【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯   作:藤原ロングウェイ

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【アネンターテイナー】フジキセキ(姉)実装です!
以前に読者の方からリクエスト頂いた際は「難しいっす……」とお答えしましたが、なんとか形になりました。


フジキセキ(ブラコン度:C)と弟の場合

 俺の名はアスカ。トレセン学園のトレーナーである。

 今日はなぜか寮長に招集をかけられ栗東寮に赴いている。

 お、あそこに歩いているのは……

 

「おーい、スペちゃーん」

「?……あ、アスカトレーナー」

 

 寮に向かう途中でスペちゃんを見かけたので声をかける。

 

「こんにちは」

「こんにちは!」

 

 笑顔で元気に挨拶してくれるスペちゃん。

 これは皆に可愛がられるのもわかるわ。

 

「寮に向かってるのかな?」

「はい。お買い物しすぎちゃって」

 

 右手には大量の人参が入った袋、左腕は小さめの箱を抱えている。

 ここはトレーナーとしてウマ娘の役に立たねば!

 

「なるほど。よし、向かう先も同じだし俺が持ってあげよう」

「えっ!? いいです、悪いですよ!」

「まぁまぁ、いいからいいから。お兄さんに任せ……って重ぉ!!」

「わー!? だ、大丈夫ですか!?」

 

 スペちゃんが荷物をサッと持ってくれる。

 ふぅ……ぎっくり腰になるかと思ったぜ……

 

「はぁ、はぁ……びっくりした。こんな重いとは思わなかった……」

「あはは、まぁウマ娘と人間じゃ力が違いますから」

「情けない姿を見せちゃったねぇ。これじゃモテないわけだ」

「え、アスカトレーナー、モテたいんですか?」

「そりゃーそうでしょ、男だもん」

「……不潔。都会の人ってやっぱりそうなんですね」

 

 冷たい視線を向けるスペちゃん。ちょっと気持ちいい。

 いや、誤解を解かなければ!

 

「いやいやいやいや。それはおかしいって。本能だもん仕方ないよ。ウマ娘だって『勝ちたい!』とか『誰よりも速く走りたい!』とかあるでしょ? それと同じよ」

「うー、そう言われたらそうかもしれませんけど、なんか騙されてる気がするぅ……」

 

 むぅーと唸ってるスペちゃんもかわいい。

 

「いや、学生時代はモテたのよ、そこそこ。告白とかも何回かされたことあるし」

「じゃあとっかえひっかえですか? 最低……」

「待って、スペちゃんの中の俺ってどんなクソヤローなの? 全部断ったよ」

「モテたいのにですかぁ?」

 

 俺に疑惑の眼差しを向けるスペちゃん。

 

「トレーナーになるためにひたすら勉強してたからね。そういった誘惑は全部断ってたのさ」

「おー、それだけ聞くとストイックでかっこいいですね」

「惚れるなよ?」

「あ、それはないです!」

 

 スペちゃんの眩しい笑顔!

 おれ の やるき が さがった。

 

「ついにトレセン学園でトレーナーに採用されたからね、晴れてモテることを満喫しようと思ったら、なぜか全くモテなくなってつらい」

「はぁそうですか」

 

 ちょうどうでも良さそうなスペちゃん。

 やはり田舎から出てきたイモ娘には男のロマンは理解できないか……残念だよスペちゃん。

 

「やっぱうちのお姉さまのモテっぷりはすごいわ。『今日も可愛いねポニーちゃん』とか恥ずかしくて言えないもん俺」

「そ、それが普通だと思いますよ」

 

 そんな話をしていると、前から歩いてくるウマ娘ちゃんがこちらに気付かなかったようで軽くぶつかってしまった。

 

「きゃっ!?」

「おっと」

 

 咄嗟にウマ娘ちゃんを支える。

 

「大丈夫ですか、ウマ娘のお嬢さん」

「へ!?」

「お怪我はありませんか? あなたのような美しい宝石を傷つけてしまったら私は三女神から天罰を受けてしまいます」

「う、うつ!? ほう!?」

「この愚かな私に姫君を保健室まで連れて行く栄誉を与えてはいただけないでしょうか?」

「け、けけけけ結構ですぅぅぅぅ!! 全然大丈夫ですからぁぁぁぁ!!」

 

 顔を真赤にしたウマ娘ちゃんが全力で爆走して去っていく。

 

「……ふぅ、緊張した。えっと、何の話だっけ? ……あーそうそう、よく『今日も可愛いねポニーちゃん』とか言えるよね。尊敬するわ」

「どの口がほざいてるんですか?」

 

 そう言いながら冷酷な眼差しを俺に向けるスペちゃん。

 何を言ってるんだスペちゃんは……?

 

「何が?」

「……えっと、もしかして本気で言ってます?」

「うん?どゆこと?」

「…………いえ、いいです。なんでもないです」

「はぁ……?」

 

 なんかスペちゃんがブツブツと小声で『恐ろしい血脈……』とかいってるけどなんなんだマジで。

 

「いやーしかしスペちゃんは話しやすくていいわ。俺人見知りするタイプでさー」

「え、全然そんなふうに見えませんけど」

「知らない人かつ女性、特に美人美少女相手だと緊張して何しゃべってるかよくわからなくなっちゃうんだよねぇ」

「……えっと、それってつまり私にケンカ売ってる感じですか? 買いますよ? 道産子なめないでもらえます?」

 

 シュッシュッ!と笑顔でワンツーを繰り出すスペちゃんだが、ヤルといったらヤルという『凄み』を感じる。

 あと気のせいか背景にゴゴゴゴ!とかドドドド!みたいな擬音が見える。

 ……殺される!

 

「ちゃうちゃう! スペちゃんは美少女なのに話しやすくていいねって話! よっ! 日本総大将!」

「ちょ、なんですかその呼び名!? 恥ずかしいからやめてください!」

「いや、ウマ娘美少女コンテストがあったら日本代表として日の丸背負えるくらいかわいいよってことさ」

「そこまであからさまだと、逆にうさんくさいんですけど……」

「わははは!」

 

 そんな話をしながら寮に入る。

 すると……

 

「おや、かわいいポニーちゃんの楽しそうな笑い声が聞こえると思ったら、赤ずきんがオオカミに食べられるシーンだったかな?」

 

 そこにいたのは男ですら『はぇ~めっちゃイケメン~』と思ってしまうレベルのかっこいいウマ娘。

 ここの寮長であり俺の担当ウマ娘であり姉でもあるフジキセキ、通称フジねぇが立っていた。

 

「人聞きの悪いことを……俺はスペちゃんと楽しくおしゃべりしてただけですぅー。ねぇスペちゃん?」

「やっぱり私、田舎者だから騙しやすそうって狙われてたんですね……」

「スペちゃん!?」

「あはははは!」

 

 スペちゃんに裏切られショックを受ける俺に爆笑するフジねぇ。

 

「クスクス。じゃあ私はこれで」

「またねー」

 

 ペコリを頭を下げて去っていくスペちゃんに手を振る。

 

「アスカが普通に女の子と話しているなんて珍しいね」

「いやースペちゃんのスペっとした感じが俺の心を和ませるんだよね」

「ふーん、言ってることはまぁなんとなくわかる気はするけど……あまり軽々しく接しすぎないようにね」

 

 そんなことを言い出すフジねぇ。

 まぁトレーナーであり寮長というそれなりの立場のウマ娘の弟でもある俺が担当外のウマ娘をナンパしていた、なんて噂が流れたらフジねぇにも迷惑かかっちゃうしな。

 とはいえ、なんか癪なのでからかってやろう。

 

「おや、ヤキモチですか姉様??」

「ふふ、なんだい、かわいいアスカは姉さんにヤキモチを焼いてほしいのかな?」

 

 フジねぇが俺の顎に指をかける。いわゆる『顎クイ』ってやつだ。

 やってやろうじゃないか。

 俺はフジねぇの前に膝を付き、手を自分の胸に当てる。

 

「満天の夜空に輝く星々のように煌めく姉様が嫉妬に身を焦がれる様が見られたら、それはとても美しく、幸運なことだと我が心はさざめきましょう」

 

 フジねぇは最初はキョトンとした顔をしていたが、次第にイタズラっ子のような笑みを見せる。

 

「おや、姉さんを口説くのかい? 悪い弟だ」

「姉様のような美しい煌めきを放つ美しい姫君を口説くなど、なんとも恐れ多いことです」

「アスカから口説かれたら少しクラっとしてしまうかもしれないね」

「私の口から紡がれる言の葉で姉様の心が少しでも揺れ動かせたのなら、私の心は喜びに打ち震えましょう」

 

 フジねぇは俺を立たせると、壁際まで追いやりドン!と壁に右手を付ける。

 そして俺の耳に囁きかける。

 

「かわいいね、アスカは」

 

 ここで即死級の破壊力をもつと言われる【フジキセキ壁ドン】発動!

 うちのお姉さまクラスにやられるとドキッ!というかキュン!というか、なんとも言えない感覚に襲われる。

 実の弟でこうなんだ、その辺のウマ娘ならクラックラだろうな。

 しかし、俺も負けてはいられない!

 

「三千世界を探したとしても、姉様より美しい女性などおりませんよ。強く優しく気高く美しい貴女に触れる無礼をお許しください」

 

 フジねぇの左手を取り、その手の甲に口づけする。

 

「…………ぷっ。クスクス」

 

 真面目な顔をしていたフジねぇが一転してクスクスと笑い出す。

 

「あはははは! いやー、私から口説かれて顔色を変えないのも口説き返すようなのもアスカくらいだよ」

「これでもフジ家の男子なんでね。母と姉の演劇を子供の頃から見てるんだから一撃返すくらいは出来るさ」

「ふふふ。立派な男の子に育ってくれて姉さんは嬉しいよ」

 

 またクスクスと笑い出すフジねぇ。

 いつまでも子供扱いだもんなぁ。

 

「さて。で、トレーナー立入禁止の寮になんで俺は呼ばれたのかな?」

「ああ、実は寮の子から遠くの友人とゲームをしたいからインターネットのポート?を開放してほしいと言われたんだが、正直よくわからなくてね。専門の人を呼ぶのも躊躇われるし、アスカに聞いてからにしようと思ってね。そういうの詳しいだろう?」

「まぁ人並みにはね。ポート番号も聞いてあるの?」

「一応メモをもらったからこれを見てほしい」

「ふむふむ……」

 

 そんな会話をしながら奥へと進んでいく俺たちだった。

 

 

 

 

「なして? なして姉弟で口説き合ってんだべ!? おかあちゃん、都会はなまらおっかないところだったよ……」

 

 

 

 その後、なぜか発熱と鼻出血のダブルコンボで廊下に倒れているスペちゃんが発見され、寮はどったんばったん大騒ぎになったらしい。

 スペちゃんは介抱されている最中も赤い顔で「おっかねぇ……おっかねぇ……」とうわ言を繰り返していたそうだが、一体どんな怖い目にあったというのか……依然謎のままである。

 

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