【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯   作:藤原ロングウェイ

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評価、感想、ここすき、ありがとうございます。
執筆意欲に繋がるのでとても助かってます!

【超光速のお姉ちゃん】アグネスタキオン(姉)実装!
弟溺愛型アグネスタキオンVSモルモット上等!型弟との勝負の行方は……?
(ブラコン度Sのためキャラ崩壊気味になっております。ご了承ください)


アグネスタキオン(ブラコン度:S)と弟の場合

 俺の名はアグネスレインボー。存在しないはずの伝説のウマ息子である。

 ……嘘です。ごめんなさい。新人トレーナーのアスカです。ヒトミミ族です。

 新人のはずなんだけど有名人で困ってます。

 

「アスカトレーナー!」

 

 俺を見つけたウマ娘ちゃんが俺目掛けて突進してくる。

 止まってくれるとわかってはいるが、それでもウマ娘の全力疾走突撃は怖いな。

 まぁ何の用事かはわかっているが。

 

「アスカトレーナー! コード:ATHです! 至急対処お願いします!」

「わかった、すぐにいこう。場所はいつもの?」

「はい、いつもの場所です!」

 

 走っていつもの場所へ急ぐ。

 大丈夫、まだ爆発跡は見えないし爆発音も聞こえないし刺激臭とか煙もない。

 目的の場所にたどり着き、ドアを開ける。

 

「御用改めである!」

「おや、あーくん。どうしたんだい?」

 

 そこにはニコニコと言えばいいのかニヤニヤと言えばいいのかわからない笑顔を浮かべるアグネスタキオン、俺の担当ウマ娘であり姉がいた。

 俺が新人にも関わらず有名人である理由はマッドサイエンティストと名高い姉のおかげである。

 

 まぁ俺にも原因はあるんだけどね。

 トレセン学園の新人歓迎会で新人トレーナーから一言っていう決意表明の場があるんだが、皆は『こんなウマ娘と出会いたい』とか『○○賞に勝ちたい』とかだったのに、俺だけ

 

「アグネスタキオンのトレーナーで弟です! いつも姉がお世話になっております! 今後ともよろしくお願いします!」

 

 って叫んだからな。トレーナーになったばかりで担当すらいないはずの新人の俺が。

 今でも忘れられないぜ、あの雰囲気。

 同期は『何言ってんだこいつ……?(困惑)』だし、先輩方は『何言ってんだこいつ……!?(驚愕)』という凄まじいカオスっぷりだった。

 

 おっと、話を戻そう。

 

アグネス(A)タキオン(T)ハザード(H)の報告があったから急いで来たんだけど」

「はははは、大げさな。大したことは起きていないさ」

 

 ダボダボの袖をフリフリしながらやれやれポーズを取るタキねぇ。かわいい。

 確かに爆発もしてないし煙も出てないし異臭もしない。

 しかし……

 

「俺の視界の隅っこに黄緑色に発光する謎の生物がチラ見してるんだけど?」

「ああ、それはデジタルくんだね」

 

 何事もないかのようにさらっと言うタキねぇ。

 やはりか……

 

「えっと、デジタル? 大丈夫か? めっちゃ光ってるが」

「全然大丈夫です! ご心配おかけして申し訳ありません……」

「いやいや、うちの姉のせいだからそんな事言わないでよ。こちらこそすまんね、デジタルが『トレセン学園七不思議の一つ!黄緑色に発光し奇声を上げながら校内を徘徊する怪奇生物!』なんて呼ばれることになってしまって」

「七不思議認定確定なんですか!?」

 

 いや、どう考えても確定でしょ……

 

「親御さんからお預かりした大事なウマ娘さんにとんだご迷惑を……」

「いえいえ! 尊いウマ娘さん、しかも同室のタキオンさんのお役に立てるなら例え火の中水の中、フラスコの液体タイプだろうとカプセル型の固形タイプだろうと喜んで飲み干しますとも! ええ!」

 

 こいつのこの情熱はどこから来るんだ……まぁ気持ちはわからんでもないが。

 タキねぇに振り返る。

 

「タキねぇ。これ、デジタルは大丈夫なんだろうね?」

「もちろんさ。これは自慢だが、私は人体に害を与えるような薬を作るような無能ではないよ」

 

 体が黄緑色に発光してるのに人体に影響ないほうが逆に怖いわ。

 全く……

 

「いつも言ってるでしょ。実験薬を他の人に試飲させるなら俺に飲ませてって。タキねぇのためなら喜んでモルモットにだってなるさ!さぁこい!」

「いや、そうは言ってもだね……」

「ほら、はーやーくー! はーやーくー飲ませてくれよー!」

「ち、違うんです! 私がタキオンさんにお願いして試飲させてもらったんです! 」

 

 むぅ……無理やりなら叱るところだが、デジタル自身が自分から望んで試飲してるのにタキねぇを叱るのはおかしいな。

 はぁ……しゃーなしか。

 

「ごめんなデジタル、今日のトレーニングは中止にしよう。部屋でゆっくり休んでてくれ」

「だ、大丈夫です! タキオンさんの尊さと薬のおかげで体調もアゲアゲです!」

 

 だから逆に怖いっての。

 実はこのデジタルも俺の担当ウマ娘である。

 通常、新人トレーナーは一人を担当するかサブトレーナーとして研鑽を積むんだが、俺は例外的に二人担当だ。

 最初はタキねぇと同じアグネスだったこと、同室だったこともありけっこう仲が良かっただけだったんだけどね。

 

『芝かダートかも選べないし、その結果トレーナーもつかないから競争バは諦めてスタッフ研修生に移行しようかと……』

『バカヤローお前芝もダートも走れる器用貧乏どころか器用天才なんだからどっちも走っちまえ!お前の夢は、情熱はその程度なのか! 諦めない限り、ウマ娘の夢は終わらねぇ!!』

『なんという至言……感動しました! どっちも頑張ります! これからよろしくお願いしますアスカトレーナー!』

『おう、任せろ! ガハハハハ! ……ん?』

 

 って感じで引き受けることになってしまった。

 当初は先輩トレーナーさんたちも『おーおー新人さんが欲張って二人担当ですか。どこまでできるか見ものですな。ただし、ウマ娘潰したら○すぞ』って感じでクッソ怖かった。

 この学園のトレーナーはみんな基本的にウマ娘ガチ勢だからな。

 しかし、担当名を伝えると態度が180度変わり『あっ……頑張れよ。何か辛いことがあったら話くらいは聞くぞ』と手のひらトルネードである。

 

「いや、デジタルの体調もあるけど、他のウマ娘たちへの影響も考えて? 必死に走ったりトレーニングしてる時に隣のやつが黄緑色に発光してたら集中できないでしょ?」

「そ、それは……そうかもしれませんが……」

 

 渋るデジタル。

 タキねぇを気にしてるのかもしれんが、この(ひと)にそういう気遣いは無用です。

 

「とりあえずデジタルはお休み。あとでタキねぇの子供の頃のアルバム持っていってあげるから」

「た、たたたたたたタキオンさんの子供の頃のアルバムぅ!? しょ、しょんなレジェンドトレジャーを私なんかが閲覧するなんて恐れ多いぃぃぃ……!」

 

 ガクガクと震えるデジタル。

 こいつマジで大丈夫か……? タキねぇ特製じゃない普通のやべークスリでもキマってない?

 

「じゃあ見ない?」

「見 ま す!!」

「じゃああとで部屋に持っていくから」

「わっかりました! お部屋でゆっくりウマ娘ちゃんたちのウマッターとうまスタのチェックをしてます! イヤッハァー!」

 

 デジタルが黄緑色に光りながらスキップして研究室を出ていく。

 ……さて。

 タキねぇの方を向くと、頬をプクーっと膨らませてそっぽを向いていた。

 

「つーん!」

 

 自分でつーんとか言ってるあたり、わかりやすく拗ねている。

 かわいいなこの姉はよぉ!

 

「何ですかお姉さま」

「……あーくん、君はお姉ちゃんのなんだい?」

 

 お姉ちゃんのなんだいって、弟でトレーナーで助手でモルモットなんだけど。

 まぁ多分求めてる答えは……

 

「タキねぇの弟、かな」

「そう! お姉ちゃんの、わ・た・し・の!弟だ!」

 

 ガオーン!と言った感じでヒートアップしていくタキねぇ。

 

「にも関わらずなんだい、デジタルデジタルデジタルデジタルと。デジタルくんのことは七回も名前を呼んだのにお姉ちゃんのことは三回しか『タキねぇ』と呼んでくれていないじゃあないか!」

 

 机をバンバン叩きながら吠えるタキねぇ。

 めんどくせぇ姉だなほんと……

 まぁそういうところもかわいいんだけどさ。

 

「あーくんはもっとお姉ちゃんを敬うべきじゃないのかね!?」

「……敬ってるつもりなんだけど、タキねぇには伝わってなかったんだね。ごめん」

 

 頭を下げる。

 するとハッとした顔になり手を左右に振り出す。

 

「あ、いや、いやいやいやいや。あーくんの献身はお姉ちゃん、ちゃんと理解しているよ。お姉ちゃん、ちょっと言いすぎてしまったな」

 

 オロオロしながら耳と尾をしょんぼりさせるタキねぇ。

 俺以外のことならつよつよメンタルなのに、どうして俺がからむと途端によわよわメンタルになってしまうのか。

 

「えっと……何の話だっけ?」

「っ!? そうだった、お姉ちゃんよりもデジタルくんを呼んだ回数の方が多かった。これは由々しき事態だと思うのだよ、お姉ちゃんとしては」

「はぁ……」

 

 どないせーちゅうねん。

 タキねぇタキねぇって連呼すればいいのか?

 

「そこでだ。あーくんはお姉ちゃんに対して何らかの補填をする必要があると思う」

「補填、と言いますと?」

 

 俺の言葉にパァー!と輝くような笑顔を見せるタキねぇ。

 

「お姉ちゃん、今日の夕飯は栄養バランスのとれた美味しいオムライスを所望する!」

「え、もうサバの味噌煮の準備しちゃってるんだけど」

「えぇー!? あーくん、お姉ちゃんのお願いを聞いてくれないのかい!?」

 

 突然言われても困りますよお姉さま。

 まぁサバの味噌煮は明日にしてオムライスをパパっと作ってもいいんだけど、少し意地悪をしようと思う。

 反応がかわいいからね、仕方ないね!

 

「わかった、じゃあ今日はオムライス──」

「うんうん」

「──をコンビニで買ってこようか。ああいうのも案外美味しいし」

「ヤダヤダヤダヤダ! お姉ちゃんはあーくんの作ったオムライスが食べたい! たーべーたーいーのー!」

 

 駄々っ子のように手足をバタつかせながら大声で騒ぐタキねぇ。

 あぁ~うちのお姉ちゃんかわいいんじゃ~。

 

「作ってー! 作ってくれよー!」

「わかりました。今日はオムライスに決定です。とびきり美味しくて栄養バランスの良いオムライスをお持ちしましょう」

「さすが私のあーくんだ! 大好きだよー!!」

 

 タキねぇが俺に抱きついてくる。

 タキねぇの良い香り……の中から漂う薬品臭。

 まぁこれがうちのお姉さまの匂いだ。癒やされる。

 

「ただし、条件があります」

「ほぅ……この私に対して交渉とはなかなか強かだね。聞こうか」

「次から実験薬の試飲役は一番始めに俺で試してください」

「むぅ…………はぁ、あーくんは言い出したら聞かないからな。わかった、今後は一番最初にあーくんにお願いすることにするよ。カフェを二番、デジタルくんは三番目としよう」

 

 カフェ……すまん、流れ弾が向かったが強く生きてくれ。

 

 

 その後、俺が七色に発光する現象が度々確認されることになる。

 それを見て人々はこう言った。

『第三のアグネスの名を冠するヤバいヤツ、アグネスレインボー現る!』と……

 

 俺の名はアスカ。またの名をアグネスレインボー。

 トレセン学園の新人トレーナーであり、七色に光るモルモットである。

 

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