【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
【フォーミュラオブシスター】マルゼンスキー(姉)実装!
……なんですが、コメディ色がだいぶ強めです(苦笑)
普段は頼りになる先輩ムーブなので、弟にだけは好きなだけ甘えさせてあげたいマルゼンお姉ちゃん概念。
一方的に甘やかされることだけが姉弟じゃないぜ!
「アスカトレーナーお疲れ様でーす」
「おーお疲れー。怪我すんなよー」
「はーい!」
俺の言葉を受けて、手を振りながらウマ娘が走っていく。
俺の名前はアスカ。トレセン学園のトレーナーである。
最初の頃は色々あったが、今ではちゃんと馴染めていると思う。
「さて、じゃあ練習に──」
いくかーと思ったら、向こうからドドドド!とすごい勢いでこっちに爆走してくるマブいウマ娘が。
あれは……
「あっくぅーーーん!」
「ぐぇー」
ウマ娘がこちらに爆走→そのままの勢いで俺に抱きつく→そのままグルグルグルッと3回転→無事着地。
「ちょっときいてよー! マヤちゃんが……って、あれ? 大丈夫?」
「大丈夫……一瞬凄まじいGが体にかかっただけだから」
「えへへ、メンゴメンゴ♪」
舌をペロッと出して、全く反省してない様子で謝ってくるすっごい美人。
この激マブなウマ娘こそ俺の姉であり担当ウマ娘であるマルゼンスキー、通称マルねぇその人であった。
普段は速くてかっこよくて優しくて面倒みが良くて頼れる先輩として有名であり、『現在トゥインクルシリーズを走っているウマ娘で最も強いのは誰か』議論になった時は必ず名前が挙がる程度には最強でもある。
まぁ俺の前ではだいたいこんな感じだけども。
ただ、俺がトレセン学園にいった当時は驚いた。
なぜなら、自慢の姉であったマルねぇが『すごく速くて優しくて面倒みが良くて頼れる先輩(でも未デビュー)』という意味不明な存在になっていたのだ。
〜以下その時のやりとり〜
『なんで? マルねぇならトレーナーからお誘いいっぱいあったでしょ?』
『そうなんだけど……なんか違うなって思ってお断りしてたらそのうち誰も来なくなっちゃった。テヘッ』
『うそーん』
『……もしあっくんがお姉ちゃんをスカウトするなら、なんて声をかける?』
『俺なら……一緒に楽しいことしませんか?って言うかな』
『どうして?』
『ぶっちゃけさ、マルねぇは夢とか覚悟とか決意とか、そういうので走ってないじゃん?』
『うぐっ……やっぱりあっくんにはバレちゃうかぁ』
『そりゃあね。んで、そんなウマ娘に伝説を作ろう!とか最強を目指そう!って言っても、なんか違うなってなるからね。大事なのはウマ娘本人の想いじゃない?』
『そっか……あっくんはそう思ってくれるのね……』
『……こほん。それで、今ここにはお互いフリーのトレーナーとウマ娘がいるわけだけど』
『……クスッ。なにか言いたいことがあるのかしら?』
『良かったらあなたをスカウトさせていただけませんか?』
『……ありがと。あたしの方からもぜひお願いさせて。これからもよろしくね、あっくん!』
〜やりとり終わり〜
ということがあってマルねぇと俺の姉弟パートナーが誕生したのだった。
ただ、あとで知ったことではあるが、誰が見ても逸材だとわかるマルねぇの専属トレーナーというのは『元々強いんだからトレーナーが誰であっても勝って当然、負けたらトレーナーの責任』というなかなかデンジャラスな立場であったらしい。
結局弟の俺が担当するのが一番角が立たない結果だったようだ。
話を戻す。
その完璧超人であるマルねぇが俺に泣きついてくるというのはだいたい理由は決まっている。
「で、どうしたの」
「そう! そうなのよ聞いてあっくん! マヤちゃんたちのお話を盗み聞き、じゃなくて聞こえちゃったのね!」
いま不穏な言葉が聞こえましたが、スルーします。
「『どういう人がイケてる大人のオンナか』って話題でお姉ちゃんの名前が出たからウフフフって思ってたの! そしたらマヤちゃんが『マルゼンちゃんはオトナーっていうより古いなーって』って!」
「あー」
「『あー』!? ちょっと、あーってなぁに!?」
いや、『あー』以外言うことないでしょそれは。
そう、マヤちゃんが言うように、うちのお姉様はなぜかセンスが古い。
わざとやってんの?ってくらい古い。
本人は至って大真面目なんだけど。
「もー! それでね、お姉ちゃん考えたの」
「一応聞きましょうか」
「やっぱり流行を追うならいんたーねっとがチョベリグかなって!」
「まぁそうですね」
にこにこ笑顔のマルねぇ。
もう発音からして『インターネット』がひらがなだろうなってわかるよね。
機械音痴の親戚のおばちゃんじゃないんだから……
「それでね、いんたーねっとで流行りを調べて、ついに! ナウなヤングにバカウケな最新ネタを取り入れることに成功したのよ!」
「……とりあえず、他の人に聞かせる前に俺が聞こうか」
「オッケー牧場よ♪」
自信満々の様子のマルねぇ。
その返事からしてもう不安しか感じないよ。
目を閉じたマルねぇが深呼吸し、覚悟が決まったかのようにカッと目を開ける。
「いくわよー……ゲッツ!」
「…………」
無言になる俺。
いや、うちのマルねぇのゲッツポーズはかわいいよ? かわいいんだけどね?
「あ、あら? ゲッツアンドターン!」
「…………マルねぇ、あなた、疲れてるのよ」
「な、なんで!?」
流行……確かに流行ったけど……
「あ、他にもあるのよ! 『命!』とか『なんでだろ〜なんでだろ〜!』とか!」
「なるほど……お薬追加しておきますね〜」
「がびんちょ!?」
俺の言葉に驚くマルねぇ。
その驚き方も年季が入ってますね。
するとマルねぇがちょっと恥ずかしそうにモジモジしながら口を開く。
「あとは、その……『だっちゅーの!』とか?」
「やめてくれマルねぇ。その術は俺に効く」
『いい歳して何しとんねん』とか『おいたわしや姉上……』とか以前に、『エッッッッッ!!』ってなっちゃうであろう自分が想像できすぎて辛い。
ほら、一応俺もシスコンなので……
「そ、そう? あと『ダッダーン! ぼよよんぼよよん!』とかは……?」
「それも俺に効きすぎるからやめてくれ」
「あっくんに効く流行ネタ多いわね!?」
いや、俺に限らず男性ならほぼ全員効きすぎると思う。
男性特効でクリティカルヒット! ズッキューン!
「ちなみに、それはどこ発信の情報なの?」
「いんたーねっとに書いてあったわよ?」
「いや、だから……誰かのウマッターとかウマチューブとか某掲示板とか」
「だから、いんたーねっとだってば!」
「…………そう」
さすがマルねぇ。PS5だろうがスイッチだろうが、どんなゲーム機であろうと『あら、それ新しいファミコン?』とか言っちゃう女だ。面構えが違う。
「よーし、じゃあとっておきみせちゃうわよー?」
「まだあるの? 大丈夫?」
「だいじょうブイ!」
笑顔でダブルピースのマルねぇ。かわいい。
「見ててね、いくわよー! ぶゆーでんぶゆーでん! 聞きたいあたしのぶゆーでん♪」
え、それ俺もやらなきゃダメなやつじゃん!?
しゃーないなー。
「……そのすごい武勇伝言ったげて!」」
「今日は楽しく走ってレースで一着♪」
「なお二位との間は13バ身!」
「「ぶゆーでんぶゆーでん!」」
二人で同時に踊りだす。
この辺はもう以心伝心ですよ。
「でんでんででんでん、レッツゴー!」
「今日も楽しく走ってレースで一着♪」
「なお初のダートで差は10バ身!」
「「ぶゆーでんぶゆーでん! でんでんででんでん」」
「カッキーン!」
「マルねぇかっこいい!」
カッキーンポーズをかっこよく決めるマルねぇ。
そしてその横で頭を抱えて蹲る俺。
いや、モノホンの武勇伝じゃん……洒落にならないでしょ……
つーか今更だけど、俺の姉すげぇな!?
「これもダメ?」
「ダメっていうか、聞いた人多分苦笑いしか出ないし、『お、おう』とか『あんたほどの実力者がそう言うなら……』みたいな微妙な雰囲気になると思う」
「そ、そんな……」
衝撃を受け、その場でorz体勢になるマルねぇ。
だってその武勇伝、リアルガチすぎるんだもの……
俺はその背中にそっと手を置く。
「出直そう。『古かったことがある』というのがいつか大きな財産になるよ」
「あっくぅん……うわぁーん!」
泣きつくマルねぇと、抱きしめる俺。
めっちゃ柔らかいし暖かいな!という心の衝撃は顔に出さないのであった。
それから気分転換でマルねぇのタッくんにあちこち乗りまわされ、俺のやる気はさがった。
次の日。
「ふっふっふ、いんたーねっと検索を駆使して、ついに流行の最先端をゲッツ!したわ!」
「いや、まだゲッツに引っ張られてるじゃん。追いついてないじゃん」
「そ、それはそれ、これはこれよ」
律儀に手で『横に置いておいて』の仕草をするマルねぇ。
その仕草も古いんだけど、かわいいんだよなぁ。
「じゃあいくわよー……ぬるぽ!」
「…………」
「あ、あら? ぬるぽよ? ぬるぽ!」
「…………ガッ」
「あっ! フフーン♪ どう? イケてるでしょ?」
ポーズをとってドヤ顔のマルねぇ。
なんでこーなるの! 次いってみよー!
ちゃんちゃん。
マルゼンスキーならだっちゅーの!もノリノリでやりそうですが、少し恥ずかしがっている方が藤原の性癖に刺さるのでああなりました。
マルねぇも女の子だからね、仕方ないね(水着で走っている姿から目を逸らしつつ)