グラビティ×ハンター   作:『何もない』

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ハンターハンターを読んでいるうちに頭の中で二次創作が具現化し始めたので投稿します。


転生したらハンターハンターの世界でした。罰ゲームかな?

 炎天下の中、いつも通りに外回りの仕事に勤しんでいた星重 力。

一通り仕事を終え横断歩道の前で立ち止まっていると右側からブオンブオン!!、と

けたたましいエンジン音が轟いてきた。後からパトカーのサイレン音が聞こえてきたことから

暴走バイクを警察が追っているのだろう・・・そんな呑気なことを思いながらぼーっとしていた。

 

 

 

ギャリギャリギャリィィィィッッッ!!!

 

 

ドリフトだろうか。そう思い右側を振り向く。

バイクは斜めの状態で火花を散らせながら曲線を描いている。

ただし、バイクは車道ではなく今自分がいる歩道に向かっていた。

 

「―――あ、これ死ぬわ」

 

回避することも出来ず、星重 力はバイクに巻き込まれる。

 

 

 

痛い痛い痛い痛いッッッ!!!

死ぬ!絶対死ぬ!!俺\(^o^)/オワタ!!!

薄れゆく意識の中、頭の中でそんなことを反芻しながらこの世を去った。

 

_______________________________________________

 

 

 

 

次に目が覚めると赤ん坊の姿になって生まれ変わっていた。

おぎゃあ!おぎゃあ!

 

・・・ミルクでも貰おうか。

 

母親にミルクを貰いながら辺りを見渡すと日本語でも外国語でもない文字がちらほらと見られた。

ただし自分はこの文字を生前に見覚えがあり、ある程度なら読むことが出来た。

この文字は『HUNTER×HUNTER』(以下、ハンターハンターと表記。)に登場する『ハンター文字』だった。

なるほどどうやら自分はハンターハンターの世界に転生したわけか。なるほど。

 

 

 

・・・なるほど?

いや、ちょっと待ってくださいよ。ハンターハンターですよ。モブに人権はないし、

ネームドキャラですら作者の気まぐれと展開で容易に天界に召される作品ですよ?

対抗するには圧倒的に強いパワーを身につけないといけないやつじゃないですかー!やだー!

こうなったら今のうちに念の修行をして生き残ってやる!!

 

さて、念を習得するためには瞑想や座禅によってオーラが出る穴『精孔(しょうこう)』をゆっくりと開けて

オーラを感じ取るところから始める必要がある。

他者にオーラを当ててもらい無理やりこじ開けたオーラを制御する方法もあるが、現時点では不可能なうえ、死亡することもある等、リスクが高すぎるため地道で安全な道を取ることにした。

 

さて、リラックスする姿勢を取ってー、

 

 

 

ゆっくりと心を落ち着けてー、

 

 

 

( ˘ω˘)スヤァ

 

 

・・・じゃなくて、瞑想だよ!瞑想!誰が寝ろといった!

気を取り直してもう一度・・・

 

 

1年後…(3歳)

 

 

よし、オーラを感じ取ることが出来るようになったぞ!

それに伴ってオーラを肉体に留める技術である『纏』が自然と身についた。

通常はオーラが垂れ流しの状態だが、纏をすることによって肉体はより強固になり、

老化を防ぐことが出来るようになる。

 

さて、この調子でどんどん残りの4大行である『絶』、『練』を身につけることにする。

『発』はおいおいということで

 

「コズモちゃん、ご飯の時間にしましょうねー」

 

「あーい! 」

 

おっと昼食の時間になったようだ。ちなみに今の自分の名は

コズモ=クリフォードという名前らしい。

生前の名前に星が入っていたからだろうか。

ちなみにちゃん付けされているが、男である。

ゾルディック家のアレと似たようなものだ。

 

ご飯を食べ終わった後はお絵描きや積み木遊びをすることにしている。

これによって頭や身体が著しく発達するからである。

 

念の修行も大切だが、念は肉体と精神に深く結びついている為、

基礎身体能力や精神を向上させることも怠ってはならないのだ。

 

 

そういえばオーラを身体の中に押しとどめる『絶』って気配を断つ他に疲労を回復させる効果があるからそれを上手く活用すればさらに成長効率が上がるのでは?

 

 

さらに1年後(4歳)

 

 

ここで衝撃の事実が発覚しました。

何と今自分が住んでいる地方は、通常の3倍の重力がかかっています。

 

Q 母さん、なんでこんなに身体が重いの?

 

A それはね、重力っていう下向きに働く力が大きいからよ。具体的には3倍。

 

通りでここの人たちは皆背が低くて力持ちなはずだよ。

父さんは165㎝ぐらいの小柄な体格だが、普通に80㎏近い荷物を担いでるし…

ここは天然のサ〇ヤ人専用トレーニング場かな?

しかも山に近づけば近づくほどこの重力がさらに大きくなり

最終的には推定300倍の重力がかかるのだとか。

ここってハンターハンターの世界ですよね?

 

しゅ、修行場としてはこれ以上この上ないから・・・っ(白目)

今日も一日頑張るぞい(白目)

 

 

 

10年後(14歳)

 

 

14歳。それは一歩大人に近づく年ごろであり、ニキビが著しく発生する年齢である。

まあ、念の修行の成果か、健康的な生活をしているからかニキビに関しては問題はナシ!なのだが。

 

基本的に肉体労働やトレーニングを行う時は纏と練を、食べるときや休む時は絶をひたすら行いながら

過ごしていた。

 

『絶』は身体にいくつもある精孔を閉じることでオーラを遮断し、気配遮断と疲労回復を行う技術。これによって超回復の効率を上げて身体能力を上げることが出来た。

 

『練』は体内でオーラを生み出して増幅させる技術。練を継続しておこなうことでオーラを高めることが出来る。ただしオーラの消費が激しく、5歳の頃は1~2秒で途切れて汗だくになったほどだ。

 

この2つを上手く組み合わせて効率よく修行を行い、今では『練』を2時間程度継続して行うことが出来るようになった。12歳の時点でちょっと修行をやり過ぎたかもしれないと思っていたが、変態ピエロや暗殺一家に幻影旅団、キメラアントに対抗するためにはまだまだ足りないと思いより一層修行に励むことにしていた。

 

 

 

ちなみに8歳の時についたあだ名が『修行バカ』である。知ってた。

だって力をつけないと満足に生きられないもの。どうせなら夢とロマンを求めて探検もしたいし。

 

 

 

念の修行もひと段落ついた為、『水見式』で系統別の修行と『発』の開発を行おうと思う。

 

『水見式』とはグラスに水を注いで上に葉っぱを乗せた後、『練』を行うことによって

系統と念の熟練度を調べる方法である。

 

強化系は水の量が増える。変化形は水の味が変わる。具現化系は水に不純物が出てくる。

 

放出系は水の色が変わる。操作系は葉っぱが動く。特質系は他5つ以外の変化が起こる。

 

なぜ系統を調べる必要があるのか?それは系統によって習得効率が変わるからである。

下手に『発』を作ろうとするとあまり大きな効果を生み出せず、容量を無駄遣いすることになる。

故にこうして前もって調べてから『発』を作ることが大切なのだ。

 

グラスの前で練を行うが、特に目立った変化は無い。試しに水を舐めてみる。

一舐めした瞬間、はちみー並みの甘味の暴力が襲い掛かってきた。

 

「あンまっ!!」

 

どうやら自分は変化系らしい。変化系はオーラの形状や性質を変化させる能力であり、オーラを刃にしたり電気やゴムに変えることができる。原作ではキルアとヒソカ等が変化系に該当する。主人公のゴンと同じ強化系だと思っていたがまさか変化系だとは思っていなかった。だがこうなった以上、与えられたもので頑張るしかない。

 

 

 

『オーラを変化させる』という言葉を聞いて最初に思いついたのは『重力』だった。

今までの環境から『重力』というものに一番慣れ親しんだせいか自分の中で不気味なほどにしっくりと来た。

 

『発』の修行の為に体重計をもって麓まで降りてきた。今の体重は60㎏なので当然体重計にも60㎏と表示される。発によって重力が増大するとその分だけ値が増大すると考えて体重計の上でひたすら練と発を行う。すると体重計の値が少しずつ大きくなっていった。

 

「おっ、体重計の値が大きくなっている! 65㎏…70㎏…80! 」

 

5㎏刻みで上昇していく値。このまま順調に進むと思われたが、120㎏辺りから伸びが悪くなり126㎏で止まってしまった。

 

「ハァ…ハァ…。126㎏かぁ、何とも中途半端な数字だなあ。目標の180㎏にはまだほど遠いかあ」

 

 

 

 

 

それから修行をして3か月経ったが、130㎏でどうしても頭打ちとなり若干のスランプに陥っていた。

 

「うーむ、ここからもっと伸ばすにはどうしたらいいんだろう。何かヒントは…そういえばキルアの場合は幼少期から強い電流を浴びていたおかげで飛躍的に発を発展させていったなあ。…強い電流? 」

 

コズモに電流が走る。そういえば山を登るにつれて重力が大きくなり最終的に300倍以上になるということをわかっていながらどうしてこれをしなかったのだろうか。

 

この山の先は立ち入り禁止区域に指定されている。

 

ただし魔獣等の危険生物が住んでいるわけではなく、あくまでも危険なところに入らないようにしているだけだからだろうか周辺は高圧電流の金網で包まれているだけであり、足にオーラを貯めてジャンプすれば容易に飛び越えられるレベルだった。それでいいのかハンターさんよ…

 

 

 

両親と弟のフラッグ(8歳の時に生まれた。『兄ちゃん、兄ちゃん』といいながらついてくるのが可愛い)が寝たことを確認し、絶を使ってこっそりと抜け出す。そのまま立ち入り禁止区域まで慎重に移動。

 

金網付近までたどり着き念の為に『凝』で観察する。

 

よし誰もいないし、監視の目もないようだ。

足にオーラを貯めて跳躍!!

 

ひゅ~~~~ん、ぽすっ。

 

やったぜ。ちなみに何で『ぽすっ』という音なのかというとオーラをクッション上に変化させて衝撃を吸収させたからである。重力の逆バージョンがしたいとゴロゴロしていた思いついた『発』である。

容量の無駄遣い?細かいことはいいんだよ!(よくない)

 

 

 

纏をしながら山登りをすること30分。100M進んだ地点でコズモは全身から滝のような汗をかきながら50倍の重力に耐えながら下山し始めていた。ここ来て今更ながら自身の軽薄さに後悔していた。

 

 

正直、自然舐めてました。心のどこかで慢心していたのだと思う。内臓と骨が股から零れ落ちそうな気分で正直泣きそうだ。10M進んだ地点で10倍くらいの重力が襲い掛かってきた。それでも何とかなると思っていたらこのざまか・・・トホホ。

 

 

 

翌日、麓まで降りて発の成果を見ることにしたコズモ。まだ筋肉痛と疲労が残っているがあの時の感覚を忘れないように我慢して実行することにした。

 

「頼むからちょっとでも成果が出てくると嬉しいなあ」

 

体重計の上に乗って『発』を行う。すると体重計の値が300㎏まで急上昇しはじめたではないか!

急激な成長と思わぬ成果に頬が緩みそうになる。

 

「よっしゃー!目標の180㎏を超えることが出来たぞー!

この調子で山を制覇するぞ(・・・・・・・・・・・・)!!!」

 

え?ハンター試験ですか?両親から『この山を制覇したら受けてもいい』という風に

言われているのでまだ受けられませんが何か?

 

ハイ、そうです。何でこんな馬鹿みたいに修行しているのかというと

両親から無理難題を押し付けられたからDEATH.

 

はぁ~~~~~~~~・・・何年後に受けられるんだろうか

 

 

 

 

4年後(18歳)

 

しっかりと地面を踏みしめながら一歩ずつ確実に進む。呼吸はゆっくりかつ一定のリズムを取るようにして全身に酸素がいきわたる様に丁寧に行う。オーラは常に『纏』を行う。300倍もの重力を自身のオーラと融合させるように負荷と苦痛を噛みしめて味わう。10年以上かかると思われたこの山もあと少しで制覇できる。推定残り5メートル。だが、ここではやる気持ちを抑える。一瞬でも気を抜くとあっという間に押しつぶされてしまうからだ。ゆっくりと・・・丁寧に・・・

 

山のてっぺんに立つ一本の木に身体を預けて息を整える。辺りはこの木以外に動植物は見られず、地面はひび割れていた。ふと、視線を上げてみる。手を伸ばせる距離に一つの赤く熟した果実が実っていた。

 

「―――リンゴだ」

 

余りにも異質な雰囲気を持つリンゴ。果実に手を伸ばすとまるで受け入れるかのように重力に従ってコズモの手に収まる。300倍の重力が働いているにもかかわらずなぜか余り重さは感じられなかった。虫食いの跡もなく(そもそも虫がいない)新鮮な状態であるため問題なく食べられそうだ。

 

「食べてみるか、いただきます」

 

リンゴを思いっきりかじってみる。噛みしめるごとに甘味が口いっぱいに広がる。その後にほんのりと酸味が広がり後味をすっきりとさせる。じっくりと味わってから飲み込むと身体から力がみなぎる様な感じがした。試しに練をしてみる。

 

 

ゴオッ!!

 

何か何時もの5倍くらいのオーラが出ているのですが(困惑)。あと、重力の負荷がほとんど感じられないぐらい強化されていて怖いんですが。オーラの色を見てみると無色のオーラとリンゴの様に赤いオーラが混ざっていて紅白饅頭の様だった。もしかしなくてもこのリンゴが原因ですねわかります。

 

 

食べ進めていくと芯の部分がぷるぷるとしており、ゼリーの様に固まっていた。ちょっとかじってみるととても強い甘みが口の中に広がっていく。芯まで食べられるなんて思ってもいなかった。ここで疑問が浮かぶ。どうしてこんな効果があるリンゴがあるのにプロハンター達はやってこないのだろうか。普通にハントする価値はあると思うが・・・。うーむ、わからん。

 

「ごちそうさまでした」

 

 

リンゴを芯までしっかりと食べきり食後の挨拶をおこなう。下山する前にに木に向かって一礼を行う。ここまで強くしてくれたことや大地の恵みを施してくれたことに対し、自分なりに少しでも恩を返したかった。深く礼をしてリンゴの木を見つめる。葉っぱは無く、直径5Mぐらいの幹が天高くまでそびえたっていた。網膜にしっかりと焼きつけてから下山した。

 

 

下山してから試しに『水見式』を行う。山を制覇してリンゴを食べてからどれぐらいの実力が身についたか凄くきになっていた。グラスに手を近づけて『練』を行う。

すると水の上の葉っぱが高速回転し始めた(・・・・・・・・・・・・・・・・)。葉っぱが動くのは『操作系』であり『変化系』とは対極に位置して相性が悪い。試しにグラスの水を舐めてみる。

 

「あれ?何というかリンゴの様な甘さがするな」

 

通常、水見式では一つの変化しか現れない。しかし今は『変化系』と『操作系』の変化が同時に起こっている。原因は十中八九あのリンゴだろうな。『練』をしてオーラを重力に変える。今は下向きに対して6倍の重力がかかっている状態だ。これを『操作』してみる。

 

「とりあえず上方向に重力を変えてみるか」

 

上に落ちるイメージをしながらオーラを操作する。すると少しずつではあるが徐々に上に上がっていく。

逸る気持ちを抑えながら5Mぐらいまで上昇して、上向きの重力を3倍まで落とす。するとスピードが緩やかになって6M地点で完全にストップした。自分で言うのも何だけど完全にすごいことをやっている自覚があった。

 

 

 

「父さん、母さん。フラッグもちょっといいかな。大事な話があるんだ。」

 

「兄ちゃん、大事な話ってー? 」

 

弟のフラッグが無邪気に話しかけてくる。これから泣かせてしまうのかと思うと胸が苦しい。

それでも自分がやりたいことは譲れないからきちんと話さないと・・・!

 

「コスモ・・・あなたやっぱり」

 

「そうだよ母さん。俺、ハンターになろうと思っているんだ」

 

「ッ!!」

 

「・・・そうか。何となくいつかこうなると思ってた」

 

「兄ちゃん、ここを出ていくの? 」

 

母さんは顔を逸らして涙をこらえている。父さんとフラッグは何となくわかっていたのだろうか、

まるでいつかこうなると思っているかのような反応だった。

 

「…ダメよ。あなたはまだ山を制覇してないでしょう」

 

「山なら今日制覇してきた。あそこには一本のリンゴの木があった。他には何もなかったさ」

 

「父さんは、あの山のことはわからない。だが、コズモが嘘を言っている様には思えない。

 

本当に山を制覇したんだな」

 

「兄ちゃん・・・」

 

フラッグはそういうと涙を潤わせながら俯いてしまった。ときおり何か話そうとするも上手く言葉にあらわせないのだろう。すぐに口を噤んでしまった。

 

「コズモ、母さんは反対よ。だってわざわざ危険に足を踏み入れる必要なんてないでしょう。

そんなところ足を踏みいれて欲しいものが手に入るか確証もないのに・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「母さんね。弟がいたの。あなたと同じハンター志望で試験にも合格したわ。でも、その後すぐに死んでしまったと連絡が入って。遺体は怪物に食われて、火葬することも出来なかった」

 

「・・・・・・・」

 

「その後は一日中泣いたわ。泣いて泣いて、母さん決めたの。もう二度と危ないことはさせないし、ハンターにはさせないって」

 

「何となく、わかってた。母さんが俺にあきらめさせる為にあんな条件にしたのか」

 

何であの山を制覇することが条件か。それは俺にハンター試験を受けさせない為でもあり、早く折れて普通の生活を送ってほしかったからだろう。父さんももしかしたらそうだったかもしれない。でも、結果として俺は山を制覇したからしょうがないと思っているのだろう。だって、俺のやりたいことや夢はそこでしか手に入らないから。変態ピエロや幻影旅団、キメラアント、暗黒大陸etc…危険はたくさんあるだろう。でもここには原作の主人公であるゴンやキルア、クラピカ、レオリオといった会ってみたい人物もいる。グリードアイランドに行って実際に呪文カードを唱えたり、カードをコレクションしてみたい。他にも、他にも…だから諦めきれないし、前に進みたいなあって思えてくるんだ。

 

それが俺の本当の気持ち。

 

「だからまあ、母さんには悪いけど。俺はハンターになりたい」

 

俺の想いを伝えると母さんは何も言わずに立ち上がり部屋に戻っていった。続いてフラッグも母さんと同じ寝室に逃げるようにして向かっていく。俺と父さんだけが部屋に残っていた。沈黙が漂う。

先に静寂を破ったのは父さんだった。

 

「コズモ、念能力について知っているか? 」

 

「ーーー何で、父さんが念について知ってるんだ」

 

「それはこっちが聞きたいが、まあいい。父さんも、元プロハンターだったからさ。表のハンター試験だけでなく念を習得するという裏ハンター試験にも合格している。5年の月日が経ったがね」

 

「じゃあ、俺の修行も」

 

「もちろん、ずっと見ていた。まるで心源流の師範代がいるのではないかと錯覚していたよ。

正直、止めるべきか迷っていたが、お前の真剣な表情を見て静かに見守ることにしたさ」

 

「・・・何というか、敵わないなあ父さんには」

 

こっそりと身につけていたつもりがその実、あっさりと見破られて見守ってくれていたなんて。

 

「コズモ、『練』を見せてみろ」

 

「…実力の方だよね。外でいいかな」

 

「ああ、任せるよ」

 

ハンター用語には『練を見せる』というものがある。これは念の練を見せるという意味ではなく今までの修行の成果を見せるという意味だ。

 

「見ててね父さん」

 

「ああ」

 

父さんと母さん、フラッグを安心させるためにもしっかりと実力を見せつけてやりたい!全力で『練』を行う!

 

「ッ!…ここまでのオーラは師範代レベルの達人でしか感じ取ったことはない。本当に頑張ったんだな」

 

「まだ練を見せてないよ父さん。…行くよ」

 

練で生み出したオーラを10倍の重力に変換する。地面が重さに耐えきれずひび割れ始める。だがこれで終わりじゃない。今度は重力を上向きに変換に跳躍する。10Mぐらいまで上昇したあと重力を緩めてブレーキをかける。空中で停止させて下を見下ろすと父さんが信じられないものを見るような目で俺を見つめていた。斜め下に切り替えて父さんの目の前に来るように落ちる。多分、頑張れば階段みたいに降りることが出来るだろうけど流石にまだできないので普通に落ちることにした。

 

 

「ここまでとは思っていなかった。強くなったなコズモ」

 

父さんがこれまでの修行に対して労いの言葉をかけてくれる。短いが、その言葉が嬉しくて涙が出そうになった。

 

「今のお前なら大丈夫だ。ハンター試験も問題なく合格出来るだろうさ」

 

「父さん、ありがとう」

 

父さんが右手を差し伸べる。俺もそれにこたえるように右手を差し出し固い握手を交わす。

 

「父さんや母さん、弟より先にくたばったら承知しねえからな」

 

「ああ、分かったよ父さん。約束だ」

 

 

 

翌朝リビングにいくと目元が赤く腫れた母さんがコーヒーを注いだマグカップを抱えて俯いていた。

気まずい空気が流れていたがしばらくすると母さんが話しかけてきた。

 

「コズモ、やっぱり行くのね」

 

「うん、悪いけどこれが俺のやりたいことだから」

 

「昨日の夜、父さんが私に『コズモは十分強くなったから信じてあげないか』って言ったの」

 

「…」

 

「私としてはやっぱりハンターになるのは反対よ。でも子どもの夢を取り上げることも間違っていると思うわ。だから、母さんは止めないけど、無茶だけはしないって、遅くなっても必ず家に帰ってくるって約束してほしいの」

 

「わかった。母さん、必ず生きて帰ってくるよ」

 

「絶対よ。もし帰ってこなかったら承知しないからね」

 

「ああ。フラッグは? 」

 

「昨日『母さんは僕が守るから大丈夫だよ』って夜遅くまで慰めてくれたの。今はぐっすりと休んでいるわ。そうそう、『兄ちゃん、立派なハンターになって頑張れ』だってさ」

 

弟の話をするうちに次第に母の顔から笑顔が零れ始める。それからしばらく今までのことについて話しを咲かせているとあっという間に出発の時間になった。

 

「母さん、そろそろ行ってくるよ」

 

「ええ、いってらっしゃいコズモ。頑張ってね」

 

「兄ちゃーん!! 」

 

扉を開けようとすると弟の声が聞こえてきたので振り返る。寝起きだからだろうか髪もぼさぼさで目やにがついていた。玄関まで駆け出して息を整えてからきりっと顔を上げて口を開けた。

 

「立派なハンター目指して頑張れー!!母さんは僕が守るから!」

 

右手でグッドサインを作り励ましの言葉を送ってくれる弟に思わず笑みが零れ落ちそうになる。

 

「ああ、必ずハンターになって見せるよ。家族のこと、任せたぞ」

 

「うん! 」

 

母さんと弟に見送られながら俺は家を出ていく。287期ハンター試験がいよいよ始まる。これからゴンやキルア達と出会えることを考えると、とてもワクワクしてきた。

 

 

港で船に乗り、揺れているとゴンが船酔いした受験生の介抱をしているところを見つけた。ごく自然をよそって話しかけてみることにする。

 

「偉いな、少年は。君は船酔いは大丈夫かい? 」

 

「うん、ありがとう。お兄さんも船酔いは大丈夫そうだね」

 

「ああ、鍛えているからな。俺はコズモ=クリフォード。君は? 」

 

「俺はゴン!ゴン=フリークス! 」

 

「ゴンか。よろしく頼む」

 

ゴンに右手を出して握手を求める。ゴンはすぐに右手を差し出して握手に応えてくれた。読者として、すごい充実感を覚えるが全力で心を鎮めて平常心を装う。

 

「うん!こちらこそよろしく! 」

 

ゴンとの出会いは果たしたが、ハンター試験はまだ始まってすらいなかった。船長に呼ばれるまで、ゴンたちと仲間になって試験に合格することを夢見て念の修行をすることにした。




簡単なオリ主設定

名前 コズモ=クリフォード(コスモと邪悪の樹クリフォトが由来)

年齢:試験時点で18歳。

性別:男性

系統:変化系(リンゴを食べてから操作系も追加となる)

習得率:変化系・操作系 100% 強化系・具現化系 80% 放出系 60%

発:『重力リンゴ』(グラビティ・コントロール)※括弧内は呼び方

・オーラを重力に変化し、増減や操作を行う。

・リンゴを食べる前は相手を殴ると同時に重力で沈ませたり重力を強化するぐらいしかできなかったが、リンゴを食べてからは幅広い応用性が身についた。オリ主の主戦力。名前の由来は性質とリンゴに対する感謝を示すために考えた結果。

『環境適応力』(ネイチャー・アダプテーション)

・無意識に作り出した変化系と強化系の『発』。効果は自然の影響力をオーラと融和させて環境に適応させる。本人は修行の賜物だと思い込んでおり、名前がついていない。その為、能力を発揮しきれていない。
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