【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯   作:藤原ロングウェイ

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評価、ここすきありがとうございます。
感想もお待ちしておりますのでもし良かったらぜひ!

【姉組の星】ハルウララ(姉)実装!
リクエストを頂いた時は予定表に「多分無理かも」と書きましたが、どういうわけか書けました(笑)
誰のどんなネタがいつ舞い降りてくるか、それは姉神様のお導き次第なのであります……

ビワハヤヒデ(サンタver)がかわいくて良いですね!背走サンタ最高!


ハルウララ(ブラコン度:A)と弟の場合

 俺の名はアスカ。トレセン学園の新人トレーナーである。

 新人ではあるが、担当ウマ娘に坂路を走らせまくっているスパルタ野郎としても(悪い意味で)有名である。

 その担当ウマ娘は──

 

「アスカー!」

「わかったからちゃんと前を向いて走ってー! 危ないでしょー!」

「はーい!」

 

 ピンク色の髪をした小柄なウマ娘が手を振りながら走っている。

 ハルウララ、通称ララねぇ。俺の姉である。

 はっきり言って、ララねぇは遅い。

 どれくらい遅いかというと、トレセン学園史上最遅なのではないかと言われるくらいだ。

 うちにトレセン学園から合格通知が来た時なんか、大喜びのララねぇをよそに両親と俺は正直喜びよりも戸惑いの方が大きかった。

 そんなララねぇだから当然トレーナーがつくことはなかったが、ララねぇの『いっぱい走りたい! そしていつか一着をとりたい!』という夢を叶えるために弟である俺がトレーナーを引き受けた。

 

「ゴール!」

「ララねぇ、お疲れ様」

「アスカもお疲れ様! 今日もいっぱい走ったねー!」

 

 楽しかったー!なんて言って笑ってるララねぇ。

 よくもまぁひたすら坂路を走り続けるなんて地獄の鬼のお仕置きみたいなトレーニングを終えてニコニコしてられるわ。

 普通のウマ娘なら俺との契約解除を申し出てる気がする。俺がウマ娘なら間違いなくそうする。

 坂路トレーニングはそれ自体は素晴らしい訓練であるが、『登り下りがあるため気持ち良く全力疾走できない』『全身を使う運動なのでとても疲れる』『単純に面白くない』と地獄の三重苦なのでウマ娘たちには人気がない。

 だが、その地獄のトレーニングを文句をつけるどころか楽しんで走るウマ娘なんてララねぇくらいだろう。これはもう一種の才能だと思う。

 だからこそ少しずつ成果は出ており、ララねぇに陰口を叩く輩が減ったことは嬉しい限りである。

 

「ご、ごーる……」

「キングヘイローもお疲れ様。大丈夫?」

 

 はぁはぁと息を切らしながらグロッキーになっているウマ娘はキングヘイロー。

 担当ではないんだが、キングヘイローのトレーナーが家庭の事情で一週間ほど学園を離れることになったため、その間だけ同期でありキングヘイローと同室のララねぇの弟でもある俺が預かることになった。

 普段から結構ハードなトレーニングをこなしているみたいだが、さすがに坂路ループはバテてるな。

 

「こ、この程度の、はぁ、練習で……はぁ、はぁ、この、私が、だいじょばないわけ、ないでしょ……!」

「せ、せやな」

「なぜならぁ! この私はぁ! キングヘイローなのだからぁ! オーッホッホッゲホッゲホッ!」

「無理せず深呼吸してからでいいから。吸ってー吐いてー」

 

 俺の言葉に素直に深呼吸するキングヘイロー。

 このキングヘイロー、最初は高飛車な物言いと態度からララねぇがいじめられるのではないか、なんて心配していた。

 しかし、高飛車な物言いと態度は自分を奮い立たせるためのものであり、中身は優しく真っすぐで素敵なウマ娘だった。

 こんな良い子がララねぇをいじめるはずもなく、俺も見る目がないものだとキングに謝罪したことも記憶に新しい。

 

「はぁ、はぁ……ふぅ。この一流の私にかかればまだまだ走れるけど、アスカトレーナーが終りというならそうしましょう!」

「わーキングちゃんすごいねー! わたしはあと三周もしたらバタンキュー!って倒れちゃうかも! あははは!」

「……つまり、あと二周だったらまだ走れるってことかしら?」

 

 軽く引いているキングヘイロー。

 まぁララねぇはいつも坂路走ってるからね。

 すると、キングヘイローが気遣った声で俺に話しかける。

 

「……その、アスカトレーナー? 部外者である私がこんなことを言うのもおかしいけど、このトレーニングをずっと続けるっていうのはウララさんには少しハードすぎない?」

「…………」

 

 キングヘイローが心配する理由もわかる。

 毎日坂路をひたすら走り続けるなんて普通のウマ娘がやることじゃないからな。

 しかし、トレセン学園史上最遅とまで言われるララねぇが普通のトレーニングをしていたんじゃ、いつまで経っても他のウマ娘たちに追いつき追い抜くことなんてできない。

 それで俺が責められるならいい。だが、ララねぇが心無い言葉をかけられることが俺には耐えられない。

 なんて返事をすればいいか迷っていると、ララねぇが笑顔で話し出す。

 

「大丈夫だよ! わたし、頑丈だから! ちゃんとお休みももらってるし!」

「けど……」

「それに……アスカがわたしのためにトレーナーになってくれて一生懸命考えてくれたトレーニングだもん。全然平気だよ!」

 

 ララねぇのその言葉にキングヘイローは目を見開き、そして微笑む。

 

「そう……ウララさんが自分の意思でやっているならそれでいいわ。ごめんなさいアスカトレーナー、余計な口を挟んだわ」

「いや、キングヘイローみたいなララねぇのことを心配してくれる素敵な友人がいてくれて嬉しいよ」

「べ、べつに、一流のウマ娘として当然のことを言っただけよ!」

 

 俺の言葉にキングヘイローの顔が赤くなる。

 こういうところはすごい素直でかわいいんだけどな。

 そんなことを考えていると、ララねぇに袖をぐいぐいと引っ張られる。

 

「えっと、ララねぇ? どうしたの?」

「んー……なんだろ?」

「え、どゆこと」

 

 わけがわからん。

 

「なんかよくわかんないけど、アスカとキングちゃんを見てたらそんな感じ?になったの」

「はぁ」

 

 説明を聞いてもわからないでござる。どんな感じですか。

 

「ま、とりあえずこれで汗拭いて。スポドリもあるよ」

「ありがとー!」「ありがとう」

 

 タオルとスポドリを渡す。

 

「ウララさん、トレーニングが終わったらご飯の前にお風呂に入らなきゃダメよ」

「はーい!」

 

 うちの母さんみたいなことを言い出すキングヘイロー。

 普段の苦労が目に浮かぶぜ……

 

「……そういえば最近アスカと一緒にお風呂に入ってないねー」

「「えっ」」

 

 突然何を言い出すんですかお姉さま。

 キングヘイローがジト目で俺を見てくるんですが。

 

「……アスカトレーナー?」

「いやいやいやいや。昔の話だよ、昔の!」

「ああ、子供の頃の話ね。びっくりしたわ」

 

 俺の言葉にホッとした感じのキングヘイロー。

 良かった、俺の評判は守られたんだ。

 

「ううん、トレセン学園に入る前までは一緒に入ってたよ!」

「「…………」」

 

 その場に静寂が訪れる。

 ジト目どころか、うさんくさいインチキ占い師を見るようなキングヘイローの視線が俺に突き刺さる。

 痛い痛い。刺さってるよ。俺の体と心にドスドスと。

 

「…………と、いうことみたいだけど?」

「…………いや、その、ララねぇと同室のキングヘイローならわかるでしょ!?」

「何をバ…………そう言われたら……うーん」

 

 何をバカなことを、とでも言おうとしたみたいだが、その場で考え込むキングヘイロー。

 恐らく俺と両親の次にララねぇのお世話の大変さがわかってるだろうからな。

 大変申し訳無い。いつも姉がお世話になっております。

 

「……ウララさん。いくら姉弟だといっても、いい年をした男女が一緒にお風呂に入るのはダメよ」

 

 そして王の矛先はララねぇに向けられた。

 勝訴! 良かった、俺は赦されたんだ! ありがとう(キング)

 

「なんで?」

「え?」

 

 しかし、ララねぇの無邪気な質問がキングヘイローにぶつけられる。

 

「なんで(わたし)(アスカ)と一緒にお風呂に入っちゃダメなの?」

「なんで、って……それは……」

 

 顔を赤くしながらオロオロしているキングヘイロー。

 王の矛先が、止められた……だと……?

 

「えっと……その……アスカトレーナーからも何か言ってあげて!」

 

 なにぃ!? いきなり王の矛先が俺に向けられただと!?

 そんなこと言われても……

 

「……古池や、蛙飛び込む、水の音」

「意味がわからないわ!?」

「意味は『蛙が古い池に飛び込む音が聞こえてくる、なんと静かなのだろう』っていう意味だよ?」

「句の意味がわからないわけじゃないわ!?」

 

 だって、何か言ってっていうから……

 キングヘイローとそんな愉快?な会話をしていると。

 

「むぅー!」

 

 いきなりララねぇに抱きつかれる。

 

「ど、どうしたの」

「んー……よくわからないけど、なんかモヤモヤしたからアスカに抱きつきたかったの!」

「なんですかそれは……」

 

 しょうがないので抱きしめ返すとえへへーなんて笑ってるララねぇ。

 家族と離れて寮暮らしになってけっこう経つから寂しくなっちゃったのかな? 

 

「だから……はぁ。もういいわ。ウララさん、アスカトレーナー以外の人にそんなことをしてはダメよ」

「あははは! アスカ以外の人になんか絶対しないよー!」

 

 ララねぇを嗜めるキングヘイローと俺に抱きつきながら笑って返すララねぇ。

 なんかさっきから実家の母さんみたいなこと言ってるなこの子。

 

「ウララさんは本当にアスカトレーナーのことが好きなのね」

 

 キングヘイローのその言葉に。

 

「うん! わたし、アスカのこと世界で一番大好き!!」

 

 笑顔のララねぇは今日一番の元気いっぱいな声で返事をするのだった。

 

 

 

「……あのね、ウララさん。その、聞いた私が言うのもなんだけど、いくら練習場だからって他のウマ娘たちも見ているし、そんな大きな声で──」

「俺もララねぇが大好きだよ!!」

「えぇー!? わたしの方がもっといーっぱい大好きだよぉー!!」

「いやぁー! 無関係なはずの私が一番恥ずかしくなってきてるからもうやめなさい!!」

 

 後で姉弟揃ってキングお母さんに怒られました。

 

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