魔法を使って人気者になりたいっ! 作:いちごみるく
遂にやって来ました入学式。「これから私の輝かしい高校生活が始まるぞ」と、意気込んでいたのだが、まずはこの珍獣をどうにかしなければ……
「ノアさんですか?ノアさんですよね?そうですよね?ここに居るってことはノアさんも櫛谷高校に入るんですよね?やった嬉しい!私も櫛谷高校に入学する予定なんですよ!ノアさんのこの間の動画は見ました。やっぱり可愛らしい見た目でポンコツなところがいいですよね!それなのに戦闘能力はすごくて──」
「……」
やばいどうしよう帰りたい。人気者になる事を夢見たことは認めるが、こんなヤバいやつに目をつけられるなんて思っても見なかった。
というか、名乗ってもいないのに名前を知られている恐怖は筆舌にし難いものがある。
この珍獣は、(自称)魔法使いマスターの長谷川と言うらしくて、魔法使い──特に同年代──の動画は全て確認しているのだとかなんとか……凄いなお前……
それより、どうやってお帰り頂こうか、この頭脳明晰なノアちんをもってしても皆目見当もつかぬでは無いか。
「──そういえば、ここの新入生で魔法使いが6人も居るらしいんですよ!私が確認できているのはノアさんとユキさんとマイさんだけなんですけど、他にも3人も居るんですよ?ここら付近で活躍しているとなると、サラさんとかハルさんとかですかね?あ、でも動画投稿すらしていないまだ見ぬ魔法使いということも捨て難い……ノアさんはどう思いますか?ノアさん……?」
「……?」
なんか尋ねられているっぽい。けど、なんも話聞いとらんかった。だって、話が長いのだもの。途中でユキちゃんとマイちゃんの名前が出たことは辛うじて覚えているけれども……
うん、解らんわ。こういう時は伝家の宝刀!
「うんうん、そうだね」
……決まったッ!
「あ、もしかして聞いてませんでしたか……?私が1人で熱くなってしまって……申し訳ありません。あぁ、推しに嫌われてしまった。うん、一旦死のう……」
……決まってなかった。というか、このままでは私が自殺の理由になってしまう。それだけは避けねば……でも、珍獣を追い払うことは成功するからやっぱり良いのでは……?いや、良くないな。うん。
「はやまらないで、お願い」
「ん?今なんでもするって……?」
「言ってないからね?」
こいつ、やっぱりヤバい。誰か……哀れな私めを助けてください。何でもしますから……
「ありゃ?そこに居るキミはノアちんじゃない?」
!?この声は……永村さんちのユキちゃんじゃありませんか!やはり信じるものは救われるんだね。
「ユキちゃん!助かっt……ヒェッ」
「お?ノアちんと話してたのはユミちゃんか、中学校ぶりだね!」
「あぁ……推しが推しに抱き着いている……勝ったな、入学式参加してくる。ガハハ……」
「ありゃりゃ、暴走モードに突入してるよ……ま、いいや、ノアちん行こっか」
「……」
「ノアちん?……こっちもダメっぽいなぁ……はいノアちん歩いてねぇ〜」
「……」
背中が……背中が……
うぃなー:永村さんちのユキ
:珍獣 長谷川由美(無事尊死)
るーざー:アホの子ノア(背中に何かが触れる度にフラッシュバック。姿勢が良くなった)