【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
前話を投稿すぐにめっちゃここすき!して下さった読者さんがいてすごい嬉しかったです!アリガトー!
【システッド・ライン】メジロドーベル(姉)実装!
ブラコンS族なので、いつものように軽くキャラ崩壊しておりますがご了承下さい。
アヤベさん実装おめでとう!
すごい世話焼きな良姉になりそうですが、背景がめっちゃ重いので姉化はなかなか難しそうですね……
「この前ライアン姉さんが筋トレしながら『らぶ・らぶ・きゅん・きゅん!』とか言っててびっくりした」
「なにそれ、幻聴じゃないの?」
「なんか『かわいい筋肉を育てる』とかなんとか」
「意味わかんないんだけど……」
俺の名はアスカ。誇り高きメジロ家の末席に名を連ねるトレーナーである。
そして一緒に話をしているのは姉であり担当ウマ娘でもあるメジロドーベル、通称ベルねぇ。
姉弟で担当トレーナーをするのはなかなか珍しいことではあるが、ベルねぇは男性が苦手なこともあって弟である俺が担当している。
より正確に言えば『男性が苦手』というより『弟以外の男性に興味がない』ということなのだが。
幼少期に色々あって以来ベルねぇは俺にベッタリであり、いわゆるブラコンなのであった。
まぁ俺もシスコンと言われても抵抗がないくらいにはシスコンなので特に問題はないんだが。
「そういえばさ、なんか最近他のウマ娘さんたちとよく目が合う気がするんだよね」
最近気になっていることをベルねぇに聞いてみる。
このカフェテリアでも周囲を見渡すと右方にいる緑髪の子、前方にいる青髪の子、左方にいるピンク髪の子と目が合う。
サッと視線を逸らされるが、それでもチラチラこっちを見ているのがバレバレだ。
なんだ?
「もしかしてモテ期がきちゃったかな? なんちゃって」
「……は? 寝言は寝てから言ってくれない?」
俺がHAHAHA!と本場メジロジョークをかますも、ベルねぇの絶対零度の視線が俺を貫く。
「いや、でも目が合う回数も確かに──」
「そういった妄想をするなとは言わないけど、口に出すのはやめてくれる? 姉として恥ずかしいから」
「はい、申し訳ありません……」
全身の毛を逆立てながら俺を睨むベルねぇ。
そんなキレなくても……なんちゃってって言ってるじゃないですか。冗談ですよ冗談。
意気消沈しながら目の前にあるブラックコーヒー(に砂糖とミルクをたっぷり追加したやつ)を飲む。
……うむ、美味しい。やはり甘さは正義。ゴクゴクですわ!
ベルねぇに視線を戻すと、すごい眼光で全周囲にメジロニラミを放っていた。
その口からは『泥棒猫』とか『私だけの』とか『絶対渡さない』とかの不吉な単語が漏れている。
え? なんだって?(突然の難聴)
「あー、ベルねぇ。落ち着いて。俺の気のせいだから。勘違い」
「……そう? そうよね。アスカだもんね」
そう言って安心したような表情をするベルねぇ。
うーん、『アスカだもんね』の意味が気になりますねぇ。
「あ、そろそろ時間だ。エアグルーヴ先輩にお手伝い頼まれてるからちょっといってくるね」
「憧れの先輩の前だからって張り切ってドジしないようにね」
「もうっ! そんなのしないわよ!」
「はははは。いってらっしゃい」
「……ふふっ、いってきます。1時間くらいで終わると思うからトレーナー室で待ってて!」
「りょーかい」
ベルねぇがカフェテリアから去っていく。
さて、あと1時間何をしようかな。1時間ってけっこう中途半端なんだよなぁ。
……他のトレーナーたちに挨拶兼偵察にいくか。
ここはトレセン学園、強いウマ娘はゴロゴロいるから研究と対策はいくらしても足りることはないしな。
なんて思っていると、さっき俺を見ていた3人のウマ娘たちが並んで早足でこっちに向かってくる。
な、なんだ!? まさかジェットストリームアタック!? 俺は誰を踏み台にすれば良いんだ!?
しかし、俺は光のトレーナー。ウマ娘を踏むことなんてできない。どうすれば……
そしてそのまま前左右をウマ娘3人に囲まれる。
違う、これは……!
「トライアングルアタックか!? お前ら、ウマケドニア王国からの刺客か!?」
「はぁ? 何ですそれ?」
ピンク髪の娘は???という顔をしていた。
どうやら違ったらしい。てっきりウマケドニアが誇る天ウマ娘騎士団の一員なのかと思ったぜ。
「えっと、何かな? 身代金ならメジロ本家に請求してくれればなんとかなるかもよ?」
「誘拐犯じゃないですよ! 失礼な!」
プリプリする青髪のウマ娘さん。
まぁメジロ家のトレーナーを誘拐なんかしたら、実在すると噂されるメジロ本家直属の暗部が動くかもしれないからそれはそれでちょっと楽しみではある。
「ごめんごめん。それで?」
「実はアスカトレーナーに聞きたいことがあって」
ふむ、トレーニングのアドバイスとかかな?
時間もあるし、出来る限り話を聞いてあげるか。
「時間もあるしいいよ。なんでも聞いて。メジロの秘伝以外ならなんでも教えるよ」
「えっと、じゃあ思い切って聞きますけど……」
すごい緊張した面持ちのウマ娘三姉妹。
え、何この雰囲気怖い。
「アスカトレーナーって、【愛バ場】のアルカトレーナーのモデルですよね!?」
「知らんがな」
なんだよアイババって。40人の盗賊とかそんな感じの話?
緑髪の子がグイッと俺に迫ってくる。
「私、絶対そうだと思うんですよ!」
「ちょっと待ちかねタンホイザ。なに、そのあいばばって」
「え、アスカトレーナー、【愛バ場】知らないんですか!?」
『嘘だろ承太郎!?』みたいな顔をするウマ娘3人。
「【愛の不良バ場】って言って、ウマーメルンっていう小説投稿サイトで人気急上昇中の作品ですよ!!」
「挿絵がすごい多いのとレースあり、恋愛要素ありのハラハラ展開で先がすごい気になる作品なんです!!」
「で、その作品に出てくるトレセン学園の描写がすごいリアルで、トレセン学園のウマ娘のドー……誰かが作者なんじゃないかって話題になってて!!」
「落ちついて?」
興奮したウマ娘三姉妹からグイグイ迫られる。
近い近い近い近い怖い怖い怖い怖い。
こんな状況をベルねぇに見られたらまた絶対零度の視線で氷漬けにされちゃうでしょ。
「その【愛バ場】に出てくるアルカトレーナーってのが俺に似ている、と?」
「はい! 一回読んでみてください! あと読後に感想聞かせてもらえると嬉しいです!」
「あー……時間があったら読んでみるよ」
「絶対ですよ! じゃあ失礼します!」
ウマ娘三姉妹がキャッキャしながら離れていく。
ネット小説ねぇ……まあ暇つぶしにはいいか。
そんなことを思いながら俺はトレーナー室へ向かった。
トレーナー室に到着し、ベルねぇを待つ合間に件の【愛バ場】を検索する。
……発見。ちょっと読んでみるか。
作品をタップし1話を開く。
『この作品はフィクションであり実在の人物や団体などとは関係ありません』
……うん? 創作物なんだからそりゃそうだろ。
まぁ実際のトレセン学園の描写があったりするらしいからそのへんを考えてかね?
まぁ読んでみるか。
『私は名門
…………出会い頭にいきなりの強烈な右ストレートきたな。
ま、まぁ創作だしね。名前が誰かにちょっと似ててもしょうがないよね。
『弟でありトレーナーの
姉弟で担当ウマ娘とトレーナー設定か。
かなり珍しい組み合わせではあるけど、ベルねぇと俺みたいに全くないわけじゃないからね。
そしてこれが噂のアルカくんね。
画面をスクロールすると挿絵が表示される。
「アルカくんイケメンだな!?」
恐らく作者さんが自分で書いた絵っぽいが、なんつーか少女漫画に出てくる御曹司みたいな顔だな。
いや、これ絶対俺がモデルじゃないでしょ……こんなイケメンじゃないっす。
とりあえず読み進めていく。
『プレッシャーに弱く本番でいつも失敗してしまうベルトーチカを励ますアルカ』
『選抜レース、弱気になる姉にアルカが叫ぶ!』
『「ベルトーチカ姉さん! 大丈夫だ! 姉さんは強い!」』
『「あそこにはいる! いるんだ! アタシのこと……強いって信じてる弟が! あぁぁぁぁぁ!!」』
『そしてベルトーチカは選抜レースで見事一着となったのだった』
「……うん、この言葉、聞き覚えあるな」
聞き覚えあるっていうか、俺がベルねぇに言った言葉と同じやなぁ。
まさか、この二人のモデルは……いやいや、たまたま被っちゃっただけかもしれんしね。
先を読み進める。
『幼い子どもたちのために紙芝居を作ろうとするも、苦戦するベルトーチカ』
『「背景を写真にするのはどう?」』
『「アルカ……本当にトレーナー? 名案じゃない!」』
『こうして二人で力を合わせて紙芝居を完成させたのだった』
「…………うん、この話も聞き覚えがあるね」
聞き覚えあるっていうか、夏合宿のときにベルねぇと交わした会話そのままやなぁ。
これってもうベルねぇと俺がモデル確定なのでは……
『「姉さん、俺……姉さんのことが!」』
『「ダメよアルカ! 私達、姉弟なのよ!?」』
「…………ん?」
なんか雲行きがあやしくなってきたな。
先を読み進めると、イケメンアルカくんがベルトーチカを壁ドン顎クイしてる挿絵が目に飛び込んでくる。
『「それでも、この気持は抑えられないんだ、姉さん……」』
『「アルカ……」』
「あーやっぱちげぇわ。完全に別の人だわ」
だって俺、女の子に壁ドン顎クイからの耳元囁きとかやったことねぇし。そんなイケメン力ねぇし。
さらに先を読み進める。
『「ベル、あたし、アルカのことが……」』
『「そんな、従姉妹の
『親友にして戦友のアイアンがアルカを好きだったことを知りショックを受けるベルトーチカ。この恋の行方はいかに……!?』
「絶対違いますねこれ」
メグロアイアンって、もう隠す気ほぼゼロじゃねーか。
あの人が俺の事好きとか聞いたこともねーわ。
つーか名前のパチモン臭すごいな。
「ただいまー! ごめんね、遅くなっちゃって」
その時ベルねぇがトレーナー室へやってきた。
なんだかんだ俺の暇つぶしは達成できたようだ。
「ベルねぇおかえりー」
「……女の子とか連れ込んでないでしょうね?」
「なんでやねん」
鼻を近づけてクンクンと俺の匂いを嗅ぐベルねぇ。
「女の子の匂いがする……それも三人くらい……どういうこと?」
ヒェッ、ベルねぇの目からハイライトが消えている!
ベル、危険! ベル、危険!
「あの後カフェテリアでウマ娘さんたちから質問されてたんだよ! それででしょ!」
「…………………ふーん。まぁいいけど」
絶対良くない感じのベルねぇ。
話題を、話題を変えなくては……!
「あっ! そう言えばその子達におすすめされてネット小説読んでみてさ。けっこう面白かったよ」
「ネット小説? アスカがそんなの読むなんて珍しいわね。なんてやつ?」
「これこれ」
【愛の不良バ場】のトップページが映ったスマホ画面を見せる。
「【愛の不良バ──」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ベルねぇ は おたけび を あげた!
アスカ は すくみあがって うごけない!
「しゃーんなろー!!」
「あぁー!? 俺のスマホぉー!!」
乱心したベルねぇが素早く俺のスマホを掴み、窓の外へ全力で放り投げる。
「ちょ、ベルねぇ!? 何してんの!?」
「……アスカ、ごめんね。メジロ真拳奥義……!」
その言葉ととも突然首筋あたりに衝撃が走り、俺の意識は薄れていく。
やはり私は間違ってなかった…が…ま…
「……見慣れた天井だ」
ムクっと起き上がる。
俺はいつのまにかトレーナー室で眠っていたらしい。
外はもう夕暮れ時だ。
「起きた?」
「あ、ベルねぇ」
ベルねぇがテーブルの上のパソコンの蓋を閉じ、こっちへやってくる。
「大丈夫?
微笑みながらそう告げるベルねぇ。
マジか……だとするとけっこうな時間眠ってたな。
「ごめんねベルねぇ」
「いいわよ別に。疲れてたんでしょ。いつもお疲れ様」
「ベルねぇ……」
うちのお姉さまはなんて優しいんだ。
こんな素敵な姉をもてて俺は幸せ者だな!
「……なんか、眠る前に何か重要なことがあった気が──」
「忘れてるってことは大したことじゃないわよ」
肩を竦めるベルねぇ。
ふむ……一理ある。
あとなんか首筋がジンジンするが、きっと寝違えたんだろう。
「アスカも疲れてるみたいだし、今日はアタシが夕食作ってあげる」
「マジ!? やったー! ベルねぇのご飯大好き!」
「フフフ、じゃあ期待して待っててね」
「はーい!」
こうして、今日も一日が過ぎていったのだった。
全く関係ないことではあるが、トレセン学園で人気急上昇中であったネット小説が突如削除されたらしい。
色々憶測を呼んでいるようだが、まぁ俺には関係ない話だったのですぐに忘れてしまった。
あと、なぜか俺のスマホがまるで新品に買い替えたかのようにキレイになっていた。
なんでだろ?
ドーベルは高等部でマックイーンは中等部ということは、この時空のアスカくんはマックイーンに「お兄様、ごきげんよう」とか「お兄様、ホヤあそばせ?」とか「お兄様!メロンパフェ!メロンパフェをお忘れなく!」とか言われてると思うとズルいですね。