魔法を使って人気者になりたいっ! 作:いちごみるく
時刻は8時20分、教室前、集合は8時45分なので遅くも早くもない、周りに溶け込むにはちょうどいい時間だ。
今日の為に女子用の制服をレンタルしてもらったので、準備は万端だ。スカートについては既に何度も履いていて違和感を感じない。
深呼吸をして教室の扉に手をかける。
こういうのは勢いが大事なんだ。ただでさえ2ヶ月弱も学校を休んでるのだし、目立つのは当たり前、TSのこととかは勢いで誤魔化すに限る。…………あれ?ギリギリに登校して質問をする暇を与えない方が良かったのでは?
考えても仕方ない!教室前に何時までも留まる訳にもいかないし、さっさと入るか。
「……おはようございます」
一言挨拶して、さっさと自分の席である窓側前方に向かう。
自分の方を見られている気がして落ち着かないのでそそくさと席に座る……と、横から人が近付いてくる気配ッ!
「あれ?教室間違えてない?」
え?……え?間違えてないよね?慌てて教室をキョロキョロ見渡すと、黒板に書いてある『3年4組卒業おめでとう!』という文字が目に入った。
うむ。我は3年4組だ。間違えてなどいない!
教室を間違えているとか言ってきた不届き者は……確か……ふ、ふ……
ちなみに、出席番号順の席では左隣だ。
そもそも此奴がここにいる時点で教室を間違えている可能性皆無じゃん。キョロキョロしてたの変に思われてないかな?
「…………間違えてないです」
「んぇ?こんな子居たっけなぁ……もしかして君、山野さんか?」
「はい……」
「そうか、クラスメイトの顔を忘れていたみたい。ごめんね」
「はい……」
「邪魔したな」
そう言って藤畑はクラスメイトの輪に戻って行った……あれ?反応それだけ?私は凄い気不味かったのに。こちとら性別も顔も声も変わったんやぞ!
元男の山野と、見た目女の私を瞬時に結びつけるとは……まさか、これまで存在自体認識されていなかった?
いや、ありえないな。最低でも9ヶ月も同じ教室に居たんだもんな。藤畑の直感が凄かったんだろう。うん。
そうと決まれば読書でもして時間を潰しておくか。
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その後、45分になるまで本を読んでいたが、チラ見されることはあっても、凝視されたり話しかけられたり、陰口を言われたりしてるようなことはなかった。
まさか、本当に認識されていなかったなんてこと……ないよね?
※補足
・修学旅行の部屋班等で同じになった人達は、全員別のクラスです。
・主人公は基本的に勉強だけをしていたので、周囲との会話は今まで無かったので周りの印象には……
・主人公はコミュ障ではありません……多分。気不味さで声が小さくなっただけです。