遊☆戯☆王 NEXT   作:せなぁ

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エヴォルモンスター覚醒編
入学デュエル!?炸裂!エヴォル召喚!!


『この世界は、近い内に滅びを迎える...』

『俺が...止めて...や、る...』

『もう喋らないで、それ以上声を出すと、本当に死んでしまうわ...』

『俺が...止めなければ...ならないんだ...』

『えぇ、全ては貴方に託された』

『だから、遥か彼方で。

 自分の誤ちに気付いてきて...』

 

 

 光が差し、小鳥が囀り、目覚ましが鳴る。

 時は現代、時期は春、そして朝の八時だ。

 鳴り響く目覚ましの音で、少年が一人目を覚ました。

 

「はっ!」

「...ん?」

「げげっ!!」

 

 先程も言ったが今は春だ。

 春で、八時に目覚まし。

 そう彼は学生だ、そして今日は入学式だ。

 

「ち、ち、遅刻だー!」

 

 彼の名は創奇 海王、

 彼は今日からデュエルアカデミアに通う事となる新入生だ。

 泡を食って飛び起きる海王。

 寝巻きを脱ぎ捨て、慌てて着替える。

 シワだらけのぐちゃぐちゃな制服姿で、

 デッキケースを腰のベルトに引っかけて。

 彼はリビングへと飛び出した。

 

「なんで起こしてくれなかったんだよぉ!!」

 

 リビングには彼の父の花道 白妙が居る。

 

「遊英君が何度も起こしたよ。

 起きなかったの、海王君じゃない」

「遊英は?」

「もう学校に行ったよ」

「だー!時間がやべぇ!!」

「海王君、朝ごはん食べなよ」

「食ってる暇ねぇよ~!」

 

 勧められた朝食を断り。

 彼は家を飛び出し、全力ダッシュでアカデミアへ向かう。

 

 満開に咲き誇る美しい桜並木。

 海王は、遅刻に焦りながらも。

 新たな学生生活に胸を踊らせている。

 暫く走ると少し先に、見覚えのある背中を見つけた。

 

「遊英!」

「あ、海王君おはよう」

 

 花道 遊英、彼は海王の兄弟だ。

 

「ひ、酷いぜ遊英...置いてくなんてさ...!」

「いつまでも起きないからだよ」

「こっちはダッシュだぜ...」

「間に合いそうだから良いじゃない。

 流石、足が早いね」

 

 息も絶え絶えの海王にクスリと微笑む遊英。

 なんやかんやあったが、ダッシュの甲斐合って。

 海王は何とか遅刻は免れそうだ。

 

 二人はチャイムギリギリで教室に到着した。

 騒然とする教室の中、二人は自分の席を探す。

 

 遊英は席を探しつつ、

 クラスメイトとなるであろう人達の顔を見て行く。

 筋肉質で背が高く強面の男から、

 背が小さめで細身の少年。

 教室の端に佇む静かな男と。

 様々な特徴を持った面々が揃っている。

 

「あ、君の席、私の隣だよ」

 

 橙の髪をポニーテールとしている少女が、

 キョロキョロと教室を見回している遊英に話しかけて来た。

 どうやら、彼女の隣が遊英の席となるらしい。

 

「ありがとう、海王君の席は僕の前だから、ここだね」

「さんきゅ」

「私、雲堂 愛結って言うの」

「僕は花道 遊英」

「俺は創奇 海王、よろしくな」

「二人ともよろしくね」

 

 席に着きつつ雲堂 愛結と名乗るクラスメイトに挨拶をする二人だが。

 二人が座るや否や、勢いよく扉を叩き開け。

 教員が教室へと入ってきた。

 

「おーう!お前ら立てーい!

 入学式が始まるぞー!!」

「えぇ!?座ったばかりなのにかよ!」

「なんだもしかして遅刻ギリギリか?

 入学早々何をやっとるか。

 つべこべ言わずに早く立てい!!」

「へーい...」

「「あはははははは!」」

 

 入学早々先生に叱られている海王に、

 クラスメイト達は大笑い。

 恥ずかしくなりながらも海王は出席番号順に並び。

 皆と共に体育館へと向かった。

 

 長い長い校長先生の話。

 教員達の紹介。

 校歌の斉唱。

 とても平和で穏やかな入学式が。

 遊英達を歓迎してくれた。

 

 入学式は終わり。

 早くも放課後となった。

 

「っか~!

 校長の話、長かったなぁ」

「小学も中学も、同じなんだねぇ...」

 

 圧倒的に長かった立ち時間に草臥れる二人。

 デッキケースを一度机に置き。

 背伸びしつつも帰る準備をしていると。

 愛結が二人の間に入ってきた。

 

「ね!二人はこれからなにか予定ある?」

「へ?俺達は帰るだけ...だよな?」

「うん、特に用事はないよ」

「じゃあさ、三人で一緒にカードショップ行かない?」

「カードショップかぁ...いいなぁ!

 行こうぜ!」

「うん!折角だから一緒に行こう!」

 

 愛結と二人は早くも意気投合。

 三人でカードショップへ行く事となり。

 早々に準備を整え、ショップへと向かった。

 

 海王が、デッキを机の上に忘れている事に気づかずに...。

 

「なんだぁ、あいつデッキ忘れて行きやがったな...へっへ」

 

------

 

 カードショップへ到着した三人。

 古いカードから最新のカード。

 バラ売りにパック売り。

 ショップの中は選り取り緑のカードで一杯だ。

 

「どのパック買おうか!」

「バラ売りのも見てみようぜ!」

「海王君、丁度デッキの強化したいって言ってたよね」

「おうよ!俺様の最強機械軍団が...あれ?」

「どうしたの?」

 

 本来ベルトに着けるタイプの海王デッキケースだが。

 それが彼の腰にはついて無いのだ。

 

「無い...無い、無い!デッキが無い!」

 

 慌ててくねくねと身体中をまさぐる海王。

 嘆きの声と共に、ムンクの叫びが如く。

 顔を歪ませ崩れ落ちた。

 

「えぇー!海王君なにしてるのさ!」

「まさか、海王デッキ忘れちゃったの?!」

「朝にはあったんだ...!

 どこ行っちまったんだぁぁ!!」

「心当たりは!?」

「心当たり...」

 

 心当たりが無いか記憶を巡らせる海王だが、すぐに思い出した。

 一度デッキケースを机に置いたことを。

 

「あー!机の上だ!

 帰る準備をする時に置いた!」

「急がないと学校閉じちゃうよ!」

「急いで取りに行こう!」

 

 踵を返してカードショップを後にする三人。

 走りアカデミアへと向かうと。

 用務員によって校門が閉じられようとしていた。

 

「まってー!」

 

 慌てて用務員を止める愛結。

 

「な、なんだ君達!

 もう完全下校の時間だよ」

「デッキ忘れちまったんだ!

 頼むから入らせてくれ~!」

「な!?

 し...仕方がない...デッキを取ったら早く帰りなさいよ」

「ありがとうございます、用務員さん!」

 

 間一髪、後数秒遅ければ。

 理由を説明する用務員も居なく、

 教室は愚かアカデミアにすら入れなくなる所だ。

 何とかアカデミアへ入り、

 三人は無事教室に到着する。

 

「机机、デッキデッキ!」

 

 早々に机の上を見る海王だが。

 そこにデッキケースの姿は無い。

 不思議に思い、首を傾げつつ海王は机の中を覗く。

 だがそこにもデッキの姿は無い。

 

「ね、ねぇ...」

「え?」

「デッキがねぇーー!!」

「えぇー!」

「くそ!どいったんだよー!

 俺のデッキーー!!!」

 

 ガラリとした教室に叫び嘆く海王の声が鳴り響く。

 

「お探しものはこれかい?」

 

 海王が悲しみに打ちひしがれていると。

 教室の影から声が聞こえてきた。

 ポケットに手を入れゆっくりと歩いてくる一人の男。

 影の中から現れたのは。

 つい朝、目にした強面の男だった。

 

「机の上に置きっぱだったぜ」

 

 男がポケットから手を出すと。

 海王のデッキケースが彼の手に握られていた。

 

「おおおお!取っておいてくれたのかサンキュー!」

 

 落ち込んでいた顔に輝きを灯し、

 嬉しそうに彼の持つデッキケースに飛び付く海王。

 だが海王の手がデッキを掴もうとしたその瞬間。

 男はするりと海王を避け、海王の脚に足を引っかけ転ばせた。

 

「あいで!!」

 

 海王は勢いよく顔面を床に叩きつける。

 

「海王君!」

「いってぇな!

 何すんだよ!返せよ!」

 

 腹を立てて飛び付く海王だが、

 男は再びそれをするりと避ける。

 

「そいつは出来ねぇ相談だ」

「なんですって!」

 

 男はしたり顔で舌舐めずりをする。

 その姿に遊英は、一つ噂を思い出した。

 

「舌舐めずり...まさか君は!」

「遊英、知ってるの?」

「彼は、間牛 鉄也!」

 

 間牛 鉄也、彼は札付きの悪で知られる。

 アンティールールで数々の決闘者からレアカードを奪う凄腕の決闘者だ。

 

「間牛 鉄也!?

 アカデミア入学は聞いてたけど...。

 あいつ、私らのクラスだったの!?」

「ほぉ、間牛様の名を知っていたか。

 そうよ、俺様は間牛 鉄也。

 このカーネーションシティ最強の決闘者とは俺様の事よ!!」

「こんのやろう!ぶっ飛ばしてやる!」

「まって海王君!」

 

 間牛に殴りかかろうとする海王だが。

 遊英が慌ててそれを止めた。

 

「な、なんだよ遊英!止めるなよ!」

「間牛君は、腕っぷしも強いことで有名なんだ!

 大人三人を相手にして無傷で殴り勝ったって!」

「はぁ!?な、なんだそりゃ!」

「来るなら来いよ、病院送りにしてやるぜ?」

 

 冷や汗を垂らす海王の姿を見て笑いをこらえつつ、

 したり顔で見下す様に背を反らす間牛。

 なにも出来ずに歯を食い縛る三人に。

 一つ提案を持ちかけた。

 

「返してやっても良いぜ」

「ほ、本当か!」

「あぁ、アンティールールの決闘で。

 この俺様に勝てたらな」

「な、なんだそりゃ!

 俺のデッキはお前が持ってるんだろうが!」

「そうともよ。

 だがお前には、お友達二人が居るじゃねぇか。

 頼み込めよ、僕の代わりに決闘して下さいってな」

 

 直ぐ様自分のデッキの中身を確認する愛結。

 真っ先に助けてくれようとする彼女の姿を見て、

 海王はより一層歯を食い縛った。

 デッキをまとめて一歩踏み出す愛結だが。

 俯く遊英が、彼女を止めた。

 

「待って」

「何よ!こいつは私が!」

「僕がやる」

 

 俯く顔を上げる遊英。

 彼の顔は、怒りと闘志が溢れ出ると言わんばかりに。

 強く歪んでいた。

 

「海王君は僕の兄弟だ。

 それに、君に迷惑をかけるわけにはいかない」

 

 愛結は思わずたじろいだ。

 先程まで、あんなにも穏やかで優しそうな顔をしていた遊英から迸る闘志に。

 思わず気圧されてしまったのだ。

 

「いい目だ。

 さっきも言ったがルールはアンティールール。

 俺様が負けたらこいつのデッキを返してやる。

 だが、俺様が勝てば」

「僕のデッキを君にあげるよ」

「なっ!?遊英!」

 

 己のデッキを賭けることを即答する遊英。

 海王は、驚きも思わず声を上げた。

 

「なんだよ!

 いいってそこまでしなくても!」

「いいや、僕は必ず勝つ。

 だから海王君、止めないでくれ」

「ゆ、遊英」

 

 海王と目を合わせる遊英。

 歪んだ顔だが、海王を見つめるその目は真っ直ぐで。

 どこか安心感のあるものだった。

 

「......わかった...。

 頼んだぜ、遊英!」

「任せて!」

 

 海王のウィンクにウィンクで答える遊英。

 遊英がデュエルをする事が決定された。

 

「ここじゃあ狭くて敵わねぇ、グラウンドへ行こうや」

 

 間牛に促され、皆はグラウンドへと移動した。

 

「確認するよ。

 僕が負けたら僕のデッキを君に渡す。

 だけど」

「あぁ、俺様が負けたら海王とやらのデッキを返してやるよ」

「その言葉、忘れないでね」

「あぁ、勝つのは俺様だがな」

 

 グラウンドで向かい合う二人の決闘者。

 腕に着けているリングにスマートフォンをセットすると。

 スマートフォンは変形に変形を繰り返した。

 そう、彼等の持つスマートフォンは。

 デュエルディスクなのだ。

 

 忽ち形を変えるスマートフォン。

 五つのモンスターゾーン。

 五つの魔法、罠ゾーン。

 フィールド魔法ゾーン、墓地。

 デッキセットゾーン。

 

 物の数秒でスマートフォンは。

 近代的なデュエルディスクへと姿を変えた。

 

「デュエルディスク!セット完了!」

 

 腰のケースからデッキを手にする遊英と間牛。

 

「ソリッドビジョンシステム!起動!」

 

 二人は勢いよくディスクにデッキを差し込む。

 

「デュエルオポーネント!リンク完了!」

 

 ディスクにより自動シャッフルされる互いのデッキ。

 

 デュエルの準備が。

 完了した。

 

「「決闘!!」」

 

 二人の掛け声と共に。

 ソリッドビジョンにより。

 辺り一帯の風景にサイバネティックなエフェクトが広がった。

 

 互いにデッキからカードを五枚ドロー。

 デュエルの幕が、開けられた。

 

『花道 遊英』

 手札

五枚

 モンスターゾーン

無し

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

4000

『間牛 鉄也』

 手札

五枚

 モンスターゾーン

無し

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

4000

 

「先行は俺様が貰うぜ!ドロー!」

「俺様は、モンスター一体を、裏守備表示でセット!

 更に伏せカードを二枚セットし。

 これでターンエンドだ!」

 

 ソリッドビジョンによりカードの映像が立体的に出現した。

 これがソリッドビジョン。

 立体映像を持ってして、

 迫力抜群のデュエルを行う事を可能とした最新の技術だ。

 

『花道 遊英』

 手札

五枚

 モンスターゾーン

無し

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

4000

『間牛 鉄也』

 手札

三枚

 モンスターゾーン

セットモンスター

 魔法、罠ゾーン

セットカード×2

 ライフ

4000

 

「僕のターン、ドロー!」

「僕は、忍耐の花 バジルを召喚!」

 

 忍耐の花 バジル、レベル3、ATK/1450

「はぁぁぁ!」

 

 ソリッドビジョンにより現れ出でるモンスター。

 花の名に相応しく、咲き誇るが如く。

 忍耐の花 バジルのソリッドビジョンが現れた。

 

「攻撃力1450ねぇ」

 

 首を掻きながらポキポキと肩を鳴らす間牛。

 遊英の召喚したバジルを見て、遊英を馬鹿にした様な態度だ。

 

「忍耐の花 バジルでセットモンスターに攻撃!

 ウィンドフレイバー!」

「たぁぁ!」

「安直な攻撃だ、トラップ発動!検問!」

「なに!?」

「このトラップはな。

 相手モンスターが攻撃を仕掛けてきた時。

 相手の手札を全て確認して、その中にモンスターが存在すれば攻撃を無効にし。

 更に相手の手札からモンスター一枚を捨てさせるカードさぁ!

 さあ手の内を晒しな!!」

「くっ...」

 

 トラップカード「検問」の効果により遊英は手札を見せる。

 晒された遊英の手札の中に存在するカードは。

 速攻魔法、魔法の早咲き種

 永続罠、スピリットバリア

 レベル7モンスター、守護結界の魔剣士

 レベル4モンスター、忠実の花 アレキア

 レベル4モンスター、目覚めの花 ハナズオウ

 の五枚だ。

 

「ほほう、モンスターがたっぷりだ。 

 しかも、レベル7の強力モンスターがあるじゃねぇか。

 攻撃は無効!そして守護結界の魔剣士を捨てて貰うぜぇ!!」

「くっ...!」

 

 検問の効果は成功、バジルの攻撃は無効となり。

 更に遊英の手札から、レベル7モンスター。

 守護結界の魔剣士が捨てられてしまった。

 

「さぁ、どうする頼みの強力モンスターは墓地に消え去っちまったぜ」

「僕は...カードを二枚セットしてターンエンド!」

 

『花道 遊英』

 手札

二枚

 モンスターゾーン

忍耐の花 バジル レベル3 ATK/1450

 魔法、罠ゾーン

セットカード×2

 ライフ

4000

『間牛 鉄也』

 手札

三枚

 モンスターゾーン

セットモンスター

 魔法、罠ゾーン

セットカード

 ライフ

4000

 

「っは!

 見え見えの伏せカードだ!

 俺様のターンドロー!」

「俺様は激昂のミノタウルスを召喚!」

 

 激昂のミノタウルス レベル4 ATK/1700

「ブモォォ!」

 

「更に俺様は、モンスターを反転召喚!

 目を覚ましな!高ぶる魔牛!」

 

 高ぶる魔牛 レベル4 ATK/1600

「モォォォ!」

 

「高ぶる魔牛のリバース効果!

 このモンスターがリバースされた時。

 フィールドの高ぶる魔牛は攻撃力を400ポイントアップし、レベルも1アップする!」

 

 高ぶる魔牛 レベル5 ATK/2000

「ブモォォォォ!」

 

「攻撃力1700と2000だと!?

 ヤバイぜ遊英!」

「対する遊英のモンスターは一体。

 攻撃力も1450しか無いわ...」

 

 圧倒的劣勢に焦る二人だが、

 遊英は落ち着いた様子だ。

 何が彼に落ち着きを与えるのか。

 それはバジルと伏せカードの存在にあった。

 

 忍耐の花 バジルは、攻撃表示の場合戦闘では破壊されない効果を持つ。

 そして伏せカードのスピリットバリア。

 このカードは、フィールドにモンスターが存在する場合。

 戦闘により受けるダメージを0にするカード。

 

 そう、モンスターが存在する限り戦闘ダメージを0にするトラップと。 

 戦闘では破壊されないモンスター。

 この鉄壁のカードコンボが、彼に落ち着きを与えているのだ。

 

「スピリットバリアがあれば安心。

 そう思ってねぇか?」

「思ってるよ、戦闘破壊耐性を持つバジルとこのカードがあれば。

 僕は半永久的に耐え抜く事ができる」

 

 モンスターが戦闘を行った場合。

 攻撃力の数値の勝負となる。

 そして数値の少ないモンスターは破壊される。

 だが忍耐の花 バジルは攻撃表示の場合のみ戦闘では破壊されない。

 

「まぁいいさ、俺は高ぶる魔牛で。

 忍耐の花バジルを攻撃!

 魔撃突進!」

「ブモォォォォ!」

 

 バジルへ向けて突進攻撃を仕掛けてくる高ぶる魔牛。

 その角がバジルを襲うその瞬間。

 遊英はトラップカードを発動させた。

 

「永続トラップ、リバース!

 スピリットバリア!

 フィールドにモンスターが存在する限り。

 僕が受ける戦闘ダメージは0になる!」

「それはどうかな!」

「なっ...!?」

「俺様は手札から速攻魔法!サイクロンを発動!

 フィールドの魔法、罠を一枚破壊する!

 俺が破壊するのは。

 たった今発動させたスピリットバリアだ!!」

 

 遊英の持つ鉄壁のコンボが。

 物の一瞬で崩壊した。

 発動されたスピリットバリアが。 

 その瞬間、間牛の発動したサイクロンにより破壊されてしまったのだ。

 

「これで戦闘ダメージは受けて貰うぜ!

 高ぶる魔牛と、激昂のミノタウルスで攻撃だ!

 くらえぇぇい!」

 

 攻撃表示のモンスター同士で戦闘を行った場合。

 モンスターの攻撃力が負けているプレイヤーは、

 その数値の差分のダメージを戦闘ダメージとして受けてしまうのだ。

 バジルの攻撃力は1450、対する高ぶる魔牛は2000。

 その差は550。

 よって遊英は高ぶる魔牛との戦闘による550の戦闘ダメージ。

 そして激昂のミノタウルスによる250の戦闘ダメージを。

 合計で800の戦闘ダメージを受けてしまう事となった。

 

「うわぁぁぁ!」

 

 遊英ライフポイント、4000-800=3200。

 

「くっ...!」

「はーっははは!

 まだだ!

 この程度で倒れられちゃ困るぜ!

 俺様はこれでターンエンドだ!」

 

『花道 遊英』

 手札

二枚

 モンスターゾーン

忍耐の花 バジル レベル3 ATK/1450

 魔法、罠ゾーン

セットカード

 ライフ

3200

『間牛 鉄也』

 手札

二枚

 モンスターゾーン

激昂のミノタウルス レベル4 ATK/1700

高ぶる魔牛 レベル5 ATK/2000

 魔法、罠ゾーン

セットカード

 ライフ

4000

 

「僕のターン、ドロー!」

「僕は、目覚めの花 ハナズオウを召喚!」

 

 目覚めの花 ハナズオウ レベル4 ATK/1400

「たぁ!」

 

「目覚めの花 ハナズオウは召喚に成功した時。

 ターン終了時まで攻撃力が600ポイントアップする。

 更にその後。

 ターン終了時まで、レベルを5に変更する事ができる!」

 

 目覚めの花 ハナズオウ レベル5 ATK/2000

 

「よっしゃ!遊英のフィールドに攻撃力2000のモンスターが!」

「これで激昂のミノタウルスを破壊できるわ!」

 

「ハナズオウで、激昂のミノタウルスに攻撃!

 起き様のレクイエム!」

「デヤァァ!」

「簡単に通すかよ!トラップ発動!

 マタドール・パリィ!

 相手モンスターの攻撃時、

 自分のモンスター一体を選択し。

 相手モンスターの攻撃対象を選択したモンスターに移す!

 そして選択された自分モンスターは、このバトルでは破壊されない!」

「なんだって!?」

「一方的にぃぃぃ!

 粉砕しちまいなぁぁぁぁぁ!」

「ブルモォォォォ!」

「デヤァァァァ!グゥァァ!」

 

 同じ攻撃力のモンスターが戦闘を行った場合。

 互いのモンスターは破壊される。

 だが、トラップカード「マタドール・パリィ」の効果により。

 この戦闘では高ぶる魔牛は破壊されない。

 よって、目覚めの花 ハナズオウが一方的に破壊されてしまう。

 

 高ぶる魔牛の鋭い角に胸を貫かれ。

 目覚めの花 ハナズオウは、呆気もなく破壊されてしまった。

 

「やべぇぜ...!

 遊英のモンスターが、一方的に破壊されちまった!」

「遊英...!」

 

「僕は、これでターンエンド...!」

 

『花道 遊英』

 手札

二枚

 モンスターゾーン

忍耐の花 バジル レベル3 ATK/1450

 魔法、罠ゾーン

セットカード

 ライフ

3200

『間牛 鉄也』

 手札

二枚

 モンスターゾーン

激昂のミノタウルス レベル4 ATK/1700

高ぶる魔牛 レベル5 ATK/2000

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

4000

 

「俺様のターンドロー!」

「一方的だ楽しいねぇ愉快だねぇ!

 俺様はぁぁ!!!

 ......ぐふぁっ!!?!?」

 

 大口を開けて高笑いをする間牛だが。

 突然にして腹を殴られたかの様に。

 声を上げ、膝を地につけ踞った。

 

「な、なんだ!?」

「うぐ...!ぐぅ...な、なんだこれは...!!」

 

 間牛の身に何かが起きている。

 何が起きているのかわからないが。

 だが一つ明確に理解できる事があった。

 間牛の体から。

 禍々しいオーラが出ているのだ。

 

「なに...あれ...!?」

「なにかオーラを...!」

 

 遥か遠くの廊下の窓。

 プリントを片手に歩く学生の人影が。

 デュエルをする遊英達に気付き立ち止まる。

 

「あいつら...何をしている」

 

 遊英達は、そんな人影には気付きはしなかった。

 そして呻き悶える間牛だが、突然にして呻き声を止ませ。

 ゆっくりゆっくりと立ち上がった。

 まるで上から糸で引かれるかの様に。

 

「くっくくくくくくく...」

 

 様子がおかしい。

 つい直前で悶え呻いていた間牛が。

 今度は突然にして笑い始めたのだ。

 

「遊ぅぅ英ぃぃぃ...!」

「このデュエル、俺様の勝ちだ...。

 お前はもう、圧倒的なこの状況を覆す事はできない...」

「な、なんだって...?」

「なぜならなぁ遊英...俺様は...。

 新たに力を手に入れたからさぁぁ!

 圧倒的で強大な!

 力をなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「レベル4、レベル5!

 異なるレベルのモンスターが二体、俺様のフィールドに存在する。

 この意味がわかるかぁ...?

 フッフフフハハハハハ...!!」

 

 不気味な笑みを浮かべる間牛。

 遊英には意味がわからなかった。

 レベルの異なるモンスターがいるからなんなのだと。

 疑問に思うことしかできなかった。

 

「わからねぇ様だな。

 なら今すぐ教えてやるよ...!

 レベル4!レベル5!

 俺様は二体の異なるレベルのモンスターで!

 EXP(エクスポネンシャル)を取得!!」

「EXP!?」

「な、なんだって!?」

 

 共鳴する二体のモンスター。

 二重螺旋を描くように空へと飛び上がる。

 

「エヴォル召喚!!」

「エヴォル召喚!?」

「全ての牛戦士を統べる魔王。

 その巨大なる斧で、

 あらゆる命を斬殺せよ!」

 

 稲妻を迸らせ、光の大爆発を起こし。

 二体のモンスターが融合した。

 

「現れよ!初期レベル6!

 牛魔王!キング・バイソン!!」

 

 牛魔王 キング・バイソン レベル6 ATK/2600

「ブルモォォォォォォ!!」

 

「な、なんだあのモンスターは!

 エヴォル召喚!?

 聞いたことも、見たこともない!」

 

「当たり前だぁ!

 こいつは俺様の、俺様だけの特別な力!

 貴様を屠る必殺のモンスターなんだからなぁぁぁぁ!!」

「ブルモォォォォーーー!!」

 

 巨大な斧を持つ巨大な牛魔王。

 禍々しいオーラと共に遊英達の前に姿を表したそのモンスターは。

 名をエヴォルモンスター。

 かつて存在しなかった特殊召喚方法。

 かつて存在しなかった特殊召喚モンスター。

 謎のモンスターである牛魔王キング・バイソンは、

 圧倒的な存在感を放ち、遊英の前に立ちはだかった。

 

「恐れ戦くにはまだ早い...!

 見せてやる。

 エヴォルモンスターの真の力を!」

「くっ...!」

 

 足を踏み込み、身構える遊英。

 突き上げられた間牛の指は天を指し。

 間牛は高らかに宣言する。

 

「牛魔王 キング・バイソンの、

 レベルアップエフェクト発動!」

「レベルアップエフェクト!?」

「教えてやるよ!

 エヴォルモンスターはな!

 1ターンに一度、

 自身のレベルを1アップさせる事で。

 特別な効果を発動できるのさ!」

「なんだって!?」

「キング・バイソンの効果は。

 1ターン一度、自身のレベルを1アップする事で、

 攻撃力、守備力を200ポイントアップする。

 更に!このターン貴様はキング・バイソンを効果の対象にできない!!」

「殺戮の雄叫びを上げろ!

 マーダーハウリング!!」

「ブルァァァァァァァァ!!!」

 

 牛魔王 キング・バイソン

 レベル7 ATK/2800。

 

 耳を劈く様なキング・バイソンの雄叫び。

 遊英達の肌をビリビリと迸る衝撃波と共に。

 キング・バイソンの攻撃力、守備力が上昇した。

 

「レベルアップエフェクトだと...?」

 

 遠くの廊下の学生もまた。

 それを目の当たりにし密かに驚いていた。

 

「さぁ、奴のモンスターをプレイヤー諸ともたたっ切れ!

 キング・バイソンの攻撃!牛魔!絶鋭斬!」

「ブルァァァァァ!!」

 

 巨大な斧を振りかぶり。

 キング・バイソンはバジルを遊英もろとも切り裂いた。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

「遊英!」

 

 遊英ライフポイント、3200-1350=1850

 

「っは!

 真の恐怖はこれからよ!!

 ターンエンドだ!」

 

『花道 遊英』

 手札

二枚

 モンスターゾーン

忍耐の花 バジル レベル3 ATK/1450

 魔法、罠ゾーン

セットカード

 ライフ

1850

『間牛 鉄也』

 手札

二枚

 モンスターゾーン

牛魔王 キング・バイソン レベル7 ATK/2800

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

4000

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 今、遊英のライフは1850。

 対する間牛は未だに4000ポイント。

 そしてフィールドのモンスターは、

 下級モンスター一体の遊英と。

 強力なエヴォルモンスターの居る間牛。

 圧倒的な盤面。

 

「まずはダメージを与える!

 カクタス・ショットマンを召喚!」

 

 カクタス・ショットマン レベル4 ATK/1600

「はっ!」

 

「カードを一枚セットし、

 カクタス・ショットマンの効果!

 自分フィールドにセットされた

 魔法、罠カードを任意の数破壊する事で。

 相手ライフにその数×500ポイントのダメージを与える!」

 

 速攻魔法、魔法の早咲き種、と

 装備魔法、献花の祈勾玉、の。

 二枚のセットカードを破壊する遊英。

 カクタス・ショットマンは。

 ウエスタンハットのつばをピンと指で弾くと。

 マントを払いのけ、

 高速で腰のホルスターから銃を抜き。

 間牛へ向け、その銃から何十本もの針を発射した。

 

「ぐぅぅ!」

 

 間牛ライフポイント、4000-1000=3000

 

「よっしゃ!遊英が間牛からライフを削り取ったぜ!」

「ここからよ!」

 

 歓喜の声をあげる海王と愛結。

 間牛は突き刺さる針を抜き捨てると。

 海王達二人に指を指した。

 

「この程度でなに喜んでんだ?

 盤面を見てから言いな!この雑魚どもが!」

「な、なんだと...!?」

「言ってくれるわね、ムカつく~!」

 

 歯を食い縛る海王と。

 「いーだ!」と歯を見せる愛結。

 

「僕はこれでターンエンド」

 

『花道 遊英』

 手札

一枚

 モンスターゾーン

カクタス・ショットマン レベル4 ATK/1600

忍耐の花 バジル レベル3 ATK/1450

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

1850

『間牛 鉄也』

 手札

二枚

 モンスターゾーン

牛魔王 キング・バイソン レベル7 ATK/2800

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

3000

 

「俺様のターン、ドロー!」

「俺様は再び、キング・バイソンのレベルアップエフェクトを発動する!」

「なっ!また発動できんのかよ!」

 

 再び発動されるレベルアップエフェクトに息を飲む海王。

 冷や汗を垂らしつつも遊英は、

 海王にカード効果の解説を入れる。

 

「海王君、あの効果は1ターンに一度の物だよ。

 自分のターンが来る限り、恐らく最大レベルの12に到達するまで。

 攻撃力アップを繰り返す...!」

「そんな!」

「さ、最大攻撃力3800って、ま、マジかよ!」

「そう言うこったぁ!

 マーダーハウリング!!」

 

 牛魔王 キング・バイソン

 レベル8 ATK/3000

「ブルァァァァァァァァ!!」

 

「こ、攻撃力...3000って...!」

「くっ...!」

「さぁ!バジルを攻撃しろキング・バイソン!」

「そうはさせない!

 カクタス・ショットマンの効果!

 自分フィールドの他モンスターが攻撃対象にされた時!

 守備表示となる事で、その対象をカクタス・ショットマンに移す事ができる!」

「フンッ!」

 

 バジルの前へ行き両腕を前に構えるカクタス・ショットマン。

 表示形式は変更され、守備力が表示される。

 

 カクタス・ショットマン DEF/1200。

 

 守備表示と攻撃表示が戦闘を行う場合、

 数値の低い方が破壊されるのは変わらないが。

 モンスターを破壊されたプレイヤーは、

 戦闘ダメージを受けない。

 遊英はカクタス・ショットマンの効果により。

 このターン、無傷で凌ぐと言う戦術を取った。

 

「その選択は貴様のミスだ!

 キング・バイソンは守備表示モンスターを攻撃した時。

 攻撃力が守備力を越えた分のダメージを与える!」

「な、なんだって!?」

「ブルァァァァァァァァ!!」

 

 遊英ライフポイント、1850-1800=50

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

「遊英!」

 

 ダメージを受けない為の遊英の戦術は反って仇となり。

 遊英ライフポイントは残り、たったの50となってしまった。

 

「ライフポイント、たったの50って...」

「遊英...」

「ライフはたったの50、セットカードは無し!

 貴様の手札はさっき検問で確認した下級モンスター!

 如何なる上級モンスターを持ってしても3000の攻撃力は越えられない!

 逆転は不可能よ!俺様の勝ちだ!

 ターンエンド!

 ハーッハハハハハハ!」

 

『花道 遊英』

 手札

一枚

 モンスターゾーン

忍耐の花 バジル レベル3 ATK/1450

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

50

『間牛 鉄也』

 手札

三枚

 モンスターゾーン

牛魔王 キング・バイソン レベル8 ATK/3000

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

3000

 

「僕の...ターン!」

 

 間牛の言う通りライフは残り僅か。

 手札には下級モンスターが一体のみ。

 効果的な魔法、罠も手には無い。

 このドローに全てが。

 このデュエルの全てが賭けられる。

 

 その時、これからドローされるデッキの一番上のカードと。

 手札の忠実の花 アレキアが突然にして光り始めた。

 

「な、なんだ!?僕のカードが!」

 

 確信。

 この状況を覆す事ができる確信が。

 突然遊英の心の中に現れた。

 その思いを信じて。

 心からの叫びと共に遊英はラストドローをする。

 

「ドロォォーーーー!!」

 

 ドローされたカードは。

 魔法カード、クロック・アップ・エヴォリューション。

 元々遊英が持っていたカードではない。

 そして、誰が知るカードでもない。 

 たった今、遊英の手の中に現れたそのカードは。

 

「エヴォルモンスター...専用マジック...!?」

 

 それだけではない。

 フィールドに存在する限り。

 コントロールを奪えないだけの効果だった、

 忠実の花 アレキアのカードに。

 新たなカードテキストが書き記されていたのだ。

 

 光輝く点と点。

 幾つもの点が線で繋がり。

 一筋の道を、遊英に気付かせた。

 

「見えた!唯一の勝ち筋!

 このターンで決着を着ける!

 僕達の目指す、勝利の未来へ!」

「なに!?」

「僕は!忠実の花 アレキアを召喚!」

 

 忠実の花 アレキア レベル4 ATK/1500

「はっ!」

 

 遊英のフィールドに。

 レベル3、レベル4、異なるレベルのモンスターが二体揃った。

 

「僕は、忠実の花 アレキアと!

 忍耐の花 バジルで!

 EXP(エクスポネンシャル)を取得!」

「なに!?それは!!」

 

 二重螺旋を描き上空へと舞い上がる。

 忠実の花 アレキアと忍耐の花 バジル。

 

「遠き二つの魂は今一つとなる!

 遥かなる彼方の戦士よ!

 二輪の力を糧とし蕾を開き。

 今、栄光をその手に掴み取れ!」

 

 収束する光と共に迸る稲妻。

 

「エヴォル召喚!!」

 

 光の大爆発を起こしたその召喚は。

 エヴォル召喚。

 

「開花せよ!初期レベル5!

 栄光の花!ジンチョウゲ!!」

 

 現れる巨大な沈丁花の蕾。

 その蕾はゆっくりと花を開く。

 現れたのだ。

 開花する沈丁花の中より。

 花の侍、栄光の花 ジンチョウゲが。

 

「ハァッ!!」

 

 栄光の花 ジンチョウゲ

 レベル5 ATK/2200

 

「エヴォルモンスター...だと...!?

 馬鹿な!それは俺様だけの特別な力の筈!」

 

 驚き、思わず一歩引く間牛鉄也。

 だが仕切り直すかのように頭を振ると。

 遊英に指を指し叫んだ。

 

「だがそのモンスターの攻撃力は2200!

 対するキング・バイソンは3000!

 どうやっても越えられやしねぇ!」

「それはどうかな!」

「なにっ!?」

「ジンチョウゲのレベルアップエフェクト!発動!!

 栄光の花 ジンチョウゲは!

 1ターンに一度、自身のレベルを1アップする事で!

 相手モンスター一体の攻撃力を、

 ターン終了時まで半分にする!」

 

 栄光の花 ジンチョウゲ レベル6 ATK/2200

「......ッ!!」

 

「な、なにぃぃ!」

 

 キング・バイソンに鋭い眼光を向けるジンチョウゲ。

 その瞬間、キング・バイソンの足元から。

 幾つもの蔓が飛び出し、キング・バイソンに巻き付いた。

 

「ブルモ!?」

 

 牛魔王 キング・バイソン レベル8 ATK/1500

 

「そして、エヴォル素材となった忠実の花 アレキアの効果!

 このカードを素材とした植物族エヴォルモンスターが。

 レベルアップエフェクトを発動した時!

 そのエヴォルモンスターの攻撃力は、

 ターン終了時まで500ポイントアップする!」

 

 抜刀されるジンチョウゲの刀。

 その刀はアレキアの力を受け継ぎ。

 赤く燃え滾るオーラを纏っていた。

 

 栄光の花 ジンチョウゲ レベル6 ATK/2700

 

「この状況で、攻撃力2700だとぉ!?」

「更に僕は、マジックカード!

 クロック・アップ・エヴォリューションを発動!!」

 

 発動されるマジックは。

 新たにドローされたエヴォルモンスター専用マジック。

 

「このカードは、エヴォルモンスター専用マジックカード!

 選択されたエヴォルモンスターはこのターン、

 エヴォル素材としたモンスターの数だけ攻撃できる!

 ジンチョウゲのエヴォル素材は二体!

 よって二回の攻撃が、可能!!」

「なんだってぇぇぇ!!」

「これで終わりだ!

 栄光の花 ジンチョウゲで、

 キング・バイソンに。

 そして間牛君に!攻撃!

 桜花一閃!舞血桜!!」

「ハァァァァァ!!」

 

 繰り出される高速の斬撃は。

 間牛の目に止まることは無い。

 いつ切られたのかも分からず。

 ただゆっくりと納められ行く刀。

 その刀が鞘に収まり、

 鍔と鞘のぶつかる金属音が鳴った瞬間。

 

「ブルモォォアァァァァァァ!!」

「ぐうぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 キング・バイソンが破壊され。

 戦闘ダメージの1200。

 そして直接攻撃の2700ダメージを受け。

 間牛のライフは、0となった。

 

 間牛ライフポイント

 3000-3900=0

 

 花道 遊英 勝利

 

 遊英の勝利で、デュエルは終了した。

 

「海王君!」

「か、勝った...!」

「遊英が...遊英が勝ったぁーー!」

 

 遊英に駆け寄り勝利に歓喜する海王と愛結。

 二人で遊英の手を掴み万歳をする。

 

「ばんざーい!」

「ばんざーい!」

「ちょ、ちょっとやめてよも~!」

 

 そんな三人を尻目に、

 倒れていた間牛が起き上がった。

 気付いた遊英、二人に手を放して貰い。

 間牛に近づく。

 

「僕の勝ちだよ。

 約束通り、海王君のデッキを返して貰おうか」

「ふ、ふざけやがって...

 てめぇなぜエヴォルモンスターを...!」

 

 間牛はムクリと立ち上がると。

 即座に遊英の頬を殴り付けた。

 鈍い音が鳴り、遊英がグラウンドに倒れ込む。

 

「うっ...!」

「て、てめぇ!何しやがる!」

 

 いきなり殴りかかってきた間牛に、

 海王は驚き怒り、遊英と間牛の間に割って入った。

 

「約束がちげぇぞ!」

「そうよ!遊英が勝ったら。

 大人しくデッキを返してくれるんじゃ無かったの!?」

「気が変わった。

 それにお前エヴォルモンスターを手に入れたじゃねぇか。

 それが俺の賭けだ、よかったなぁ!

 強力なカードを手に入れれたぜ?

 ハーッハハハハハハ!」

「大丈夫...遊英...?」

 

 起き上がる遊英に手を貸す愛結。

 海王と共に、間牛の所業に怒っている。

 

「どういう道理よ!」

「て、てめぇ...ふざけんな!」

 

 ついに我慢の限界が来た海王。

 彼が間牛に殴りかかった瞬間。

 どこからともなく現れた生徒がそれを止めた。

 

「待て」

「な、なんだよお前」

 

 彼は先程まで密かに遊英のデュエルを見ていた生徒だ。

 

「事情は把握した。

 アンティールールでデュエルを行っていたのだな?」

「お、おう」

「アンティールールは予め賭けた物を敗者が勝者に受け渡すのがルール。

 見た所、貴様は創奇 海王のデッキを賭けてたのだろう?

 であれば、大人しくそれを渡す事だ」

「な、なんだぁテメェ、この俺様に指図しようってのか!あぁ!?」

 

 いきなりやって来た生徒の発言に腹を立てた間牛。

 勢いよく生徒の胸ぐらを掴んだ途端。

 急に怒りの表情を変えた。

 

「なるほど、貴様ごときがこの俺に逆らうか」

「い、いや、別にそう言う訳じゃ...」

「俺がその気になれば貴様なぞこのカーネーションシティから追放できる。

 それだけは覚えて置け」

「わ、わかった。

 デッキを返しゃいんだろ返しゃ、ほらよ」

 

 生徒の出現により縮こまる間牛。

 その生徒の助けにより。

 海王のデッキは、無事に海王へと返された。

 間牛の投げ飛ばしたデッキを海王はキャッチ。

 間牛は生徒から手を放し、

 グラウンドから逃げるように去っていった。

 

「よ、よかった~!」

「君、ありがとう」

「礼には及ばんさ」

「君、僕達のクラスに居た人だよね。

 名前は?」

 

 生徒の顔を覚えていた遊英。

 彼は今日の朝、遊英居た教室の隅に佇んでいた生徒だった。

 遊英に名を問われ、彼は答える。

 

「柳、俺は柳 佞紋だ」

 

 柳 佞紋(やなぎ でいもん)。

 それが彼の名だった。

 その名を聞き、愛結が目の色を変えて驚いた。

 

「柳 佞紋って、嘘。

 カーネーションシティ市長の息子!?」

 

 彼はこの町、カーネーションシティの市長。

 柳家の息子だったのだ。

 

「すっげぇ、超エリートじゃねぇかよ!」

「だから間牛君は、あんなに急に態度を変えていたんだね」

「物凄い権力者...!」

「権力なぞ関係無い、必要なのは実力だ。

 これからの学生生活、クラスメイトとして。

 よろしく頼む」

「よっしゃー!

 とんだ入学デュエルになっちまったが。

 デッキは帰ってきた!

 友達も出来た!!

 楽しい学生生活の始まりだーー!」

 

「「おーー!!」」




 ここまで読んでいただきありがとうございます。
 オリジナルの召喚方法、エヴォル召喚はいかがでしたか?
 今後とも読んでいただけたらなと思います。
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