ウマ娘 プリティーダービー リバイバルダービー 作:果てなき狂喜
季節は春から初夏へと差し掛かっていき、少しずつ気温も上がりつつある。そのため、トレセン学園は授業が早めに終わり、普段より長くトレーニング時間が取れる――――そのはずだった。
「ウララとライス…遅いな…何かあったのかな…?」
時刻は既に午後3時半を過ぎていた。普段のトレーニング開始時間より早い。しかし、練習用コースに到着してから30分ほど経過している。
ウララは授業が終わると、昼食をとり、そこからトレセン学園の近所にある商店街へおやつの人参を買いに行ってからトレーニングに参加すると聞いていて、ライスはその付き添いになる。トレセン学園は購買部も存在するが、ウララ曰く、商店街の八百屋で買う人参の方が美味しいとの噂。
そんな理由もあり、午後3時からトレーニングを始める予定であった。昼食に1時、買い物に2時と、かなり余裕をもって時間設定をしていたが、流石に経ち過ぎている。スマートフォンでウララの番号に電話をかけるが、着信音しか鳴っておらず、出る気配はなかったため、ライスも同様に連絡したが、ライスも出ることがなかった。
ウララやライスに限らず、トレセン学園に在籍しているウマ娘達は、寮で寝起きをする。寮は、美穂寮と栗東寮の二つに分かれており、一部屋を二人のウマ娘が使用する相部屋の生活をしている。ライスは美穂寮、ウララは栗東寮に入寮している。
そうなると、ウララは料に荷物を置いて出ているにしても度が過ぎている。
それ以前に、トレーニングをする時間が無くなるという懸念よりも心配の感情が湧き上がっていた。
(事故に遭ってないといいけど……もし、誘拐しようなんて命知らずなやつはいないとは思うけど……ウララの場合、知らない人に人参を上げるからって言われたら、笑顔でついていきそうになって、ライスはそれを止める者のついて行っちゃったた……とか……そんな気もするし……)」
ウララとライスは耳と尻尾を無視すれば小さな少女に見える。ただ、ウマ娘は車並みの速度で駆け抜けることができる。脚力もあり、それほどの速度に耐えられる体は、人間と比べはるかに強固である。もし、誘拐すれば間違いなく命がけになる。全力でけられれば大惨事。そもそも誘拐しようとしたら、学園側から消されるかもしれない。ある有名トレーナーの中に、GⅠウマ娘のドロップキックやプロレス技、全力の足蹴りを喰らっても、後ろに倒れたり鼻血を出すだけで済んでいたり、複数のウマ娘に蹴り飛ばされてもピンピンしているという。ただ、それは例外であるため、少なくとも自分ならば死ぬだろう。ただ、ウララやライスの気性的に、相手が誘拐犯だろうと蹴り飛ばすような真似はしない。かつ相手が笑顔で近づけば逃げるようなこともない。ライスはいったん疑うが、優しくされれば安心してしまう。
「……あぁ~もうっ!!!!」
頭を書き、その場から走り出した。ウララやライスが普段利用している道を選び、商店街へと向かう。普段の通勤は徒歩だが、一応普通免許のMTとATは両方取得している。さすがに徒歩で通勤するため、車を使う機会はなかった。もし、車を取りに行く間にすれ違う可能性も考え、徒歩での移動が最適だと、自分に言い聞かせながら見つからなかったときの事をふと、脳裏に思い浮かべた。
(探し回って、もし見つからなかったら…学園に電話をして、捜索…いや…連絡を先に入れておくべき・・・なのか…?だけど…予定の時間から30分遅れてるだけだし…)」
そんなことを考えつつ、正門から外へと出て、栗東寮と美穂寮へ視線を向け、足を止めた。
(もしかしたら、寮に帰ってウララは昼寝でもしてるかもしれない……それで、ライスも今は、ライスを起こしているかもしれない…ウララの事だし、ありえるかも…ただ…この間は入れたけど、もう入れないしな…)」
スマートフォンを取り出し、栗東寮の内線電話にかける。寮長のフジキセキにウララのトレーナーであることを説明し、寮にいないか確認してもらった。しかし、ウララは部屋にはいないとのこと。フジキセキに礼を言った後、次に美穂寮へと電話をかけ、寮長のヒシアマゾンに出てもらい、ライスが寮にいないか確認していたが、こちらもいなかった。その後、ヒシアマゾンに礼を言った後、すぐさま商店街へと向かい駆けだした。
「はぁ……はぁ……す、すみません!ピンク色の髪をした小柄なウマ娘と、黒の帽子に青い薔薇を付けた小柄なウマ娘を見ませんでしたか!?ハルウララとライスシャワーという名前ですが!!」
商店街へと到着し、すぐ近くの店に飛び込み、訪ねた。もしかしたら、一人か二人ぐらいは目撃者がいると思った。
「え?ウララちゃん?ウララちゃんなら……あの、お兄さん?どこの人ですか?ウララちゃんに何の用事ですか?」
女性店員が、一度驚きはしたが、胡散臭い眼つきで見て、いつの間にか警戒の色があったため、気付いた自分は頬を引きつった。
「えっと、自分はトレセン学園のトレーナーを務めさせていただいてる者で、ハルウララとライスシャワーの担当です。」
そういって、トレーナーライセンスを見せた。すると女性店員は目を丸くして口元に手を当てていた。
「あらやだ!…ごめんなさいね?あなた、ウララちゃんのトレーナーさんだったのね……えぇ、ウララちゃんとさっき言っていたライスシャワーちゃんは八百屋さんにいるわよ?」
「……え…や、八百屋にいる…んですか…?」
八百屋に向かったのではなく、八百屋にいると話している女性店員。困惑している中、離れたところから聞き慣れない男性の声とウララとライスの声が聞こえていた。
「さぁさぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!今日は人参が安いよ!!!!ここにいるウララちゃんおすすめの人参だぜぇ!」
「安いよ~!!おいしいにんじんだよ~!!」
「か、買っていってくださ~い!!!」
「あとそれと、ピーマンも安いよ!!五つで百円、五つで百円の大特価だ!!!!」
「安いよ~!!!でも苦いよ~?」
「ちょっ、ウララちゃん…それは言わないでほしいけどなぁ…」
「ウ、ウララちゃん…失礼だよ~…」
「でも、ほんとの事なんだもん~…」
威勢のいい男性の売り文句と共に聞こえてくるウララとライスの声、同時に複数の笑い声が聞こえ、思わず声のする方へと駆け出した。すると、見えてきたのは、八百屋と思わしき店舗とその前にできている人だかりだった。老夫婦や主婦、子供達など八百屋の前で扇状態に集まっており、店主の男性とウララとライスの話に耳を傾けていた。駆け寄った足音が聞こえ、耳をぴくぴくと動かし笑顔で振り返っていて、ライスは耳がぴんと立っており、驚いていた。
「あっ~!桑原さんだ~!!なになに~?どうしたの~?」
「え!?お、お兄様!?ど、どうしてここに…?」
間違いなくウララとライスで、怪我もなく無事だった。それどころかエプロンを身に着けてウララは人参片手に笑顔で手を振ってきた。
「ウララ、ライス………はぁ…はぁ…いや…」
今までどこに行っていたんだという怒りと、二人が無事だったことの安堵があり、深々と溜息を吐いた。
「……ウララ、ライス…今、何時かな?」
ウララは首をかしげながら八百屋にあった壁時計に視線を向けた。
「……?わわっ!?トレーニングの時間過ぎちゃってるっ!?」
「だ、だから言ったよ?ライス…そろそろ行かなきゃって…そ、それに…あのね、お兄様…言い訳になるかもだけど、ウララちゃんを止めたの…でも…断れなくて…その…ごめんなさい…」
ウララは尻尾をぴんと立たせ、慌てだした。ウララもライスと同様になぜこの場にいるのか理解した。
「…ご、ごめんなさい…桑原さん…」
ウララとライスは言い訳もせず謝罪をした。耳あてで覆われたウマ耳をペタンと倒しており、尻尾も力なく垂れていた。話を伺うと、ウララはこの商店街を利用しているらしく、その持ち前の愛嬌が気に入られて、トレセン学園に入学して一カ月半の短い期間であるが、店を営む人たちに深く受け入れられていた。
ウララはおやつの人参を買いに来ていて、ライスはウララの付き添いとして商店街に来たが、ウララは店主の男性と話をしているうちに野菜の販売を手伝ってみたくなったらしい。ウララを止めようと話をするも、あまり断れなかったらしく、店主の男性が、ウララがそういうのならと受け入れていたのだった。
「わりぃな、トレーナーのあんちゃん。ウララちゃんはさ、この商店街のアイドルみたいなもんだからよ…手伝ってくれるって言ったんで、ついつい甘えちまってよぉ…」
店主の男性も申し訳なさそうにして頭を下げた。言葉だけ聞けば、反省の弁とは思えないが、その態度には謝罪の意思が見て取れた。ウララとライスへと歩み寄り、膝を折り、目線の高さを合わせた。
「ライス、それにウララ…次からはせめて連絡だけはしてほしい…いいね?」
怒るより諭した方が良いと判断し、声をかけると、耳をペタンと倒したまま頷いた。担当トレーナーとして、トレーニングの予定が狂ったことを叱るのだろう。しかし、やってしまったことを理解し、すぐさま反省した態度を見せたライスとウララの姿に怒りを継続させることはなかった。
「(もし、他のトレーナーの方なら、ここで叱ったのかもしれない…けど…やっぱり、安心した気持ちの方が多いな…僕も、まだまだ未熟だという事を痛感する…)」
ウララやライスはウマ娘であっても女の子。もし、ウララが開き直った態度であれば怒りを爆発させていたが、素直に謝るウララとライスに、強く怒りをぶつけることもできなかった。そんな自分に嫌気が差しながらも、無事ならばそれでいいと思う気持ちが強かったため、俯いたままのライスとウララの頭に手を乗せて、頭を撫で回した。
「トレセン学園に戻ってからトレーニング…って言いたいところだけど…たまには、休みも必要だよね…今までトレーニングばっかりだったし……よし!今日は休みにしようか。」
ライスとウララの育成を始めてから、少しでも強くしようと色々トレーニングを課していた。もちろん、休養も重要で疲れが残らないよう休ませていたけれど、いい機会と捉えた。
「え……お、お兄様…今日はトレーニングしなくていいってこと…?」
「ほ、ほんと?桑原さん…」
そんな自分の言葉にウララとライスはおずおずと尋ねた。怖がっている姿に思わず笑いがこぼれた。
「あはは!…まぁ、トレーニングをする気分でもなくなったからね…あのさ、ウララはこの商店街について詳しいんだっけ?折角だから案内してほしいかな?」
「っ……うん!!任せてっ!!!いっぱい案内するから~!!」
「よかったね、ウララちゃん!」
それまでの表情から一転し、嬉しそうな笑顔を浮かべたウララ。それに安心するライスの二人の頭を撫で回し、ウララは楽しそうに笑い、ライスは照れながらも笑顔で楽しんでいた。
「本当、すまねぇな…トレーナーのあんちゃん。お詫びってわけじゃねぇけどよ、良かったらこれ持っていってくんねぇか?」
すると、八百屋の店主が膨らんだビニール袋を渡してきた。受け取り、中身を見ると、中には人参、ピーマン、玉葱といった野菜が詰み込まれていたのだった。
「え…い、いいんですか!?」
「おうとも!!ウララちゃんとライスちゃんのおかげで短い時間だっつぅのに、普段より野菜が売れたからよ!そのお礼ってわけだ!!」
隣には、ウララとライスが興味津々でビニール袋をのぞき込んでいた。
「わ~!!にんじんがいっぱいだ~!!!おじちゃん!!ありがと~!!!」
「こ、こんなにたくさん…ありがとうございます。」
「礼には及ばんて!むしろ、こっちの方が助かったんだしよ!遠慮せず受け取りな?」
「うんっ!!でも、ピーマンは苦いから食べたくないな~…」
「いやいや……苦いかもだけど、美味しいんだぞ~…?」
笑顔でピーマンは食べたくないと断言するウララと、店主はピーマンを勧めていて、それを聞いた周囲のお客さんは楽しそうに笑っている中、ふと、あることを閃いた。
「ウララ、今回の件には罰が必要なんじゃないかなって思ってね…」
「え…ば、ばつ…?」
少し悪い笑顔をしながら言うと、ウララは困惑しながら首を傾げていた。
「そうだな~……よし!ピーマンをもらったんだし、ピーマンを使った料理を作ろうかな?で、ウララはそれを全部食べ切るのが、今回の罰だよ。」
「え~!?やだよ桑原さん!!!ピーマンじゃなくってにんじんがいい!!にんじんハンバーグがいいよ~!!」
「う、ウララちゃん……お兄様が罰だって言ったのなら、しょうがないよ…」
「あはは…そこまでピーマンを嫌いにならなくても…それにさ、栄養素も多く含まれてるし、ね?」
子供舌なのか、ピーマンは嫌だと叫ぶウララ、ピーマンは苦みがあるため、子供が最も嫌いになる野菜の一つ、だが、その分罰としては有効でもある。
「……じゃ、じゃあピーマンを使って人参ハンバーグも作るよ。そして明日からトレーニングを再開しよう。」
妥協案を提示した。希望通りにんじんハンバーグにはするが、材料にピーマンを加えようと思ったからだ。料理は小さい頃から得意で、一応はウマ娘向けの栄養学も学んでいるので、基礎的なことから技能的に必要な個所もできている。料理をする場所はトレセン学園の調理室を使えばいいと判断した。家は近いが、担当しているウマ娘とはいえ流石にウララとライスを自宅に連れて行くのは世間の目があるので不可能。
栗東寮と美穂寮に電話し、それぞれの寮長に無事見つかったことを伝え、その後ウララに商店街を案内してもらい、ついでに材料を買い集めてからトレセン学園に戻ることにした。
驚くべきは、八百屋の店主が語っていた通りウララが商店街の人達からアイドル扱いされていたこと。どこに行っても人が集まり、笑顔で話しかけている。ウララもウララで、話しかけられれば笑顔で答えたり、驚いたり、感情豊かな表情を見せていく。デビュー前だというのに既にファンを獲得しているウララ。大したものだが、その人気に見合った実力を付けさせる義務が自分にあるのだと考えると、少しばかり憂鬱になった。
突然話は変わるが、ウマ娘は外見と尻尾を除けば普通の女の子。いや、美少女というべき優れた容姿を持つ者ばかりで、身体能力といい、人間とは大きく異なる点がある。それが食事。食べるものに関しては違いはないが、量が段違い。桁違いの量を食べるウマ娘も存在するらしいが、ウララとライスは小柄な体型であるにも拘らず、自分より多く食べている。
「はい、特製三段人参ハンバーグだよ。召し上がれ。」
ウララとライスの前に置いた皿の上には、巨大なハンバーグに、人参が刺さっている。
「わぁ~…お兄様が作った人参ハンバーグ・・・おいしそう~…」
「うん!それににんじんも入ってる~!!!!やった~!!!」
「あはは……ウララ、繰り返すようだけど…ちゃんと食べきれるかい?」
リクエスト通りに作った人参ハンバーグ。その材料の中にはピーマンが入っている。
ちなみにハンバーグの大きさは、一段目が直径30㎝。二段目20㎝。三段目は直径15㎝。てっぺんには皮をむいた茹で人参が丸々一本刺さっている。しかも厚さは3㎝ぐらい。生焼けにならないように注意して作った一品。サラダも山盛りで用意しており、山のような炊き立てご飯も完備。
作っておいて思ったことがあるが、間違いなく食べきれないと断言する。ハンバーグは三段目で十分で、ご飯も大盛りが限度。
「ぜんぜんへっちゃらだよ~!!!!いっただっきま~す!」
「お兄様、い、いただきます。」
ウララは笑顔で両手を合わせ、ライスは小さく両手を合わせて、ナイフとフォークを使いハンバーグを食べ始めた。ウララは大きく口を開けてハンバーグを口内に放り込む。ライスは一口サイズに切り分けて口の中に入れる。すると、ウララは目を輝かせて驚いていた。
「わぁ~!!すっごくおいしい!!桑原トレーナー!!ピーマンも苦くないし……なんでだろ~…?」
「えっとね?ピーマンはラップで包んでレンジでチンしたら苦みが抜けるんだって。あとは繊維に沿って縦切りにすると苦みが出にくいんだよ。」
「へぇ~!!!そうなんだ~!!凄いねライスちゃん!!!」
「う、うん。そういう本も読んだことあるから…」
「あはは。二人共、美味しい?」
「うん!すっごくおいしいよ!桑原トレーナー!!」
「うん。お兄様の作ったご飯、とっても美味しい!」
「よかった…」
ウララは満面の笑みで、ライスは照れながら感想を言った。それを見た自分は、仮に食べきれなくとも、この笑顔が見れただけで十分と思った。
「……二人共、明日から練習頑張れそうかい?」
「うん!ウララ、がんばる!!!!」
「も、もちろんだよ、お兄様。」
なお、料理は全て平らげてしまい、二杯ご飯をおかわりして、度肝を抜いた。
翌日、昨日はトレーニングをしなかった分を鍛えようと意気込むウララとライスの姿があった。練習用ジャージ姿のライスは、微笑みながら、ウララは笑顔で手を振りながら駆け寄ってきた。ウララは、普段より尻尾が強く降られていて、耳もパタパタと忙しなく動いている。
「桑原トレーナー!おっはよ~!!!」
「あ、お兄様!おはよう。」
駆け寄ってきたウララは普段にもまして元気が溢れていて気合十分な姿に、昨日の事は無駄じゃないと判断し、笑顔を浮かべた。
「おはようライス、ウララ。ウララ、今日はいつもより元気だねぶへっ!?」
「ウ、ウララちゃん、お兄様!?大丈夫!?」
「(え……なんでウララ、体当たりしてきたの…?もしかして、ピーマンが不満だったりして…でも…喜んでたし…)」
思わぬことに困惑して混乱していたが、抱き着くように飛び込んできたウララは笑顔で宣言した。
「桑原トレーナー!!わたし、がんばるからねっ!!!」
「よ、よく分かんないけど…が、頑張って。」
「うんっ!!よぉし!!がんばるぞ~!!!」
「お、お兄様、大丈夫なの?」
「うん。平気だよ……」
「あ…桑原トレーナー…ごめんね……ぶつかっちゃって…」
「これくらい大丈夫だって…さ、トレーニング始めようか!」
「は~い!!」
「うん!ライス…今日も頑張るね?」
ウララが体当たりしてきた理由は分からなかったが、練習に対して前向きなのは助かる。嫌々練習するのと意欲的に自ら進んで練習するのとは大きく異なる。もともと二人とも率先して練習に取り組むタイプのため、やる気があるのはいいこと。
普段通り準備運動から始めるように指示を出した。ふと、内心でこっそりと呟いた。
「(もっと体を鍛えなきゃな……僕も怪我したら元も子もないし…)」
こうしてウララとライスを育成する日々を過ごし、とうとう迎えることとなった。
ライスは終わっているが、ウララにとって初めてのレースである6月後半に行われるダートジュニア級メイクデビュー戦を。