新「艦娘」グラフティ5(第16部)   作:しろっこ

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大淀を前に焦る提督だったが、それ以上に……



第6話<コレジャナイ感>

「わきまえて居ります」

 

--みほちん------------

新「艦娘」グラフティ5

第6話<コレジャナイ感>

 

---------(第16部)---

 

私はゼンマイ仕掛けの人形のように、ぎこちなく振り返った。そこには微笑みを浮かべた大淀さんが立っていた。

「既に、お目通し頂いたようで有難う御座います」

 

「あ、あぁ」

自分の心臓がバクバク言っている。本当は一頁足りとも、めくってないのだが。

 

「内容は如何でしょうか?」

当然、そう来るな。

 

「そ、そうだな。基本的には良いと思うが……」

苦しい返しをしながら一計を案じた。

 

「もし君に時間があれば今から、もう一度、口頭で説明を聞きたいのだが」

「了解しました」

断られるかと思ったが意外にあっさり即答した。

 

「大淀、只今より作戦概要説明の任に入ります」

その場で敬礼する彼女を見た私は、思わず慌てた。

 

「あ! 此処で、じゃなくて」

ニコニコして私の言葉を待つ大淀さん。

 

「この向かいに座ってだな……えっと食事しながらでも構わないから」

すると微笑んだ彼女。

 

「わきまえて居ります」

軽く会釈をした大淀さんはテーブルの向かいの椅子を引いて着席した。

 

「ふう」

そこで鳳翔さんに大淀さんの食事を頼もうとした私は腰を上げた。

 

だが既に軽空母の彼女は、大淀さんの分も合わせて準備を済ませていたらしい。

 

「お待たせしました」

駆逐艦の朝潮と共に直ぐに私たちのテーブルに夕食を持ってきた。

 

「お待たせしました」

この場で、しなくても良いだろう的な復唱をする朝潮。相変わらず生真面目ちゃんである。

 

「あぁ、ご苦労」

半分腰が浮いていた私は改めて着席した。

 

鳳翔さんと朝潮はテキパキと夕食の配膳を始める。

 

ほどなく配膳を終えた鳳翔さんと朝潮が厨房へ下がっていく。

「失礼します」

 

彼女たちを見送りながら私は、いつも艦娘から手玉に取られている気がした。

 

だが気を取り直して軽く手を合わせる。

「戴きます」

 

「戴きます」

各自で両手を合わせた私たちは食事を始めた。

 

「冬ポミ作戦だが、取り敢えず深海棲艦相手ではないからな。ざっくばらんで構わないよ」

私の一言で急に表情を変える大淀さん。

 

「はい、有難う御座います」

いつもは沈着冷静な彼女の不安そうな表情を久し振りに見た。

 

「実は大淀、冬ポミ作戦の立案は初めてです」

「そりゃ冬ポミ作戦計画なんて前代未聞だよ」

「はい。ですから秋雲に確認しながら何度も書き直しました」

説明する彼女は次第に頬が紅潮してきた。

 

「提督に、先ほどの報告書をお渡ししてからも未だ<コレジャナイ感>が一杯です」

普段の真面目実直な大淀さんではない。どこかの漫画のキャラみたいになってきた。

                                       

「御許し戴ければ、お渡しした素案ではなく改訂版の素案で、ご説明したいのですが」

言いながら彼女は、いつの間にか新しい書類の束を取り出した。

 

「それは構わないが」

正直ホッとすると同時に最初の資料に一切、眼を通して居なかった私は申し訳ない思いだった。

 

そこで罪悪感を紛らわせるように言った。

「あまり焦らないでキチンと夕食も堪能しよう」

 

「はい」

笑顔を見せた大淀さん。その表情に私は執務室でホッとしていた風雲を連想するのだった。

 

以下魔除け

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