【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯   作:藤原ロングウェイ

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感想、評価、ここすきありがとうございます。
毎回楽しみにさせていただいております。

仁義なき甘やかし合戦、開始!
突然ふと思いついたネタで、正史ではなくあくまで番外編です。
第二回は今のところ開催未定です(笑)


【番外編】第一回アスカのお姉ちゃんは私だ!杯(グーねぇvsハヤねぇ)

 イチニバクシンニニバクシン!サンシモバクシンゴモバクシーン!

 

 ランダムウマ娘アラームで目を覚ます。

 

「……ここは?」

 

 視界には天井が映っている。

 ……俺の部屋の天井だ。

 

「……ぅぁ、頭がクラクラする……」

 

 起き上がろうとするが、ふらついてしまいベッドの上に座り込んでしまう。

 何があった……?

 

「えっと、確か……」

 

 昨日の夜は論文を読むのに夢中で気づいたら朝になってたんだっけか。

 それで寝不足のままふらふら校舎に向かった時に誰かに会ったんだ。

 その誰かに『おや、顔色が悪いようだね? 寝不足? それはいけない。ちょうどここに栄養ドリンク(みたいなもの)があるから飲むと良い。疲れや色々なものが吹き飛ぶはずさ』とか言われて、その場で飲んで……

 ダメだ、それ以上思い出せない。

 モヤがかかったような頭でそんなことを考えていると、凄まじい勢いでドアが開けられる。

 

「アスカ!! 無事か!?」

 

 そして一人のウマ娘が突っ込むように俺の前まで来る。

 このボリューミーなシルエットは……

 

「ビワハヤヒデ?」

「……何を言っている? ハヤヒデ姉ちゃんだぞ!」

 

 ハヤヒデ姉ちゃん……ハヤねぇ(・・・・)

 

「ああ、ハヤねぇか」

 

 俺の言葉にほっとしたような顔をするハヤねぇ。

 

「ああ、そうだ。いきなり『ビワハヤヒデ』などと他人のようなことを言わないでくれ。記憶喪失にでもなったかと心臓が止まるかと思ったぞ」

「ごめん、なんか頭が混乱しててさ……うっ」

「アスカ!」

 

 ハヤねぇの顔を見て安心したせいか力が抜けて体が傾くが、ハヤねぇがとっさに抱えてくれる。

 

「ごめん」

「気にするな。いつもお前に助けられているのだ。たまにはお姉ちゃんに助けさせてくれ」

 

 そのまま俺の頭を抱きかかえるハヤねぇ。

 はぁ……暖かくて柔らかくて安心する。

 しかし……

 

「あの……ハヤねぇ。めっちゃ気持ちいいけど、胸が当たってます」

「当ててるんだ。大きい胸が好きだろう? 少しこのままゆっくりしていろ」

「……じゃあお言葉に甘えて」

 

 そのまま抱きしめられていると、外からドドドド!という凄まじい走行音が響く。

 誰かが俺の部屋に突撃してきたみたいだ。

 

「アスカ!! だいじょ……何をしているんですか!?」

 

 その声と共に俺はハヤねぇから引き剥がされ、乱入してきたウマ娘に抱きかかえられる。

 

「アスカ、大丈夫?……今、何をされていたんですか? ビワハヤヒデ先輩」

 

 そこにいたのはグラスワンダー……グーねぇ(・・・・)だった。

 

「何をと言われても、介抱をしていただけだが?」

「胸を押し付けているようにしか見えませんでしたが?」

「アスカは大きな胸が好きなのでな。安心させるためにしていた」

 

 ハヤねぇの言葉にグーねぇの眉間が険しくなる。

 

「……アスカ? ずいぶん気安く呼ばれますが、アスカとはどのようなご関係ですか?」

 

 グーねぇの言葉に眉をひそめるハヤねぇ。

 なんだ? 何かがおかしいぞ……?

 

「姉弟だが? それよりグラスワンダー。君こそアスカを呼び捨てにするような間柄ではないはずだが?」

「姉弟?……何を仰っているのかわかりませんが、私はアスカの姉です。何も問題はありません」

「そちらこそ何を言っている?」

「それはこちらのセリフです」

 

 にらみ合うグーねぇとハヤねぇ。

 一体何が起こっているんだ?

 

「……とりあえず、アスカをこちらに返してもらおうか」

「お断りさせていただきます。アスカは渡しません」

「「…………」」

 

 なんか二人からよくわからない気のようなものがブワッと膨れ上がった気がする。

 

「ちょ、ちょっと待ったぁー!」

 

 直感的にこのままではヤバいと思った俺は二人の間に入る。

 

「「…………」」

 

 そして二人の視線が俺にぶつかる。

 なんだこれ、クソ怖いんですけど。トラとライオンに挟まれたカモシカってこんな感じ?

 いや、ここで引いてはダメだ! 頑張れ、俺!

 

「グーねぇもハヤねぇも落ち着いて!」

「……グーねぇ?」「……ハヤねぇ?」

 

 俺の言葉に二人の視線の圧がグッと高まる。

 あわわわ……殺気(さっき)がさっきまでの比じゃないんですけど。

 エアグルーヴのやる気が下がった! HAHAHAHA!……ってアホなこと言って逃避してる場合じゃねぇ!

 今やこの場はG級ナルガクルガとG級タマミツネに挟まれた新人ハンター(初期装備ハンマー)って感じ。

 近づかなきゃいけないのに、攻撃がカスッただけでダイorダイ。

 ……よし! いくぞ!

 

「グーねぇ、こちら、ビワハヤヒデさん。通称ハヤねぇで、俺の姉です」

「は?」

 

 ぎゃぉぉぉん! めっちゃこえぇー!

『草の根分けても探し出せ!』とか言って平家の落ち武者狩りしてる源氏武士みたいな顔してますけど!?

 

「それで、ハヤねぇ。こちら、グラスワンダーさん。通称グーねぇ。俺の姉です」

「はぁ?」

 

 ぎゃぉぉぉん! こっちもめっちゃこえぇー!

『悪い子はいねぇか!』とか言ったら変装なしでも子供ギャン泣きするレベル。

 

「あの、何言ってるか全くわからないと思うんですが、俺もよくわかってないんです……でも二人共俺の姉なんです……」

「「……」」

 

 俺の泣きそうになりながらの世迷言に、二人共困惑している。

 そりゃそうだ、俺だって今の状況に困惑してるんだから。

 悩みながらもハヤねぇが口を開く。

 

「ふむ……ならアスカ、昨日何をしたかはわかるか?」

「昨日は……ハヤねぇとはショッピングモールいっていつものシャンプーと新しいコンディショナー買ったよね」

「そうだな。あっている」

 

 俺の言葉に頷いているハヤねぇだが、グーねぇは驚いた表情をしている。

 

「……でもグーねぇとは商店街でアイス食べたよね」

「っ!? そうよ、昨日は一緒にお店でアイスを食べたわ。何を食べたか覚えてる?」

「タンポポアイス、カップル用の大きいやつ」

 

 俺の言葉にニッコリするグーねぇ。

 しかし、単品二つより安いからという理由でカップル用のスイーツを頼むグーねぇも強者ですわ。

 

「どういうことだ……?」

 

 ハヤねぇが顎に手を当てて考え込む。

 

「うぁ……」

「「アスカ!」」

 

 その時、またフラッとして倒れそうになるも、二人に支えられる。

 

「……ビワハヤヒデ先輩。お互い言いたいことや聞きたいことはあると思います。ですが──」

「そんなことよりも、一番大事なのはアスカの体調、だな」

「──はい。ありがとうございます」

「ふふっ、アスカの姉だからな。当然だ」

 

 グーねぇとハヤねぇが互いにフフッと微笑む。

 良かった、争いは避けられたんだ──

 

「では」

「「えっ」」

 

 ──と思ったのもつかの間、またハヤねぇにギュッと抱きしめられる。

 そして顔に大きな胸がむにゅむにゅ当たる。

 

「はははは、破廉恥です!」

「姉弟のスキンシップだ。何の問題もないぞ。だったらグラスワンダーもやれば……おっと、すまんな」

「……今、なんで謝罪されたんですか?」

 

 ひぇっ……坂東武者に挑発とか、なんて恐ろしいことを……!

 

「アスカ! こっちにきなさい!」

「うわっ!?」

 

 グーねぇに引っ張られる。

 そしてそのままグーねぇの膝下にタッチダウン!

 

「アスカは私の膝枕で寝るのが好きなんです。そうよね、アスカ?」

「はいそうです」

 

 いい子いい子、なんて言われて膝枕されたまま髪を撫でられる。

 本来ならグーねぇに膝枕されたら良い匂いと素敵な柔らかさで目を閉じたら一分以内に寝る自信がある。

 あるんだが、今はハヤねぇがガン見してくるので寝られる自信が全くない。

 

「…………ふむ。アスカ、汗をかいたのではないか?」

「汗? ああ、そういえば……」

 

 ほぼ徹夜で論文読んでてそのまま学園に向かって倒れて……だから汗かいてて当然だな。

 

「よし、じゃあ姉ちゃんとお風呂に入ろう」

「待って!」「待ってください!」

 

 俺とグーねぇの声が被る。

 

「別に昔は入っていただろう?」

「そりゃ昔はね!?」

 

 今一緒に入ったらアウトだよね!

 

「全く……ビワハヤヒデ先輩はアスカにおかゆを作ってもらえますか? 作れます?」

「おかゆくらいなら作れるが……グラスワンダーはどうするんだ?」

 

 その言葉に胸を張って答えるグーねぇ。

 

「もちろん、私が姉として責任を持ってアスカをお風呂で洗います」

「待って!」「待たないか!」

 

 今度は俺とハヤねぇの声が被る。

 

「ついこのあいだまで入っていたでしょう?」

「……アスカ?」

「たたたたたまにだし、水着は着てたよ!?」

 

 グーねぇの言葉を受けて、ジトーっとした目で俺を睨んでくるハヤねぇ。

 いや、その、なんだ、この歳で一緒にお風呂入ってたのはおかしいのはわかってるよ!

 でも仕方ないじゃん! 風呂に勝手に入ってきて髪洗ってくれるんだもん!

 でも体は自分で洗うし、トレーナーになってからは一緒に入ってないからセーフ! 多分!

 

「アスカ。もちろんお姉ちゃんと入るわよね?」

「アスカ。姉ちゃんと一緒に入る。それが勝利の方程式だ」

「それは……」

 

 今の俺の精神状態だと、この二人と一緒にお風呂とか絶対やばい。

 どこがどうなるとは言わないけど、絶対にやばい。危険が危ない。

 

「「それは?」」

 

 食らえ、必殺!

 

「あっ!? あんなところにタマモクロス実装の速報が!!」

「嘘でしょ!?」「バカな!?」

 

 二人が俺が指さした先を見ると同時に俺は逃げだした。

 

 

 

「ゴルスィィィィィ! どこにいるぅぅぅぅぅ! 俺を殴って気絶させろぉぉぉぉぉ!」

 

 いつもいらん時にちょっかいかけてくるくせに、こんな大事な時にいねーんだよなぁあの宇宙ウマ娘はよぉ!?

 ……あ! カワカミプリンセス発見!

 

「カワカミィィィィィ!」

「ひぃっ!? あ、アスカトレーナー? ビックリさせないでくださる!? 」

「御託はいい! 俺を殴れ!」

「……はぁ?」

「いいから早くしろ! 間に合わなくなっても知らんぞ!」

「……ひぃぃぃ! 変態ですわー! ドMの変態トレーナーが襲ってきましたわー! キングさん助けてですわー!!」

「待て、逃げるなカワカミ! 一撃、一撃でいいんだ! 一撃で終わらせてくれ!」

 

 逃げ出すカワカミを追って走り出す。

 そこへ……

 

「どいてくださぁ〜いぃぃぃ!」

「ガハァッ!?」

 

 すごい速さで走ってきたナニカにぶつかり、凄まじい衝撃とともに吹っ飛び、目の前が真っ暗になる。

 

「救いはないのですかぁ〜……」

 

 最後に聞こえたのは、そんな言葉だった。

 

 

 

 ガンバルゾーエイエイムン! ガンバルゾーエイエイムン!

 

 ランダムウマ娘アラームで目を覚ます。

 

「……ここは?」

 

 視界には天井が映っている。

 ……俺の部屋の天井だ。

 

「…………はぁ。夢か」

 

 そりゃそうだよな。

 なんでグラスワンダーとビワハヤヒデが俺の姉なんだよ。夢にしても荒唐無稽すぎるわ。

 しかし、すごい生々しいというか、リアル感がすごい夢だったなぁ。

 

「……ぷっ。あはははは!」

 

 なんともおかしくて、つい朝から爆笑してしまった。

 さて、起きて学園にいく準備でもするか。

 ……ん? なんか玄関から騒がしい声がするな?

 

「はいはーい。朝っぱらからどなたですかー?」

 

 玄関のドアを開けようと、ドアノブに手を伸ばす。

 その時、部屋の外から──

 

「だから! アスカは(わたくし)の弟だって言っているでしょう!?」

「おいおい、甘いもの食べすぎてついに頭の中身までスイーツ(笑)になっちまったのかぁ? あたしのおとぴっぴっだっつーの!」

 

 ──そんな声が聞こえてきたのだった。

 

 〜終〜

 




甘やかし合戦、個人的には大好きなんですけど最近は商業作品でもまず見かけませんね。
まぁそもそも姉メインの作品自体ほぼ消えかけてるんですけどね……竹井先生ェ……帰ってきてください……

あと活動報告にファル子の日常のボツネタをコソッと載せたので、良かったら暇つぶしにでもどうぞ。
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