題名の無い物語   作:扶桑畝傍

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第1話

流れる血はこれを現実と教えてくれた

(さて、ここはどこだ?)

切り口にハンカチを折りたたみ当てる、

手拭いで鉢巻を巻く要領で傷口を抑える

「いっつ~。」

周りは、森、か

(余計な声は不味いな

 害獣をおびき寄せるだろうし)

手持ちを確認するか

※財布

 鍵を纏めたリング

 何時もの服装

 水 空ボトル一本(1ℓ)と半分が一本

 2リットルの未開封 水1本

 コンビニ蕎麦 豆腐バー2本

 電池切れ寸前のスマホ

(電源、切るか)

どうするか、空は暗い

(つまり、夜明けか夜、

 おでこの切り傷以外特に痛まない、

 軽く身体を動かしたけど

 これと言って痛みは無い、

 まいったな、痛風の薬は無いし

 医者・・・そもそも人が居るのか?)

周りを見回しても、うっそうと茂る木々以外見えない

(はは・・・35で異世界とか遅いんだよ

 どうせなら体力のある

 20代で呼んでくれれば良かったのに)

へたり込み、岸壁?に寄り掛かる

(はぁ、先ずは日持ちしない蕎麦、食うか)

極力音をたてないように蕎麦を食べる

(もぅ、味わえないんだな)

麵汁も飲み干し、ゴミを纏める

作業着の上着を斜めにかけ

2リットルの水ボトルを

前に抱えるように上着を結ぶ

(うし、これなら落ちない)

空ボトルと半分の水ボトルは

そのまま袋に入れたまま立ちあがる

(ん?灯り?)

かなり小さい光?

(いや、アレは松明か)

つまり、『現代では無い』

木を盾に身を隠しながら松明の光へ向かう

(人、だな)

麻袋を置いて行ったな

(松明持ちは・・・一目散に離れて行ったな)

はぁ、見てみるか

麻袋の紐を解く

(だよな、子供、服装は布一枚、奴隷か?)

「だ、れ。」

(日本語?)

「世情に疎い旅人だ、ここは?」

「・・・死者の森。」

「面倒な森だな、水、飲むか?」

空ボトルに少し移し、受け渡す

「いくら?」

「金?いらん、代わりに情報を売ってくれ。」

「じょうほう?」

「言ったろ?世情に疎いと。」

「わかった。」

子供が話すには、

ここは、死者の森、奴隷や、魔盲の子供を捨てる場所

ある国の外れの街から徒歩で三日らしい

「・・・これ、食うか?」

豆腐バーを一つ渡す

「なに、これ?」

「豆腐バー、なんも食べてないんだろ?

 少しでも食っとけ、

 何かの縁だ、俺と旅に出よう。」

「つるつるしてる。」

「あ、悪い、中身出すからちょっと待て。」

袋を開けるなんて知らないだろうし

「ほぇ~。」

「ほれ、ゆっくり食え、

 食ったら食べ物と水を探すぞ?」

「うん。」

もっきゅ、もっきゅ

(やべ、可愛い)

「おいし。」

「そか。」

頭を撫でる

(あ、泣いちゃった)

「ぅ~。」

「辛かったな、辛かったよな?

 隠してやる、泣け。」

泣きつかれたのか、小さい息遣いが聞こえる

(寝ちゃったか、

 上着をこの子に着せるか、

 ボロボロの布を脱がして、

 上着を着せ、ファスナーを閉じてっと)

2リットルボトルを薄着の上着に包み、

また前に掛ける

ボロボロとは言え、布地は貴重だ、

胸元と、腰回りを隠せるように加工する

「んぇ?」

「起きたか、まってろ、今下着替わり作ってるから。」

「・・・汗くさい。」

ぐはぁっ!?

「そりゃぁ、旅をして来たからな、

 水は貴重品、川があれば水浴びぐらいだ。」

「そうだった。」

「ほれ、このツタで大きさを調整しろ、

 後ろ向いてるから着てくれ。」

「ん。」

ん?

「きせて?」

「ぇ~・・・。」

その後、2、3回同じ事を繰り返したのであきらめた

「・・・イタイこと、しないの?」

「は?」

「お屋敷の男の人達、イタイって言っても、

 止めてくれなかった。」

「・・・許せない?」

「うん、でも、ここにすてられたから

 私は『しんだ』」

「・・・行こう、食べ物と水を探しに。」

「いく。」

昔読んだ本の知識で山の谷間を何となく歩く

「あ、水のおと。」

「お、当たりだ、水か温泉があるかな?」

「おんせん?」

「あぁ、お湯が地面から湧いてるんだ、

 上手くいけば『お湯で水浴びできるぞ』」

「ほんと!?」

「走るな、ゆっくりだ。」

「なんで?」

「食べ物があと、この豆腐バー1本だけだ、

 水だけでも、3、4日はなんとか持つけど、

 それ以上は無理だ、無駄な体力は使うな。」

「は~い。」

 

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