ウマ娘 プリティーダービー リバイバルダービー 作:果てなき狂喜
今日は、ウマ娘をスカウトするため、様々な場所で、選抜レースや模擬レースを見学しているが、中々自分にこれだ!と思えるようなウマ娘は中々いなかった。それどころか、他のウマ娘達は、有名チームリギルの選抜レースに行く子達が多いため、スカウトできなかった。そうして、段々と時間が過ぎていき、とうとう帰る時間になってしまった。
「はぁ…(どうしよう…早速躓いた…そりゃ…そうだよね…まだ新人の身である自分がスカウトする子達が来るはずもないよね…?仕方ない…今日は帰ろうか…)」
と、そう思いながら、今日の夕飯を買うために、少し離れた駅前まで買い物に出かけ、学園の自室へ戻る道の途中、黒髪に、青いバラが飾られた黒の帽子のウマ娘を見かけた。
「ふぅ……うん、休憩おしまい。早く戻って…そしたら、次のメニューやらなくちゃ…がんばれライス、がんばれー…おー!!」
「…(…綺麗なフォームだなぁ…強いばねを感じさせる走りだなぁ…あんなに小さな体躯ながらも、纏う覇気はどこか、目を惹かれちゃうなぁ…よし、ついて行ってみようかな…)」
そう感じつつ、同じ学園方向へと続く道を辿っていく。
「…ふぅ…ふぅ…」
なんと、赤信号に掴まっていた。迂回していたので、同じ方向へと向かい、別の信号に向かっていくと、また赤信号に掴まっていた。また同じように迂回するも、恐るべき頻度で赤信号に止まってしまっているのだった。
「あうぅぅぅ………」
「…(凄く運が悪いような…いや…偶然かな…きっと…そう思うことにしようかな…?)」
だが、結局そのあとも信号という信号に捕まり続けた結果、トレセン学園についたころには、既に日が暮れていた。すると、そのウマ娘はこちらに近づいていた。
「あのっ…す、すみません……!!」
「…あれ、もしかして…自分ですか?」
「は、はい…あの…ご、ご…ごめんなさいっ!!」
「…どうして、急に謝るの?」
「だって…だって…ライスがそばを走ってたばっかりに…学園まで戻るのがこんなに遅くなっちゃって…ほんとにほんとに…ごめんなさいっ…!!!!」
「ライス…?それが、君の名前?」
「は、はい…わ、私…ライスシャワーです…」
「それよりも、さっき謝ったのはなんで?」
「だって…ライスのせいなんです…ライスはすぐ、みんなを不幸にしちゃう…ダメな子だから…ごめんなさい…で、でもライスがいなくなれば、大丈夫ですから!!!!それではっ…!」
謝りつつ止まる間もなく駆け去ってしまった。駆け去った後ろ姿には、どこか寂し気な雰囲気が漂っていた。
「…(あれほど気にさせたまま放っておくのも可哀想だ…考えすぎだって、伝えに行かなきゃな…)」
そうして、ライスシャワーと名乗るウマ娘を追いかけることにした。追いかけた先には、ダートのトレーニングコースでライスシャワーが走っていた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…はぁ…うぅ……さっきの人、こんなに遅くなっちゃって…大丈夫だったかなぁ…お腹ペコペコになっちゃってたり、見たいテレビ終わっちゃったりしたら、どうしよう…はぁ…ほんとにダメな子だなぁ…私…」
「(随分色々と背負い込むタイプなのかもしれない…とりあえず、声をかけて―――)」
「…ううんっ、でも、頑張らなきゃ!!次の選抜レースに出るって、決めたんだもん…ちゃんと出て、ちゃんと走って、それで…ちゃんとデビューして、いっぱい活躍して…ダメじゃないライスになるんだから…!!うんっ…トレーニングしなくちゃ!!がんばれライス、頑張れー…!おーっ!!」
「(心配だから、声をかけようと思ったけど…あの様子じゃ、そんな心配はいらないな…それに、ライスシャワーって子の走りが、明日の選抜レースで見られるのなら…とても楽しみかもしれない…よし、今日は最後の仕事を終わらせて、帰ろう…)」
そんな期待を含まらせつつ、いよいよ迎えたチームリギル選抜レースへの加入レース当日となった。その場所には、他のウマ娘達がいる中、ライスシャワーの姿がどこにも見当たらなかった。
「あれ…(ライスシャワーの姿が見えない…?いったいどこに行ったんだろう…?)」
「すみませ~ん!ライスシャワーさん!ライスシャワーさんはいらっしゃいますか~!!」
すると、向こうからリギルのスタッフと思える人物が現れた。
「どうされたんですか?」
「あ、おはようございます。えっと、ライスシャワーさんが、選抜レースに参加するとのことでしたが…現在、いらっしゃらなくて…探しております…もし、見かけましたら、ご連絡ください。」
「あ、分かりました…」
しかし、出走準備も終わり、選抜レースが終わるまで、ライスシャワーは選抜レースに出ることはなかった。
「ライスシャワー…とうとう選抜レースもボイコット…資質としてはいいものを持っている子なんだが…」
「そもそも、入学当初からレースに出たがらないって、脂質以前の問題かもしれませんね…」
「…(結局は、ライスシャワーの姿が見えなかった…か…いったいどうしたんだろう…昨日は、選抜レースに出るって決意したはずなんだけどな…)」
その後、リギルの選抜レースには、1着になったウマ娘のみが、入ることとなり、他のウマ娘達は、別のトレーナーへとスカウトされに行った。結局、何も得ることがなかったため、学園内を移動していると、不意に大樹のウロに、一人のウマ娘がいた。そう、先ほど探していたライスシャワーだった。
「ぐすっ…ふえぇ…うえぇぇぇぇぇ~ん!!!!ばかっ…ばかばか、ライスのばかっ!がんばるって…がんばろうって決めたのに…ぐすっ…なんで…なんでライスは…こんなにダメな子なの…?」
「(あんなに泣きわめくライスシャワーの姿は痛ましい…自分にできること…ないのかな…)」
ふと気付くと、ライスシャワーの元へと歩み寄っていた。だが、泣き喚くライスシャワーの姿を見て、放っておけなかった。
「ライスシャワー?大丈夫かい?」
「ふぇっ…!?あ、あなたは…き、昨日の…?ぐすっ…うぅ…あの、ごめんなさい…それ以上は、こっちに来ないで…?」
「どうして…?」
「だって…ライスのそばにいたら…また不幸にしちゃう…また迷惑かけちゃうよ…ライスがダメな子のせいで…ライスも、ダメじゃないライスになりたかったけど…頑張ろうって、レースに出ようって思ってたけど…結局…!」
「…(そうだよね…昨日の夜、確かにライスシャワーは変わろうとしていた…そのために、懸命にトレーニングを重ねてきたんだ…)」
「うぅ…ぐすっ…やっぱり…やっぱり…ライスなんか…!」
「(なんだか…このまま放っておくわけにはいかない!!!)ライスシャワー…話を、聞いてくれないかい?」
「ふぇっ…?な、なんですか…?」
「ライスシャワー…君を…いや、ライスシャワー…スカウトさせてくれないかい!?」
「え…えっ…?スカウトって…あ、あなたが、ライスのトレーナーさんに…?」
「うん…ライスシャワーが望んでくれるのなら…もちろん。」
「あわわ…ら、ライスは…その…とっても、とっても嬉しいけど…でも…!ライス、ほんとにダメな子だよ?いっぱい迷惑かけるし…まともにレースも出られないのに…それでも…それでも、こんなライスで…い、いいの…?」
「あぁ…それでも…君を…ライスシャワー…君を支えたいんだ!」
「……っ!!凄い…お兄様みたい…」
「え…?なんて…?」
「ひゃっ!!ご、ごめんなさいっ!!何でもないの!!…えと、あの…それじゃあ…よ、よろしくね?…その…お名前を聞いてもいいですか…?」
「そういえば、君にだけ自己紹介をさせてごめんね?僕は、桑原智也。今日から、よろしくね?ライスシャワー。」
「うん!!桑原さん…ライス、頑張るね…!」
「(ふふっ…まだ、ぎこちないけれど…いい笑顔ができるじゃないか…)」
こうして、ライスシャワーをスカウトし、明日から、ライスシャワーをデビューするために、怪我をさせず、調子も良くさせるという目標を立て、明日に備え準備を整えた。