サンノウへ至る頂きへの道のり   作:森林 木

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ソロエルティとデオンドコロンのプロフィールを出しておきます。

ソロエルティ:鹿毛、155cm B83・W56・H88、肌はうす黒

デオンドコロン:栗毛、162cm B75・W53・H83、肌は色白



模擬レースは突然に

 サンノウケイデンス達は会見室から退室し、校門まで向かっていた。校門にはちらほらとトレセン学園の生徒がまばらにいる中で、二人のウマ娘がこちらに気が付き駆け寄ってきた。先ほどサンノウケイデンスを気にかけてくれたソロエルティとデオンドコロンだ。

 

「サンノウケイデンスちゃん!お帰り!」

「サンノウケイデンスちゃん、大丈夫だった?なんもされてない?たづなさんの目を盗んでセクハラされなかった?やよいちゃんにはちゃんとチクった?」

「あ、はい。特になにもされませんでした。大丈夫です」

「よかったぁ…」

「やっぱ心配しすぎだよコロン」

「いや、心配しとくに越したことないから。こいつには」

「そうかな」

「そうなの」

 

 キッと鋭い視線を向けるデオンドコロンに番トレーナーは苦笑いを浮かべる。

 

「それで、結局なんだったの?さっきお巡りさんとかカメラマンさんとかずらずら出ていったけど…」

「あっ」

「どうしたのコロン?」

「セクハラトレーナーの謝罪会見か!」

「だから違うっての!」

「実は二人でひったくりを捕まえまして、それで警察の方から感謝状を頂きました」

「えぇ!つまりドロボーさん捕まえたってこと!?すっごーい!」

「へぇ、やるじゃん。ん?二人で?」

「はい、逃げたひったくりを捕まえたのは私で、それを取り押さえてくれたのが番さんです」

「…それホント?」

「あ、あぁ…そんな疑うとこあったか?」

 

 途端に怪訝な表情になるデオンドコロンに周囲の三人は疑問符を浮かべた。特にソロエルティは呆けた表情をしていた。

 

「理解できない…ウマ娘が人間に勝てるわけないのに、なんでサンノウケイデンスちゃんじゃなくてあんたが取り押さえてんの?」

「それは、まぁ、成行きだな。結局そのあとケイデンスがひったくり気絶させてたし」

「じゃあ、あんた何もしてなくね?」

「全くもってその通りだ。だから表彰なんてなぁ…」

「いえ、番さんは逆上してナイフを振りかざしていたひったくりから私をかばってくれたんですよ。そのおかげで誰も怪我することなく、事態を治めることができたんです」

「ふーん、なるほど。人間としての誇りはあったんだ。ちょっとだけ見直した。マイナス10からマイナス9になるくらいには」

「手厳しいな…」

「ふわぁ…漫画みたいだねぇ」

「えぇ、信じられない事って起きるんですね」

「そういえば、コロンが読んでた漫画に似たような話があったよね?確か純情ドラマチッ」

「ロエル、今いいからその話」

 

 デオンドコロンは頬を赤らめながら素早い動きでソロエルティの口を塞いだ。恐らく少女漫画だろうが隠すようなものだろうか。

 

「ねぇねぇねぇ、そのひったくり速かった?」

「いや、ウマ娘より速いってないっしょ」

「途中で自転車をひったくりまして、それを追いかけてました」

「自転車?そんな速かったの?」

「捕まえるだけなら数十秒あれば捕まえられたんですけど、無理矢理捕まえて、転倒させてしまうと相手を死亡させてしまう可能性もあったので…」

「あぁ、なるほどね…」

「というか、盗まれた自転車がこいつの自転車だったんだよ。壊したたくなかったんだろ?」

「ま、まぁ…どちらかといえばそちらの方が大きかったです」

「結局、壊れちまったしな。というか、俺がひったくり押さえつける時に壊しちまったんだけどな…」

「あぁ…それは残念だったね…」

「あんた、そんくらい買ってやんなよ。可哀想じゃん」

「いえ、恩人ですから。命には代えられませんし」

「仮にもトレーナーなんだから高給取りでしょ?」

「いや、トレーナーつってもまだ一人の担当もついてないからな。そこらの会社より良いくらいだぞ?」

「保険も無事におりそうですし、100万円もするものですから」

「は?ひゃく?」

「すっごーい!なにそれ!?全部金ぴかの自転車とか!?」

「いやなにその成金みたいな自転車…そんな趣味悪いチャリ誰も乗らないでしょ…」

「えぇ、レース用の自転車というものがありまして、安いものでも10万以上はしますね」

「いやぁ、なんでも高いものは高いんだなぁ…」

 

 そのような雑談をしばらく続けていた。二人は今高等部一年であることや、二人ともマイラーで現在はジュニア級で活躍していること、今のうちにスタミナを伸ばしてトリプルティアラを狙っていることなど色々と話してくれた。それらを聞くことに徹底していると二人とも満足気になっていた。

 

「いやぁ、サンノウケイデンスちゃんホント良い娘だわ。あ、ウチらの名前長いっしょ?ウチはコロンで良いよ」

「アタシもロエルで良いよ!」

「ありがとうございます。私もお好きに呼んでください」

「んーケイデンスちゃん…普段なんて呼ばれてんの?」

「親しい人だとケイって呼ばれることが多いですね」

「じゃあケイちゃんだ!よろしくね!ケイちゃん!」

「はい、よろしくお願いします。ロエル先輩」

「コロン!先輩だって!先輩!」

「騒ぎすぎ…ケイちゃん困るからやめとき。よろしくね、ケイちゃん。困ったことあったらいつでも相談乗るから。すぐ連絡して。とくにセクハラ絡みは」

「はい、頼りにさせてもらいます。コロン先輩」

「おっふ…ウチら下の娘とあんま関わりないから呼ばれることなんて滅多にないけど…いいじゃん、先輩…いい響き」

「コロン、なんか気持ち悪かったよ?」

「うっせ」

 

 デオンドコロン照れくさそうにソロエルティの頭を軽くはたいた。

 

「ねぇ、ケイちゃんってこれからトレセン学園に来る予定でしょ?」

「ウチらが先輩として、色々教えたげよっか?」

「え?いえ、私は…」

「なに?受からないとか思ってる?大丈夫大丈夫、ウチらは中等部から入ってるから受験の基準とか色々違うだろうけど、万年赤点スレスレのロエルでもなんとか留年してないから」

「ひっどーい!コロンだって勉強できるわけじゃないじゃん!」

「ウチは常に平均以上とってますから」

「むぅ~」

「えぇっと…私、トレセンを受験するつもりはなくて…」

「「えぇ!?」」

 

 あまりの驚きにデオンドコロンも目を見開いており、ソロエルティも目が点になっていた。ある意味当然の反応である。走ることが好きなウマ娘は例え望みが薄くとも、大多数は受験だけはするのだから。

 

「なんでなんでなんで!?」

「ケイちゃん、もう本格化はきてるんだよね?そのタッパあるならけっこう上位にいけると思うよ?」

「私、自転車で走る方が好きで…」

「えぇ~!もったいないなぁ…」

「んー…走ることを諦めたって訳じゃなくて、自分で違う道進もうとしてる娘を無理矢理引き込むのもなぁ…」

 

 無理矢理引き込もうと画策した人物がすぐ近くにいることをサンノウケイデンスはあえて言わなかった。

 

「なぁ、せっかくだし、走っていったらどうだ?」

「あれ?セクハラへっぽこトレーナー。まだいたんだ」

「お前、そろそろ普通に呼んでくれないか?」

 

 突飛な発言をしながら頭を掻きながら番トレーナーは苦笑いをしている。

 

「前に言ってたよな?走るのも好きだって。機会があれば走っても良いって」

「確かに言いましたけど、今全力で走るような格好してませんよ。第一汚したくありませんし」

「ここをどこだと思ってるんだよ。トレセン学園だぞ?予備の体操服もシューズもある。走れる環境はこれ以上なく整ってる」

「へぇ、いいこと言うじゃん」

「ナイスアイディア!アタシ、ケイちゃんと走りたい!」

「えっと…」

「それとな、お前が昨日見せてくれた走り。ひったくりを捕まえる直前しか見られなかったが、あの脚は並じゃない。その走りを見せてくれないか?」

「へぇ、仮にもスピカのサブトレがそう言うってことはガチじゃん?」

「それ聞いたらますます走りたくなっちゃった!ねぇ!走ろうよケイちゃん!」

「わ、分かりました…」

 

 期待に満ちたデオンドコロンと、キラキラとしたソロエルティの視線にサンノウケイデンスは耐え切れず了承した。

 

「よっし!」

「それじゃあ、距離はどうするか…ケイデンスは正直、昨日の追走劇を見る限り完全にステイヤー。対してお前らはマイラー…どうすっかな…」

「間とって中距離?」

「それ、ウチら走れる?」

「でも、アタシ達どうせオークスで2400m走るんだよ?良い練習になるじゃん!」

「ま、それもそうか」

「つっても、いきなり800mも伸ばすのは危険もある…なら、秋華賞の2000mでどうだ?」

「OK!」

「いいんじゃね」

「…私も問題ありません」

 

 こうして流されるままに、模擬レースに参加することになったサンノウケイデンスは大きくため息を吐き意気揚々とトレセン内のコースに向かう三人にとぼとぼと着いてゆく。

 

(やっぱり、この人と関わるとロクなことがない…私にとっての疫病神なんじゃ…)

 

 とはいえ、サンノウケイデンスは走ること自体は好きである。デビューしたトレセンの生徒と走れる滅多にない機会だとプラスに考えた。




誤字脱字などご報告いただければ幸いです。
UA 1000超え
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現状オリキャラばかりなうえにレースすらしていない作品を読んで頂き本当に感謝しております。レース描写は慣れていませんが楽しんで頂けるよう努めてまいります。
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