遊☆戯☆王 NEXT   作:せなぁ

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『目覚めの花 ハナズオウ』     水
              ☆☆☆☆
【植物族/効果】
 召喚、特殊召喚されたターンに発動できる。
 このカードはエンドフェイズ時まで攻撃力が600ポイントアップし、レベル5モンスターとしても扱う事ができる。

_______________________________________
         ATK/1400 DEF/1200



呆気の無い勝利

「やべぇぇぇぇ遅刻だぁぁぁぁぁあ!!」

「急いで海王君!!早く!!早く!!」

「二人とも朝ごはん!」

「「時間無いよ~!!」」

 

 朝からバタバタ騒がしい遊英と海王。

 中学生生活初日から遅刻だ。

 

「二人とも信号には気をつけて!」

「わかってるー!」

「いってきまーす!」

 

 遅刻の理由は単純、海王の寝坊だ。

 今回は根気強く起こし続けた遊英。

 しかし海王がいつまでも起きなかった故に。

 二人揃って遅刻となってしまったのだ。

 

「あの様子なら、二人とも学校を気に入ったのかな。

 さて、僕も仕事仕事」

 

 全力ダッシュでアカテミアへ向かう二人を見送り。

 二人の父、白妙は、仕事に向かった。

 一方その頃、アカテミアでは既に朝のHRが開始されていた。

 

「おはようお前らー、出席を取るぞー」

「「はーい」」

「遊英と海王、初日から遅刻じゃない...」

 

 遊英達のクラスメイトの愛結。

 心配しつつも、初日から遅刻する二人に呆れていた。

 柳もまた同様に。

 

------

 

 ここは、カーネーションシティのとある路地裏。

 

「エヴォル召喚!!」

「な、なんだこのモンスター!?」

「これで終わりだ!消え去れ!!

 ナックル・シュート!!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

「フフフフハハハハハハハハ!!

 俺は...無敵だぁぁぁぁぁあ!!」 

 

-----

 

 一限目の授業の終わり頃。

 二人は漸く教室に到着していた。

 

「バカもーーーーーん!!!!!」

「ひえええええ!」

「ごめんなさぁぁぁぁぁい!」

 

 初日からの遅刻と言うことで、

 二人は先生から大目玉を食らう。

 

「体育じゃなければテストに支障がでる所だ!

 今後は二度と遅刻するな!!」

「はい...」

「すみません...」

「罰として課題を渡す!明日までやっとけ!!」

「「はーい...」」

 

 クラスメイトの前でこっぴどく怒られた二人は、

 気分を落としたまま授業に出る。

 数学、国語、普通の学校と変わらない午前の授業を終えて。

 昼休みとなった。

 

「疲れたー...!」

「ああも怒られた後だと...授業が億劫になるね...」

「もう、二人とも初日から遅刻なんかするからよ」

 

 草臥れた様に机に突っ伏する二人に、

 愛結はすっかり呆れた果てた様子だ。

 

「ほら、シャキッとする!

 午後からはデュエルの授業だから」

「ほんとかよ!よっしゃーやる気出てきたぁ!」

「あんたねぇ...」

 

 デュエルと聞いて急に元気になる海王。

 愛結は更に呆れ果てる。

 

「っと、デュエルと言えば遊英」

「なに、海王君?」

「お前昨日エヴォルモンスターだっけ?

 出してたよな、あのカード見せてくれよ」

 

 元気になったと思ったら今度は少し真剣な顔になった海王。

 そんな海王の質問に愛結も便乗する。

 

「あ、私にも見せて。

 新しいカードって気になるじゃん」

「いいよ、はい」

 

 愛結と海王の願いを快く承諾し。

 遊英は昨日手に入れたエヴォルモンスターを二人に見せる。

 

---

『栄光の花 ジンチョウゲ』     地

             ☆☆☆☆☆

【植物族/エヴォル/効果】

レベル3~4モンスター

①:1ターンに一度、このモンスターのレベルを1アップする事で発動できる。

 相手フィールドのモンスター一体の攻撃力をターン終了時まで半分にする。

_______________________________________

         ATK/2200 DEF/1200

---

 

 エヴォル召喚モンスター。

 未だ得体の知れないこのカードだが。

 デュエルモンスターズカードである事は確かだった。

 

「ここまでまっ黄色のモンスターカードなんて見たことねぇな」

「本当に不思議なカードね」

 

 興味津々でジンチョウゲのカードを見る二人に。

 遊英は更にデッキからカードを幾つか抜き取り見せた。

 

「それだけじゃないんだよ、ほら」

「な、なんだこりゃ!」

 

 遊英が見せたカードは。

 クロック・アップ・エヴォリューションと

 忠実の花 アレキアに、それだけじゃない。

 

「なにこれ、エヴォルモンスターサポートカードがこんなに!」

「あれからデッキを確認してみたんだけど。

 僕のデッキ、新しくエヴォルモンスター関係のカードが幾つも入ってたんだよ」

 

 遊英のデッキに追加されていた複数の新たなカード。

 エヴォル召喚の謎は深まるばかりだ。

 

「テキストが追加されているカードもこんなにあるんだ」

「不思議な事もあるのね」

 

 顎に手を当てる様に唸る遊英と愛結だが。

 海王は一人、そんな遊英を羨ましがった。

 

「いいなぁ、エヴォルモンスター。

 俺もそんなカード欲しいぜ!」

 

 海王のお気楽さにまたも呆れそうになる愛結だが。

 エヴォルモンスターが欲しいのは愛結も同じなので。

 微笑みながら頷いた。

 

「でも、お陰でデッキ枚数がこんなにあるよ...」

「じゃあさ、昼飯食って俺達三人で遊英のデッキの調整をしようぜ!」

「いいね、そうしましょ!」

「ほんと?じゃあお願いしようかな」

 

 海王の提案でデッキの調整をする事が決定。

 遊英達は急ぎ三人で昼食を食し。

 出現したカードにより、

 40枚を遥かに越えてしまった遊英のデッキの調整をした。

 

「こんなもんか?」

「ありがとう二人とも。

 お陰でデッキ枚数を40枚にできたよ」

「いいのいいの。

 私も、遊英のデッキが参考になったから」

「よし、遊英!

 デッキ内容が大丈夫かの確認も兼ねて。

 早速俺とデュエルしようぜ!」

「いいね、やろう!」

 

 デッキの調整の確認を兼ね。

 デュエルを始めようとする遊英と海王だが。

 そうしている内にチャイムの音が鳴る。

 もう早昼休みは終わりだ。

 

「あ!なんだよ、もう昼休み終わりかよ」

「僕とのデュエルは、また今度だね」

「二人とも、早く体育館に行きましょ」

「うん」

 

 デュエルの授業は基本的に体育館で行われる。

 体育館の中、出席番号順に並んで座る遊英達。

 入学してはじめてのデュエルの授業が開始された。

 

「さて、入学初日のデュエルの授業だ。

 今回の授業内容だが。

 まぁ最初の授業だ、楽しくやろうじゃないか」

 

 どんな授業になるのか楽しみで仕方のない海王。

 デュエルの準備は万端の海王だが。

 そんな彼の期待と希望は早くも打ち砕かれた。

 

「今日は遊英と柳、まずお前達二人にデュエルを行って貰う」

「えぇーーー!

 先生そりゃないぜ!

 俺もデュエルしてぇよー!」

「おだまらっしゃい遅刻坊や!!

 まずお前は観戦だ!」

「うぇぇ...」

 

 立ち上がり抗議を申し立てる海王だが。

 先生の圧力に容易く撃沈され、へたり込むように座り直した。

 先生に手招きをされ、前へと出る遊英と柳。

 そんな二人を紹介するように先生は内容を説明する。

 

「この二人は、入学試験で満点を出した奴等だ」

 

 入学を決める際に行われた入学試験。

 通常の筆記試験と、デュエルの筆記試験。

 そして教師とのデュエル。

 そこそこの難易度を持つ入学試験だが。

 遊英と柳は、たった二人。

 それを満点でクリアしていたのだ。

 

「まずお前達は学年ツートップの実力を目に焼き付けろ、いいなー」

「「はーい」」

 

「柳君、君も入学試験満点クリアだったんだね」

 

 満面の笑顔で柳に話しかける遊英。

 そんな遊英の言葉に、柳は微かに微笑み答える。

 

「あぁ、お前もだったか。

 お前の実力はまだ知らんが、

 まずは流石と言っておこう」

「ありがとう。

 でも、流石なのは君もだね」

「さあ、お前達、配置につけ」

 

 距離を取り、配置につく柳と遊英。

 振り返り向かい合いスマートフォンを腕のリングにセットする。

 変形に変形を繰り返すスマートフォン。

 五つのモンスターゾーン。

 五つの魔法、罠ゾーン。

 墓地、フィールド魔法ゾーン。

 デッキセットゾーン。

 たちまちスマートフォンはデュエルディスクへと姿を変える。

 

「デュエルディスクセット完了!」

 

 デッキを取り出す柳と遊英。

 

「ソリッドビジョンシステム起動!」

 

 勢い良くデッキをディスクに差し込む二人。

 

「デュエルオポーネント、リンク完了!」

 

 デュエルディスクによるデッキの自動シャッフルが行われた。

 二人は互いに五枚のカードをドローする。

 デュエルの準備は完了。

 

「「デュエル!!」」

 

 二人の掛け声と共に。

 ソリッドビジョンのエフェクトが体育館中に広がり。

 デュエルが開始された。

 

『花道 遊英』

 手札

五枚

 モンスターゾーン

無し

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

4000

『柳 佞紋』

 手札

五枚

 モンスターゾーン

無し

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

4000

 

「先行は君にあげるよ」

「...良いだろう、先行は俺が頂こう」

 

 柳に先行を譲ろうとする遊英。

 一瞬ピクリと眉をひそませた柳だが。

 遊英の言葉に甘え先行ターンを取る。

 

「俺のターンドロー!」

 

 自分の手札を確認する柳。

 再び眉をひそめると、彼は軽くため息をついた。

 

「...カードを一枚セットし。

 俺はターンエンドだ」

 

『花道 遊英』

 手札

五枚

 モンスターゾーン

無し

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

4000

『柳 佞紋』

 手札

五枚

 モンスターゾーン

無し

 魔法、罠ゾーン

セットカード

 ライフ

4000

 

「モンスターを召喚しないでターンエンドしたわ」

「あいつ、なに考えてんだ?」

 

 モンスターを召喚しない所かセットカードすらたったの一枚。

 柳の意図がわからぬ状況に思わず愛結と海王は首を傾げる。

 

「僕のターンドロー!」

「何を考えているのかよくわからないけど。

 隙なら隙で、突かせてもらうよ!

 僕は、目覚めの花 ハナズオウを召喚!」

 

 目覚めの花 ハナズオウ レベル4 ATK/1400

 

「ハナズオウは、召喚に成功した時。

 ターン終了時まで攻撃力を600ポイントアップさせ。

 その後、ターン終了時までレベルも5に変更できる!」

 

 目覚めの花 ハナズオウ レベル5 ATK/2000

 

「よっしゃー遊英!

 がら空きの柳に攻撃力2000を叩き込めー!」

「ハナズオウでダイレクトアタック!

 起き様のレクイエム!」

「デヤァァァァ!!」

 

 早くも攻撃力2000のモンスターで攻撃を仕掛ける遊英。

 柳のリバースカードを警戒するが。

 

「ぐぅっ!」

 

 柳ライフポイント、4000-2000=2000

 

「ふぇ?」

 

 直接攻撃は成功。

 遊英はたった2ターン目にして。

 柳のライフから半分を削り取れてしまった。

 

「くっ...だが、トラップ発動!

 白兵戦!

 俺がダメージを受けた時。

 相手ライフに700のダメージを与える!」

「白兵戦?

 700ダメージを与えるためにモンスターを出さなかったにしては。

 ちょっと代償が大きすぎねぇか?」

 

 さらに首を傾げる海王。

 柳の受けたダメージに対して。

 白兵戦で与えられるダメージはたった700。

 

「この瞬間、手札のダメージ・キャンセラーのモンスター効果を発動!

 発生する効果ダメージを無効にして。

 こいつを特殊召喚する!」

 

 ダメージ・キャンセラー レベル3 DEF/1300

 

「さらにダメージを無効!?」

「な、なんだよ、モンスター手札にあんじゃねぇか」

「柳君、なんで出さなかったのかしら?」

「さぁ...」

 

 2000のダメージを受けてしまっただけじゃなく。

 遊英に与えられる白兵戦の700ダメージを無効。

 さらに手札の下級モンスターをいま特殊召喚。

 一見メリットの考えられない戦術に。

 海王達を含めた生徒達は混乱するばかりだ。

 

「僕は、カードを一枚セットしてターンエンド!

 そしてこの瞬間、ハナズオウのステータスは元々の物へと戻る!」

 

 目覚めの花 ハナズオウ レベル4 ATK/1400

 

『花道 遊英』

 手札

四枚

 モンスターゾーン

目覚めの花 ハナズオウ レベル4 ATK/1400

 魔法、罠ゾーン

セットカード

 ライフ

4000

『柳 佞紋』

 手札

四枚

 モンスターゾーン

ダメージ・キャンセラー レベル3 DEF/1300

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

2000

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 ドローカードを確認する柳。

 カードを見る彼の表情から、

 どこかホッとした様子が伺える。

 

「俺は、ダメージ・キャンセラーをリリースする事で。

 アンダー・スイーパーをアドバンス召喚する!」

 

 アンダー・スイーパー レベル5 ATK/2100

「トァ!」

 

「なるほどアドバンス召喚か!」

 

 アドバンス召喚。

 それはフィールドの自分をモンスターをリリースする事で、

 レベル5以上のモンスターを通常召喚する召喚方法。

 

「やるね、柳君。

 ただモンスターをセットしては、

 僕にみすみす破壊されるだけ」

「だからダメージを覚悟で手札に残す事で、

 アドバンス召喚のリリースを残したのね!」

「すっげぇ上手いぜ柳!」

 

 ダメージ覚悟で行われた柳のアドバンス召喚戦術。

 クラスメイト達から感心の余りのうなり声が漏れる。

 

「俺は更に、装備魔法。

 闇・エネルギーをアンダー・スイーパーに装備!

 その攻撃力と守備力を300ポイントずつアップする!」

 

 アンダー・スイーパー レベル5 ATK/2400

「ウォォ!トァ!」

 

「すげぇ!攻撃力2400だぜ!」

「最上級モンスターレベルの攻撃力を繰り出したか。

 これならば2000のライフを代償としたのも頷ける。

 やるじゃないか柳!」

 

 柳の繰り出したカードコンボに先生も思わず感心を隠せない。

 先生の言う通り攻撃力2400は最上級モンスターに匹敵する超攻撃力。

 対する遊英のフィールドに存在するモンスターは攻撃力1400のハナズオウ。

 遊英有利の状況は一変、柳の逆転となった。

 

「行くぞ!アンダー・スイーパーでハナズオウに攻撃!

 奴のモンスターを破壊しろ!スナイプショット!」

「そうはさせない!

 トラップ発動!ブロック&ゲイン!

 相手モンスターの攻撃宣言時、

 その攻撃を無効にし、

 攻撃が無効となった相手モンスターのレベル×200ポイント。

 僕のモンスター一体の攻撃力を次の僕のエンドフェイズまでアップする!」

「なにっ!」

 

 ハナズオウとアンダー・スイーパーの攻撃は無効。

 そしてハナズオウの攻撃力が1000ポイントアップとなった。

 

 目覚めの花 ハナズオウ レベル4 ATK/2400

「ヌォォ!」

 

「攻撃力が並んだわ!」

「すげぇ!一気に互角の状況に巻き返したぜ!」

「くっ...俺はこれでターンエンド!」

 

『花道 遊英』

 手札

四枚

 モンスターゾーン

目覚めの花 ハナズオウ レベル4 ATK/2400

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

4000

『柳 佞紋』

 手札

三枚

 モンスターゾーン

アンダー・スイーパー レベル5 ATK/2400

 魔法、罠ゾーン

闇・エネルギー(アンダー・スイーパー、装備)

 ライフ

2000

 

「僕のターン、ドロー!」

「ブロック&ゲインのステータスアップ効果はこのエンドフェイズまで...。

 これ以上アンダー・スイーパーをフィールドに残しておく事はできない!」

「ならばどうする」

「僕は、守りの花 カランコエを召喚!」

 

 守りの花 カランコエ レベル4 ATK/1600

「フン!」

 

「ハナズオウでアンダー・スイーパーに攻撃!」

「相討ち狙いか...!」

 

 バトルを行う時、攻撃力が互角の場合双方のモンスターは破壊される。

 ハナズオウ、アンダースイーパー、破壊。

 

「これで柳のフィールドはがら空きだ!」

「カランコエでダイレクトアタック!」

「ぐあぁ!」

 

 柳ライフポイント、2000-1600=400

 

「やった!柳のライフはあとたったの400よ!」

「僕はカードを一枚セットして、 

 ターンエンド!」

 

『花道 遊英』

 手札

三枚

 モンスターゾーン

守りの花 カランコエ レベル4 ATK/1600

 魔法、罠ゾーン

セットカード

 ライフ

4000

『柳 佞紋』

 手札

三枚

 モンスターゾーン

無し

 魔法、罠ゾーン

無し

 ライフ

400

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 柳の手札は四枚、ここから巻き返される可能性は大きい。

 それを見越した遊英、伏せたカードは。

 幻想術-モノマネーション。

 それは自分モンスターが、その自分モンスターより攻撃力の高い相手モンスターと戦闘を行う時。

 自分モンスターと相手モンスターの攻撃力が同じになるよう自分モンスターの攻撃力をアップするカード。

 この効果の対象となった自分モンスターは、戦闘により破壊された時除外されてしまうが。

 強力な相手モンスターと相討ちになるのなら、傷は浅い。

 

「俺は...」

「カードを二枚セットして、ターンエンド」

「ふぇ?」

 

『花道 遊英』

 手札

三枚

 モンスターゾーン

守りの花 カランコエ レベル4 ATK/1600

 魔法、罠ゾーン

セットカード

 ライフ

4000

『柳 佞紋』

 手札

二枚

 モンスターゾーン

無し

 魔法、罠ゾーン

セットカード×2

 ライフ

400

 

「な、何もしないでターンエンドかよ!」

「なんだ、柳のやつ何を考えている?」

 

 ここで二度目のカードセットのみのエンド。

 つくづく読めない柳の戦術に、皆は首を改めて傾げるばかり。

 

 このターンどう行動するか悩む遊英。

 もしかすると、伏せカードには攻撃反応系のトラップがあるかもしれない。

 その場合、遊英のモンスターが全滅する可能性も考えられる。

 悩む遊英、迷う遊英。

 沈黙の後に取られた選択は。

 

「柳君に、ダイレクトアタック!!」

 

 直接攻撃。

 攻撃反応系のトラップで。

 モンスターを倒されようが弱体化されようが。

 その後に新たなモンスターを出せば被害は最小限で済む。

 

「くっ...ぐぁ...!!」

 

 柳ライフポイント、400-1600=0

 

「ほぇ?」

 

 花道 遊英、勝利。

 

 まさかの勝利、呆気の無い勝利。

 勝利と呼べるか甚だ疑問なまでの勝利。

 予想外の展開に遊英。

 思わず制服が崩れる。

 クラスメイト一度、崩れる。

 先生、ずっこける。

 

「な、なんだ、この呆気ない試合」

 

 動揺を隠せない。

 隠しようがない。

 

「ちょ、ちょっとどうしたの柳!」

「伏せカードが二枚もあったじゃねぇか!

 見せてみろよ!」

 

 あまりの出来事に柳に詰め寄る愛結と海王。

 二人は柳のセットカードと手札を見てみた。

 すると。

 セットカードのうち一枚は、トラップカード。

 血償の守護方陣。

 フィールドのモンスターが、モンスターに攻撃をする攻撃宣言時に。

 その攻撃を無効にし、自分は500ポイントのダメージを受けるカード。

 防御カードだが、柳のフィールドにモンスターが居ない以上使えない上に。

 使っても結局ライフは0になる。

 

 うち一枚は、ブラフのマジックカード。

 攻撃封じ。

 相手モンスターの表示形式を、守備表示に変更するカード。

 そして残りの手札はなんと。 

 二枚とも上級モンスターだったのだ。

 

「な、な、な、なんだこりゃあ!」

「清々しい手札事故...」

 

 呆然と立ち尽くす二人。

 柳はため息をついて語り出す。

 

「昔からこうだ。

 俺にはデュエルの才能がない」

「才能が無い?」

「ドローも、カードパックの開封も、

 何もかも悪い方向へと行ってしまう。

 お陰でレアカードなぞ数えられる位しか持っていない」

 

 まさかの柳、絶望的な不運男だったのだ。

 

「でも柳君、入学試験は満点だって!」

「あの時は、俺のデッキの中でも最強各のカードコンボが揃った。

 珍しく幸運だったんだ」

「えぇ~...」

「構築に問題があるんじゃあないのか?

 柳、デッキを見せてなさい。」

 

 疑問を隠せない先生も、

 柳にデッキを見せる様に言う。

 そして柳からデッキを受け取り中身を見てみた。

 

「...モンスターのバランスもいい。

 確かにレアカードこそ少ないが。

 カードコンボも文壇に組み込まれている...。

 お前、よくこの完成度の高いデッキで事故を起こせたな」

「先生、人の傷口に塩を塗るのは止めていただこう」

 

 再びため息をついた後に。

 柳は遊英の方を向く。

 

「お前にはデュエルの才能があるのだろう。

 努力も感じられる、実力もある。

 必要なカードを必要な時にドローしている」

「お前のセットカードは読めている。

 それは攻撃反応系トラップだ」

「なっ!?」

「そして、お前は俺のトラップを攻撃反応系と読んで、

 何か起こっても、被害を最小限で済ますべくカランコエのみで攻撃を仕掛けてきた。

 俺のライフはたったの400、ほぼ最適解と行っても良いだろう」

「嘘!?まじ!?」

 

 柳の発言に耳を疑う海王は。

 今度は遊英の持ち札を確認する。

 読みは全くの当たり。

 伏せられている攻撃反応トラップ。

 手札にはモンスターカード。

 

「本当だ...」

「柳、ここまで読めてたの...!?」

 

 恐るべき洞察力、判断力。

 愛結も先生も、感心すると共に。

 その圧倒的頭脳に戦慄した。

 

「仕切り直す...か?」

「いや、デッキの内容を見直す時間が欲しい。

 俺は、見学にさせて貰えないだろうか?」

 

 仕切り直しを提案する先生だが。 

 柳は断り、逆に授業の見学の許可を頼んだ。

 

「ま、まぁ、柳の頼みだ。

 仕方無いだろう」

 

 唸りつつも先生は見学を許可する。

 

「じゃあお前ら、順番にデュエルをして貰う。

 とりあえずちゃんとならべー」

「「はーい」」

 

「柳君...」

 

 授業は終わり、今は放課後。

 

「かー、おしかったぜー!

 あとちょっとで俺の勝ちだったのに!」

「ぼこぼこにされてただけじゃないのよ...」

「何いってんだ!

 あそこのターン耐えれされすれば。

 俺様の奇跡のドローで!」

「運頼みか!

 それに対して、遊英は調子最高だったね!」

 

 海王は一日中ぼこぼこにされて授業を終えた。

 対して調子は上々、全勝で授業を終えた遊英だが。

 楽しそうにしている海王に比べ、

 どこか難しい様子だった。

 

「遊英?」

「ん、なに?」

「お前柳とのデュエル以来ずっと静かだな」

「いや、ちょっと思う所があってね」

「思う所、か。

 そりゃああるよね、あんな手札事故で終わったんだもの」

「それもそうなんだけど。

 何か別の物を感じたって言うか...」

「うーん、手加減とかしてたんじゃねーの?

 だってあいつ、強いんだろ?」

「なのかなぁ」

 

 三人一緒に帰る帰路。

 ふと町のディスプレイに耳を傾けると、

 ニュースの音が聞こえてきた。

 

「今日、朝8時頃、デュエルの後、

 カードと金銭を奪い去られる事件が発生しました。

 カードを奪われた松田松茸氏は」

「謎のモンスターを使っていた。

 エヴォル召喚と言う知らない召喚を使ってきた。

 デュエルの後に気を失い、

 気付いたら貴重品とカードを奪われていた」

「と、証言しています。

 警察は、強盗の疑いがあるとして。

 犯人の行方を追っています」

 

 ディスプレイから聞こえて来たエヴォル召喚のワード。

 

「遊英、今のニュース聞いた?」

「うん、エヴォル召喚って、言ってたよね」

「遊英と間牛以外にも使うやつが居るんだな」

「でも、一般的なカードじゃないのは確かだ。

 強盗って言ってたし、僕達も気を付けなきゃね」

 

 あまり深くは考えずに。

 強盗には気を付けようと向き合い頷く三人。

 すると愛結、少し気恥ずかしそうに。

 かつ申し訳なさそうに二人に言った。

 

「えっと、気を付けようって言った矢先になんだけど」

「どうしたの、雲堂さん?」

「三人でショッピング行かない?

 この前は結局デッキの強化できなかったしさ。

 私、どうしても新しいカードが欲しくて」

「どうするよ遊英」

「そうだね」

 

 判断を委ねられ、愛結と目を合わせる遊英。

 手を合わせ首をコクリと傾げ愛結はねだる。

 

「いいよ、どうしてもなんでしょ」

「ありがとう遊英!」

「よっしゃ!だったら折角だし、

 どっかでかいところのショッピングモールに行こうぜ!

 俺のデッキも大幅強化で連戦連勝間違い無しだぜ!」

「あんたはデッキよりもプレイングの強化をしなさいよ」

 

 カードショップへ行くことが決定。

 今度は中心街の大きなショッピングモールのだ。

 電車に乗って三人は大通りへと向かい。

 そしてショッピングモールへと到着した。

 

「すげぇー!」

「さすが大通り、色んなお店が充実してるね」

 

 大通りのショッピングモールは伊達じゃない。

 店の種類が充実しているだけあり。

 訪れる人の量もその種類も尋常な数ではない。

 気を抜けば、人の多さで同行人を見失い、

 迷子になってしまいそうな程だ。

 

「よっしゃー!

 今日は遊び尽くすぞー!」

「「おー!」」

「おー!...ってあれ?

 僕達、カード買いに来ただけじゃ?」

 

 興奮して目的を見失った二人に連れられ。

 遊英は、三人でショッピングモールを満喫する。

 小物売り店で見つけたおかしな道具で笑ったり。

 ブティックで互いに着せ替えをして遊び。

 二人て海王にギラギラ光るダサいコーディネートをして遊んだり。

 ゲームセンターでクレーンゲームに搾り取られたり。

 遊んでいるうちにお腹が空いてきたので、

 折角なのでお寿司を食べたりした。

 

「遊んだぜ~」

「お寿司美味しかったね~」

「うん、満腹満腹!」

「じゃあ、そろそろ帰るか」

「そうね、十分遊んだし」

「今日は楽しかったねー」

 

 ショッピングモールを満喫し尽くした三人。

 すっかり満足し、帰宅することを決定。

 

「ってちがーーう!!」

「うわ!なんだよ遊英!」

「僕達カード買いに来たんでしょ!?」

「あ、そうだったね」

「どうしても来たいって言ってたの雲堂さんじゃない...」

 

 決定、はせず。

 遊英が本来の目的を思い出し叫んだ。

 言い出しっぺの目的忘れに涙の滝を流す遊英。

 

「あははー、ついうっかりうっかり」

「全く、二人とも行くよ!

 カードショップ!」

「はーい...ってあれ、海王は?」

 

 改めてカードショップへ向かおうとした遊英達だが。

 海王の姿が突然消えた。

 

「あれ、さっきまで一緒に。

 海王君?」

「海王ー!」

 

 二人は完全に海王を見失ってしまった。

 このだだっ広いショッピングモールの中で。

 

「遊英、どうしよう!」

「とにかく探そう!」

「どうやって!」

「手分けして探そう!

 僕はこっちを、雲堂さんはあっちをお願い!」

「じゃ、じゃあ、30分後お寿司屋さんで合流しましょう!」

「わかった!」

 

 互いに別方向を手分けして探すことにした愛結と遊英。

 当の海王はと言うと。

 人の波に流されてモールの外へと出てしまっていた。

 

「うわっぷ!

 ちょっと、お、押さないで!」

 

 無理やり身をよじって何とか波から脱出。

 

「ぷはっ!」

 

 しかし前述した通り、海王のいる場所はすっかりモールの外。

 海王は完全に、遊英達とはぐれてしまった。

 

「しょうがねぇ、早く戻らないとだな。

 って、ちょっと!うおぁ!」

 

 遊英達と合流しようとモールの中へ向かう海王だが。

 再び人の波に流されそうになってしまい。

 慌てて路地裏に避難した。

 

「危なかった...あとちょっとでまた流される所だったぜ...」

 

 やれやれと汗を拭く海王。

 いつモールに入るかタイミングを見計らおうとすると。

 路地裏の奥から悲鳴が聞こえてきた。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「な、なんだ!?」

 

 突然聞こえてきた悲鳴に驚く海王。

 野次馬精神で悲鳴の聞こえた方向へ走ると。

 その先で見つけた物は、

 デュエルの後の様子の二人の男だった。

 

「デュエル...?」

 

 だが様子がおかしい。 

 敗北したであろうデュエリストが、

 白目を向いて泡を吹いているのだ。

 一向に起き上がる気配が無い。

 まるで、気絶しているかのような。

 

 危険そうな気配を感じた海王。

 警察を呼ぼうと、その場を離れようとすると。

 地面に転がる空き缶を蹴ってしまった。

 静かな路地裏に響き渡る空き缶の音。

 

「やべっ!」

「待て」

 

 海王は、男に気付かれてしまった。




『ダメージ・キャンセラー』    闇
               ☆☆☆
【機械族/効果】
 ダメージを与える効果が発動した時、そのダメージを無効にし、手札のこのモンスターを特殊召喚できる。

_______________________________________
         ATK/1200 DEF/1300
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