【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
読者の皆様のおかげで評価2000ポイントになり、ランキングにもチョロっと顔を出させていただきました。
この作品を読んで少しでも楽しんで頂けたら作者として嬉しい限りです。
愛されいじられウマドルとして親しまれているファル子の日常。
(脳内協議の結果、ブラコン度をA→A+へと変更しました)
【スマートファルコンとモブ娘とはい論破ぁ!】
私はトレセン学園に所属しているウマ娘。
そしてファル子ちゃんのクラスメイトでもある。
今日はある目的があってファル子ちゃんとお話をしたいと思う。
「ファル子ちゃーん!」
「ん? なーにー?」
「今時間ある?」
「今? うん、あるよ。どうしたの?」
「ちょっとウマドルトークをしたいなーと思って」
「ウマドルトーク!? それは私の出番だね☆」
わくわく!みたいな顔で私の近くの席に座るファル子ちゃん。
……獲物がかかった。
「でもウマドルトークって何するの?」
「ふっふっふ……ずばり、ファル子ちゃんの『理想の男性像』を教えてください!」
「えっ? ……えぇー!? そ、そんなの無理だよー! ウマドルに恋愛はご法度なんだから!」
私の言葉に顔を真赤にしてあわあわするファル子ちゃん。
想定通りの答えだ。
「えーでもこの雑誌見てみて! 現役ウマドルの△△さんのコラム!」
「なになに……『理想の男性像は常に心に持っておきましょう。その理想に釣り合うように努力することが自分を輝かせるんです』?」
眉を寄せながらむむむ……っと雑誌を読むファル子ちゃん。
「ねっ? それに好きな男性は誰?って聞いてるんじゃなくて、あくまで理想。こんな人は素敵だよねっていうふわっとしたやつだから!」
「ま、まぁそれなら……」
そういうとウーン……と考え込むファル子ちゃん。
こんなの適当に答えればいいのに、ちゃんと真面目に考えるところがファル子ちゃんのいいところよね。
「えっと……優しい人、かな? いつも側にいてくれて私を大切にしてくれるような……」
「うんうん」
「それで、皆にも優しいんだけど、私にだけ特別他の人たちよりちょっとだけ優しかったり、とか……」
「いいね! 他には?」
ファル子ちゃん、アイドル志望のくせにめっちゃ乙女だな!?(偏見)
「他……あ、でも優しいだけじゃなくて頼りがいもあったらいいな。いつもは優しく見守ってくれてるんだけど、ここぞという時は『心配するな、俺に任せろ!』とか『大丈夫、俺がついてる!』みたいな」
「なるほどなるほど」
ちょっと顔を赤らめながら話すファル子ちゃん。
私、この表情を見るのが好きなんですよ!
「それと、自分をしっかり持ってる人がいいな。他の人に流されたりしないで、私のためなら厳しいことでもハッキリ言ってくれたり」
「ふんふん」
「あとは……ギャップとかあるといいかも?」
「ギャップ? 例えば?」
「普段はちょっとぶっきらぼうなのに、料理が得意で記念日とか特別な日はご馳走作ってくれたり!」
「あーいいねー! 萌えるー!」
ノッてきたねぇ! いいねぇ!
「あとはレースだけじゃなくてウマドル活動にも理解があると最高かな。『素敵な夢だね、応援するよ』って言ってくれて手伝ってくれたり!」
「あーん素敵ー!」
ファル子ちゃんのトークにノッてはいるが、普通はそんな乙女ゲーの主人公みたいな条件満たすやついる?と思うよね。
しかし、いるのだ。それもファル子ちゃんのごく身近に。
それに気づかずに恥ずかしそうに、けれど楽しそうに話すファル子ちゃんを優しい瞳で暖かく見守るのが私の楽しみです。
悪趣味? 知らんな。
「ファル子ちゃん、ちょっといい?」
「え? なーに?」
そんなことを考えていると、同じクラスメイトである友人の……モブ子でいいか。モブ子がファル子ちゃんに話しかける。
嫌な予感がする……
「ファル子ちゃんの理想の男性像ってさ──」
「おい待て」
こいつ……マジで空気読めてないわ。
マジでバッドなウマ娘だよ。そんなんだからトレーナー付かないんだよ!
……まぁトレーナー付いてないのは私もだけど。
「何よ」
「ファル子ちゃんごめんね、ちょっと待っててくれる?」
「う、うん……」
ファル子ちゃんから少し距離を取り、モブ子と小声で話す。
「キサマ、今何を言おうとした」
「決まってるじゃない。『ファル子ちゃんの理想の男性像って、まんまアスカトレーナーだよね』って」
「やはりか……しかしそれを許すことはできない。私は『ファル子ちゃんとアスカトレーナーの仲を優しい瞳で暖かく見守り隊』の一員」
「残念、私は『ファル子ちゃんとアスカトレーナーの仲をいじってファル子ちゃんを恥ずかしがらせて叫ばせ隊』のメンバーだから」
ドヤ顔のモブ子。
出たー単純思考のやつー。マジ解釈違いだわー。
どう考えてもファル子ちゃんが話す理想の男性像はアスカトレーナーなのに、それに気付かずに楽しそうに話すファル子ちゃんをほっこりしながら眺めるのがてえてぇんだろうが。
「私達は相容れないようね……」
「なら、どうするか本人に決めてもらいましょう。ファルコンジャッジで!」
「ファ、ファルコンジャッジだと!?」
説明しよう!
ファルコンジャッジとは、その名の通りファル子ちゃんに決定を委ねるジャッジである!
公平公正な審判……と見せかけて、実はこの制度には重大な欠陥があるのだ。
「ファル子ちゃーん! 私の話、聞きたい?」
「えぇ……なにそれ……どういうこと?」
軽く引いているファル子ちゃん。
まぁどう考えても質問がおかしいしね。
「私は聞く必要ないと思うよ。ウマドルに関係ないし」
「私も聞かなくてもいいと思う。でもウマドルが聞かなくてもいい話、聞かないほうがいい話でもちゃんと聞いた上で自分でしっかり考えるのが真のウマドルでは?」
こ、こいつ!
一歩下がった、と見せかけて二歩進んできやがった!
なんという策士……
「確かに! 私、聞くよ!」
ファル子ちゃんの言葉に満面の笑みを浮かべる友。
この通り、ファルコンジャッジの欠点は『真のウマドルだったら~』のセリフでファル子ちゃん本人を誘導できてしまう点にある!
仕方ない、こうなったら『恥ずかしがるファル子ちゃんを見てニヤニヤし隊』のメンバーでもある私は成り行きに任せるしかないね!
「ファル子ちゃんの理想の男性像ってさ……」
「うん?」
「……まんまアスカトレーナーだよね!」
「…………」
友の言葉に目が点になり、無言になるファル子ちゃん。
そして──
「えぇぇぇーーー!?!?」
大絶叫。ウケる。
「ずぇっっっっっっっったい! 違うー! ちーがーいーまーすー!!」
「裁判長! 発言の許可を!」
「許可します」
私、裁判長にジョブチェンジ。
職務に忠実です。キリッ!
「被告、スマートファルコンの先程の発言を検証していきたいと思います!」
「そんなのしなくていいのー!」
「許可します!」
「さ、裁判長!?」
ファル子ちゃんが裏切られた!?って顔で見つめてくる。
ごめんね、今の私は職務に忠実な裁判長だから……(ゲス顔)
「まず一番目。『優しい』『いつもそばにいてくれる』『大切にしてくれる』『ファル子ちゃんにだけ特別優しい』。この条件がアスカトレーナーと合致していることは確定的に明らか!」
「そんなこと……!」
「ない?」
「……あるけど」
否定しようとするも、『よく考えたらそうだな……』って顔をして肯定するファル子ちゃん。
「二番目。『頼りがいがある』『いつもは優しく見守ってくれるがここぞという時は頼りになる』。これもアスカトレーナーに合致しています」
「そ、そんなこと……」
「ない?」
「…………ある」
これも否定しようとして否定できない事実であることに気づくファル子ちゃん。
「三番目。『自分をしっかり持っている』『ファル子ちゃんのためなら厳しいことも言う』。これも合致していますね?」
「…………」
「ない?」
「………………あります」
もはや否定する事もできず声が小さくなるファル子ちゃん。
「四番目」
「ま、まだやるのぉ……?」
「やります! 四番目!『普段はちょっとぶっきらぼうなのに、料理が得意で記念日とか特別な日はご馳走作ってくれる』! まんまアストレです! 異論は!?」
「……………………ないです」
顔を赤くし、めっちゃ小声で返事をするファル子ちゃん。
「最後!『ウマドル活動にも理解』『素敵な夢だね、応援するよって言ってくれて手伝ってくれる』! はいアスカ! 説明不要ぅー!」
「…………………………」
反論する気力すらなくなったのか、顔を真っ赤にして俯きプルプル震えるファル子ちゃん。
はいかわいい。
「つまりぃ! これらのことからぁ! 被告はぁ! 理想の男性は弟♡のぉ! ブラコンだということです!! はい論破ぁ!!」
大きな声でモブ子がビシッ!とファル子ちゃんを指差す。
さぁ、ファル子ちゃんは一体どんな反応をするのか!?
「………………あ、今日これから取材だったー忘れてたなーいやーファル子ともあろうものがーじゃあそういうことでさよならー!!」
顔を真っ赤にしながら、風のような速さで走り去るファル子ちゃん。
……逃げやがった。
「あーかわいい反応だったー! さいこー! 今日はゆっくり眠れそうー!」
めっちゃ満足そうな友人。
そんなこいつに私は……
「……よくやった!」
「でしょ!」
二人で拳を合わせたのだった。
その後、遠くから『アスカのバカぁー!!』『いきなり罵倒!? 何事!?』という大声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
私のオリジナル作品だと『ブラコンを恥ずかしがるお姉ちゃん』というキャラはまず書かないのでファル子は書いててなんか新鮮です。