【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
藤原ロングウェイと申します。
この作品を開いたということはお姉ちゃんスキーですね、わかります。
同士の方々、そうでない方々もよろしくお願いします。
まずはじめに。
・ただブラコンウマ娘と弟のやりとりが書きたかっただけなので「今はいつの何月なの?」とか「中等部の○○の弟がトレーナーって、弟何歳なんだよ」とか話の山場とかオチなどを気にされる方には合わないと思います。
・弟が何歳か、どんな外見かは読者さんの想像にお任せします。ショタでも学生でも沖野さん風でも。この作品は不思議時空で出来ております。
・あくまで私のイメージするブラコンウマ娘(姉)であり、実際のウマ娘とは異なる可能性があります。
・ブラコン姉っていいよね!
俺の名はアスカ。今年からトレセン学園でトレーナー業をすることになったものだ。
本来なら新人トレーナーは担当ウマ娘を見つけ出すためにかなりの苦労をするものだが、俺は縁故ですでに担当ウマ娘(それも超がつくほど優秀)が決まっているのでその心配はない。
しかし、それでいいのだろうか。
自分で将来有望なウマ娘を見つけ出すこともトレーナーとしての必須能力なのではないだろうか。
あとかわいくて巨乳のウマ娘とも雑談を交えながら仲良くなりたい!
このままではいけない!
そこで模擬レースで勝ちきれず誰からもスカウトされていないが、それでも腐らず頑張っているウマ娘たちを観察し、光るものがありそうな(巨乳の)子に声をかけようと思っている。
新人トレーナーは基本的に一人しか担当をもてないが、担当にはなれなくとも練習を見てあげることくらいはできるしな。
というわけで、練習場でいい感じの走り(と胸)をした子を見つけたので声をかける。
「ちょっといいかな?」
「はい? なんですか?」
「えっと、大丈夫、俺は怪しいものじゃない」
「……ぷっ。あははは! トレーナーバッジつけてるんだから怪しいものじゃないくらいわかりますよぉ!」
「だよねー! あははは!」
二人で笑い合う。
なかなかいい感じのスタートではなかろうか。
「……もしかして、その、スカウト、とか?」
ウマ娘ちゃんが上目遣いで恐る恐る言う。
「あーすまない。スカウトではないんだ」
「……はぁ。ですよね。私、大した成績残してないですし。何の用ですか?」
ガックリしているウマ娘ちゃん。
期待させてごめんね。
「いや、スカウトではないんだけど、君、いいもの持ってると思うんだよね」
「…………え!? 私ですか!?」
俺の言葉にウマ娘ちゃんがびっくりしている。
「もちろん。だから君に声かけたんじゃない」
「え、えぇぇ……ちょっと信じられない。えっと、ちなみに、どこが良かったですか?」
「さっきの模擬レースの最後の直線、良かったよ。ただスタミナが持たなかったね。でもあのスピードを維持できればいいとこまでいけるんじゃないかな」
あと顔もかわいいし胸も大きいし! とはさすがに言わない。
「わぁ! 誰かから褒められたのなんて久しぶりでなんかすごい嬉しいなぁ! えへへ!」
本当に嬉しそうな顔をするウマ娘ちゃん。
ここにいるってことは地方ではエリートだったはずなんだけど、トレセン学園はレベルが違うからなぁ。
燻る子も多いのが実情だ。なんとかしたいもんだが……
「それで、俺は担当ウマ娘いるから担当にはなれないんだけど、君に合った走りをアドバイスすることくらいならできると思うんだよね」
「え、アドバイスもらえるんですか!? トレーナーさんから直接!?」
この子が驚くのも無理はない。
スカウトされないレベルのウマ娘たちは基本的に自主トレするしかない。
しかし、その自主トレが自分に合っているのか、他に優先することがあるのでは、そもそもこのトレーニング方法は本当に正しいのか等の不安が常につきまとう。
そこに新人とはいえトレーナーが自分の走りを見て直接アドバイスしてくれるのだ。
色々模索中のウマ娘にはかなり美味しい話である。
「ぜひ! ぜひお願いします!」
「よし、じゃあここで立ち話もなんだし、カフェにでもいって──」
ビュン……ザンッ!!
「「!?」」
突然すごい勢いで飛んできた何かが足元に突き刺さる。
こ、この
「姿が見えないと思ったら……私を放っておいて、ここで何をしているんですか、トレーナーさん?」
ここでグラスワンダーぁぁぁ!!(実況風)
そこに立っていたのは俺の担当ウマ娘であるグラスワンダーであった。
顔はニコニコ笑っているように見えるが、目は全く笑っていない。
「や、やぁグラス。今日はオフだからゆっくりしてね、と伝えたはずだけど……?」
「ええ。オフだからトレーナーさんとゆっくりしようと思っていたんですけど、姿が見えなくて探していたんです」
「そ、そうだったのか。悪かったねグラス。でも薙刀を投げるのは危険が危ないんじゃないかなーって──」
「そしたらウマ娘をナンパしている男性が見えたもので。まさか、私の、トレーナーさんに限って、そんなことはないと、思っていたんですが……残念です」
その言葉に、ウマ娘ちゃんは突然顔面蒼白になりブルブル震えだす。
「あああああ、あの、もしかして担当されてるウマ娘って……」
「え? ああ、ここにいるグラスワンダーだよ」
「も、もうしわけありませんでしたぁぁぁぁぁ!! もう二度と関わりませぇぇぇぇぇん!!」
そういうと、俺が声をかけたウマ娘ちゃんは猛ダッシュで向こうへ消えていった。
「ああ! 待って!」
「トレーナーさん。ちょっとお部屋でお話しましょうか?」
「いや、でも、グラス」
「……
「
「うん、いい子ね」
笑顔を見せて歩き始めるグラス。
そう、最初にいった縁故採用というのは単純に俺がグーねぇ、つまりこのグラスワンダーと姉弟だったというだけの話だ。
俺の部屋に入るなり、グーねぇは仁王立ちになる。
「座りなさい」
「はい」
素直に正座する。
「さて、アスカ。まず、申し開きはありますか?」
「いや、聞いてよグーねぇ」
「言い訳は男らしくありません」
一刀両断。
えぇ……まだ何も話してないんですけど……
そもそも申し開きはあるかって聞いたのはあなたですよね?
「いいですかアスカ。男子たるもの、弟たるもの、姉を大事にせねばなりません。日本では古来より『年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ』という言葉があるように──」
また始まった……これもう百回くらい聞いてるんですけど……
「アスカ、聞いてますか?」
「聞いてます。でも俺の話も聞いてよグーねぇ、いや、聞いてください姉さん」
「……いいでしょう」
グーねぇが俺の目の前で正座する。
「ぶっちゃけた話、俺は今、縁故で強いウマ娘、つまりあなたの担当になった姉の七光の卑劣なクソ雑魚ナメクジトレーナー扱いされています」
「むっ! 聞き捨てなりません。トレーナーになるためのアスカの今までの努力は私が一番よく知っています。許せません」
いつも笑顔のグーねぇの顔が怒りですごい形相になる。
そしてすっとどこからともなく薙刀を取り出す。
「誰がそんなことを言っているのですか。姉として成敗します」
「(同期の大半が首を刎ねられることになるので成敗はしなくて)いいです。えっと、話を戻します。俺がアドバイスをして他のウマ娘が頭角を現したら俺もトレーナーとしてまともな能力をもっていると判断してもらえると思って、それで声掛けをしていたんです」
「……つまり、ナンパではない、と?」
「然り」
グーねぇはフム……と言いながらあごに手を当てて考え込む。
「……そうですか。ごめんなさいアスカ。私が早とちりしてしまったみたいね」
「わかってもらえてなりよりです」
「てっきり私以外の顔もかわいくて胸も大きいウマ娘と親しくなって、うまぴょい(意味深)からのうまだっち(意味深)を企んでいるのかと……」
「わ、わかってもらえてなによりです」
かわいい顔して言うことがとんでもねぇなこの
いや、まぁ、これっぽっちも考えていなかったかと言われればアレですけどね。
「ちなみに、もしナンパだったらどうしてました?」
「その場合は……」
「場合は?」
「短刀を渡して『腹を切りなさい』と言っていたかもしれないわね」
「ヒェ……」
「大丈夫よ。弟の落ち度は姉の落ち度。責任をとってあなたの介錯をした後、私も後を追う所存です」
大丈夫じゃないです。
むしろ大丈夫な箇所が一つもありません。
「……プッ。クスクス」
俺がブルブル震えていると、いかつい顔をしていたグーねぇが突然笑い出す。
「冗談です」
「……へ?」
「ウフフフ、アスカをからかうのが楽しくて、つい……ごめんね」
「じょ、冗談! 冗談ね! やだーなーもーぐ-ねぇってばー! 弟すごいびっくりしちゃったよー!」
「まぁ嘘だけど」
「…………」
「…………アハハハハハ!」
「はぁ……」
大笑いしているグーねぇ。
これだもんなぁ……
「あー楽しかった。じゃあ、今日は何をしましょうか?」
「えっと……?」
「言ったでしょ? 『オフだからトレーナーさんとゆっくりしようと思っていた』って」
「あーそういえば最初はそういう話だったねぇ……」
衝撃の展開が続いたから忘れてたよ。
「じゃあゲームでもする?」
「ゲーム?」
「そう。ウマ娘武将になって国を守るために敵をバッタバッタと倒していくやつ」
「……面白そう。一緒にできるの?」
「当然」
「じゃあいっしょにやりましょう!」
さてさて、本当はスカウト業務のあとは海外で発表された論文でも読んだり新しいトレーニングの研究でもしようと思ってたんだけど。
「ん? どうしたのアスカ?」
首を傾げ、俺を見つめるグーねぇ。
まぁ、たまにはこんな日があってもいいだろう。
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