【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯   作:藤原ロングウェイ

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素敵なお姉ちゃんが増えますよ!(緑の眼鏡風)
エアグルーヴ(姉)が実装! 所有スキルは【無自覚ブラコン】です!


エアグルーヴ(ブラコン度:B+)と弟の場合

 私はナリタブライアン。

 トレセン学園に所属しているウマ娘であり、なぜか生徒会の副会長でもある。

 今日は生徒会室で仕事があるので向かっている最中だ。

 本当はめんどくさいからエアグルーヴに丸投げしたいところなんだが『次すっぽかしたらカフェテリアの食事をBランチ(野菜マシマシ)しか頼めんようにするからな!』と脅されてな。

 私にとって肉大盛りのAランチが食べられなくなるのは死活問題だからな。

 もしかすると本当にやるかもしれんと思わせるところがエアグルーヴの恐ろしいところだ……

 

 そんなことを考えながら歩いていると、目の前に一人の男が歩いていた。

 アスカトレーナーだ。

 私はトレーナーの顔や名前などあまり興味がないんだが、こいつに関してはさすがに覚えてしまった。

 なにせあの【女帝】エアグルーヴのトレーナーにして()だからな。

 エアグルーヴも速いがなかなかレースで優勝はできていなかった。

 それがこの男が新人トレーナーとして入学してきてエアグルーヴの担当になった途端に目に見えて勝率が上がったからな。

 それに他のトレーナーや担当外のウマ娘からも悪い噂は一つもきかないし、非の打ち所のない優秀なトレーナーという評判らしい。

 ……ただ一つの欠点を除けば、の話だが。

 

 生徒会室のドアの前でアスカトレーナーが何やらゴソゴソ動いている。

 ネクタイを緩めて、シャツも着崩している……?

 

「ルーねぇー、お邪魔するよー」

 

 ドアをノックすると、少ししてエアグルーヴが出てくる。

 そしてゲンコツを振り下ろす。

 

「いてぇ!?」

「学園内でルーねぇはやめろと何回言えばわかる、このたわけ」

「へいへい」

 

 再度エアグルーヴの拳がアスカトレーナーの頭に落ちる。

 

「返事は『ハイ』で一回だ、たわけ」

「叩かなくても……」

「言ってわからんのであれば力でわからせるしかあるまい」

 

 腕を組んでそう言い放つエアグルーヴだが、今度はジロジロとアスカトレーナーの格好を見回す。

 

「……なんだそのネクタイは。私の弟でありトレーナーなのだから身だしなみはしっかりしろ。恥をかくのは私なのだぞ」

「すいません」

「シャツも出ている! 全く、お前というやつは……我が弟ながら恥ずかしい」

 

 そう言いながらエアグルーヴはアスカトレーナーのネクタイを締め直し、シャツをまくりズボンに入れていく。

 ……まさか、このためにわざと着崩していたのか。

 

「……で、何の用だ? 今日は生徒会の重要な仕事があるからトレーニングは中止だと伝えたはずだが?」

「ルーねぇの顔を見に来ました」

「……たわけ」

 

 これが顔を赤く染めながら言っていれば恋人同士でじゃれ合っているようにも見えるが、エアグルーヴの冷たい瞳がそうでないことを物語っているな。

 

「じょ、冗談! 冗談ですって! 今日の晩御飯は何食べたい?って聞きに来ただけ! すぐ撤収します!」

「…………はぁ。そうだな、なら魚だ」

「じゃあサンマにしようか。旬だしね」

「これで用は終わったな。さっさと戻れ」

「はいはーい、じゃあまた後でねー!」

「ハイは一回だ!」

 

 エアグルーヴに怒鳴られながらアスカトレーナーが去っていく。

 見ていて恥ずかしいを通り越して、いっそ清々しいほどのシスコンだな、あの男は。

 アスカトレーナーがいなくなったのを見届けてからエアグルーヴに声をかける。

 

「よう」

「おお、今日はちゃんと時間通りに来たなブライアン。入ってくれ」

 

 エアグルーヴに先導され部屋に入る。

 

「今日は会長が外出されているので我らで業務を行わなければならん。まずこの資料に目を通してくれ。問題なければサインを。次に──」

 

 げっ、この量をやるのかよ……

 もしかして自分の分まで私に振る気じゃあ……と思いエアグルーヴの机を見るも、私の机にある以上の資料が置いてある。

 ま、そりゃそうだな。

 

「この通り、なかなかの量がある。早急に取り掛かるぞ」

 

 

 

 一時間ほど経ったが、まだ半分以上残っている。

 適当にサインしてさっさと終わらせたいところだが、さすがにそれは問題があるしな。

 ……しかし肩が凝ったな。

 雑談でもして少し休憩するか。

 

「そういやさっきアスカトレーナーが来てたな」

「……ん? ああ、見られていたか」

 

 エアグルーヴがはぁ、とため息をつく。

 

「わざわざ私の顔を見に来たり、夕飯を聞きに来たり、いつまで経っても姉離れできなくてな。困ったものだ」

 

 エアグルーヴはそう言ってコーヒーカップに手を伸ばす。

 よし、このまま休憩に移行するか。

 

「つい先日も部屋にいったら散らかっていてな。掃除したのは先週の話だぞ? 全くだらしのない……仕方ないからまた一緒に掃除をしたが」

 

 ……ん?

 わざわざ部屋の掃除をしてやっているのか?

 こいつが?

 

「他にも昼食を作ろうと思ったら冷蔵庫の中に何も入っていなくてな。仕方ないから商店街まで行って買い物をしてから料理をしたが」

 

 ……【女帝】エアグルーヴが買い物をして料理を振る舞う。

 申し訳ないが想像できん。

 

「靴下は脱ぎっぱなし、布団は敷きっぱなしで汚れているから洗濯もしなければならなかったし……結局私がいないと何もできないのだ」

 

 はー困ったものだーとか言いながらコーヒーを飲むエアグルーヴ。

 ……これはなんの話をしてるんだ?

 姉と弟の話か? それともどこぞの恋人か夫婦の話なのか?

 

「もちろん良いところもあるが、ダメなところを上げればきりがない。いったい誰に似たんだか……あれで学園内での評価が高いというのが信じられん」

「しかし面倒見が良くて指導もわかりやすいと評判みたいだぞ。キャーキャー黄色い声を上げてるウマ娘も見たことがあるし」

「はぁ? あいつがぁ?」

 

 エアグルーヴが全く理解できないという顔をする。

 

「顔立ちはまぁ悪くないが、だらしないぞ? 私は慣れてるが。それにさきほど言ったとおり家事は料理以外全滅だ。仕方なく私がやっているが。他にも寝言は多いし寝相は悪いし最悪だ。私はもう慣れたが。他にも──」

 

 延々とアスカトレーナーの悪い点を上げているが、なんなんだ必ず言葉の最後につく『私は○○だが』ってのは。

 どう聞いても『自分しか弟を受け入れられる女はいない』と言っているようにしか聞こえん。

 

「……エアグルーヴ、お前、ブラコンと言われたことはないか」

「っ!? 何か知っているのかブライアン!」

 

 すげぇ食いついてきたぞ。

 

「いや、なんとなくそう思っただけだが……」

「そうか。いや、実はな。『エアグルーヴは重度のブラコンなのではないか』などという信ぴょう性皆無の噂が学園内に流れていてな。なぜ、どこからそんな噂が流れることになったのか調査しているところだ」

「…………そうか」

 

 こいつ、自分がブラコンであることに気付いていないのか……

 

「火のないところに煙は立たず、とは言うが、心当たりが全くなくてな。周囲のウマ娘たちからも『副会長って弟さんお好きなんですか?』などと声をかけられて正直困っている。まぁ私をからかっているだけなのだろうが」

「…………そうかもな」

 

 私の前で炎が燃え上がっているんだが、これで煙が立たないはずがないだろうに。

 

「もし噂の出どころがわかったら私に教えてほしい」

「…………ああ」

「頼んだぞ。さて、手が止まってしまったな。再開するか」

 

 作業を再開するエアグルーヴ。

 噂の出どころは自分自身なんだが、それを伝えたところでどうにかなるとは思えん。

 私にはお手上げだ。

 ……しかし、構ってほしい弟と、構いたい姉か。

 先程こいつは『誰に似たんだ』などと言っていたが……

 

「……結局、似た者同士ということか」

「ん? 何の話だ?」

「いや、なんでもない」

 

 ブラコンとシスコンの相手なんてしていられるか。

 私はさっさとこの作業を終わらせるべく机に向かうのだった。

 




エアグルーヴのキャラ特性なども考えてこんな感じになりましたが、上手く姉的魅力を引き出せたか、伝えることができたかやや不安です(苦笑)
良かったら感想お待ちしてます。
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