【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
藤原がサトちゃんを書くとなぜかクレイジーダイヤモンドになってしまいます。おかしい。でもかわいい。
それと今話に『サトキタ』という単語が出てきますが、誤字ではありません。念の為。
【サトノダイヤモンドと弟と金剛石は砕けない】
「うん、美味しい」
「そりゃよかった」
今は俺の部屋で夕食を食べた後の紅茶タイムである。
一般的にはトレーナーの部屋で夕食を一緒に食べて門限ギリギリまで部屋にいるとなればあまり良い目では見られない。
しかしそこはサトノ家のお坊ちゃまとお嬢様であり、実の姉弟でもある俺達は華麗にスルー。
まぁサトねぇだったら姉弟だろうが姉弟でなかろうが『そんなジンクスは破りましょう!』とか言って普通に居座りそうだが。
名前の通りメンタル硬度もダイヤモンド級だからね、仕方ないね。
「そういえば、昼間の話だけど」
「昼間?」
「お見合いがどうののやつ」
「ええ。それがどうしたの?」
「個別面談めっちゃ多かったけど、そんな聞くことある?」
「いっぱいあるわよ? むしろ6回じゃ足りないかもしれないわ!」
そう力説するサトねぇだが、俺としては全く思いつかない。
俺の趣味とか好きなものとか、そういうのを聞くのか?
……でも
そんな当たり前のこと、知ってて当然でしょ?みたいな流れになりそうだが。
「どんなこと聞くか興味あるし、ちょっと模擬面接やってみよう。俺面接に来た人役やるから」
「まぁ、楽しそう! じゃあ……」
サトねぇはワクワクといった感じで椅子を動かし対面に設置し片方に座り、俺は少し離れた位置に待機する。
「はい、どうぞ」
「では……コンコン」
「どうぞ」
「失礼します。ガチャ」
ノック(のふり)をし、サトねぇの声がかかってからドアを開ける(ふりをする)。
そして椅子の横まで来てピッと背筋を伸ばす。
「里野アスカです! 本日はよろしくお願いします!」
「はい、よろしくお願いします。では席にお掛けください」
「失礼します!」
促されて席に座る。
さぁ何を聞かれる……?
「……」
「……」
俺は身構えるが、サトねぇはニコニコしていて一言も発さない。
「…………」
「…………?」
続く無言……なんだ?
俺が戸惑っていると、サトねぇが口を開いた。
「はい、ありがとうございました。今回の選考結果についてですが、残念ですがアスカ様の採用は見送らせて頂くことになりました。アスカ様のこれからの益々のご発展を、心よりお祈り申し上げております」
「待って待って待って待って!? 今何が起きたの!?」
何もしてないのに座って十数秒で対面お祈りメール喰らったぞ!?
もしや座っちゃいけなかったのか? ラフな格好で来てねって言われてもスーツでいかなきゃ即死のヤツみたいに?
罠ってレベルじゃねぇぞ!!
「サトねぇ、ごめん、今何が悪かったのか全くわからなかったです」
「え? 席に座ったら自発的にアスカの良さとかどこが好きかを熱烈に伝えるくらいじゃないとダメよ。もっと言うなら席に座る前に、部屋に入った瞬間に熱弁してくれたら◎かしら?」
キョトンとした後、ヤレヤレと言った表情で説明するサトねぇ。
そんなやついねぇよ!
もし仮にそんなやつがいたとして、面接室入った瞬間に俺への愛を語りだす掛かりまくった女とか怖くて御免です。
なんつーか納得いかんわ。
「サトねぇ、もう一回チャンスをください」
「ふふっ。ええ、いいわよ」
もう一度スタート地点まで戻る。
サトねぇが難易度インフェルノで来るなら俺にも考えがあるぜ。
「コンコン」
「どうぞ」
「失礼します。ガチャ」
もう一度ノック(のふり)をし、サトねぇの声がかかってからドアを開ける(ふりをする)。
そして椅子の横まで来てピッと背筋を伸ばす。
……これならどうだ?
「私の名前はキタサンブラックです! よろしくお願いします!」
「採用! 採用です!!」
そう言いながらテーブルに手を叩きつけ、立ち上がるサトねぇ。
掛かってしまっているかもしれません! 一息つけるといいですが……(実況風)
「いや、それはさすがに出来レースというかサトキタの癒着ひどすぎで各方面から非難轟々でしょ……」
「でもキタちゃんだったら安心してアスカを任せられるし」
「いや、まぁ、それはそうだろうけど……本人の気持ちも考えてあげてよ」
いくら幼馴染だからって勝手に結婚相手決められちゃキタちゃんかわいそうだよ。
あんだけ可愛くて明るくて優しくて気立てが良くて困った人を放っておけない眩いばかりの善人でトゥインクルシリーズで大活躍中のアイドルウマ娘なんだから引く手あまただろうしねぇ。
俺みたく実家が金持ちってだけのクソザコシスコンボンバーでは釣り合わないっていうか、幼馴染でなかったら相手にすらされてないっすよ。
……自分で言ってて悲しくなってきた。
「と、とりあえず面接は置いておこう。サトねぇ的にはどんな女の子が来てくれたらいいな〜みたいなのはないの? キタちゃん以外で」
「うーん、そうねぇ……明るくて、優しくて、アスカを大切に想ってくれて〜」
「うんうん」
まぁそこらへんは大事だよね。コーナー◎くらいの汎用性がある。
「困っている人を助けずにはいられない性格で、悩んだり躓いたりしてもしっかり前を向いて頑張るひたむきさを持ってて〜」
「……うん?」
おっと、きな臭くなってきたぞ。
いや、サトねぇを信じるんだアスカ!
「黒髪で身長162cm、体重はもりもり成長中でB85W56H88でお祭り大好きな〜」
「…………うん」
これはもう最後まで聞くまでもなくダメそうですね……
「キタちゃん!!」
「やっぱりキタちゃんじゃん! キタちゃん以外でって言ってるのに結局キタちゃんじゃん!」
両手を上げて万歳しながら笑顔で叫ぶサトねぇ。
キタサンブラックガチ勢には常識は通じない。これはもはや常識。
「……アスカはキタちゃん嫌い?」
「まさか。もしも俺がキタちゃんに散々貢がされた挙げ句ポイ捨てされたとしても嫌いになることはないよ」
まぁキタちゃんにそんなことされたら嫌いになる前に引きこもりになって一生実家から外に出ることはなくなるだろうが……
「なら問題ないじゃない」
「いや、だからキタちゃんの意思を尊重してあげてクレメンス」
「えっ? だから問題ないんでしょ?」
「ん?」
「ん?」
お互いに首を傾げあう俺達。
なんか話が噛み合ってないな?
「お似合いだと思うし、そうなったら素敵だとお姉ちゃん思うな~」
「まぁ、そうねぇ……」
キタちゃんが彼女……なるほど、(お似合いかどうかはともかく)素敵な未来予想図っスね~。
こんなクソ雑魚シスコントレーナーには
「東京ジョイ○リスを貸し切ってデートをして、夜に花火を打ち上げてプロポーズしましょう!」
「いきなりプロポーズ!? 早くね!? つーか無駄にスケールでかいな!?」
まぁ父さんと母さんとサトねぇがGOサインだしたら貸し切りも花火も出来るっていうか、むしろ出来ないことの方が少なそうで怖い。
「アスカの袴姿とキタちゃんの白無垢姿が見れるなんて……あ~でもでもタキシードとウェディングドレスも素敵! 選べないよアスカぁ~!」
両手を激しくバタバタしていたサトねぇが目を瞑ってうっとりし始める。
「ああ、バージンロードを歩く前のキタちゃんのベールを私がおろして……」
いや、それ母親がやるやつね。
「それから私がキタちゃんと一緒にバージンロードを歩いて……」
それ父親がやるやつ!
「それで私がアスカとキタちゃんに誓いの言葉を紡いで……」
それ牧師のやつぅぅぅ!
サトねぇ一人で何役やる気なんだよ! しかも本当にやりそうで怖いよ!
「私の前で指輪を交換した二人はゆっくり顔を近づけて……キャー!!」
顔を真っ赤にしたサトねぇが両手で頬を押さえながら奇声をあげる。
「あの、サトねぇ?」
「あ、あ、大丈夫よアスカ! 結婚式初日は、ね? ほら、ね? その、アレでしょ? お姉ちゃん、邪魔にならないようにちゃんと隣の部屋で待機してるから!」
「やめてください!」
隣の部屋に新郎の実姉で新婦の親友のサトねぇが待機してるのを知ってるのにナニか出来るか!
「み、耳も塞いでるから!」
「そういう問題でもない!!」
「朝になったらシーツ交換もするから!!」
「もうやめてぇー!!」
掛かりまくっているサトねぇに絶叫をあげる俺。
相変わらず俺とキタちゃんとジンクスに関わることになるとクレイジーっすねお姉さま……
「新居は真っ白い大きなお
サトねぇのトリップは続く。
サトねぇの『大きなお家』はどのくらいの規模なのか想像できんな。
ワンちゃんが徹底的に訓練されたドーベルマンかシェパードなのはわかります。
「あ、心配しなくても大丈夫よアスカ。新婚さんの新居にお邪魔したりしないから!」
「あ、そうなんだ」
サトねぇなら普通に一緒に暮らす!って言い出しそうだったからちょっと意外。
サトねぇも俺同様にブラコンだけど、ちょっとは大人になったんだな。なんか少し寂しい。
「ただちょっと同じ敷地内に私専用の別宅を建てて住むだけだから!」
「ですよね」
知ってた。
「あ~アスカとキタちゃんの子供ならきっとかわいいウマ娘の姉とかっこいい男の子よね!」
一気に話が飛んだな。お姉さまトリップしすぎんよ~。
「子どもたちがいっぱい走り回れるように、お庭にはまずは400mトラックでいいかしら? 大きくなったら増築?すればいいし」
「待って?」
「そしたらトレーニングルームも必要だし、プールも……ダンスの練習用と何かの発表会で使えるように劇場も作りましょう! あとは座学の講師と練習のコーチ、は必要ないわね。アスカがいるもの♡」
「待って! さっきから何を作ろうとしてるの!?」
やっぱりサトねぇの『大きなお家』は桁違いのレベルだった!
サトねぇは敷地内にプチトレセンでも作ろうとしてるのかな?
「もうっ! さっきから否定的な意見ばっかり。アスカは私のキタちゃんの何が不満なの!?」
両手を腰に当て、プンプンといった様子のサトねぇ。
ついに『
「キタちゃんに不満があるんじゃなくて、その妄想未来予想図に無理があるって言ってるの……」
「そうかしら……? じゃあアスカはどんな女性がいいの?」
「サトねぇみたいな人(即答)」
「っっっ!? もうっ! もうもうっ! もうもうもうっ!」
顔を真っ赤にして笑顔でもうもう言いながら俺の腕をバシバシ叩くサトねぇ。牛かな?
あと恐らく手加減しているはずだが、めっちゃ痛い。
サトねぇ的には『ふふっ、アスカは大げさなんだから。今のはメラゾーマじゃなくてメラよ?』みたいな感じなのかもしれんが。
「困っちゃうわ、『
困ったとは言いつつもめっちゃ笑顔で耳も尻尾も大回転中のサトねぇが俺の頬を秒間16連打でつつく。
そこまでは言っていないが、あながち間違ってもいないので訂正する気もない。
「…フフフフ」
「サトねぇ?」
すると突然サトねぇが笑い出す。
いつもの無邪気な笑い方ではなく、潤んだ瞳に愛情に溢れる微笑みで。
「いつかアスカとキタちゃんがそういう関係になるかもしれないし、なったらいいなと思う。それは本当よ? でも」
サトねぇはそう言うと俺を抱きしめる。
「それは未来の話。今は私の大好きなアスカ。いくらキタちゃんでも渡したくないくらい」
「……勝利も俺も渡したくないなんて、サトねぇはいつからそんなワガママお嬢様になったんでしょうね」
俺の言葉に、サトねぇが今度は小悪魔のような妖艶な笑みを浮かべる。
「知らなかった? ……最初からだよ」
「……知ってた」
そうして俺とサトねぇは笑い合うのだった。
里野アスカくんは『サトノグループを継ぐ者として、若いうちから色々な体験をしなさい』とアルバイトをさせられたり質素倹約な生活を送らされたりしているため、どちらかといえば庶民派の意識が強いという裏設定があります。特に意味はありません(笑)
以下、作者の独り言
感想で私の体調を気遣ってくださる方が多く、とても嬉しかったです。
最悪のラインからは帰ってこれたので、体調次第ではありますがゆっくりでも投稿は続けていきたいなーと思っています。
よろしくお願いします。