愛です、愛ですよ。タキオン。

アグネスタキオンさんとそのトレーナーのボンドルドみたいな人のお話です。
一応ボンドルドを知らなくても読める作品となっております。


※メイドインアビス要素はほぼ無いです。
※ボンドルド本人ではありません。っぽい人です。

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超光速の粒子と黎明卿っぽい人

「おい、しっかりしたまえよトレーナー君……

 君がいなくなったら、私は、どうやって、生きていけば良いのだ……」

 

 

 私は病室にいた。

 

 

「……ごめんなさい……タキオン……君には迷惑をかけてしまいますね……」

 

 

 私の目の前にはベッドで横たわる一人の男性がいた。

 

 

「君はとんだ大馬鹿者だ。

 どうしてこうなるまで黙っていた。

 君も私と過ごしてきて少なくない。

 早期治療すれば完治はせずとも、重症化しなかった技術がこの世にあることぐらい分かっていただろう……?

 それなのに、君はどうして……」

 

 

 男性は無数のチューブに繋がれており、機械に生かされていた。

 

 

「それはですね……。

 タキオン……貴女の()()()があったからですよ」

 

 

「……っ!」

 

 

 その変わり果てた姿をした男性が私のトレーナーだ。

 

 

「貴女はデビュー前から自身の身体の弱さを悩んでいた。

 しかし、私達はそれを乗り越えました。

 貴女がどんなことにも縛られず走っていることが私にはとても嬉しかった。

 だから、貴女が楽しみにしていたレースで走るのを私のせいで辞めて欲しく無かった」

 

 

 確かに生きていることを伝えてくる周期的なアラーム音が部屋の中に鳴り響く。

 

 

「私のことよりも君は自分のことを大事にしたまえよ……。

 レースなら何度だってある。

 でも、君の命はたった1つしか無いじゃないか……!」

 

 

「そうですね……ゴホッゴホッ……!!」

 

 

 呼吸を乱して苦しそうにするトレーナー君の肩を掴み激を送る。

 

 

「大丈夫かい!トレーナー君!?」

 

 

 さっきまで少し高い音で鳴っていたアラーム音は更に高い音を鳴り響かせ、装着者の危機を伝える警告音と化していた。

 

 

「……タキオン、私は、そう永くないのでしょう。

 なので、1つお願いをしても良いですか」

 

 

「……何だい、トレーナー君」

 

 

 私のトレーナー君はお願いなんて今まで一度もしてこなかった。

 こんなときにしなくても良いのに。

 

 

「私と前に行った研究の1つに、()()()がありましたね。

 あれを私を被検体に行って下さい」

 

 トレーナー君からのお願いは想定していたが、そうであって欲しくなかった。

 

 

「トレーナー君、それは出来ないお願いだ。

 君が幾ら何でも死にかけだからと言ってあれを行うのは倫理的にも、そして──技術的にも不可能だ。

 99%失敗して君の脳は焼ききれただけでデータの構築に失敗して死んでしまう。

 頼むから私の手でトレーナー君を殺させないでくれ……」

 

 

 あの研究は大型のVR機器がトレセン学園に来たときに、私達でもしかしたら可能なのではないかと理論を組んだものだ。

 ()()()は可能だ。

 だが所詮は机上の空論であると結論づけた。

 まだ脳には分からないことが多すぎる。

 

 

「タキオン……お願いします。

 私からの最期のお願いです」

 

 

 そんな目で私を見ないでくれ。

 決定権は私が握っている。

 あれを実行可能と謳ったシステムを理解しているのは、まだこの世界には私とここで倒れているトレーナー君しかいない。

 私に選べと言うのか……?

 君を見殺しにするのか、それとも一か八かで生き残る望みを賭けて私自身で君のことを殺すのか。

 

 

 どうすれば良い?

 私の手で君を救えるのか?

 時間的猶予はもう残っていない。

 一か八かに賭けるとしても今から用意し始めなくては間に合わないからだ。

 どうする?

 選べ、選べ。

 選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ 選べ選べ選べ選べ選べ 選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ 選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ選べ 選べ選べ選べ選べ

 

 

 

 

 選べ!!!

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?」

 

 

 飛び起きて周りを見るがどうやらトレーナー室のソファーの上のようだ。

 心電図の音もしない。

 

 

「何だ……夢か」

 

 

 全く、あの時の夢をこの頃は見ないと思っていたが、久々に見たな。

 

 

「どうしたのですか、タキオン。

 随分と魘されていましたね」

 

 

 声の主の方を見るともう見慣れてしまったフルヘルメットをした私の()()()()()()がいた。

 ほら、コーヒーです。と、私仕様のミルクと砂糖を沢山入れたコーヒーを差し出してきたので、ありがとうと言い、受け取る。

 

 

「久しぶりに君が死にかけていた頃の夢を見てね……。

 何度見ても慣れそうにはないよ」

 

 

 コーヒーを飲みながらそう答える。

 

 

「おや、あの時の夢でしたか。

 あの時の貴女の英断は間違いではありませんでした。

 私は、貴女へ感謝の言葉を贈りたい。

 貴女の執念で今の私があります。

 貴女と私の研究の全て、文字通りその全てが今の私に詰まっているのですから。

 そのことを貴女は誇るべきです」

 

 

 心の底からの感謝の言葉に少しムズムズする。

 私は当時のことを思い出していた。

 

 

 あの時の私は全てを失う覚悟で僅かな望みに賭けて動き出した。

 トレセン学園の一室を占領して今までトレーナー君と勝ち取ってきたレースの賞金と、今までの研究で作り出した技術たちの巨額の特許使用料でスーパーコンピュータを組み立てた。

 今後行う全ての演算のための計算機としての役割や電脳化した後のトレーナー君を稼働させるためのサーバーとしての役割を持っていた。

 学園からの許可は何一つ取らず病院の一室に棺桶のようなVRを運び、そのVRの中に生命維持装置で生かされているトレーナー君を入れ、フルダイブさせて脳を全部スキャンさせてVRからの情報を全てスパコンに送った。

 仮想世界内で脳構造の再構築が完了し、活動出来ることが出来ているのを確認したときはひとまず成功したことに安堵した。

 しかし、仮想世界だけで生きるのは私は許せなかった。

 すぐさま回収しておいたトレーナー君の遺伝子から細胞を培養し、仮の肉体(クローン)を作り、VRとは逆に機械から脊髄へ電気信号を送るためのヘルメットを開発した。

 倫理的な問題が沢山あるが、私は見て見ぬ振りをして、もう一度でいいから現実で言葉を交わしたかった。

 

 そして完成したヘルメットをクローンに被せ、背負わせるように設計したバッテリーから電源を供給し、サーバーとの同期を開始して、クローンの身体が動き始めた。

 

 

「……あ、…………あ、

 あ、あ、ありがと、う、ございます。

 ()()()()

 

 

 まだ、声帯を動かすのに慣れていないのだろう。

 しかし掠れた声だが分かる。

 懐かしいこの声。

 あぁ、この声が聞きたかったのだ。

 

 

「タキオン、貴女の『愛』がある限り私は不滅です」

 

 

 

 

 

 

 ──────────

 ──────

 ────

 

 

 

 

 

 

 

 周りのウマ娘やトレーナー曰く、私のトレーナー君は少し変わっているらしい。

 

 

 1つ、春夏秋冬変わらない黒装束と謎の被り物をしている。

 

 

「あんた、トレーナーか?

 その服装ちょーカッケーな!」

 

 

ちょっとウオッカ!

あんたいきなり話しかけても失礼でしょ!

 すみません、迷惑おかけしました」

 

 

「いえ、全然そのようには思ってはいません。

 しかしどうでしょう、この服装。

 格好良いでしょう?

 これは全てタキオンが作ってくれましてね。

 私も大変気に入っております」

 

 

「え、タキオンさんが作ってくれたんですか!?

 良いな〜私も欲しいなぁ〜」

 

 

「おい、スカーレット!

 抜け駆けはずるいぞ!」

 

 

「おや、申し訳ないですがこれらは私専用の特注品でしてね。

 欲しいのであればタキオンにお願いすると良いでしょう。

 あの子の機嫌が良いと作ってくれるはずです」

 

 

「しっかし、暑くねぇーのか?

 夏も近ぇのによくそんな格好が出来るな」

 

 

「この服には空調服としての役割もございましてね。

 一年中同じ温度になるように調整されております」

 

 

「へぇ~っ!すっげー!」

「流石タキオンさんの作ったものね!」

 

 

 

 

 ♢♢♢

 

 

 

 

 1つ、人間のはずなのにウマ娘と同じぐらいの速度で走る。

 

 

「おい!そこのお前!ターボと勝負しろ!」

 

 

「いやいや、ターボ。

 その人はトレーナーさんだから、流石にそれは……」

 

 

「分かりました。

 しかし準備もございますので、もう少し後で良いですか?

 私は準備に20分程かかるので、30分後にここで戦いましょう」

 

 

「よし!

 それじゃあターボも準備してくるからな!

 絶対に来るんだぞ!」

 

 

「はい、約束ですよ」

 

 

「えっ……、えぇ……!?」

 

 

「どうしたのネイチャ?」

 

 

「ねぇ、マチタン。

 今からターボがあのトレーナーさんと勝負するらしいんだけどさ。

 いくらターボが相手だとして、トレーナーとウマ娘が勝負しようって変な話だよね……」

 

 

「あ、あの人のことか。

 え〜っと、確かタキオンのトレーナーさん。

 あの人凄いよね〜。

 なんかよく分かんないけどホントにウマ娘と同じぐらい速いらしいよ〜。

 前にも他のウマ娘と勝負してて結構いい勝負してたし〜」

 

 

「えぇーっ!!ちょっと、タンマ。

 今、私の中の常識が音をたてて崩れてるから」

 

 

 …………30分後。

 

 

「くそーっ!負けたー!!

 次は絶対、絶対、ターボが勝ってやるー!」

 

 

「えぇ、私も良い実験となりました。

 また何時でも勝負しましょう、ツインターボ」

 

 

「「本当に勝っちゃった(よ)……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この肉体の足の構造では耐久性は少し低めになってしまいましたか。

次の身体では骨を弄ってみるとしましょう」

 

 

 

 

 ♢♢♢

 

 

 

 

 1つ、たまに光る。

 

 

「タキオンのトレーナーさん。

 今日はどんな薬を飲んだのですか……?」

 

 

「おや、カフェ。

 今日は『視力を向上させる薬』を飲んだのですがね、どうやら効果は薄く副反応として光り始めましてね」

 

 

「……そうですか。

 別に無理して飲まなくても良いのでは?」

 

 

「いえ、私も大変楽しませておりますよ。

 心配させて申し訳ありません」

 

 

「それなら良いのですが……」

(マスクのスキマから光が溢れていることを気にして無いのだろうか、このトレーナーさんは……)

 

 

「おや、今日のこの光り具合なら、暗闇で読書するのに向いていそうですね」

 

 

(楽しそうだからまぁいいや……)

 

 

 ♢♢♢

 

 1つ、ゴールドシップと仲が良い。

 

「おーい、ボ卿〜!」

 

 

「おやおや、これはゴールドシップさん。

 どうなされましたか?」

 

 

「今からマグロ釣りに行くんだけど一緒に来ねぇか?」

 

 

「おや、それなら私の出番がありそうですね」

 

 

「そうなんだよ!

 あんたの腕力を無駄に強くしたボディーと普段全く使わないその手についた電気ショック機能を活かすときが来たってことよ!」

 

 

「少し待っていて下さい。

 私はタキオンに弁当を渡して、晩ごはんはマグロの刺し身と伝えてきます」

 

 

「おう、待ってるぜ。

 あんたとアタシの力で一匹でも二匹でもいっぱい取ってやろうぜ!

 あ〜、今夜はマグロをおかずにマグロを食ってみるか!」

 

 ♢♢♢

 

 1つ、たまに光る。

 

「ボ卿!今日の夜、暇か?」

 

 

「これはこれはゴールドシップさん。

 今日はどのようなご要件で」

 

 

「テレビで光に魚が集まってくるって言うのを見てな、あんたでも効果があるのか試してみたくなったんだよ」

 

 

「おやおやおやおや、そのような発想は私には御座いませんでした。

 それでは集まってきた時のために一本釣りの準備でもしてきます」

 

 

「おめーさんやっぱおもしれーな!

 よっしゃ!あたしも準備してっから、一時間後正門で集合な!」

 

 

 

 ────────────

 ────────

 ──────

 

 

 男は暗闇で何やら活動していた。

 すると後ろからピッと部屋の鍵がアンロックされる音がしたあと、光が差し込んでくる。

 光りの差し込んできた空間の先には一人のウマ娘がいた。

 

 

「おや、モルモット君。

 今度は何を弄っているのかね」

 

 

 ウマ娘が部屋に入ると自動で扉が閉まり、照明をつけるとそこには異様な光景が広がっていた。

 

 

「タキオン、ちょうど良いところに来ました。

 見てください。

 私の新しいバージョンの肉体です。

 前回、前々回に引き続き、ウマ娘を真似た筋肉を搭載し、それに加え骨密度や骨格にもこだわってみました。

 循環器系の走ることへの最適化もだいぶ完成してきましたね。

 他に大きく変わったところといえば味覚です。

 人間寄りからウマ娘寄りにしてみることで、人参を食べたときに得られる幸福度が変化するのか調べたくなりましてね。

 これでまた美味しいご飯を貴女に提供することが出来ます」

 

 

 その男の前にある手術台のような台の上には、男と殆ど同じサイズの人間のような物が置いてあった。

 先程までは分からなかったがその部屋には沢山のカプセルがあり、その中には台の上にあるものと同じような物が入っていた。

 

 

「君が私と走りで勝負して私が負けてしまう日はそう遠くは無いのかもしれないな」

 

 

 失笑気味にそのウマ娘は答える。

 

 

「えぇ、貴女にウマ娘の速度を教えられたあの日から私は貴女と走ること、そして今は勝つことが憧れですから。

 見た目は人間ですが、もはや人間と同じ分類することは出来ないような身体になってしまいましたね」

 

 

 男はそう言うと背負っていたバッテリーを肉塊の近くに置いたあと自分に着けていたヘルメットを外し、台の上の肉塊に被せた。

 すると肉塊は動き出し、男は肉塊へと変わっていた。

 

 

「開発した私が言うのもあれだが、何度見てもただの遺伝子が同じだけの肉塊が本人に変わる瞬間は非常にグロテスクだな」

 

 

「あ……、あ、いう、えお、

 あー、あ〜あ、あいうえお。

 この身体も神経接続に問題はなさそうですね。

 やはり貴女の作り出したこのシステム(ゾアホリック)は素晴らしい」

 

 

 指を一本ずつ動くことを確認した男は自身は作業台から降り、床に転がっている肉塊を拾い上げ作業台の上に乗せると、再びヘルメットを肉塊につけ直した。

 

 

「おや、新しい肉体じゃ無くて良いのかい?」

 

 

 そうすると肉塊だった物は今度はすぐに話し始めた。

 

 

「えぇ、この肉体のほうがこうなる前の私に1番近く生活しやすいので。

 それに数ある肉体のうちこの一つと最初の入れ物だけが貴女の作った物なので愛着があります。

 ……そういえば昼ご飯の時間帯でしたね。

 今日も君の好物にしてありますよ」

 

 

「……私のモルモット君の精神力はいつからこんなにイカれてしまったのやら。

 こんな実験をしたあとにすぐに飯を取れるような異常者で私は悲しいよ」

 

 そんなことを言っているがウマ娘は少しも悲しくなんて無かった。

 ただ男がスカウトしてきたときを思い出していた。

 あの時はここにいる二人とも学園の外れもの同士だった。

 

『貴女の研究、私も混ぜては貰えないでしょうか』

 

『おや、今回のトレーナーは私に走れとは言わないらしい。

 随分と変わったトレーナーがいたもんだ』

 

 ウマ娘の元には常にその才能を走りに活かせとウマ娘としての自分ではなく、走ることの才能だけを見るものたちが集まっていた。

 そんな中現れた物珍しい男、後のトレーナーとなるその男はとりわけ異質だった。

 

『タキオン、愛です。愛ですよ。

 どうやら愛の力というものは、ウマ娘としての力が解放されやすいそうです。

 親愛、友愛、恋愛などなど愛のカタチはヒトそれぞれですがどれもウマ娘を大きく動かす原動力となるようです。

 あぁ、是非ともその神秘をこの目で見たい!』

 

『あー君はいつからそんなに愛だのなんだの言うようになったのかね。

 だいたいそんな科学的根拠が無いもの……いや、まだ脳というものには分からない部分が多い。

 そういったこともあるのかも知れないな。

 早速検証といこうじゃないか、モルモット君!』

 

 お互いにまだ見ぬ物に好奇心を沸かせる純粋な研究者同士でとても相性は良かった。

 

『トレーナー君!やったぞ!

 遂に分かったぞ、観客の心、【愛】というもののエネルギーが!

 これは気持ちいい、皆の祝福の声が聞こえる!』

 

『ええ、御目出度う御座います、タキオン。

 貴女が辿り着けると私は信じておりましたよ』

 

 ウマ娘は研究内容にしか目に入っておらず、トレーナーの身体の異変には気がつけなかった。

 トレーナーの男もどうにかウマ娘に気づかれないように上手く立ち回っていた。

 

『ゴホッ……ゴホッ!』

 

『おい、モルモット君……?

 しっかりしたまえ!モルモット君!

 すぐに救急車が来る、それまでの辛抱だ。

 こんなところで君を失うのは認めないからな……!』

 

 しかし男はついに隠しきれず限界になり、倒れたときにはもう遅かった。

 

『残念ですが、ここまで悪化しているとなると寿命はあと多くて半年あるかないかぐらいかと』

 

 搬送された病院でそう診断された。

 

『タキオン、一つお願いしても良いですか?

 私と前に行った研究の1つに、()()()がありましたね。

 あれを私を被検体に行って下さい』

 

 そこからは激動の日々だった。

 ウマ娘は殆ど死んだ人を蘇らせたもはや神となってしまったのだ。

 病院関係者には金で黙らせ、学園関係者やURA関係者にも外部に言いふらしたら一部の世間に公表せずに闇に葬っていた私たちの研究の全てをお前たちの名で世界中に発表すると言って脅した。

 二人の研究には一部、国際法に違反するものがあった。

 それを堂々と自分たちの名前を使って公表されたら世界中から批難が殺到し立場は危うくなるだろう。

 

 ウマ娘は使った技術をとにかく隠蔽した。

 トレセン学園内に設置したスーパーコンピュータ郡もトレセン学園の片隅に地下室を創り、そこに移動させその付近を立ち入り禁止区域に設定した。

 と言っても地下室の上はただの森だ。

 野生の危険生物が出ると言うことにしてある。

 

 そして今、こうして隠蔽しなくてはならない情報は男の研究室にある沢山の肉塊と男が着けるヘルメットだけになっていた。

 当然だが男の研究室もセキュリティは高い。

 入る手段はアグネスタキオンの右人差し指の静脈認証か、そのトレーナーのヘルメットに内蔵されたセンサーか、そして何故かセキュリティ機能を無効化出来るゴールドシップのみだ。

 

 

「おや、それはタキオン。

 異常者なら貴女も同じでしょう?

 普通の精神の持ち主は人を生かす為に電脳化させたりクローンなんて創ったりはしませんよ」

 

 

「ははっ、それもそうだ」

 

 

 頭のネジが数十本は外れたサイエンティストと、それに劣らず狂っている助手はお互いにその肩書きに恥じないほどの笑みで見つめ合った。

 

 

「トレーナー室でお昼にしましょう。

 私はこれを仕舞ってから行くので、お先に行っていてください」

 

 

「それじゃあ、お先に失礼するよ。

 ふふっ、今日の昼ごはんは何だろうな」

 

 

「それは食べるまで楽しみにしておいて下さい。

 こういったものは開けるまで分からないのが良いのです」




完結しました。
ここまで読んで下さった皆様応援ありがとうございました!
良かったら評価、感想、お気に入り登録よろしくお願いします!

…えーTwitterで黎明卿×タキオンないすか?って呟いたところ、「おい、言い出しっぺの法則だぞ」と脅されたので無理やり書きました。
設定が色々とおかしい点もあるかと思いますが、もしこの設定面白いなって思ったり、クロスオーバーも悪くないと思ったりしたらどんどん使ってくれると嬉しいです。

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