「正直、大臣になると現場が分からなくなる」
--みほちん------------
新「艦娘」グラフティ5
第12話<現場と大臣>
---------(第16部)---
「おぉ、来たな」
大臣は今しがたのダッシュ疲れが落ち着いた様子だ。
入室して来た重巡洋艦は秘書艦だろう。
しかし彼女は、既に疲れきっていた。
私は声を掛けた。
「羽黒さん、こちらへどうぞ」
「ハイ」
彼女は軽く敬礼をする。荷物を脇へ揃えてからヨロヨロと着席した。
(秘書艦とはいえ、こんな暴走大臣に付き従うのも忍耐力が要るよなぁ、可哀想に)
私はワザと肩をすくめて大臣を見た。
「秘書艦を玄関に放置してのダッシュ大会ですか」
この意地悪な問いかけに、さすがの御大(おんたい)も恐縮したようだ。
「ははは」
苦し紛れに笑って誤魔化している。
私は秘書艦のお茶も新たに頼もうと思い内線に手をかけた。
ちょうどそのタイミングで扉がノックされる。
「はい?」
「失礼します」
入って来たのは、やはり鳳翔さんだった。
「僭越ながら、お持ち致しました」
いつものスマイル。
「助かるよ」
内線から手を離しつつ、ふと見れば大臣がニヤニヤしていた。
(やれやれ)
手回しの良さに思わず溜め息が漏れた。
だが、せっかく海軍大臣が地方の鎮守府に来たんだ。こちらからも要望を出させて貰おう。
「大臣、人間関係では互いに、やり取りすることが大切ですよね」
「ウン」
応えた彼だったが、厚かましくも鳳翔さんから自分の御代わり分の、お茶を貰っているところだった。
それには構わず私は単刀直入に続ける。
「先ほど仰った『艦娘コンテンツ作戦』が威力を発揮する為には是非とも政治面からの掩護射撃が不可欠と考えますが」
「そうだねえ当然だね」
意外に拍子抜けするほど、あっさり同意された。
鳳翔さんは軽く卓上を整理すると会釈をして退出する。
ようやく落ち着いた執務室では大臣が日本海を眺めながら、お茶をすすっていた。
「俺が来たのは、そういった現実的な後方支援のためでもあるのさ」
「ほう」
(腐っても大臣か)
そんな格言が思い浮かんだ。こんな変人でも一応は海軍大臣である。
「正直、大臣になると現場が分からなくなる」
「はぁ」
私は、つい彼の秘書艦を見た。お茶をすすっている。
「実務は大抵、副大臣が処理する」
まだ煮え切らない私とは裏腹に彼は、今までとは違った真面目な口調で語り始めた。
「俺も副大臣の頃は、現場を駆けずり回っていたんだが」
「そうでしたね」
相槌を打った私に彼は苦笑いする。
「今じゃ正直、大臣の肩書きを前に出すような、挨拶とか顔出し的な仕事が増えてねえ」
改めて見ると、やっと落ち着いた羽黒さんもまた神妙な表情だった。
大臣は続ける。
「何と言うかな、俺も馬鹿だから舌足らずで悪いんだけど」
「いや、そんなことは」
目の前の二人を見ていたら、さすがに私も姿勢を糺(ただ)さざるを得なくなってきた。
「俺もさ、艦娘と結婚して少しは気持ちが近くなったと思いたい」
「あ、そうでしたね」
彼もまたケッコンをしていたことを思い出した。
「正直、大臣になると現場が分からなくなる」
--みほちん------------
新「艦娘」グラフティ5
第12話<現場と大臣>
---------(第16部)---
「おぉ、来たな」
大臣は今しがたのダッシュ疲れが落ち着いた様子だ。
入室して来た重巡洋艦は秘書艦だろう。
しかし彼女は、既に疲れきっていた。
私は声を掛けた。
「羽黒さん、こちらへどうぞ」
「ハイ」
彼女は軽く敬礼をする。荷物を脇へ揃えてからヨロヨロと着席した。
(秘書艦とはいえ、こんな暴走大臣に付き従うのも忍耐力が要るよなぁ、可哀想に)
私はワザと肩をすくめて大臣を見た。
「秘書艦を玄関に放置してのダッシュ大会ですか」
この意地悪な問いかけに、さすがの御大(おんたい)も恐縮したようだ。
「ははは」
苦し紛れに笑って誤魔化している。
私は秘書艦のお茶も新たに頼もうと思い内線に手をかけた。
ちょうどそのタイミングで扉がノックされる。
「はい?」
「失礼します」
入って来たのは、やはり鳳翔さんだった。
「僭越ながら、お持ち致しました」
いつものスマイル。
「助かるよ」
内線から手を離しつつ、ふと見れば大臣がニヤニヤしていた。
(やれやれ)
手回しの良さに思わず溜め息が漏れた。
だが、せっかく海軍大臣が地方の鎮守府に来たんだ。こちらからも要望を出させて貰おう。
「大臣、人間関係では互いに、やり取りすることが大切ですよね」
「ウン」
応えた彼だったが、厚かましくも鳳翔さんから自分の御代わり分の、お茶を貰っているところだった。
それには構わず私は単刀直入に続ける。
「先ほど仰った『艦娘コンテンツ作戦』が威力を発揮する為には是非とも政治面からの掩護射撃が不可欠と考えますが」
「そうだねえ当然だね」
意外に拍子抜けするほど、あっさり同意された。
鳳翔さんは軽く卓上を整理すると会釈をして退出する。
ようやく落ち着いた執務室では大臣が日本海を眺めながら、お茶をすすっていた。
「俺が来たのは、そういった現実的な後方支援のためでもあるのさ」
「ほう」
(腐っても大臣か)
そんな格言が思い浮かんだ。こんな変人でも一応は海軍大臣である。
「正直、大臣になると現場が分からなくなる」
「はぁ」
私は、つい彼の秘書艦を見た。お茶をすすっている。
「実務は大抵、副大臣が処理する」
まだ煮え切らない私とは裏腹に彼は、今までとは違った真面目な口調で語り始めた。
「俺も副大臣の頃は、現場を駆けずり回っていたんだが」
「そうでした」
相槌を打った私に彼は苦笑いする。
「今じゃ正直、大臣の肩書きを前に出すような、挨拶とか顔出し的な仕事が増えてねえ」
改めて見ると、やっと落ち着いた羽黒さんもまた神妙な表情だった。
大臣は続ける。
「何と言うかな、俺も馬鹿だから舌足らずで悪いんだけど」
「いや、そんなことは」
目の前の二人を見ていたら、さすがに私も姿勢を糺(ただ)さざるを得なくなってきた。
「俺もさ、艦娘と結婚して少しは気持ちが近くなったと思いたい」
「あ、そうでしたねぇ」
彼もまたケッコンをしていたことを思い出した。
以下魔除け
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。