【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
特に多くの評価を頂いて軽くビビりましたが嬉しかったです!
引き続き感想、ここすきもお待ちしてます(笑)
本家よりも先に【浪速の白い稲姉】タマモクロス(姉)実装!
姉化計画表で「未実装のウマ娘を書く可能性は限りなく低いです」と言いましたが、あくまで限りなく低いだけで0ではないのでセーフ理論!
俺の名前はアスカ。新人ではないが、まだまだ駆け出しのトレーナーである。
廊下を歩いていると、なにやら騒ぐ声が聞こえた。
この声は……
「うどんはおかずやー!!」
「んなわけあるか!」
やはり俺の姉であり担当ウマ娘のタマモクロス、通称タマねぇとその友人のイナリさんだったか。
いっつもアホなことで対立するからなぁ。
まぁ仲良しだからこそのアレなんだけど。
「おお、アスカ! ええとこに来たな! イナリに言ってやりぃ、うどんはおかずやってな!」
タマねぇが援軍来たり!といった顔で俺の腕を引っ張る。
ここは皇帝の威光を借りるか。
「……お嬢さんたち、少しいいかな?」
俺はそう言って両手をウマ娘の耳に見立てて頭上に寄せる。
「ぴょんぴょんぴょん……お耳が?」
「…………ぴょん?」
俺の言葉と奇行に『は? なんやこいつ?』みたいな顔をしながらも、なんとか反応してくれるタマねぇ。
「ぴょんぴょんぴょん。お膝に?」
「……ぴょん」
「そうそう。ぴょんぴょんぴょん。ケンカの仲直りは、頭に?」
「ぴょん」
「うんうん」
争いは収まったようだな。
さすが皇帝の必殺技なだけある。
尊敬します、会長。
「……いや、なんやねんこれ!? アホか!」
タマねぇがオーバーリアクションでツッコんでくれる。
さすがタマねぇ。意味不明でもツッコミは欠かさない。
「ウチの弟やけど意味わからんわ。世が世なら打首やでホンマ」
どんな世だよ。
「いや、あたしにはわかる。アス坊はわざと道化を演じることによってあたしらの騒ぎを体を張って止めたのさ。粋だねぇ! タマ公の弟にはもったいないくらいの江戸っ子でい!」
「ありがとうございます」
イナリさんが笑顔で胸を張る。
感謝の言葉を述べつつ、つい身長に似合わぬお胸様をチラ見してしまう。
「イナリー、あんま褒めんほうがええで。すーぐ調子に乗るからなこいつ」
「褒める時は素直に褒める。それが粋な江戸っ子でい!」
「そか。まぁ今イナリの立派なお胸様をガン見しとったけどな」
「……いいがかりはよしてほしいものですね。証拠でもあるのですか?」
俺は内心動揺しつつも冷静に切り返す。
俺が認めない限り『見た』と『見てない』が同時に存在することになり、答えは永遠に出ない。
これぞシュレディンガーの猫大作戦!
「いや、今めっちゃ見とったやないか。バレバレやっちゅうねん」
「あはは、アス坊も一応男の人だし仕方ないな! エロとケンカは江戸の華ってなもんでい!」
ちょっと顔を赤らめながらも笑いながら擁護してくれるイナリさん。
これは間違いなく稲荷大明神の化身ですわ。全国に神社があるのもわかるね!
「イナリさん素敵! 抱いて!」
「いや、それはちょっと……」
「ぶわはははは! 振られとる! ダッサ!」
俺とイナリさんのやり取りに爆笑するタマねぇ。ほっとけ。
「あー笑った。イナリ、うちら今からメシ食うんやけど一緒にいくか?」
「そうだね、一緒に……あー! 忘れてたー! すまん、用事を思い出したからまた今度!」
そう言うとヤバイー!とか言いながら駆け出していくイナリさん。
「……まぁええわ。カフェテリアいこか」
「だね」
カフェテリアにつき、食券を渡しランチを受け取る。
さぁどこに座ろうかーと周囲を見渡すと、四人席に一人で座り、テーブルいっぱいに食べ物を広げて暴食している芦毛のウマ娘が目に入った。
「オグさん、相変わらずいい食べっぷりですね」
「……ん? おお、アスカトレーナーか。タマも」
そこにいたのはオグリキャップ。
芦毛の怪物とまで言われる強豪ウマ娘で、うちのタマねぇのライバルでもある。
とはいえお互いに芦毛だし境遇も少し似ていることから仲は良い。
「邪魔するで」
「うん」
「……いや、そこは……はぁ、まぁええか。オグリにそんな期待するほうが無茶ってもんやな」
本当は『邪魔すんなら帰ってー』を期待したんだろうが、オグさんがそこらへんを汲み取るのはなかなか難しいな。
この人、めっちゃ天然だからなぁ。
「しっかし、ようもまぁそんな入るなぁ。恐ろしいわ」
「そうか? 普通だと思うが……タマが特別食べなさすぎるのではないか?」
「まぁ少食なんは認めるけどな。それにしたって……まぁええわ」
席につき食事を始める。
確かにタマねぇは普通のウマ娘より食は細いが、複雑な家庭環境だったからな。
今はタマねぇの獲得賞金と俺の給料で我が家の家計もだいぶ改善されたけどね。
「そういやこいつ、さっきイナリに振られてな」
「むっ。アスカトレーナーはイナリが好きだったのか。知らなかった」
「いや、そういう話じゃないんですよ。タマねぇが吹いてるだけなんで気にしないでください」
「わかった」
そういうとまたモグモグ食事を再開するオグさん。ぜんっぜん興味なさそう。
まぁこの時間は『食事>>>超えられない壁>>>その他』だからしょうがないけど。
「そや。なぁオグリ。うちのアスカ、どや? トレーナーとしてもそこそこやし、家事は何でもできるし、マッサージも得意やし、お買い得だと思うで?」
タマねぇの言葉を受けて少し考える素振りを見せるオグさん。
その返事は──
「その……すまないアスカトレーナー。私ではあなたの期待に添えないと思う」
「あ、はい。気にしないでください」
きっつぅー。
断るセリフもだけど、何が一番きついかってオグさんの表情だよ。なんつー切なさと悲しさが入り混じった顔してんだよ。
オグさんのあんな顔、飯屋で店主におかわりの声かけたら『もう勘弁してください』って泣いて土下座された時くらいしか見たことねーよ。
「あはははは! ほんとモテんなぁうちの弟。ねーちゃんなんか恥ずかしいわー」
「うるさいし……」
まぁ別にモテたくてトレーナーなったわけちゃうし……
そもそもね、トレセン学園は婚活会場じゃないんですよ!
にも関わらず、やれ『遊園地楽しかったね♡』だの『両親もトレーナーさんに会えるのを楽しみにしてるんです♡』だのと……
挙げ句の果てに担当ウマ娘と温泉旅行ですよ!
ンマー! なんてハレンチザマス! けしからんザマス!
…………いいなぁ(切実)
そんな感じで逃避していると、オグさんが深刻そうな顔でダメな理由を語りだす。
「だって、アスカトレーナーはタマのことが大好きだろう?」
「え? ええ、まぁ、はい。そうですね」
「私はタマみたいに背も小さくないし、胸も小さくない。アスカトレーナーの好みには合わないんだ」
「よしわかった決闘やな。決着つけよか。練習場でも校舎裏でも屋上でもどこでもええで」
オグさんの言葉に、首をコキッコキッしながら一瞬で沸騰する
「つーかなんや? ならお前は巨乳やってんのか!? あぁ!?」
「何をそんなに怒っているんだ?」
「あん? 何ぬかしとんねんボケ! お前が始めた戦争やー!?」
ガチギレしているタマねぇ。
そんな怒らなくていいじゃんって思うけど、ウィークポイントは人によって違うからなぁ。
「まぁまぁ、そんな大げさな」
「あぁ!? 胸の小っさいウマ娘が大きなこと言うなっちゅうことか!? ねーちゃんに対してずいぶん言うようになったのぅ坊主! 調子のんなや!?」
ゲッ、浪速の白い稲妻が俺に飛び火したんですけど。
オグさんにヘルプのアイコンタクトを送ると、コクっと頷くオグさん。
「タマ。私はタマは背も胸も小さくて可愛いと思うぞ」
「そ、そうそう! ほら、『貧乳はステータス!希少価値だ!』って言う人も世の中にはいるし!」
「しばいたろか!?」
俺たちの言葉に激おこなタマねぇ。
もっとヨイショしなければ!
「そんな胸も背も小さいタマの良さをわかってくれる男性が必ずどこかにいるはずだ」
「そうだよタマねぇ! タマねぇは誰もが認める美少女なんだから自信持って!」
「……そうか?」
「ああ」「そうだよ!」
「そうか……お前ら、ええやつやなぁ……」
涙を拭くような動作を見せるタマねぇ。
ふぅ、なんとか誤魔化せたようだな。
「って言うとでも思ったかボケぇ! ちゅーか、なんでいつのまにかウチが貧乳で悩んでて慰められてるーみたいな流れになっとんねんど阿呆ぉ!」
「ですよねー!」
タマねぇの鋭いツッコミが入る。
加減してくれているとはいえ、ウマ娘のツッコミはやはりダメージが大きいな。
すると突然オグさんがクスクスと笑い出す。
「タマとアスカトレーナーは仲が良いな」
その言葉に顔を見合わせる俺とタマねぇ。
「まぁ、そりゃあ、なぁ? 姉弟やし」
「ね。これくらい普通じゃない?」
「いや、すごいと思う。この前テレビで見た……夫婦漫才?みたいだったぞ」
オグさんの言葉に一瞬キョトンとする。
「「ぶわははははは!!」」
そして大爆笑。
「まぁ? こんなアホな弟やからうちが面倒見るしかないっちゅーのはわかるけどな!」
「タマねぇはすぐ口も手も出るし、俺が側で見守ってないと何するかわからないしね!」
二人でじっと見つめ合う。
「まぁ当分は彼女とか作らないでタマねぇのお守りしてますよ」
「連続振られ男のくせに、どの口が言うとんねん!」
「はぁ? アスカちゃんが本気を出せば恋愛とかつよつよなんですがぁ?」
「ねーちゃん以外の女と出かけたこともないくせによく言うわー」
「ありますぅー! この前オグさんと一緒に食事にいきましたー!」
「牛丼屋やんけ!」
「牛丼屋だろうが高級レストランだろうがお出かけはおでかけですぅー!」
俺とタマねぇがそんな不毛な会話を繰り広げる中で。
「やはり仲良しだな」
オグさんだけがうんうんと満足そうに頷いていた。
今回のネタの一部は某サモナーマンガのオマージュです。
めっちゃ好きだったんですけど打ち切られた時は悲しかったです……