【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯   作:藤原ロングウェイ

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【お姉ちゃん、すすめ!】サクラバクシンオー(姉)実装!

リクエストの中で一番ピンと来たバクシンお姉ちゃんを書いてみました。
が、実はこれ書いてる途中で新サポカイベにバクシンの妹が登場したりバクシンがすごい良いお姉ちゃんしてたりで嬉しい反面、執筆に困りました(苦笑)
なので今話もいつもどおりサクラバクシンオー(姉)という別世界のバクシンお姉ちゃんということでお願いします。


サクラバクシンオー(ブラコン度:S)と弟の場合

 俺の名はアスカ。自分で言うのもなんだが、トレセン学園の中でも良い意味でも悪い意味でも有名なトレーナーである。

 評価も両極端で、俺を『桜の錬金術師!』と褒め称える人もいれば『担当ウマ娘の適正距離もわからない素人以下のクソザコナメクジ』と罵る人もいる。

 評価の振り幅がデカすぎる男、アスカ。それが俺だ。

 

「アスカトレーナー! あの、ちょっとお時間いいですか?」

 

 そんな俺の前に二人のウマ娘がいる。

 そのうち一人は頬を赤く染め、なんかモジモジしている。

 そしてもう一人はちょっと後ろの方で『頑張って!』とか声をかけている。

 ……もしや告白か? 告白なのか?

 俺は違いのわかる男なのでクールに返す。

 

「ああ。暇ではないけど、話を聞く時間はあるよ」

「実は、アスカトレーナーに聞きたいことがあって……」

 

 この潤んだ瞳、これはもう告白確定ですわ。

『彼女いるんですか?』かな? それとも『恋人募集中ですか?』かな?

 ふっ、やれやれ。俺も罪な男だ。

 

「アスカトレーナーって……」

「うん、ちゃんと聞くよ」

 

 だけど、すまんなウマ娘ちゃん。

 俺には大事な使命があるから、それが終わるまでは誰とも──

 

「アスカトレーナーも走る時は『バクシンバクシーン!』って叫びながら走るんですか!?」

「言わねぇよ」

「じゃあやっぱり『アスカンアスカーン』ですか!?」

「んなわけあるか。『じゃあ』も『やっぱり』も意味がわかんねぇよ」

「「えぇ!?」」

 

 『ほらぁー!』『えぇー嘘だよー!』とか言いながらびっくりしているウマ娘ちゃんたち。

 いや、それもう頭おかしい人だよね?

 トレーナー資格試験の時の人格判断で即落とされるやつだよね。

 

「だって先輩が『アスカは私そっくりの優秀なトレーナーですからね! さすがは私の弟です! ハッハッハ!』って言ってたから、てっきりアスカトレーナーもそんな感じかと……」

「……はぁ」

 

 それな。

 俺がトレセン学園のトレーナーになる前からうちの姉ちゃんが周囲にそう言いふらしていたため、周囲は『()()()()()()()()()の男がトレーナーとしてトレセン学園に来るらしい』と戦々恐々としていたらしい。

 マジ風評被害ですよ。勘弁してください。

 

「あの、変なこと聞いてすいませんでした。お詫びといってはなんですが、良かったら今度のお休みの日に一緒にお食事でも──」

「バクシンバクシーン!!」

 

 ウマ娘ちゃんが何かをいいかけた時、向こうから大声を発しながらドドドド!とすごい音を立ててこっちに驀進してくるウマ娘の姿が。

 そしてこちらに近づくとキキキッと急ブレーキをかけ、ちょうど俺とウマ娘ちゃんの間で止まる。

 

「ぴったりの位置で止まれましたね! さすが私!」

「……バクねぇ。危ないから猛スピードで走り回らないで」

「ウマ娘に走るなとは、アスカもなかなか面白い冗談を言いますね! さすが私の弟です! ハッハッハッハッハ!」

 

 両手を腰に当てながら高笑いを上げているウマ娘が俺の担当ウマ娘で姉でもあるサクラバクシンオー。通称バクねぇである。

 

 

 

 バクねぇはスプリンターとしての圧倒的な才能を持っており、将来を約束されたようなウマ娘だった。

 しかし、バクねぇの担当トレーナーになるものは様々な理由により現れなかった。

 というより、手を挙げる人は多かったのだが、誰もバクねぇを理解できなかったのだ。

 まぁ当然だ。

 

『私はウマ娘の模範となる学級委員長にして弟の模範となるお姉ちゃん!』→なんとかわかる

『だから短距離だけでなく全ての距離で走れなければいけない!』→さっぱりわからない

 

 こんな感じ。

 結局俺がトレセン学園のトレーナーに採用された時に姉弟間のみで通じるバクシン語で『最初は短距離で天下とって、徐々に距離を伸ばして完全制覇だ!』的なことを伝えて担当になったのだが、楽な道のりではなかった。

 

 バクねぇの希望を汲んで、まずはマイルであるスプリングステークス(距離1800m)に出走することになったのだが、周囲の批難がすごかった。主に俺に。

 まぁ短距離走ってれば絶対王者のバクねぇに短距離以外を走らせるなんて、普通に考えたら狂気の沙汰みたいなもんだからな。

 でもバクねぇが走りたいといっているのだ。ならばトレーナーとして、弟として、出来ることをしたいと思ったのだ。

 スピードを求めつつスタミナ強化も行い、毎日新しいトレーニング方法を研究したり海外のウマ娘の論文とにらめっこしていた。

 

 そして、運命の日。

 めっちゃ緊張していた俺とは裏腹に、バクねぇの『お姉ちゃんのウイニングラン、期待して待っていなさい!』の力強い一言。

 

 ……結果、一着。

 

 周囲も唖然としていたが、ぶっちゃけ俺も唖然としたわ。

 マジ? 俺の姉、マイルも走れちゃうの? しかもあと200m追加したら中距離の範囲よ? ヤバくね?って。

 その後、俺は()()サクラバクシンオーをマイルで勝たせた男として【桜の錬金術師】と呼ばれることとなった。

 候補としては他にも【エンデュミオンの鷹】とか【不可能を可能にする男】とかもあったが、レース途中でバクねぇを庇って爆死した後、洗脳されて敵として登場しそうだったのでやめてもらった。

 

 

 

 バクねぇはクルッとウマ娘ちゃんたちに向き直る。

 

「さてお二方! アスカのことに関して聞きたいことがあるのなら私に聞くと良いですよ! アスカのことならなんでも知っていますからね! なぜなら私は学級委員長でお姉ちゃんなので!」

「えっと……」

 

 困り顔のウマ娘ちゃんたち。

 そりゃいきなりそんなこと言われてもね……

 

「なんでも聞いてくれていいですよ! アスカの初恋の人ですか? それは私ですね! ファーストデートの相手ですか? それも私ですね! それともファーストキスの相手ですか? それも私です!」

 

 ドヤ顔のバクねぇ。

 それとは対称的にウマ娘ちゃんたちは顔面蒼白になっている。

 あの顔を俺はよく知っている。バクねぇと俺の話を聞いてドン引きしている時の表情だ。

 俺は詳しいんだ。(長年の経験で)

 

「他には何が聞きたいですか? なんでも結構ですよ!」

「いえ、その……もういいです。ありがとうございました……」

「……そうですか……聞きたいことはないですか。アスカのことならなんでもわかるのですが……そうですか……」

 

 露骨にしょんぼりするバクねぇ。

 皆に頼られたい学級委員長兼お姉ちゃんは扱いがとても難しいのだ。

 

「アスカがオネショした話とかホワイトデーで作ったお返しの話とか私へプロポーズした時の話とか色々あるのですが……」

「俺の恥部ばっか周囲に喧伝するのやめない?」

「ちょっと聞きたいかも……」

「おい」

 

 バクねぇの話に少し興味有りげなウマ娘ちゃんたち。

 このままだと俺のあることあることが大げさに周囲に伝わり『やっぱり弟も頭バクシンなんだな』って思われちゃう!

 

「おっと、急な用事を思い出した! さぁいこうバクねぇ! 勝利に向かって驀進だ!」

「むっ、よくわかりませんがアスカがそう言うならそうなのでしょう! では皆さん! 失礼します! バクシンバクシーン!!」

 

 バクねぇは俺の手を掴むと、そのまますごい勢いで走り出したのだった。

 

 

 

「彼女たちも私のアスカに目をつけるとは、見る目がありますね!」

「そういう話じゃなかったけどね……」

 

 バクねぇはどこに向かって走っているのだろうと思っていたら、着いたのは俺の部屋だった。

 とりあえず暖かいお茶を入れる。

 

「粗茶ですが」

「世辞ですね! わかりますよ、アスカがお姉ちゃんに粗末なお茶を出すはずがありませんからね!」

 

 桜茶を出すと笑顔でゴクゴク一気飲みするバクねぇ。

 その信頼は嬉しいのですが、けっこう手間暇かけて入れたやつなんでもうちょっと味わって飲んでもらえると弟嬉しいっすね。

 

「しかし、アスカはトゥインクルシリーズ、ドリームリーグ、そしてそれ以降もずっとお姉ちゃんの専属トレーナーなので彼女たちには涙をのんでもらうしかないですね!」

「ずっとか……」

 

 ということは俺がチームを受け持つのは何年後なんだろうか。

 理事長からも『今後も適性で悩んでいる多くのウマ娘たちを導いてほしい!』とか言われてるから、ずっとがいつまでかは気になるな。

 

「ちなみに、ずっとってどこまで?」

「どこまで? 墓場までですが?」

「は、墓場!?」

 

『何言ってるんだこいつ?』みたいな顔で見てくるバクねぇ。

 いや、何言ってるんだはこっちのセリフなんですが……

 

「えっと、さすがに墓場も弟と一緒はバクねぇの旦那さんも困ると思うよ?」

「旦那? いえ、お姉ちゃんはずっとアスカと一緒にいるので結婚する予定はありませんが?」

「お、おう」

 

 ドストレートなバクシンアタックがハートに直撃し動揺する俺。

 そこに追い打ちをかけるバクねぇ。

 

「私達は姉弟。ならばずっと一緒が当たり前です! アスカは学級委員長にして最高のお姉ちゃんである私とずっと一緒にいられて幸せ者ですね!」

「あ、当たり前なのかな……?」

 

 苦笑いの俺に対し、バクねぇが爆笑しながら言葉を続ける。

 

「ハッハッハッハ! アスカは何も考えず、ただ安心してお姉ちゃんという名の大船に乗ったつもりでいればいいんです!」

「タイタニックレベルで衝突事故起こしそうで怖いな……」

「大丈夫! 私達は一心同体、一蓮托生、比翼連理! 沈む時は一緒です!」

「まずは事故らない方向で考えていただきたい!」

「ハッハッハッハッハ!」

 

 腰に手を当てて爆笑するバクねぇ。

 いつのまにか俺はバクねぇに永久就職していたようだが、まぁそれもまた一興だろう。

 ウマ娘の歴史を塗り替える瞬間を誰よりも近くでこの目でみれる特等席みたいなもんだ。

 俺はバクねぇにペコリと頭を下げる。

 

「不束者ではございますが、末永くよろしくお願いいたします」

「弟よ、共にビクトリーロードを駆け抜けましょう! 死が二人を分かつまで! ハッハッハッハッハ!!」

 

 そして、バクねぇは、いつものように、笑ってそれを受け入れるのであった。

 




ブラコン要素が少し薄めだったので今後の日常話で補完する、カモ?(未定)
バクシンは頭バクシン感と口調が思ってたより難しくて姉的表現が足りなかった感がありますね。要修練。
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