【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
うちのゴルねぇはアプリ版と原作を混ぜたような感じのやつです。
そしてゴルねぇの弟のアスカくんは多分ゴルシの双子の弟です。
ブチノメシテヤリマスワー! ブチノメシテヤリマスワー!
「んん……朝か」
今日のランダムウマ娘目覚ましのアラームはカワカミプリンセスか。
これ考えたトレーナー、マジで天才だわ。課金もやむなし。
「おはよゴルねぇ……っていねぇし」
ベッドで寝ているはずのゴルねぇの姿が見えない。
俺より早く起きるなんて珍しいな。
普通はトレーナーの部屋に担当ウマ娘が泊まるなんてギルティだが、うちのお姉さまは普通じゃないので許されている。
『姉弟だからまぁええやろ』の精神と、『ゴルシがいないと寮が静かでゆっくり寝れるので週一くらいなら問題ないのでは?』というウマ娘たちの全会一致の賛成多数による決定だ。
まぁしれっと外泊届が出されているので学園的にもそれほど問題はない、らしい。
外泊理由見たら『弟がお姉ちゃんと一緒じゃないと眠れないと駄々をこねて泣くので』とか書いてあって殴り合いの喧嘩になったけどね。
……結果? ゴル姉ちゃんドリルパンチでワンパンKOされましたが何か?
ちなみにベッドは俺のです。
ゴルねぇが泊まりに来ると必ず俺のベッドで俺の布団を使って寝るので、部屋の主の俺がお客様用布団で床に寝ている状態です。
ひどい時は週三くらいの頻度でこの布団を使うので、もう愛着が湧いてお客様用布団じゃなくて俺用布団になってます。
「うぅ……」
「ん?」
なんだ、リビングからうめき声が……
起きてそちらに目を向けると、ゴルねぇが倒れ伏していた。
「ゴ、ゴルねぇ!? どうした!?」
「ア、アスカか……そんな心配そうな顔すんじゃねぇよ……」
「す、すぐ病院に連絡すっから!!」
「なぁに、食べすぎて腹痛になったような、その程度の痛みさ……気にすんな……うっ」
笑顔を見せようとするも、苦しそうに呻くゴルねぇ。
食べすぎって、そんな訳はない。
昨日は『明日はレースだから夜ご飯は腹八分目ね』と普通の量しか食べていないんだ。
すぐに病院に連絡を……と思いスマホを取り出そうとして、チラッと台所を見る。
「…………」
昨日は業務用レベルのでかい鍋でカレーをたくさん作り、その一部を食べた。
その後、食器洗いはしたので洗い物は全て片付いたはずだった。
……にも関わらず、なぜか台所にはカレーの跡がついた大きな食器が置かれていた。
俺は無言で台所へ近づき、鍋の蓋を取る。
そこには、何もなかった。
……は?
あれだけ残ってたカレーはどこへ……?
「……ゴルねぇ、カレーが入ってた鍋が空なんだけど?」
「実は昨日の夜、見世物小屋に捕まった哀れな妖精の泣き声が聞こえて目が覚めてな」
嫌な予感がする……
「それで?」
「小腹がすいてたからカレー半分食った」
「バカじゃねぇの!?」
何してんだよこのアホ姉は。
「つーかよくあの量を一人で食べきれたな……芦毛の怪物かよ」
「いいえ、違います。私はゴールドシップです。あなたはエミリーですか?」
「誰やねん」
英語のテキストかよ。
……ん? おかしいぞ?
「半分?」
「ああ、半分だ」
「空っぽなんだけど?」
「早朝に光の精霊の『
嫌な予感がするパート2……
「それで?」
「小腹がすいてるような気がしたから残りのカレー全部食った」
「マジでバカじゃねぇの!?」
俺は頭を抱える。
いや、マジでどうすんだよ。
まだ朝とはいえ、今日の昼過ぎからレースだぞ……
「ゴル姉ちゃん、お腹が痛いのだ……今日はレースをお休みするのだ……」
「ふざけんじゃねぇぞコノヤロー!?」
なんて言って出走取消すんだよ!?
『ゴールドシップは夜と深夜と早朝に大量のカレーを食べてお腹が痛いそうなのでお休みします』って言うのか!?
誰が? ……俺が!
アホな小学生とその母親じゃねぇんだぞ!!
「今日のレースの一番人気なんだぞ! そんなアホな理由で休ませられるか! 絶対走らせるからな!」
「アスカはゴル姉ちゃんが嫌いなのだ……?」
「それとこれとは話が別です! つーかそのシンコウウインディの中途半端なモノマネしまえ!」
微妙にハイクオリティで反応に困るんだよ!
「ゴル姉ちゃん、わかっちゃったのだもん! アスカはツンデレ!」
「ツインゴルノトップンディやめろ! 増やすな! 混ざりすぎて訳わかんなくなってるから!」
横ばいになっていたゴルねぇが起き上がり、その場で胡座をかく。
「つーかさー美味いカレー作ったおとぴっぴが悪くなーい? あたし悪くなくなーい?」
「美味いものは腹八分目でいいんだよ! 三回も食ったら腹二十四分目だわ!」
「腹二十四分目ww 1200m三回走ったら3600m理論ですね、わかりますwww」
バクシンバクシーン!とか言いながら爆笑するゴルねぇ。
頭いてぇ……子供の頃からいつもこうだよ……
「とりあえずトイレいってげーしてきなさい」
「ゴル姉ちゃん、か弱い女の子だからトイレでげーなんて恥ずかしいことできなーい!」
「……わかった。今カワカミプリンセス呼んでくるからちょっと待ってて」
「ちょ、それはマジでヤベェだろ弟よ!? シャレんなんねーぞ!? あんなののハラパン食らったらゴル姉ちゃん死ぬっつーの!」
その後、胃薬を飲んで爆睡するゴルねぇをなんとか引きずってレース場へたどり着く。
ゲートに向かう前ですら『カーッ、実質今起きたばっかだからつれぇわー。実質今起きたばっかだからなー』とかクソナメたことを言っていたのでケツを蹴り上げてやった。
そしてレースが始まる。
「頼むぞ……ちゃんと走ってくれよ……」
俺の祈りが通じたのか、スタートからまずまずの走りを見せるゴルねぇ。
しかし、レース中盤になっても後方から上がる様子を見せないゴルねぇに会場の観客たちからも戸惑いの声が聞こえる。
……もしかして、気分が乗らないとかいって流して走るつもりじゃあるまいな?
俺はトレーナー席から全力ダッシュで最後の直線前のカーブまで向かう。
そして後方大外を涼しい顔で走るゴルねぇに向かって叫ぶ。
「ゴールドシップぅー!! 日和ってんじゃねーぞぉー!! そのザマで俺の姉を名乗るなんざ片腹痛いわぁー!!」
いくら俺が大声で叫ぼうと周囲の歓声と距離的に聞こえるはずがない。
だが、それでもなぜかゴルねぇと目が合った気がした。
そして、ゴルねぇが獰猛な笑みを見せて吼えた。
「おもしれぇ!!」
──それからは圧巻だった。
後方。しかも大外だったにも関わらず凄まじい走りを見せ、一着でゴールするゴルねぇ。
観客の誰もがゴルねぇの名を叫ぶ。
ったく、心配させやがって。
……俺の中の【世界で一番強くて速くてかっこいいウマ娘】は、ずっと昔から、いつだってゴルねぇなんだからな。
俺はゆっくりとウィナーズサークルへと向かった。
「お疲れさ──」
「とりゃー!」
「うおぉぉぉ!?」
ゴルねぇからドロップキックを食らい吹っ飛ぶ俺。
そしてマウントを取られる。
「おう、おとぴっぴ! どうよ、これが【黄金の不沈姉艦】ゴールドシップ。お前のゴル姉ちゃんだぜぇ!」
「……ヒヤヒヤさせやがって。ま、最後はきっちり締めたな。さすがゴルねぇ」
「うひひ、惚れんなよ?」
「それは無理な相談だわ……ずっと前から惚れてるからな」
「あははは! なんだよもー相変わらずシスコンだなーおめーはよー!」
「おまっ、マジでやめろ! 死ぬ!」
観客たちからの盛大な拍手に包まれながら、笑顔のゴルねぇにジャイアントスイングで振り回される俺なのだった。
観客A「あのトレーナー、ゴールドシップのケツにケリかましてるぞ……」
観客B「あのトレーナーヤバすぎでしょ……」
↓
観客A「あのトレーナー、ゴールドシップからドロップキックからのマウントでボコボコにされた後にジャイアントスイングまで食らってるのにピンピンしてるんだけどww」
観客B「あのトレーナーヤバすぎでしょww」