「ベタ塗りとかトーン貼りが主です」
--みほちん------------
新「艦娘」グラフティ5
第3話<風雲の悩みと甘味>
---------(第16部)---
先日、秋雲が言っていた『風雲の悩み』って、これなのか?
それでも念のため目の前の艦娘に聞いてみる。
「まさか秋雲に『風雲も冬ポミの原稿描いてよ!』とか言われたのか?」
「……」
ジト目でこちらを見上げる彼女。
(図星かよ!)
もう、出来ることならズッコケたい。
おいおい、こりゃ風雲の悩みじゃなくて秋雲の問題じゃないのかよ!
(チャリーン)
給湯室からフォークを落とす音がした。きっと大淀さんも脱力したのだ。
私は頭を掻いた。
「秋雲め、巻雲はどうした?」
そこで急に閃(ひらめ)いた。
「あいつ新しい原稿依頼を命令権限のある私に押し付けたのか!」
だから風雲をここに誘導したのか。思わず私はソファに沈み込んだ。
(やれやれ)
目の前で固まっている艦娘に非はない。むしろ被害者かも。
「闇夜にいきなりサーチライトを照らされた気分ってのは、こういう状況を言うのだろうな」
冗談半分で口から出た。風雲は無声音で笑っている。
真面目な彼女のことだ。私は身を起こした。
「お前、意地でもこの『任務』を達成しようとする気だろう?」
この問いには再び無声音で笑う風雲。やはり生真面目ちゃんだな。
「だが」
私は腕を組んだ。
「否定してばかりも居られないな」
このままダメ出しするのは簡単だ。だが、そうすれば秋雲や、その取り巻き連中の戦意喪失に繋がりかねない。さらに本来の防衛任務にまで支障が出たら本末転倒だ。
美保鎮守府の提督として、それは避けたい。とにかく面倒な状況だ。
そのとき大淀さんが、お盆を抱えて来る。
「お茶菓子をお持ちしました」
「ありがとう」
難問を前にして、ちょうど甘味が欲い処だった。
「美味そうだな」
(誰かの差し入れだろうか?)
そう思いながら早速、口を付ける。
それを見計らったように大淀さんが言った。
「秋雲からですわ」
その言葉に一瞬、噴き出しそうになる。
「そう、か」
あいつは策士か?
「まぁ良い。もう乗り掛かった船だ」
私は腹を括(くく)って茶菓子を堪能した。
大淀さんに促された風雲も甘味に手を付けた。
それを見守りながら私は暦を見る。
まだ冬の即売会までには時間があるはずだ。まずは風雲のスキルを見て執筆計画を立てることにしようか。
「ちなみに、お前の実力は、どの程度だ?」
「えっと、ベタ塗りとかトーン貼りが主です」
「あ、そうか。あいつはまだ手描きのアナログ派だな」
この言葉に首をかしげた風雲。私は手を振って否定する。
「いや、これは気にしなくて良い。独り言だ」
ちょっと考えてから彼女に問う。
「秋雲自身は、そのベタとかのアシスタント……今回は、お前が手伝わなくても原稿は大丈夫なのか?」
「今回は巻雲で良いみたいです」
「何だそれ?『今回は』って」
甘味の効果だろう。先程より、ちょっと紅潮して生気を取り戻した風雲が答える。
「私より巻雲の方がバイト代が高くて。つまり腕が上なので最近は私が主に原稿を手伝っていたんですけど。今回は秋雲の割り当てページ数が多くなって……」
ははあ、何となく見えてきた。
「つまり前回よりも売上が大きくなるんだな?」
「はい。だから今回は予算的にも巻雲に頼めるから時間もページ数も余裕だと版元に大見得を切ったらしいです」
「それで更に追加ページが来たのか?」
目を丸くする風雲。
「はい。そうなんです。それで自分だけじゃマンネリ化してヤバいから新しい『風』を吹かすんだと言って」
私は頬杖をついた。
「そこで新風たる『風雲先生』のデビューか」
なぜか、また給湯室から圧し殺したような笑い声。大淀さん実は楽しんでないか?
改めて私は聞く。
「で、お前は絵とかイラストは描いたことあるのか?」
急に固まる風雲。
以下魔除け
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