前回の続きになります。
それではどうぞ。
「あとは、この『お花見のしおり』を人数分コピーすれば準備完了……かな?」
「…そうだね。コピーする前に、インクが残ってるか確認しておかないと」
「みんな喜んでくれるといいな~。よーし、あとちょっと! 頑張ろうね!」
日直の仕事を終えた悠里と合流し、3人は花音の家でお花見のしおりの最後の仕上げに取り掛かっていた。
「……あのさ、彩ちゃん? 昨日の夜、すっごい懐かしいものを見つけたんだ。これなんだけど……覚えてる?」
花音が見せてきたのは何かの冊子だった。
「…なんかバイトマニュアルって書いてあるけど?」
「……あ! これひょっとして私が昔作ったやつ!?」
悠里がポツリと呟くと、彩は昔自分が作ったものだと思い出した。
「そう! 私がまだバイトに入りたてで、仕事の内容が全然分からない時に彩ちゃんが作ってくれたんだよね」
「これ、まだ持ってくれてたの……?」
「……(そういえば、花音ちゃんがバイト始めた時に、仕事内容を教えてくれた人がいたって言ってたっけ……あれ、彩ちゃんの事だったのか)」
花音がバイトを始めたって聞いた時に、仕事内容を同年代の女の子が教えてくれたという事を悠里は彼女から聞いた事があった。
「もちろんだよ。私はこの『バイトマニュアル』にすっごい救われたんだもん。これがあったから、私はバイトが続けられたと思ってるんだ」
あの時は、ありがとう彩ちゃんと花音が言った。
「そ、そんな事改めて言われると、照れちゃうよ~! これ……中見てもいい? 自分で書いておいてなんだけど、どんな事を書いたのか全然覚えてないな……」
「あ、僕も見たい……なんか興味ある……」
「ふふふ、もちろん。読んでみて」
当時、自分でも何を書いたのか覚えてない彩。悠里も純粋に読んでみたいなと思ったので、3人で読んでみる事に。
「えっと……バイトマニュアルその1、仕事中は……「明るい笑顔で、とにかく頑張る!」」
「……2人とも、絶妙にハモってた」
まさかの覚えてた事に驚く彩。絶妙なハモりに驚く悠里。
「だってバイトの先輩のありがたい言葉だもん。ちゃんと覚えてるよ」
「先輩って……! 私の方が1ヶ月ぐらい早いだけだよ~!」
「けど、彩ちゃんが先輩なんでしょ? ね、花音ちゃん?」
「うん♪」
1ヶ月ぐらい早いからと言って、花音の先輩には変わらない事実でしょ?と悠里が指摘した。彩は微妙に納得してないようだが。
「だからそのマニュアルはホントに全部覚えちゃうくらい読み込んだんだよ?」
「ていうか、今見てみると『とにかく頑張る』ばっかりで、ほとんど参考にならないよね……っ」
「ううん、そんなことないよ! 私はそのマニュアル通りにとにかく頑張ったら、バイトが楽しくなったんだ」
「……(確かにこのマニュアルだったら、僕でも頑張れそう)」
というか、このマニュアルを作る彩が凄いと悠里は思った。確かに『とにかく頑張る』と書かれてるところが多々あるが、下手な説明をされるより、こっちの方が逆に分かりやすい。
「この前彩ちゃんが、お花見の当日にみんなが喜んでくれそうなものないかな?って言ったでしょ? 私、その時に、この『バイトマニュアル』の事をふと思い出したんだ」
こういう冊子があったら、みんな喜んでくれるかもってと花音は言いながら。
「なんか嬉しいな。私が作った『バイトマニュアル』をそんな大事に思ってくれてたなんて……」
こんな事なら、もっと綺麗に書いておけばよかったよ~と彩が言う。
「あ、見て! ここ字間違えてる! わ、ここも! 『ハンバーガー』が『ハンガーバー』になってるし!」
「……」
「ふふふ」
「花音ちゃん、修正テープとかある? 『ハンガーバー』だけは直させて~! ちょっとこれは恥ずかしすぎるよ」
「だ、ダメだよ~っ。これは私の宝物なんだから~」
誤字を修正させてほしいと彩は懇願するが、花音は笑いながらダメだよと言う。一方で悠里は『ハンガーバー』の文字を食い入るように見ている。
「……ふっ、あはははっ! 『ハンガーバー』って、それ何て新メニュー? すみませーん、『ハンガーバー』1つくださーい。あはははっ!」
「「っ!?」」
すると悠里が今まで見たことない表情で笑い出した。突然の事に彩と花音は驚愕の表情。
「ハンガーバー、ハンガーバー、ハンニャーバー♪ あはははっ!」
「……(え? 悠里くんって、笑う時こんなに笑うの!? なんか初めて見た……)」
「……(こんなに笑う悠里くんを見たの、いつぶりだろう……)」
未だに大笑いしてる悠里を見て、彩はちょっと困惑気味、花音は懐かしさを感じたのであった……
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「ここをホチキスで止めて……うん! これで『お花見のしおり』は完成っと……」
「お疲れ様~、やっとできあがったね!」
「…ん、お疲れ様」
そして遂にお花見のしおりが完成させた3人。
「字の間違いとかないか、慎重に確認しておかないとね……『ハンガーバー』みたいになっちゃうと恥ずかしいから……」
「ふふふ。彩ちゃん、気にしすぎだよ」
「……ハンガーバー……ふっ」
「もう~。悠里くんもそんなに笑わないでよ……」
さっきよりは控えめだが、彩が『ハンガーバー』と口にした途端、悠里はクスクスと笑っていた。
「そういえば悠里くんって、リサちゃんとも幼馴染みなんだよね?」
「? そうだけど……急にどしたの?」
「リサちゃんって、双子の妹さんとかいるの?」
「えっと、実はね……?」
放課後の事を思い出したのか、気になった事を悠里に訊く彩。
首を傾げる悠里だったが、花音が昼休みの出来事と今日の放課後にリサ達が来た時に、その話をしたら、リサが驚いてたとの事。
「それで私と彩ちゃんが昼休みに見たリサちゃんって、見間違いなのかなって……」
「…昼休みって言ってたけど……それって具体的に何時くらいか分かる?」
「えーっと、ちょうどお昼休みが始まるくらいだったかなぁ……なんとなく外を見たら、校門前をリサちゃんが通りかかったのが見えて……」
「私も彩ちゃんと同じくらいかなあ……」
「…………」
それを聞いた悠里は、一瞬考える仕草をした後、スマホを取り出した。
「…その時間帯の通話履歴は……あった。あぁ、そういう事……」
「「?」」
通話履歴を確認したであろう悠里は1人でうんうんと頷きながら納得した後、彩と花音の顔を見て……
「彩ちゃんと花音ちゃんが話してくれた事だけど……
「半分正解で……」
「半分ハズレ……?」
何か含みのある表情をしながら答えた。
「…いい機会だし、お花見の当日に
「え? うん。分かった……(う~、なんか余計に気になるよ~!)」
「えっと、楽しみにしてて……いいのかな?(こういう表情をしてる時の悠里くんって、何かしらのサプライズが関係してるんだよね……)」
そう言うと悠里は、彩と花音にお花見の当日が楽しみだねー?と浮き浮きした表情で言うのであった。
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