【連載】英梨々と作る英梨々ルート   作:きりぼー

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日曜のひとときいかがお過ごしでしょうか。
PCがフリーズ、そのまま電源すら立ち上がらない状況で何が焦ったって、小説のストックが・・・えっくだらない?
(ピー)な動画が入っているから修理に出せないし、どうしたものか・・・
箱を開けて中身を掃除 積もっていた埃をとって祈るように電源を入れる・・・

良かった・・・なんとか立ち上がったよ。すごいうなってるけど。
かなり怪しい状況なので、英梨々ルート下書きも含めて10月までのあと4話を投稿予約しておきました。一週間おきなので一ヵ月ぐらいは猶予あるんで
その間にメンテナンスか新調してきます・・・

それにしても投稿初めて そろそろ一年も視野に入ってきましたが、英梨々ルートの事ばかり考えていたので、今じゃ立派な英梨々ファンですよ。それが冴えカノの英梨々かどうかは怪しいですけどね。

そんなわけでPC飛んだ時に、『うわっ!?英梨々!』って、ほんとどうしようもない心配をしてしまいました。
ノイローゼでしょうかね・・・

というわけで、第四話になります。


相合傘イベントがやりたい英梨々とやらせたくない演出担当(匿名)

どんよりとした重たい雲が空を覆っている。そんな6月

 

英梨々は部活を終えた帰り道、いまだに雨の降らない空を見上げた。

天気予報では夜から大雨が降るらしい。

 

今回の英梨々の作戦はこうだ。

倫也はすでにバイト先で働いている。雨が降っていなかったので傘を持って行ってない可能性がある。

バイトの終わる夜9時頃に雨が降っていれば、倫也は傘を持っていなくて困ることになる。

あとは偶然通りかかった英梨々が立ち寄れば、2人に1本の傘しかないので相合傘をして帰ることができるという寸法だ。

 

家に着いた時、時刻は6時を過ぎていた。宿題をすませ、夕食を摂る。それから、じめじめとして気持ち悪かったのでシャワーを一度浴びた。

服装は黄色いシャツに黒いサロペット。髪を乾かし黒いリボンをしてツインテールを再び作った。

 

窓の外は雨が強く降ってきている。うん。台風7号はなかなか話のわかるやつだ。

 

 

※ 冴 ※ え ※ カ ※ ノ ※

 

 

バイト先の最寄り駅に到着する。暴風域にはいってきたようで風が強い。傘を全開にしたらひっくり返るかもしれない。

それでも体を屈めながら前進してお店の前まできた。時刻は夜の9時5分前。予定通りだ。

外から中を覗いたが電気が消えている。看板もでていない。扉に手をかけたが鍵がかかっていて開かなかった。

 

「・・・あれ?」

 

英梨々は半分雨に濡れながら考える。

どうやら台風に合わせて店を早めに閉店にしたらしい。

 

台風7号。使えない子。

 

なんとか駅まで引き返し、スマホで倫也に電話をかける。

 

「倫也。あんたどこにいるのよ?」

「・・・ん?どうした?自宅だけど」

「バイトは?」

「台風なんで早めに閉店したんだよ」

「勝手に閉店しないでよ」

「どうした?」

「・・・」

 

英梨々は考えたがどうしていいかわからない。

こんなことなら、導入部分なんて丁寧にやるんじゃなかった。

 

そうだ。とばそ。

 

 

※ 冴 ※ え ※ カ ※ ノ ※

 

 

「遅いじゃない」

「・・・えっと、謝った方がいいのか?」

 

暴風の中、最寄り駅まで迎えにきた。

倫也はレインコートを着ている。

 

「さぁ、いくわよ」

 

英梨々は自分の赤い傘を先ほど誰かの忘れ物として駅員に届けた。

これで、倫也がもっている傘1本になる。相合傘イベントが成立する。

 

「まず、これを着ろ」

 

倫也が持ってきたレインコートを英梨々に渡した。

英梨々はそれを素直に受けとってレインコートを着る。

 

「倫也、相合傘・・・してあげてもいいわよ」

 

よし、多少無理やりな感じはするが、なんとかここまでこぎつけた。

 

「この暴風雨の中で相合傘とか楽しくないだろ・・・それに危ないぞ」

「・・・」

 

英梨々が、ぶすぅーと膨れている。

 

「だいたい、なんでこんなに雨が降っているのよ?何よ、この演出過多は」

「天気だからな。しょうがないだろ」

「つまんない」

 

倫也が空を見ている。今にも落ちてきそうなぐらい重たい雲がみえる。雨粒も大きい。

 

「タクシーで帰るか?」

「はぁ?それじゃ倫也が来た意味ないじゃないの」

「じゃ、しょうがねぇな」

 

倫也は、英梨々のかぶっている頭巾の紐を絞ってから結わいた。

そして、右手で英梨々の左手をつかみ、雨の中に歩き出した。

 

ボツボツとレインコートに雨が当たっていく。

靴はすぐにずぶ濡れになった。

黙々と歩いていく。

 

駅前の普段は賑やかな場所を通り、閑静な住宅街に進む。坂道があり、そこを登っていく。

ときどき、空が明るくなり雷鳴が鳴り響く。雷はまだ遠いようだ。

 

倫也の家の前を過ぎ、さらに坂を上がっていくと英梨々の屋敷が見える。

坂からは浅い川のように雨が流れていた。

門のところまで英梨々を送ると、倫也は、

「あまり、無理するなよ・・・」

と小言をいった。相合傘イベントは導入が大事だ。

もっと上手にできるようにならないといけない。

前回もそうだったけれど、英梨々のイベントは強引なことが多い。

「・・・うん」

英梨々が素直にうなずく。

やっぱりあまり上手じゃない。倫也と相談しながら作ったほうがいいかもしれない。

「じゃあな」

「ちょっと待って」

2人が玄関に入って雨をしのぎながら会話を続ける。

 

「相合傘イベントはできないの?」英梨々が不安そうに聞いた。

「どうしてもっていうなら・・・明日、駅まで一緒にいくか?傘、ないんだろ?」

「・・・うん」

「駅に傘があるんだよな」

「うん」

「じゃあ、学校の最寄り駅から学校は別々にいけるだろ?」

「うん」

「それでいいか?」

「わかった」

「よし。じゃあな」

「倫也がどーしても相合傘イベントがしたいっていうなら、してあげてもいいわよ。」

倫也はそれを聞いて笑ってしまう。ツンデレがやっぱり上手くない。

それでも、ツンをしようとしているだけ成長しているのだろうか。

「ああ、頼むよ」

倫也も素直に答えた。

 

「ちょっと待ってなさいよ」

 

英梨々が奥の浴室からバスタオルを持ってきて倫也に渡した。

「でも、俺が家に戻るまでにまた濡れると思うんだが?」

「そっか・・・雨脚が弱くなるまでいれば休んでいけば?」

「暴風域に入ったばかりだから深夜になるだろ・・・じゃ、またな」

「・・・そう」

倫也はバスタオルで軽く顔だけふいた。

「うん。また・・・」

英梨々が手を軽くふる。

離れるときはいつだって寂しい。

 

 

※ 冴 ※ え ※ カ ※ ノ ※

 

 

 

翌朝。台風一過。空は快晴。

雨上がりの草木の匂いが漂い、空気も澄んでいて都会とは思えないほど清々しい。

 

制服を着た英梨々は倫也の家の前でぼぉーと空を眺めている。

「・・・」

少しでも雨が降っていれば2人で相合傘をする予定だった。

雨が降ってない以上は、英梨々がここで倫也を待っている意味がない。

目的と手段がぐるぐると入れ替わる。

「お待たせ」

倫也が玄関からでてきて、欠伸を1つする。空を見上げて、やっぱりそうだよなっとため息を1つつく。

「晴れてるな」

「晴れてるわね」

「まっ、天気だししょうがねーな」

「演出の悪意なんじゃないかしら?」

「あまり邪推するなよ・・・」

とはいったものの、心当たりがあるような・・・ないような・・・

 

「いいけど。さっ、いきましょうか」

「・・・そうだな」

 

倫也と英梨々が歩き出す。いつもより少し早めに家を出ている。早い時間なら電車も混まないし、人とあまり出会わないですむ。

「雨が降ってないのに、一緒に学校に行くのは変じゃないかしら?」

(雨が降っていても変だけどな・・・)

隣にいる英梨々は機嫌がいいようだ。天気がいいので金髪のツインテールがきらきらと輝いていている。

 

2人は人通りの少ない道を歩いていく。

「ねぇ倫也。こんな未来の可能性もあったのかしら?」

「こんな?」

「そう。こう・・・毎日一緒に学校へ通うような・・・」

英梨々の顔が赤くなる。「な・・なに言わせんのよ。バカ・・・」と小さな声で続けた。

「ふむ・・・」

倫也はふと考え込んでしまう。そんな幼馴染はツンデレではないし、英梨々のような金髪ツインテールヒロインの1人であって、別ものかもしれない。

「わからんが・・・それはもう・・・」

「なによ?」

英梨々が倫也の方を見上げる。倫也は照れて顔を指でかいている。

(それはもう、付き合っているのと同じじゃないか?)

が、そんなセリフは倫也から出ない。

 

「そうだ英梨々。昨日の『異世界食堂』を見たか?」

「もちろん」

倫也が話題をアニメに替えた。あまり2人の関係を客観的に分析してもしょうがない。

 

それから2人はいつものように深夜アニメの話をしながら電車で過ごす。

学校の最寄り駅に着いた時、まだ通学している生徒はいなかった。

 

「どうしようかしら?」

「俺みたいなオタクと一緒にいるところを見られるわけにもいかないだろ・・・」

「・・・そうね。そうよね・・・」

 

英梨々が何も言わずに少し倫也との距離をあけて歩き始めた。

倫也は10メートルぐらい距離が空いてから後ろを歩いていく。別に誰かがみているわけではないけれど、誰と合流するかわからない。妙な誤解はいらない。

 

こうして英梨々の華奢な後ろ姿を見ていると、なんだかストーカーみたいだなと倫也は思って、笑ってしまった。ストーカー気質なのはむしろ英梨々の方だからだ。

英梨々はときどき振り返る。誰も知り合いがいないので、ご機嫌で笑っている。この距離感でも英梨々は楽しいらしい。それはそれでいい。

学校の門をくぐる時に、英梨々は倫也にアカンベーをしてから、小走りで下駄箱へと向かった。ここからはもう学校内で会話はしない。

 

英梨々はお嬢様の仮面をかぶってリア充になる。友達もいるし、英梨々に憧れる人達の理想を演じる。それは少し疲れるけれど、英梨々にとって大事なことだ。

 

倫也ももちろん理解している。

倫也と喧嘩をして・・・英梨々が得たものだから。

そうでなければ・・・こんな不器用に喧嘩を続けてきた意味がない。

 

そして思う。英梨々ルートは険しいと。

 

(了)

 




幸せになって・・・
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