【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
読者さんの反応はモチベに直結するので助かります。
【漆黒の姉天楼】マンハッタンカフェ(姉)実装!
リクエストとは少し違った形になりましたが、カフェお待たせしました。
ついに来ましたね!タマモクロス実装おめでとう!
テクテクテクテク……
「さて、どうしたもんかねぇ」
どうもこんにちは、トレセン学園でトレーナーやってるアスカというものです。
学園内ですが、ただ今絶賛迷子中です。
かれこれ30分くらいは歩いてると思うんだけど……いつになったら目的地にたどり着けるのやら。
「まぁそもそも
別に何の理由もなく学園内を徘徊してるわけじゃないんですよ。
一応トレーナーなので仕事もあるし。
それなのに学園内の廊下を長時間歩いているのには理由がありまして。
いや、正確には……
『
見た目だけは学園内の廊下とそっくりなんだけどね。
廊下の先が見えないくらい、ひたすらに長ぁーく続いてなければね。
北海道の観光名所の『天に続く道』みたいな感じ。
でもね、あそこって直線距離が約30キロもある日本一の直線道路だから先が見えないのよ。
いつのまにトレセン学園の廊下はそんなに長くなったのかな?
もう一つの違和感。
今は放課後だから、本来ならウマ娘たちがワイワイガヤガヤとけっこうな音が響いてるはずなんだよね。
でもね、何の音もしないんですよ。
ウマ娘たちの話し声とか車の走行音とか風の音とか、そういった音が皆無。
完全に無音の世界で耳鳴りがするくらい。
教室に入ろうにも、ドアが全く開きません。
窓ももちろん開きません。外には人っ子一人見えません。
「困った困った。わっはっはっは」
歩きながらも笑うしかない状況です。
まぁこういった不可思議な現象は子供の頃からちょくちょくあったので、いまさら取り乱したりしないんだけどね。
慣れた!
経験則として、こういった無限回廊系の鉄則は『前を向いて歩き続けること』と『後ろを振り向かないこと』だ。
これは経験者にしかわからない感覚だろうね。フフフ、羨ましかろう。
「この後トレーニングもあるし、対『お友だち』用の走りの研究もあるから早く帰してほしいなぁ」
俺がそんなことを考えながら歩いていると、突然後ろの教室のドアがガラッと開いた音がした。
そして──
「アスカ、お疲れ様。もう大丈夫よ」
教室の中から俺の愛しいお姉さまの声が聞こえた。
俺は安心して後ろを振り向──
「……残念。甘かったね」
──こうとして思いとどまる。
「アスカ、どうしたの? 早くこっちに来て。一緒に帰りましょう?」
「はぁー、声色はそっくりだ。すごいね、どうやってるのそれ? 素直に尊敬するよ」
「何を言ってるの? さぁ、早く──」
「誰かは知らないけど、あんたは俺の愛しい姉さんのことを何もわかっちゃいない。俺のこともな」
「…………」
急に無言になる
狙われたのが俺じゃなければ騙されたかもしれんが、相手が悪かったな。
俺は前を向いたまま話し続ける。
「あんたの敗因はたった一つだ……シスコンなめんなよ、バーカ!」
……ガタガタガタガタ!!
俺がそう言い切ると、急に地震が起きたように廊下っぽい場所が揺れ始める。
オコ? オコなの?
「そんじゃ……あばよ、とっつぁ~ん!」
「…………イッショニカエリマショウ」
走り出す俺。
きっと誰かは俺を追って走ってきてるんだろうな。
でも残念、俺には霊感とかそういう類のやつが全くないから、気配がどうとか全然わからん!
わからんから怖くない!
あと慣れた!!
そのまま走っていると……
「アスカ!!」
「うおっ!?」
突然教室のドアが開き、横合いからタックルを食らい吹っ飛ぶ俺。
「いたたた……」
「アスカ、大丈夫!? 怪我してない!? 痛いところは!?」
気付くとそこは
そして一人のウマ娘が俺に跨り、体中をペタペタ触ってくる。
そこにいたのは……
「あはは、ただいまフーねぇ。ありがとう、助かったよ」
俺の愛しい姉であり、担当ウマ娘でもあるマンハッタンカフェ、通称フーねぇがそこにいた。
「いつまで待っても来ないから……そしたら『お友だち』が……」
「なるほど、ヤツが俺のピンチを知らせてくれたのか。ついでに礼を言っとくぜ、サンキュー」
空中を見ながら礼を言う。
正直、俺には『お友だち』の声も聞こえないし姿も見えない。
でもフーねぇがいると言っている。ならいるのだ。
フーねぇがカラスは白いと言えばカラスは白いし、空の青が水に変わったと言ったら俺は空を泳いでそれを証明してみせよう。
世にマンハッタンカフェのあらんことを……
「いやーしかし、やっぱ本物は違うね!」
「……?」
俺の言葉に???という感じのフーねぇ。
あの偽物、たしかに声だけ聞いたらフーねぇそっくりだった。この
でも本物のフーねぇならあの場で俺に『お疲れ様。もう大丈夫よ』とか『早くこっちに来て。一緒に帰りましょう?』なんて絶対言わない。
そんな言葉を口にする前に、問答無用の全力で俺を安全圏まで運び出すに決まってる。
そしてこんな風に俺を心配してくれるのだ。
「いつもごめんね……私のせいでアスカに迷惑をかけて……」
「なーに言ってんのさ。そりゃ俺のセリフ。いつも助けてくれてありがとう」
申し訳なさそうな顔をするフーねぇ。
フーねぇは『自分といるから俺が変な現象に巻き込まれている』と思っているらしい。
俺からすればフーねぇは子供の頃から俺を助けてくれるヒーローのようなものなんだけど。
「アスカ……」
「フーねぇ……」
お互い手を握り見つめ合う。
このつぶらな瞳、流れるような美しい墨色髪、鈴の鳴るような清廉な声……
俺のフーねぇの可愛らしさは留まることを知らない。
世にマンハッタンカフェのあらんことを……
『不気味』とか『なんか怖い』とか『近寄り難い』とか言われているが、お前らの頭と目は大丈夫なのかと問い詰めたい。100回位問い詰めたい。
「姉弟で熱く見つめ合っているところ悪いが、そこをどいてくれないと研究室に入れないんだがねぇ」
「……悪いと思っているなら、もう少し待ってくれてもよかったんだけどね、タキオン?」
いつのまにかアグネスタキオンが邪魔そうな顔をして立っていた。
そうか、ここは研究室の前だったか。
「なぜ私が君たち姉弟のために無駄な時間を費やさなければならないんだい?」
「そう言うと思ってたよ。邪魔したね」
チッ、フーねぇと見つめ合うという素敵な時間を邪魔しやがって。
「あー待ち給えアスカトレーナー。実は君に飲ん──」
「アスカに変なもの飲ませないでください……」
タキオンが言い切る前にサッと立ちふさがるフーねぇ。
「ふむ……なら責任をとってカフェ、君が飲んでくれたまえ。姉ならば喜んで弟の身代わりになるべきだろう?」
「…………わかり──」
「待って待って待って待って。騙されないでフーねぇ。そもそもなんで俺が怪しい実験薬を飲まなきゃならんのだ。そこがおかしい」
フーねぇが『……確かに』といった顔で手をポンと叩く。
その姿もまた可愛らしい。
世にマンハッタンカフェのあらんことを……
「全く。姉弟揃ってケチだねぇ」
「「…………」」
ブツブツ言いながら研究室に入っていくタキオン。
……おのれマッドサイエンティスト。俺だけならともかく、フーねぇまでもケチ扱いとは許すまじ。
アスカRVの真の力を見るがいい!
「ターゲットインサイト。メガ・オトモダチキャノン……シュート!」(BGM:英雄戦記)
俺が親指を立ててGo!サインを出す。
すると。
「……あぁー! 研究資料がぁぁぁ!!」
研究室の中からタキオンの絶叫が。
ザマァー。タキオンザマァー。
「うぇーい!」
手を掲げ、多分そこらへんにいるであろう『お友だち』と拳を合わせる動作をする。
さて、俺のせいでトレーニング時間が削れてしまったし、早く練習をはじめよう。
と思ったのだが……
「アスカ……今日の練習はお休みにしましょう……」
「ん? ああ、平気平気。全然大丈夫よ。無限回廊を30分くらい歩いた後にちょっと変なのに追いかけられた程度のことだし」
「それは……全然大丈夫じゃない……」
悲しそうな顔で俯くフーねぇ。
「アスカに何かあったら……私……」
そ、そんな潤んだ瞳で見つめないでくれ……死んでしまう! デジタル的な意味で!
「わ、わかりました。じゃあ今日はお休みにしようか。ごめんねフーねぇ」
「コーヒーでも飲んでゆっくりしましょう……」
「じゃあ俺の部屋いこうか」
今研究室に戻るとタキオンの後始末というか尻拭いさせられそうだしね。
「はい……どうぞ……」
「ありがとうフーねぇ」
俺の部屋でコーヒーを淹れてくれたフーねぇがソファに腰を下ろす。
俺のぴったり真横に。肩も手も足もめっちゃ密着してます。
「あの、フーねぇ? 近くない?」
「何かあった時に……そばにいれば安心だから……」
そりゃそうだけど……すごく柔らかいしすごい良い匂いがしてドキドキしてしまうんですが!
「迷惑……?」
「まさか。大歓迎ですよ!」
「じゃあ……このまま……」
そう言って俺に密着したままコーヒーを飲み始めるフーねぇ。
とりあえず俺もコーヒーを飲む。
「……うん、美味い。さすがフーねぇ。俺が淹れたコーヒーとは比べものにならないね」
「よかった……」
俺の部屋にあるコーヒー豆と機材はフーねぇが用意してくれたものだ。
研究室にあるものと違い、味や風味を俺好みに合わせた豆を仕入れてくれた。
俺もフーねぇを真似て自分で淹れたりするんだけど、やはりフーねぇの淹れてくれたコーヒーの方が断然美味い。
きっとフーねぇの愛情が込められているからだろう(ドヤ顔)
「「…………」」
二人で静かにコーヒーを飲む。
この静寂が、俺の最も幸せな時間の一つだ。
まぁフーねぇと一緒にいる時間は全て幸せな時間なんだけど。
この二人だけの世界がいつまでも続けばいいのに……
そう思っていると。
パチッ。
急に電気が消え真っ暗になる。
まるで『誰か忘れてませんかねぇ?』とでも言いたげに。
しかし、真っ暗になることでさらにフーねぇの存在が感じられる。GJだ。
真っ暗な部屋でお互いの体温だけが感じられるこの状況。本当に二人だけの──
パチパチパチパチパチパチパチパチッ!
「うるせぇー!!」
『お友だち』のやろー、悪質なピンポンダッシュのごとく電気のオンオフを繰り返しやがって……!
「邪魔すんなクソがぁー!」
俺は立ち上がり、その場で回転しながら周囲にオラオララッシュを放つ。
姿が捉えられず触れられないなら全方位に攻撃すればいいじゃない。
ベイ中尉は俺に大切なことを教えてくれた……
「うわぁ!?」
しかし『足元がお留守ですよ』とでも言うようにいきなり足元を掬われ前方に転ぶ。
「ぐぇー」
そして背中に何かがのっかる感触。
あのヤロー、絶対俺の背中に足乗っけて試合に勝利したプロレスラーみたいポーズをとって勝ち誇っている気がする!
「フフフ……『お友だち』とアスカが仲良しで嬉しい……」
楽しそうに笑うフーねぇ。
……まぁ、フーねぇが喜んでくれるのならば、コイツがそばにいることも許してやるか。
『お友だち』はカフェの弟相手だったら多少は手加減するというか、ついで程度には守ってくれそうだなーと思ってこうなりました。
あと今回のアスカくんはガチめのシスコンになりました。
世にマンハッタンカフェのあらんことを……