【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯   作:藤原ロングウェイ

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感想、ここすきありがとうございます。

ふと気付けばお気に入り3500、評価ポイント5000を突破。
これもひとえに皆様のご声援のおかげです。ありがとうございます。
そしてウマ娘という素晴らしいコンテンツに出会えた事にも感謝を。

マチカネフクキタル(姉)実装!


マチカネフクキタル(ブラコン度:A+)と弟の場合

「…………」

 

 俺は今、めっちゃ緊張している。

 もうすぐ、もうすぐ頂点に手が届くんだ……!

 いや、油断するな。天使のように繊細に、悪魔のように大胆に事を成すんだ(アスカ)

 口を噤み、息をすることすら忘れてその瞬間を見つめ続ける。

 そして──

 

「アスカさぁぁぁん! 大変ですよぉぉぉ!!」

 

 ドアをぶち破るようなすごい勢いでウマ娘がトレーナー室に入ってきた。

 そして俺の目の前にあった俺史上最高傑作のトランプタワーは、その振動と風圧で一瞬にして崩れ落ちる。

 その様子は、まるでバベルの塔を彷彿とさせるものだった。

 

「…………」

「……およ? どうしましたアスカさん?」

 

 不思議そうな顔をしているウマ娘。

 入ってきたのは俺の担当にして姉であるマチカネフクキタル、通称フクねぇであった。

 

「……はぁ。なんでもないよ」

「そうですか? ずいぶん前衛的な姿勢になってますけど……何かのおまじないですか?」

 

 まぁ指をぷるぷるさせながらトランプタワーの頂上をセッティングしている最中だったからね。すでに塔は崩壊してるけどもね。

 ちなみにタロットカードの『塔』の正位置は『避けられないトラブル』『予期しないアクシデント』を意味します。はっきりわかんだね。

 

「あ、あとアスカさんに幸福のお裾分けです! なんと、この幸せを呼ぶ金色のたぬきの信楽焼をプレゼントです!」

 

 そう言うとフクねぇは崩壊した塔の残骸の上にドンッとたぬきの置物を置く。

 どう考えても置き場所に困って俺のところに持ってきた感じですねこれは。

 とりあえず話を進めるか。

 

「…………で、何が大変なの?」

「あ、そうですよアスカさん! 大変なんです! これを見てください!」

 

 テーブルに叩きつけられたものはウマ娘関連の雑誌だった。

 開いてあるページには1ページではあるものの、ナイスネイチャの特集が組まれていた。

 

「おお。この雑誌、目の付け所がいいね。ナイスネイチャは『どうせ私は万年三位のモブキャラですよ~』とか言ってるけど実際はクッソ強いからね」

「違います! いえ、違いませんけど違うんです! ここ! ここ見てください!」

 

 フクねぇが指差した箇所にはネイチャが弟について記者に語っている文章があった。

 

「へー、ナイスネイチャにも弟いたんだ」

「この記者! 私たちをさしおいてネイチャさんたちを『トレセンで一番の素敵な姉弟』なんて! かーっ! 見んねアスカ! 卑しか女ばい!」

「誰やねん」

 

 悔しそうに地団駄を踏むフクねぇ。

 別に記者がそう言っただけでナイスネイチャがそう言ったわけじゃないんだからセーフやろ。

 

「というわけでアスカさん! 私達が『トレセンで一番の素敵な姉弟』であることを証明するためにも! 手を繋いでトレセン学園内を練り歩きましょう! シラオキ様もお告げで『せやな』って言ってました!」

「せやろか?」

 

 目を輝かせているフクねぇとは逆にため息をつく俺。

 この姉、ブラコン気味であり隙あらば俺といちゃつこうとしてくるという謎の性癖を持っている。

 いや、俺もフクねぇのこと大好きだし、別に手を繋いでトレセン学園内を練り歩くなら練り歩くでもいいんだけどさ。

 でも、トランプタワーの自己ベスト更新なるか!?って運命の一瞬だった今じゃなくても良かったよね?

 ……おしおきだな。

 

「わかった。とりあえずフクねぇ、両手を壁につけてこっちにケツを出してもらえる?」

「なんでですか!? というか何をわかったんですか!?」

 

 俺は相棒であり愛棒のグッバイアーチ君(プラスチック製の子ども用ぺこぺこバット)を持ち出し、その場で素振りする。

 

「俺にも今シラオキ様からお告げがあってね。『姉のお尻を8連続で叩けば貴方は1アップするでしょう』って」

「マ、マリオじゃないですかぁ!? 私のお尻はかめのこうらじゃありませんよ!?」

 

 とか言いつつも壁に手をついてお尻を向けるフクねぇ。

 要求した自分で言うのもなんだが、なぜこう素直なんだろうか……

 その素直さとか色々をもっと違う方向で発揮してくれれば『マチカネの変な方』とか言われないだろうに。

 まぁタンホイザも『マチカネの変な方』なのでどっちのことなのかはわからないんだが。

 

「あの、アスカさん、かるーくですよね? 激しくじゃないですよね?」

「ふんにゃか~はんにゃか~」

「どっちですかぁ!?」

 

 俺が一本足打法で愛棒を振りかぶったその時、トレーナー室のドアがゆっくり開かれる。

 

「あ、あのぅ……ここにフク──」

 

 そこにいたのはメイショウドトウであった。

 おどおどした様子だったが、こっちを見た途端にフリーズしてしまった。

 

「…………あ、あわわわわわわ!! 何も見てませんごめんなさぁぁぁぁぁい!!」

 

 そして顔を真っ赤にしたと思ったら猛ダッシュで逃げていった。

 でかい声で『救いはないのですかぁぁぁぁ……!』とかドップラー効果を響かせながら。

 なんぞ?と思い、改めて自分たちの姿を見てみる。

 

 俺→(おもちゃの)バットを振りかぶってフクねぇのケツを叩こうとしている。

 フクねぇ→両手を壁についてお尻を向けながら頬を赤く染めている。

 

 うん、ヤバいですね!

 これは百歩譲っても危ない趣味の危険な姉弟にしか見えませんね。

 

「ドトウさんはどうしたんでしょうね?」

 

 両手を壁についてお尻を向けたまま、何もわかっていない様子のフクねぇ。

 純粋なのかアホなのかは意見が分かれるところだな。

 まぁいいか。

 

「どうしたんだろう、ねっ!」パコォォォン!

「ふんぎゃろ!」

 

 俺のスイングを受けていい声で鳴くフクねぇ。

 素晴らしい音色ですね。

 

「ふ、不意打ちはやめてくださいよアスカさん! びっくりするじゃないですかぁ!」

「我が斬尻刀(ざんけつとう)に断てぬ物なし……」

「意味がわかりませんよぉ……。全く、アスカさんは誰に似たんでしょうか」

 

 お尻をさすりながらはぁ~とかため息をつくフクねぇ。

 意味のわからなさでいったら確実にあなた似ですよ。

 

「前々から思ってましたが! アスカさんはお姉ちゃんに対して人一倍厳しすぎると思います!」

「その分、他の人の数倍くらいは甘やかしてるでしょ」

「むぅ~」

 

 頬をふくらませるフクねぇ。ハムスターかな?

 そんな姉に対し手を伸ばす。

 

「ほら」

「ん? なんです?」

「俺達が『トレセンで一番の素敵な姉弟』であることを証明するために、手を繋いでトレセン学園内を練り歩くんじゃないの?」

 

 俺の言葉に一瞬キョトンとしたフクねぇの顔がぱぁー!という効果音が出そうなくらい輝く。

 

「……アスカさぁぁぁん!」

「ぐぇー」

 

 そして全力で抱きしめられる。

 クルシイ……クルシイ……

 

「最愛の弟が(おねえちゃん)のトレーナーだなんて、なんたる偶然! なんたる奇跡! これぞまさしく運・命!」

「そだね~」

 

 フクねぇのトレーナーになるために今まで頑張ってきたから、運命ではあっても偶然ではなく必然なんだなぁ……とは思うが口にはしない。

 それを言ったらフクねぇのテンションが振り切れて大変なことになり、またエアシャカールから『あんたの姉ちゃんうるさすぎんだよどうにかしろ!!』とか詰められちゃうからね。

 

「ではアスカさん! いきましょう!」

 

 笑顔のフクねぇに連れ出される。

 さてさて、今日も天国の姉さんの分までフクねぇを甘やかしましょうかね。

 

 

 

 

 余談。

 走り去ったドトウは偶然出会ったエアグルーヴに息も絶え絶えに『アスカトレーナー』『フクキタル』『太い棒』『お尻』『イケないこと』というあやふやかつ危険なワードを伝えたらしい。

 それを聞いたエアグルーヴが刺股や防護盾、ヘルメットなど対犯罪者用の完全武装をしてこちかめの大原部長並の剣幕で俺のところに突撃してくるのだが。

 この時の俺は、その惨劇を知る由もなかった。




6月6日が弟の日だと勘違いしてて「頑張って間に合わせないと!」と思ってたら、兄の日でした。なんたる失態。
ちなみに姉の日は12月6日だよ!
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