1:こ、これは・・・もしや・・・?

 

大柄な兵士は唖然としながら立ち上がり、倒れた兵士たちを起こそうと揺さぶったり叩いたりして試みた。だが倒れている兵士たちは気を失ってるものもいたのだが、そのほとんどがショック死を起こして死んでいた。

 

兵士:俺は・・・夢でも見ているのか・・・!?

 

事の発信源である晃司は今の現状を見るや否や、自分が解放されたと分かると大柄な兵士が呆然と突っ立っている隙にそそくさとその場を離れるように走り去って行った。

 

兵士1:あ、おい!待て!

 

気が付いた大柄な兵士は大声で叫ぶものの光の子の深追いを諦め、気を失った残りの仲間を起こすのに専念した。

 

トーマス:おい、ヘンリー!起きろ!

 

一方、トーマス側はさっきの衝撃波で気を失っているヘンリーの頬をビシバシ叩いて起こしていた。

 

シュガ:大丈夫だ。彼は気を失ってるだけだ。しばらくすればまた目が覚めるよ。

 

ベン:だけど今放ったのって・・・?

 

シュガ:おそらく覇王色の覇気だろうな。

 

トーマス:覇気?覇気ってシュガのような・・・

 

シュガ:ああ。だが、晃司が放った覇気は特殊であって、得られる比率は数百万人に1人と言われるほど珍しい覇気なんだ。

 

ベン:覇王色の覇気・・・。少し聞いたことあるんだけど、その覇気を使えるのは王の資質を持つ者だって・・・。

 

シュガ:まあ、一説によるとその力を持てる者はさらに秘めたる力を持っているという説もあるらしいんだ。だが、あんな強烈な覇王色は今まで見たことがない!

 

トーマス:じゃあ、やっぱりあいつ晃司が光の子だったんだな。

 

トーマスはそう確信を持つと落胆したように言った。

 

 

 

 

―その夜、トーマスたちは岩の社の近くでテントを張り、落ちていた薪を集め火を点けた。今日の夕飯はシュガが獲ってきたウサギの串焼きだ。

 

シュガ:うん、うまい!今日のウサギは結構脂が乗ってるな!

 

ウサギの肉の味に舌鼓を打つシュガ。

 

ヘンリー:それにしても思い切ったこともんだなぁ。陛下の暗殺なんて!

 

シュガ:いやぁ、あと一歩の所だったんだが、まさかあの護衛士にそんな能力があるとはな・・・。 

 

ベン:でも、それだけのことしたのに城の追放だけで済むなんて、何か裏があるとしか思えないな。ねぇ!トーマス。

 

ベンはトーマスに声をかけるが、トーマスは串焼きを片手に持ったままぼーっとしていて返事がなかった。

 

シュガ:ん?トーマス?

 

シュガはふとトーマスを見た。

 

ベン:トーマス、トーマス!!

 

ベンはトーマスの肩を揺らし、トーマスの耳元で叫んだ。

 

トーマス:へ?あ・・・。

 

シュガ:どうしたんだ?お腹空いてないのか?

 

トーマス:え?あぁ・・・、ちょっと考え事をな・・・。

 

ベン:もしかして晃司の事?

 

トーマス:ん?あぁ、まあな・・・。

 

ベンが心配そうにそう尋ねるとトーマスは少し苦笑いしながら答えた。

 

シュガ:まあ、無理もない。光の子という動物の正体が人間だなんて話、例え事実だったとしてもそれが信じられないのが当たり前だ。

 

ヘンリー:そもそも陛下は何で自分の兵士たちにあんな指示を出したんだろう?

 

シュガ:いや、あれは俺の部下なんだ。

 

ベン&ヘンリー:え・・・?(◎Д◎;)

 

トーマスたちは驚いてシュガを見る。

 

シュガ:そして俺とともに王の暗殺を謀った共犯者でもあるんだ。

 

ベン:じゃあ、あの兵士たちは陛下暗殺を謀った罰として光の子の肉を獲ってくるように命じたってことか?

 

ヘンリー:陛下は光の子っていうのがどんなものなのか知ってるの?

 

シュガ:ああ、おそらくな。

 

ヘンリー:じゃあ、何で?

 

シュガ:やつは人を価値のある物なのかどうかしか見ない、ましては自分が邪魔だと思えば例え家族であろうとも排除する非常に情に欠けた冷酷やつだ。

 

ベン:家族であろうとも? ・・・Σハッ!まさか、元イーハン陛下が亡くなったのって・・・?

 

シュガ:ああ、そうだ。やつが自分の護衛士にイーハン陛下に毒を盛る指示を出したんだ。

 

シュガからその事実を聞くとトーマスたちは憤慨した。

 

ベン:やっぱり!イーハンが死ぬ前の日、見舞いに訪れた人たちを追い返すヨゴを見てどうもおかしいと思ってたんだ。そういうことだったのか!

 

トーマス:あんの野郎!どこまで腐った野郎なんだ!

 

シュガ:ヨゴは兵士が持ってきた光の子の肉を食したことでかなりお気に召したようなんだ。しかも、やつはその肉をロタのために利用するつもりみたいなんだ。

 

ヘンリー:利用?ってことは光の肉がロタの街で売られるってこと?

 

ベン:だがそうなってくると、晃司はそのためだけのために彼らに身体を毎日切り刻まれることになる。

 

シュガ:ああ。だが、奴の狙いはそれだけじゃない。光の子の肉を天竜人にも差し出すつもりでいるらしいんだ。

 

ベン:て、天竜人って・・・!?まさか、このロタ王国の街にその天竜人が来るっていうの!?

 

シュガ:ああ、ヨゴ陛下が視察に来るように天竜人に頼んだらしいんだ。

 

トーマス:ベン、その天竜人ってのがどんなのか知ってんのか?

 

ベン:うん、僕も少し聞いた程度なんだけどね、その天竜人っていうのは聖地マリージョアっていう所の住人で800年前に世界政府を作り上げた「創造主」と称される20人の王たちの末裔なんだって。

 

ヘンリー:創造主?末裔?

 

シュガ:つまり世界政府の元となった人たちみたいなものだ。そして最も誇り高く気高き血族として、世界の頂点に君臨しているそうだ。

 

トーマス:へぇ~、つまり神様みたいなやつらなのか~・・・。で、そいつらの何が問題なんだ?

 

シュガ:それはその天竜人の性格だ。そいつらは自らに存在する地位や権限を利用して人徳を無視した残虐な悪行を人前で平気で行えるほどの冷酷さを持っている。

 

ベン:僕が聞いた限りではその人たちの前を横切ったり、服を汚したりした人をその場で射殺したり(ヘンリー:横切っただけで殺されるの!?)(シュガ:ああ、それが例え子供や動物であってもな。)気になった人がいればその人の背中に焼き印をつけて自分のものにしたりとか・・・

 

シュガ:それとあと、天竜人に納めるため貢ぎ金「天上金」ていうのもあるらしいが、その額がとてつもなく莫大でそれが原因で国などが滅ぶこともあったそうだ。

 

トーマス:何だよ・・・!?ヨゴよりひでぇじゃねぇか!?

 

ベン:しかもどんなに天竜人が悪くても、もしその人に危害を加えた場合はその被害者は加害者となって公開処刑されてしまうらしいんだ。

 

ヘンリー:そんな・・・!?じゃあ誰もその天竜人て人が悪いことをやっていたとしても辞めさせることが出来ないってこと!?

 

シュガ:ああ、残念ながらな・・・

 

シュガは俯きながらそう呟く。それからしばらくの間、沈黙が続いた。

 

トーマス:そういえば母さんたちも「光の子」っていうのが晃司だってこと知ってたんだよな。だからあんなにあの肉を毛嫌いしてたんだな。

 

シュガ:まあな、最初は貴族の奴らがその肉を販売していて、拒んだものの肉の味に興味が湧いたらしくて、3人で光の子というものを探しに行ったんだってさ。だけど実際行って見たらさすがに哀れすぎて出来なかったんだってさ。

 

ヘンリー:なぁんだ!結局やれなかったんだ!

 

それを聞いてホッと安堵の息を漏らすヘンリー。

 

トーマス:じゃあ、バーベキューで食べたあの肉は?

 

シュガ:あぁ、たぶんその肉は貴族が販売していた肉をいくつか買ったらしいよ。なんかお前たちに意気込んでおいて手ぶらで帰るのは気まずくらしくてそれで誤魔化したらしいよ?

 

ベン:なるほど、そういうことだったのか!

 

トーマス:別にそこまで気を遣うことねぇんだけどな~。

 

ヘンリー:でもそのおかげで光の子の正体がわかったんだし、いいんじゃないかな?

 

トーマス:ま、それもそうだな!さて・・・・・・・・・・・ガツガツモグモグガツガツモグモグそろそろ行くか!!

 

そういうとトーマスは皿にあるウサギの肉を口の中に流し込むとすぐリュックを背負って立ち上がった。

 

ヘンリー:え?行くってどこに?

 

トーマス:どこって晃司の所だよ!行って晃司を俺たちの手で守るんだ!!このままあいつの思い通りにされてたまるかよ!

 

ベン:たしかにこのままヨゴの考え通りに行けば、この先の未来がどうなるか分からない!!

 

シュガ:ああ、実はいうと俺もお前たちと同じことを考えていたんだ。あの晃司というやつの覇気は計り知れないほどの力を秘めていた。そんなやつをぞんざいに扱うくらいなら護衛するほうがましだとな。

 

トーマス:じゃあ、決まりだな!じゃあ、さっそく出ぱ(ベン:だけど)・・・え?

 

ベン:今日はもう遅いから、晃司を探しに行くんなら明日でもいいんじゃないか?

 

トーマス:ん・・・。ま、そう言われればそうだな・・・。

 

こうしてトーマスたちは明日に備えそのまま一晩を明かすことになった。

 

 

 

 

―その頃、ロタ城では・・・

 

 

 

 

ヨゴ:ふむ・・・、たった腕一本だけか・・・。(-_-)

 

ヨゴは少し不満そうに言った。ヨゴの食卓のテーブルの前には大柄な兵士1人が数メートル先の位置で立っている。

 

兵士1:も、申し訳ございません・・・。少し予想外のことが起こりましたので・・・。

 

ヨゴ:まあ、よい。食べられただけでも私は満足だ。それにそのおかげで新たな力を見出せたのだからな。

 

ガカイ:はい。ですが、まさか覇王色の資質があるとはいやはや驚きですな。しかもあれほどの兵士をショック死させるほどのものとは・・・。

 

ヨゴ:まあ、無意識に発動させたのであろう。まあ、またここの連中を狩りに行かせればまたやつの新たな力が解放されるであろうのう。

 

兵士1:ですがあの子はまだ我々にも知らない未知の存在、このような乱暴な行いをし続ければ、この先やつはこの国に滅ぼしかねませんぞ!

 

ガカイ:全く、ここのもんらは身の程を知らんのか!そもそもお前もあの「光の子」の足を無理矢理剣で切り落としたではないか!

 

ヨゴ:まあガカイ、よいではないか。言いたい奴には好きなだけ言わせておけ。虫けら以下の存在がどうしようがこの私の言葉の前には何もできないのだからな!ハハハ!

 

ガカイ:それもそうだ。ガハハハハ!

 

その2人の笑い声をこぶしを握りしめ俯きながら悔しそうに歯を食いしばる大柄兵士。

 

ヨゴ:まあ、お前らには乱暴にしか思えんかもしれんが、あれはこのロタ王国の糧になれるよう私なりに鍛えてやっておるのだ。それに私にはこの言葉で支配できるコトコトの実がある。この力がある限り、例えそいつがどんなに強くなろうとも私の支配の前では無能にすぎんのだ!

 

だが・・・、まあたしかに心配なところは少しあるな・・・。

 

ガカイ:心配なこと?・・・・といいますと?

 

ヨゴ:この肉のことだ。やつが新たな力を解放し強くなるにつれ、この肉の収穫も難しくなるかもしれんからな。

 

ガカイ:たしかに、覇王色だけでもあの威力ですからね。今後もし、武装色や見聞色などを会得した場合はここの連中全軍差し向けたとしても手に入れるのは難しいでしょうなぁ・・・。

 

ヨゴ:ふむ・・・。おお、そうじゃ!

 

ヨゴは何かを閃くと途端に肉を一気に頬張ると席を立った。

 

ガカイ:ん!何か閃いたことあったんですか?

 

ヨゴ:ああ!ガカイ、すぐ筆を持ってこい!明日、すぐにでも実行したいことがある!

 

そういうとヨゴは足早に部屋を出て行った。ガカイもヨゴに一礼をすると筆を取りに別室へと向かう。

 

兵士1:へ!?あ、あの私は・・・!?あの私はどうするんで!?

 

大柄兵士の叫びも虚しくガカイは足早に去っていった。その後、食卓の部屋に独り取り残された大柄兵士はマネキンのように突っ立ったまま明日の朝まで過ごしたのだった・・・。

 

 

 

 

―そして、次の日のこと・・・

 

 

 

 

ロタ王国ではロタ城の広場にてジョニーたちを含む多くのロタの民たちが集まっていた。

 

ジョニー:何か、すごい数だね。

 

ポニー:そりゃあ、急にあんなスピーカーで呼び出されたら集まらない人なんているわけないでしょう!なんせ、私たちはあいつの言葉には決して逆らえないんだから。

 

ポニーは中心街の中央にある巨大なスピーカーを指さして言った。

 

ジョニー:でも、ヨゴの声を聴かなきゃ大丈夫なんでしょ?もし、耳栓や音楽で奴の声を妨害すれば大丈夫なんじゃ?

 

ドク:ああ、だが道端にはこんなビラが落ちていた。

 

ドクは地面の砂で汚れ、くしゃくしゃになった紙を2人に見せる。

 

ポニー:「全ロタの民の諸君に次ぐ 今すぐ城の広場に集まれ」?

 

ドク:たぶんヨゴが街中にばらまいたものだろう。

 

ジョニー:でも、これで何か意味が・・・って、まさか!?

 

ドク:ああ、おそらくやつの言葉の能力は声だけでなく、このような字面でも発揮されるんだと思うんだ。

 

ジョニー:だから、こんだけの人たちが集まったのか~。

 

ポニー:でも、こんなに呼び寄せたということはまた何かろくでもないことをしようとしてるんじゃないでしょうね?

 

ドク:ああ、だろうな。まあ、大方予想はついてるがな。

 

ジョニー:あっ、来るよ!

 

ジョニーの声で2人は広場にある演壇に目を向ける。するとそこにはヨゴが演壇に立つ姿が目に映った。

 

ヨゴ:やあやあ、よく来てくれたロタの街に住む汚いドブネズミの諸君!

 

ポニー:相っ変わらず最低最悪な発言ね・・・。

 

ロタの民全員を見下したような卑劣な物言いに思わず愚痴をこぼすポニー。

 

ヨゴ:今回、諸君らに来てくれたのは他でもない。あの「光の子」についてだ。

 

ヨゴが発した「光の子」の言葉に反応し、ジョニーは驚きの表情になる。

 

ジョニー:光の子・・・て、たしか?

 

ドク:やはりあれか・・・!

 

その後もヨゴは光の子のことや自身のことについて話していった。

 

 

 

 

―そして、その頃トルガル森では・・・

 

 

 

 

ヘンリー:晃司~!どこ~!?

 

トーマス:お~い!晃司~!聞こえてたら返事しろ~!

 

ベン:トーマス!ヘンリー!大声出しすぎ!もうちょっと控えて!

 

トーマス:んなこと言ったって、俺はあいつにどうしても謝らなきゃならねぇことがあんだ!お~い!

 

ベンはため息を吐きながらシュガとともにトーマスとヘンリーの後に付いていった。ちなみにその晃司はというと・・・

 

 

 

 

―晃司:ん?どこからか声が聞こえ・・・気のせいか・・・。

 

 

 

晃司は人に見つからないように川の中にて眠っていた。

 

 

 

 

今、このロタ王国はヨゴにより新たな発展を遂げようとしている。しかし、それは当然ロタの民そして光の子・晃司をさらに苦しめることに相違はない。この出来事に対しロタ王国の元護衛士・シュガ、トーマス、ヘンリー、ベン、そしてその3人の親であるジョニー、ポニー、ドクはヨゴに立ち向かおうと晃司に尽力しこれからの彼の人生を変えていくのだが、この話は第2章にて続く・・・

 

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