【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
毎話弟の名前は『アスカ』で固定ですが、育ての姉や育った環境が違うので同姓同名なだけの別人とお考えください。
はじめまして。
私はトレセン学園に所属しているウマ娘です。
今私はめっちゃ走っています。
なぜなら、学園に未曾有の危機がせまっているからです。
早く、早くあの人のところにいかねば……!
「いた! アスカトレーナー!」
「ん? ああ、君はたしか──」
「私のことなんてどうでもいいです! 大変なんです! 寮の、寮の前で……!」
「……まさか」
「寮の前でゴールドシップさんが白線で土俵を書いた後カバディカバディって言いながら反復横とびを!」
「あーあー! 聞こえなーい!」
大きな声を出しながら両手で耳を塞ぐアスカトレーナー。
「子供ですか!」
「子供じゃありませんー! ただのゴルゴル星出身のトレーナーですー!」
「ゴールドシップさんはあなたの担当なんですから責任をもって止めてください!」
「俺の担当だからといって『担当ウマ娘の奇行を止めなければいけない』なんてトレセン学園との契約書には書いてありません~! つまり俺が止める必要はない! QED! はい論破!」
「じゃあ
「ぐ、ぐぬぅ……」
そう、この人、あのゴールドシップさんの弟らしいのだ。
最初はそれを隠していたらしいのだが、ゴールドシップさんからの逆指名が入り姉弟だと判明。
『お前の姉なら弟として面倒を見ろ』と強制的にゴールドシップさんの担当にされてしまったという悲劇のトレーナーである。
最初こそ同期のトレーナーたちからは『血縁だけで優秀なウマ娘の担当になったクソ雑魚ナメクジトレーナー』と陰口を叩かれていたが、今ではトレセン学園のほぼ全てのトレーナーから優しく気遣われる存在になった。
なお、気遣ってくれるだけで誰も担当を代わってはくれない模様。
「とにかく早く来てください! さぁ!」
「引っ張るな! こ、この力は……! しかし、いかりやにくしみで わたしを たおすことはできぬ!」
「御託はいいから早く来てください。ウマ娘の力をわからせますよ?」
「あ、はい。すぐいきます」
寮の前に着きました。
ゴールドシップさんは……土俵の中でコサックダンスを踊ってます。無表情で。こわっ。
「アスカトレーナー! よろしくどーぞ!」
「はぁ……はいはい、やりますよ、やればいいんでしょ!」
明らかに乗り気ではない様子。
でも、対抗できるのはこの人しかいないんです。
なぜなら……
「へいゴルねぇ、やってるー!?」
「へいらっしゃい! お、おとぴっぴじゃーん! 何握りやしょう!?」
「今日のおすすめは? 体が温まるもんがいいねぇ!」
「お、旦那、今日は活きの良いペペロンチーノが入ってるよ! 産地直送だ!」
「フー! そりゃいいNE!」
「DA・RO!」
活きの良いペペロンチーノとか意味がわかりません。
つーかペペロンチーノの産地ってどこだ。
「しかし俺はペペロンチーノにはうるさくてね。産地は大事だぜ? どこのやつだい?」
「もちろんペペロンチーノの本場、岩手は平泉産でさぁ! ほらここ見てみな! 『私が中尊寺です』マーク入ってるだろマイブラザー!」
いつから岩手県平泉町はペペロンチーノの本場に……?
てゆーか中尊寺マークって何?
「よーし、じゃあハンバーガーもらおうかな! パティ抜きで!」
「あいよっ! ハンバーガー一丁!」
ペペロンチーノはどこにいったぁぁぁぁぁ!?!?
しかもパティ抜きのハンバーガーって、それもうケチャップついたパンじゃん!!
しかもさっきからこの二人、土俵の中でヒゲダンス踊りながらしゃべってるからね。
怖いよ、この姉弟、怖い……
ゴルゴル星って地獄のことなのかな?
「よし、ならあたしのターンだな! あたしは手札から『草むらに落ちてたスリッパ』を召喚! 攻撃表示にしてターンエンドだ!」
『なら』!? 今の会話の何がどこに接続されるといきなりデュエルがはじまるの!?
「では俺は『ポケットにはいってたレシート』を召喚! スリッパに攻撃!」
それただのゴミぃぃぃ!
「かかったなバカ弟め! トラップカード発動!」
「な、なにぃ!? ゴルねぇの場のどこにトラップカードが!?」
「クククク、ここだぁ!」
「なんだと!? まさかスリッパの中に!?」
クっソどうでもいいんだけど。
私帰ったらダメかな?
「『地獄の輪ゴム』でプレイヤーにダイレクトアタック!」
「ちっ、勝負はまだまだこれからだぜ! 『ボールペン』を防御表示で召喚! ターンエンド!」
「さて、あたしは……ハーハッハッハッハ! 勝ったな! おーい、ブルボンこっちー!」
通りかかったミホノブルボンさんがこっちに歩いてくる。
なんでこんな死地にほいほい来てしまうの?
「なんでしょう?」
「私は『究極合体! アルティメットミホノブルボン』を召喚!」
「世界で三枚しかないミホノブルボンを融合合体させる、だと!?」
「しかも名前に『究極』と『アルティメット』、同じ意味の言葉が2つ入っている。意味はわかるな愚弟よ」
「……ただでさえ圧倒的なウマ
「意味がわかりません。説明を求めます」
今日の夕飯はどうしようかな?
A定食もいいが、B定食も捨てがたい……むむむ……
「あたしの勝ちだな! 跪けぇ我が弟よ! ワーハッハッハッハ!」
「……!? 引いたぜ、俺の切り札を!」
「な、なにぃ!? まさか一億三千万枚ある手札の中から、たった一枚を……はったりだ!」
「いや、勝たせてもらうぜ! おーい、マックイーン! メジロ家の素敵なお嬢様ー!」
こっちに歩いてくるメジロマックイーンさん。
なんでこいつらはほいほい死地に来るのかなぁ!?
「何をやってますの?」
「俺のターン! 『甘味暴食の女王、メジロパックイーン』を召喚!」
「はぁ!? いきなりなんてことを言い出すんですの!?」
「いけ、アブソリュートミホノブルボン! パックイーンをぱっくぱくにしてやれ!」
「意味がわかりません」
「なんなんですの!? なんなんですの!?」
私は寮に帰った。
それから数ヶ月。
「なぁゴルねぇ、100年後暇? 宇宙いかね?」
「ちゃんとドーナツもっていけよ? いざって時に頼れんのは姉とドーナツだけだからな」
なんでこんな頭おかしい姉弟が普通にG1優勝してるんだろう……
「「なんでって? そりゃあおめぇ(あんた)、姉弟の絆ってやつだな(ですよ)!」」
あの、勝手に思考を読み取らないでくれます?
モブ娘A「アスカトレーナー、かっこいいよね。頭おかしいけど」
モブ娘B「指導方法も適格だし優秀だよね。頭おかしいけど」
モブ娘C「優しいし頼りになるよね。頭おかしいけど」