魔法を使って人気者になりたいっ! 作:いちごみるく
※9月30日23時、1部と2部をまとめました
prologue-1
「始めっ」
1月18日、県内の市民ホールでは受験が間近に控えた中学生達が模擬試験を受けていた。
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「始めてください」
試験官が模擬試験の開始の合図をすると同時に、俺は解答用紙に自らの氏名である『
今は今日の模試の最後の科目である近代魔史の回答時間だ。
近代魔史とは、約150年前から
【問1ー1.魔物が初めて観測されたとされるのは何年前か。算用数字で答えなさい】
魔物が初めて観測されたのは今から148年前のアメリカのマンハッタンだとされている。
この出来事以降、世界での観測数がどんどん増えていき、今では日本だけでも、1日に約100000体以上の出現が確認されている。
【問1ー2.魔法協会で発表された、魔物が出現する原因を答えなさい】
魔物がこの世界に出現し始める3日前、世界中で何かが破裂したような音が響いたと記録されており、それが魔物が出現する原因だと言われている。
また、魔物が出現する瞬間を記録した映像も公開されており、その映像では空間から魔物の肉体が、小さな穴から膨れ上がるように出現するため、『異世界の生命体が世界の壁を破壊して、その穴から侵略している』と言うのが今の定説だ。
【問1ー3.魔物討伐で報奨金が出る理由を2つ答えなさい】
魔物討伐には報奨金が出るのはよく知られている。理由の1つ目は、魔物が世界の脅威となるからだ。そして2つ目は、魔物を倒した後に残る魔石がエネルギー源として活用されているためだ。
魔物は死んだ後に肉体は残らないが、体の中にある高エネルギー体の魔石を残す。その魔石からエネルギーを取り出す方法が110年前に確立されてからは、魔物討伐の報奨金の支払元が税金から魔石発電所に切り替わり、国の財政が回復したと聞く。
【問1ー4.魔法使いの種類を大まかに分けると3種類になる。それぞれの名前を答えなさい】
魔法とは、魔物が使う魔術を模倣し、人類用に昇華させたものだ。
人類は魔法は使えないものとしてオカルト的に考えていた。それが変わったのが140年前に英国のルシード氏が発表した『魔法は存在するよ(意訳)』だ。
ルシード氏は魔物が魔術を使うのを見て、魔法が存在すると仮定し、魔法発生に必要なエネルギー源の発見を目指した。その結果、エネルギー源は見つけることが出来なかったが魔法を発生させることに成功し、学会で発表した。
その後、世界中で魔法を研究した結果、魔法を使うには専用の器官が必要であり、空気中に存在する魔素を使って魔法を発生させることが出来ると判明。
また、魔法使いには、初めから実用段階の魔法器官を所有している『天然型』。
魔法器官を所有しているが小さく、修行することで実用段階に到達する『養殖型』。
体が突然変異していきなり魔法器官が発生する『特殊変異型』の3種類が居ることも同時に判明した。
ちなみに、魔法器官を所有している生まれる確率が1%、そのうちの95%が養殖型で残りの5%が天然型である。特殊変異型は3億人に1人居るか居ないかという確率だ。そして、魔法使いの強さは一般的に希少性に比例する。
【問1ー5.魔法使いが全員使える一般魔法を4種類全て答えなさい】
魔法には、魔法使い全員が使える『一般魔法』と特定の個人が使える『固有魔法(別の人と被りあり)』がある。
一般魔法は、種族ごとに使える魔法とされており、例として、人の場合は『治癒力増加』と『身体能力強化』と『魔力撃』、獣型の魔物の場合は『探知』と『身体能力強化』と『魔力斬』だ。
そして人には、この3つの他にあと1つ、偉大なる魔法使い達が命を賭して世界に刻み込んだ魔法がある。
100年前、『特殊変異型』の魔法使いだった人達が、多くの固有魔法を駆使して、自身の存在の全てを生贄にして、人の魔法使いが魔物と戦う時、周囲への被害を無くすために、仮想世界を作り出す魔法を得た。
それこそが4種類目の一般魔法である『対魔物領域』(名前くそダサい)だ。
くそダサい名前に反してその効果は絶大で、領域内の中継と、領域内に限り魔物の居場所やHPなどのステータスの感覚的な理解をもたらす。
この魔法のおかげで死傷者は減り、魔法使いたちの戦いを一般人でも観戦できるようになった。
この中継の存在により、魔法使いに憧れる子供は今でも後を絶たない。 かくいう俺も魔法使いに憧れた1人だ。まぁ、魔法使いになるには魔法器官が必要ということを知って諦めたのだが。
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試験時間60分のうち45分をかけて回答を終えたので、見直しを開始する前に体を解す。
肩を2周3周回すと頭に激痛を感じて意識を手放した。
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目を覚ますと知らない天井と、こちらを覗き込むような看護師の顔が目に入った。
「目を覚まされましたか?ご自分の名前と何をしていたかなどを言えますか?」
「えっと……自分は山野乃蒼です。模試を受けていたら頭痛で倒れた……と思います」
「分かりました。今医師を呼んでいますので楽にしていてください」
寝起きだからか声と体の感覚に違和感がある。医師と言っていたから、やはりここは病院のようだ。
看護師に言われた通りに楽にしていること1分少々、頭皮が輝く50歳くらいのおじさんが病室に入ってきた。
「山野さんの担当医師をします宮内です。山野さんに現在判明している事を説明します。その後に精密検査が必要なので受けてもらいます。ここまでは大丈夫ですか」
「えっと……はい」
「はい、それでは分かっている範囲で説明します」
宮内医師の説明によると驚くべきことが分かった。
まず1つ、体の性別が男から女に変わっていると言われた。声と体の違和感の原因がこれだそうな。TSとか……わけがわからないよ/人・ω・人\
放心しているとさらなる事実が、なんと今回の原因は魔法器官発生における身体構造の変化によるものである可能性が高いということ。
これを聞いた時、自分に眠りし力が目覚めただとか、これで人気魔法使いになれるだとかを考えて興奮した。思わず「ひゃっほー」と叫びたくなってしまったではないか。
俺は主人公であるぞっ!主人公様であるぞっ!っていう気持ちが強すぎて、正直、1つ目のTSとかどうでも良くなった。
その後、ルンルン気分で精密検査を受けて、魔法器官の発生の確認と生活に支障がないことが分かったので、迎えに来た母親と我が家に帰還した。「精密検査の細かい結果は2週間後までに用意するからまた来てくれ」と言っていた宮内医師の疲れた様な顔が印象的だった。
ちなみに、魔法使いの登録と魔法の確認などを行う研修は3月から行うと聞いた。
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我が家に到着したのは21時頃、22時には父親も帰って来て、母親と3人で晩御飯を食べた。晩御飯はハンバーグだった。
母親も父親も 息子だけじゃなくて娘も欲しかったとか言ってTSについて喜んでいたし、息子──娘?が魔物と戦う名誉ある職に就けることも喜んでいたのでよかった。戦うことに両親が理解を示してくれたから、思う存分魔法が使えるぞ。
だがしかし、自分のことを一人称で『俺』と使った時に『私』にしなさいと怒られた……解せぬ。
魔法使いの強さは、身体強化の倍率・固有魔法の有用性等で判断され、精神的な強さは含まないものとする。
魔法使いによる犯罪は描写しない可能性が高いが、相当数あるものとする。