日本皇国浪漫録   作:日本皇国浪漫録製作委員会

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最近寝落ち多いな


第2話「受け入れ難い事実」

 

未だに鉤十字の記章がどこの国のものなのか。どこから出撃したのか。皇国は総力を挙げて情報を掻き集めており、墜落した機体の残骸や流れ着いた死体から調査をしていた。

 

6月7日午前8時52分 千葉県から約50km離れた海域

皇国海軍の駆逐艦2隻と海上安全警備庁の警備船1隻と大型回収船1隻が昨夜の空戦の残骸や、死体を回収していた。

「右舷に漂流物を発見!」

警備船「海牛」の船員が漂流物を発見した。

漂流物は機体の胴体の後ろ半分まで残っており、回収船にクレーンで回収された。

残骸の尾翼部分には鉤十字の描かれており、やはりナチスを連想させる。

「まるでナチスだ…。」

「あぁ…まんまだ。」

「歴史の教科書で見たのと同じだ。奴ら、もしかして蘇ったんじゃないんだろうな?」

「いや、そんなわけないだろう…。」

船員達は回収物に困惑しつつも作業を進めていった。

 

持ち帰った回収物を皇国軍の調査機関が調査したところ、まずナチスに何らかの関係があるのは間違いないということ。

そして、機体の残骸から未知の物資が発見されたこと。地球上でまだ発見されていない金属が発見され、益々謎が深まった。

また機体の鉤十字からナチスの残党勢力のものだと考えられた。だとしても、残党勢力やテロ組織としてはあまりに強すぎるため国家レベルの勢力による犯行と断定された。

 

6月9日2時00分 ベルギー ブリュッセル NATO本部

皇国は少ない回収物から判明したことを本部で調査機関の代表が発表した。

回収した機体の残骸、搭乗員の死体や勲章、手帳などから世界を支配しようとしたナチス・ドイツそのものでナチスまたはそれに関係する組織による犯行とされた。

しかし、幾ら大量の武器を持つテロリストと言えども爆撃機や高性能な戦闘機数十機を持てるはずがなく、どの組織かは判明していない。

会議では組織が判明次第、壊滅させることを決定した。

 

6月11日午前9時02分パース オーストラリア・アメリカ海兵隊基地

市街地から数十キロ離れた場所にある基地。大型のレーダーなどがあり防空網として機能している。

ここでレーダーに複数の不明な機影が確認された。まるで編隊を組んでいるようだ。

そしてその瞬間基地内に響く空襲警報。数十発の巡航ミサイルが基地に接近している。

地対空ミサイルで迎撃するも完全に撃墜することはできず、レーダーに着弾。破壊されてしまった。

また、外にある機甲部隊の戦車・装甲車にも損害が出た。火災も発生し、消化班が消しに行っている。

そして10分後、司令部から出撃命令が出された。敵はパースに上陸すると思われる。その防衛のために機甲部隊とともに防衛線を築くということだ。

巡航ミサイルの攻撃で損害は出たものの無傷のものも残っているため、それでパース防衛に向かった。50両に及ぶ戦車、装甲車が基地から出撃する。

2個大隊の歩兵部隊はそれに追随して行った。

 

同日・午前10時05分パース市街地

陣地を築き、少しでも敵を食い止めるため戦力を市街地に集中させた。民間人を避難させるため基地の地下に搬入した。

無人偵察機からの情報によると識別マークに鉤十字と思われるマークがある2個連隊規模が上陸したという。

 

同日・午前10時17分パース市街地

敵軍は400mを前進。そのとき大通りに展開していたオーストラリア軍歩兵3個分隊が攻撃を開始した。

待ち伏せ攻撃で仕掛けられた爆弾で倒壊した建物に挟まれ敵軍の戦車2両、装甲車1両、トラック1両と歩兵1個小隊が罠にかかった。

家屋の2階や3階から対戦車ミサイルを発射し、戦車、装甲車を全て撃破。歩兵も掃射し7名の捕虜を拘束した。

その他の通りでも敵を誘い込み、罠にかからせ確実に仕留めた。

敵はこの時点で戦車4両、装甲車6両、歩兵2個中隊規模を失った。

 

同日・午後19時21分パース市街地

敵は空母から攻撃機を発艦させ、航空攻撃を行っている。沿岸周辺の街は艦砲射撃で瓦礫と化した。オーストラリア軍は敵軍の猛攻に耐えていたがジワジワと戦力が削がれていった。

しかしオーストラリア軍の増援の1個空挺連隊と2個機甲中隊がパース郊外まで到着。

その後、防衛をしていた第11歩兵連隊と合流する予定だ。

 

同日・午後23時44分パース市街地

11連隊と合流した後、待ち伏せや遅滞戦術で敵軍の前進を遅らせていた。迫撃砲による火力支援も効いているようだ。オーストラリア軍はなんとか攻撃を耐えていた。

しかし敵砲兵部隊による砲撃が始まった。ここでオーストラリア軍の野戦司令部と弾薬集積所に直撃。大隊長1名含む24名が死亡。弾薬も大量に失った。また、敵の空挺部隊の奇襲により2個小隊が包囲殲滅。パースの戦線に一気に穴が開けられた。

オーストラリア軍の11連隊とその合流部隊はパース中心の官庁街に集結。ここには大通りに市役所や警察署、消防署や大学病院、行政ビルが建てられている。

この大通りを次の防衛線とし、敵を迎え撃つ準備をした。

 

6月12日午前4時54分パース官庁街

パース官庁街で待ち構えているオーストラリア軍に爆撃が開始された。この爆撃で戦闘車両を何両か失う。爆撃が20分続いたあと、砲撃も始まる。爆撃で瓦礫になった官庁街を更に瓦礫に。もはや更地となった。

そして1時間後敵部隊が攻撃を仕掛けてきた。戦車や装甲車でオーストラリア軍を粉砕する。11連隊は無反動砲で反撃するも直ぐにやられてしまった。ここで1個戦車中隊が増援に来て攻撃する。

敵機甲部隊と激しい戦車戦となった。敵は重戦車も数両いるため一筋縄では行かなかった。

激しい戦車戦の末、結果的にオーストラリア軍戦車中隊は壊滅した。敵は数で攻めてきたのだ。

この日、パースはほぼ敵の手に渡った。

 

6月14日

日本皇国は在日オーストラリア大使館の大使からの要請で在豪日本人、邦人、オーストラリア人の救出を理由に派兵を決定した。

何せ、オーストラリアは皇国に鉄鋼を輸出していて皇国の基盤を支えている。皇国はこれらのことを踏まえて決定したのだ。

 

6月16日

NATOは緊急会議でオーストラリアに対する派兵を決定した。このことは世界に報じられた。派兵を決定したのはアメリカ、日本皇国、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、カナダ、スペイン、ニュージーランド、オランダ、ベルギー、シンガポール、ノルウェー、トルコ、ポルトガルである。

日本皇国では即応戦力として空挺1個連隊を派遣。任務は現地での偵察、敵の戦力評価、防衛を担うことになった。

 

6月18日

オーストラリアは既に半分が失われ、今も侵略されている。

敵は大規模な歩兵、機甲部隊、航空部隊、海上部隊でオーストラリア軍を撃滅していた。

そして皇国などの派兵をする国は既に準備をしており、戦車や航空機を輸送していた。

食糧、燃料、弾薬も輸送。皇国各地の港に集積していた。

 

10月11日

着々と物資の輸送が進められており、既にオーストラリア本土で戦闘に参加している部隊もいる。しかし、敵の大規模攻勢による戦況の悪化に伴い、ニュージーランドに物資が運ばれることになった。

この時点で52億トンの物資がオーストラリア、ニュージーランドの港に運ばれている。

数千に及ぶ軍事車両から幾つもある弾薬、数千万トンの食糧。兵士。これら全てが空、海を活用して運ばれた。

 

11月15日午前8時48分

横須賀、佐世保から編成された第一、第三艦隊が出航しようとしていた。

出航前に艦隊司令官が多くの兵の前に立ち演説する。

「我々は未知の勢力に侵略されている。今はオーストラリアが。多くの同胞がこの瞬間にも殺されている。しかし!我々が決して負けることはない!未知の勢力に侵略されようとも、皇国軍が先頭に立ち、戦い、そして勝利の狼煙をあげる!………各員一層奮励努力せよ!」

司令官の演説が終わり、艦隊が出航する。

兵達は家族の声援に送られて艦隊はオーストラリアを目指していった。

途中、マリアナ沖で米海軍の第七艦隊とカナダ海軍の艦船と合流して大艦隊になった。空には航空隊の直掩機が飛び、艦隊の上空を哨戒している。

第一艦隊の旗艦大和は艦隊の先頭を航行している。大和の甲板では水兵が艦隊を光景を眺めていた。

「おいあれアイオワじゃないか?」

「あぁあれはアイオワだな。世界の海軍の軍艦が集まるとは壮観だな。」

「そうだな。それにしてもアメさんの戦艦も大和に負けず劣らずデケェな。」

「まぁなんせ海軍力1位の実力を持っているからな。ホント同盟国で良かったぜ。」

「ハハハ…。まぁな。けどよぉ今オーストラリアを襲ってる敵、何もかも知らないのに大丈夫か?」

「大丈夫だろう。最悪、今の我々の兵器の技術にそう大差はないらしいし。でも、もしかしたらどっかの惑星から変な怪獣連れてきて来るんだろうな。」

「仮にそうなっても血が出るなら殺せるはずだぜ。」

「ハハハ、そうだな。」

また米海軍第一艦隊の旗艦アイオワでも乗組員達は合流する皇国第一艦隊を見ていた。

「お!あれは…ヤマトだな!」

「お前なんでわかるんだよ…。似たようなやつあるだろ?ほら……えー…………そう!ムサシとか!」

「いやぁ、日本に軍艦を擬人化したアニメとかゲームがあるんだ。それがめちゃ面白くてハマってたらついな。なんなら海軍に入隊したのもそういう理由だしな。ハハハハ!」

「お前はホントそういうの好きだよなぁ。」

「いやぁ、可愛いもんを好きになるのはいい事だぜ?お前だって女は好きだろ?」

「なんだお前。俺は至って健全だ。お前みたくアソコと脳みそが入れ替わってないんだ。」

「ハハハハハ!ま、そういうことだ。休憩は終わりだ。じゃあな。」

他愛もない話をして海の兵士達はニュージーランドのオークランド港に向かっていた。

このオークランド港に入港し停泊する予定でそこでも英海軍や、仏海軍などの欧州海軍とも合流する。

キーストーンのタスマニア島などに向かっている10隻を超える輸送艦や民間の輸送船には陸軍の歩兵師団や機甲師団が乗っていた。

また、空軍の第14航空輸送団等の航空輸送団が輸送機で途中空中給油で給油して、ニュージーランドまで飛行した。

 

11月19日午後20時15分

ニュージーランド、オークランド港や空港、軍事基地は各国の軍隊で埋め尽くされていた。タスマニアも同様、物資が次々に揚陸されていった。

その光景はまるでイラク戦争のようであった。

またホテルは兵舎として使われ、ありとあらゆるスペースに車両や弾薬などの物資が置かれた。

そして皇国陸軍の歩兵もオークランド港に到着。現地のホテルに入った。

「すげぇ綺麗なホテルだ。」

「あぁ帝国ホテルより煌びやかかもしれんな。」

「トイレは…綺麗だな。俺はトイレが綺麗じゃなきゃダメなんだ…。」

「まぁ一流ホテルだしな。しかしホテルに泊まれない兵士達は可哀想だな。」

「たしか部屋数が足りないから汚い民宿やラブホで寝ることになるからな。そんなとこじゃなくて良かったぜ。」

「そうだな。ま、できればこんな時にこういう一流ホテルに来たくなかったんだがな。」

「贅沢は言っちゃいけねぇな。今はこんな時だが楽しむしかねぇ。」

ホテルに泊まる兵士達は大満足のようだ。

このホテルや、倉庫の周辺にはペイトリオットが数十基や近距離防空ミサイルが数十輌ほど配備され、空を防衛しておりとても堅牢な守りとなっている。

 

11月25日6時30分

各国軍総勢56万人の連合軍はまだ占領されていない地域に到着した。

皇国陸軍の第4機甲師団はキャンベラに配備された。キャンベラは度重なる砲撃のせいで街は完全に破壊され瓦礫の山と化していた。

「酷いな…。」

第2中隊の中尉が12式戦車のキューポラから上半身を出して破壊された街を眺めていた。

この戦車大隊は戦線防衛の為に配備された。

「大尉、ここから400m先が最前線の塹壕がある地点です。向かいますか?」

「あぁ。俺と2号車だけ行く。後はこの場で待機だ。」

「3号車、了解。」

中尉達は塹壕へ戦車を走らせる。

「ここが最前線か。」

遠くを双眼鏡で見ていると米兵が話しかけてくる。

「Hey!ここは危険だ!下がって!」

「すまない。少し様子を見に来ただけだ。すぐ帰る。」

「敵のロケットランチャーや対戦車ミサイルが飛んでくるから気をつけろ。」

「忠告ありがとう。」

米兵と会話を終え、元いた場所に戻ろうとする。

その時、向こうからロケット弾が向かってくる。

「RPG!!」

運良く外れたがもう1mズレてたら砲塔が月まで吹っ飛んでいた。

「敵だ!どこにいる?」

「大尉!12時の方向、200m先の赤い壁の建物です!」

「あれか。HEAT装填。砲手、1発で仕留めろ!」

「了解。」

HEATを装填後、建物に向けて発射。建物の赤い壁はが崩れ落ちる。

「敵はいないか?」

「見えないですね。でもまだいるかもしれないです。」

「警戒しろ。また対戦車弾を撃ってくるかもしれない。」

「操縦手、ゆっくりと後退しろ。3号車の場所まで戻る。2号車、3号車の場所までゆっくり後退しろ。」

「2号車、了解。」

砲口を赤い壁の建物に向けながら3号車が待機している場所までゆっくりと後退する。いつ対戦車弾を叩き込まれるかわからない。

後退して建物の影まで隠れると緊張もほぐれ安堵する。

無事3号車がいる場所まで後退することができた。

 

11月26日

この時、連合軍は約5500輌の戦闘車両を送った。この戦いに完璧に勝つためだ。

情報によると敵の陸軍戦力は4個機甲師団、10個歩兵師団、海軍戦力は2つの主力艦隊と海軍所属の1個航空団、空軍戦力は4個航空団だ。総勢21万人だ。

数にはだいぶこちらに分がある。

2日後の朝、オーストラリア奪還作戦の第一段階である「アボリジニのブーメラン作戦」を開始としようとしていた。

ここでオーストラリア奪還作戦を説明すると

第一段階が制空権等の確保。第二段階が制海権の確保と謎の黒い物体の発見、確保。第三段階が地上戦だ。

先程言った「アボリジニのブーメラン作戦」はもちろん命名したのはアメリカだ。

この作戦は制空権の確保とレーダーサイトの破壊を目的にしている。

これは第二、三段階の地上と海上での戦いに備える為だ。

アボリジニのブーメラン作戦にも段階があり、制空権の確保後すぐに爆撃機と攻撃機による空軍基地の爆撃が開始されることになっている。これは敵の航空戦力を完全に潰すということである。

空からの援護は地上と海上を作戦する部隊に絶対必要になる。

連合軍にとってこの作戦は何としても成功させたかった。




眠い

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