アンダードッグは負けられない~噛ませ犬が四つの異世界の間をループしながら【主人公】と共に世界崩壊級の事件へと挑むそうです~   作:三上 一輝

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初投稿です。


00 とある作者の戯言

 ――メアリースー、と呼ばれる用語を知っているだろうか。

 二次創作において、原作のキャラを差し置いて、過剰に持ち上げ描かれる作者自身を投影したかの様なキャラクター、及びそれが活躍する展開などを揶揄(やゆ)した言葉である。

 場合によっては一次創作――オリジナル作品のキャラに対してや、ただ自分が気に入らない作品を叩く時の蔑称(べっしょう)としても用いられる事もあるが、それは置いておこう。

 基本的に、他人様(ひとさま)の作品を貸してもらう上で、気をつけなければならない行為であり、チラシの裏に書いている分には兎も角、若気の至りで世に出してしまった場合、猛烈に忌避されて叩かれる結末が待っているだろうし、それで苦い経験をして黒歴史になった人間も多い事だろう。

 

 ……だと言うのに、此処にも一人。

 そんな罪深い行為を行おうとしている作者がいた。

 

 巨大な図書館。

 その内部にあるホールの中心。そこに存在する豪奢(ごうしゃ)な机に座る男の目の前には、乱雑に開かれた四冊の本がある。

 その四冊の本は、それぞれが全く別の世界観の無関係な物語である。

 ただし、その本の内容には、一つの共通点があった。

 それは、何れの本もバットエンドで終わっている、ということ。

 異能を用いた戦いが発生し、主役の彼、若しくは彼女が、作中で起きる問題を解決出来ずに死亡し、その結果として世界が滅びてしまう。それが共通点だ。

 もしも、嘗て妄想の赴くままに創作をして、その結果を黒歴史として恥じている人間がこれらの事実を見ていれば、そろそろ嫌な予感に胃が痛くなって来たことだろう。

 そして、その嫌な予感は正に的中している。

 

 立派な机に腰掛けて、一端の物書きぶっているこの男は、あろう事か全く別の世界観の物語四つを組み合わせた挙句、そこにオリジナルの主人公を投入しようとしているのだ。

 男が物語を作るのが始めてである事を鑑みれば、核地雷染みた代物が出来上がることはほぼ疑いようもなく、もしも物書きの神なるものが存在するのならば、男の頬に全力で右ストレートをぶち込んででも止めようとする行為だろう。

 しかし、非情に残念なことに男の暴挙を止められる人間はどこにも居なかった。

 

 ――なぜならば男の周り、いや男の居る世界には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 

 何処とも知れぬ、億や兆程度では到底数え切れぬほどの本が置いてある奇妙な場所で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は、手に持つ四つの(世界)を、弄び始めた。

 まるで神のような傲慢さと、悪魔のような悪辣さに、僅かばかりの同情心を抱いて、男は物語に主人公を描き出す(投入する)

 

 ――喜ぶがいい(絶望しろ)

 君こそが私の物語の主人公(我が操り人形)

 4つの世界の終末に挑む(敷かれたレールの上)という艱難辛苦の道を行く(をひた走るだけの)輝かしい英雄(哀れな道化師)

 だから、どうかこの旅路の果てに君が()()へ辿り着いてくれる事を切に切にと祈っている。

 

 どことも知れぬ場所で、男はありったけの神聖さと邪悪さと共にそう願った。

 

 

 そうして物語は始まった。

 

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