【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
高評価だけでなく別れを惜しむ感想をくださる読者さんが何人もいらっしゃって、今まで頑張って書いてきたかいはあったなぁ……と感謝の念に堪えません。
(かなり前に)リクエスト頂いたサイレンススズカ(姉)実装です!
ウマソウルだけでなく別の姉ソウルもインしたすずねぇも書きたかったのですが断念無念。
今日は姉の日!そして今回の更新でこの作品は完結となります。
ブラコンウマ娘のラストラン、よろしくお願いします。
俺の名はアスカ。トレセンのトレーナーである。
今から担当と一緒にトレーニングを開始するのだが……
「今日はどのくらい走っていいの?」
いきなりコレである。
『どのくらい走るの?』ではなく『どのくらい走っていいの?』と聞いてくるのは俺の担当ウマ娘にして姉であるサイレンススズカ、通称スズねぇくらいのものではなかろうか。
「レースに勝つための俺特製安心安全メニューを組んであるのでそれに従って走ります」
「私はいっぱい走りたいわ」
目をキラキラさせながら訴えてくるスズねぇ。かわいい。
かわいいが心を鬼にしなければ。
「その案件は本社に持ち帰り前向きに検討させていただきたいと思います」
「それって八割方ダメなやつよね?」
「いけたらいくー」
「嘘でしょ……それ絶対いかないやつじゃない……」
俺の発言にプンスコしてるスズねぇ。
いや、あんたマジで走りすぎなんだって。もう子供じゃないんだから落ち着いてクレメンス。
いくら不思議なウマ娘パワーが働いてるからって、その細脚で常に全力爆走してたら保つわけないでしょ!
あんまり心配させないで!
「ハウディ、スズカ!」
そんなやりとりをしていると、元気いっぱいの大きな声で声をかけられる。
スズねぇの友人であるタイキシャトルだ。
しかしスズねぇと並ぶと大きさの違いがすごい目立つな。
……もちろん身長のことデスヨ?
「あら、タイキ。これから練習?」
「Yes! 今日もイッパイ走りマース! あ、ハウディ! アスカトレーナー!」
そして出会ったタイキシャトルにハグされる。
『トレーナー』というより『友人の弟』という扱いをされて少し困っている。
つーか
とは思いつつ顔には出さない。俺はウマ娘を愛する光のトレーナーなので。
「ハウディ、タイキ。ほら、離れて離れて」
「Oh、残念デース」
残念とは言いつつ、ニコニコ笑顔で俺から離れるタイキ。
素晴らしい感触ではあるのだが、このままでは(肉体的にも社会的にも)死んでしまうので仕方ないね。
「……あれ? 昼にタイキのトレーナーとちょっと話したけど、今日の練習プールでやるって言ってなかった?」
「……Wow! 忘れてマシタ! 教えてくれてサンクス、アスカトレーナー!」
そう言ってまたタイキからギューッとハグされる。
Fuuuー! あぁ~心がシャトシャトするんじゃ~。
「……タイキ。早くいかないと」
「Sure! マタね、スズカ! アスカトレーナー!」
タイキはスズねぇに促され、俺から離れてすごいスピードで室内プールの方へ走っていった。
うーん、すごい才能の持ち主だし素直ないい子なんだけど、ハイパワー&マイペースがすごいなぁ。
タイトレも疲れた顔をするはずだ。
……しかし柔らかかったな。すごーい。君はハグが得意なフレンズなんだね!
「……アスカ」
「ん? 何?」
そんなことを思っていると、突然その場でスズねぇにハグされる。
……なんぞ?
「えっと……どうしたの?」
「……どう?」
抱きしめられたままスズねぇにじっと見つめられる。
どうと言われても……スズねぇは暖かいなぁって感想しか出ないのだが。
「えっと……スズねぇは暖かいね?」
「…………」
俺から離れたスズねぇがなぜか不機嫌顔で俺の左のほっぺたをぐいーんと引っ張る。
「……にゃに?」
「別に」
俺は選択肢を間違えたようだった。
それから数時間、今日の練習もこれくらいにしないとだな。
「スズねぇー、今日はこれくらいにするよー」
「えっ。早くない? もう少し走っても──」
「早朝練習、いつも以上に走ったでしょ。弟にはまるっとお見通しです」
「でも……」
「ダーメ。一緒に先頭の景色を見るために必要なことです」
「…………はぁ。いじわる。それを言われたら何も言えないじゃない」
スズねぇは不満げな顔をしながらも追加練習を諦めてくれたようだ。
こんなんだから頭先頭民族とか言われんだよなぁ。
「フフフフ、さすがのスズカさんもアスカトレーナーにかかってはよわよわですねぇ」
「フクキタル。あなたも上がり?」
「ええ、今日はもう終了が吉だとシラオキ様も仰ってますからね」
いつのまにかスズねぇの友人であるマチカネフクキタルが側に来ていた。
「いやーしかし、あのスズカさんの練習おかわりを一蹴するとは。さすがはブラコンスズカさんの弟さんなだけありますねぇ」
「……べ、別にブラコンじゃないけど」
フクちゃんの発言に異議を唱えるスズねぇ。目は泳いでいるが。
周囲の友人どころか、自分自身も騙せないような嘘は聞いている方を呆れさせるんだよなぁ。
「おいおいおいおいフクちゃんよー。俺を誰だと思ってんの? 砂のサイレンススズカことファル子、芝のサイレンススズカことスズねぇ、そしてそれに並ぶトレセンのサイレンススズカことアスカ、それがこの俺やぞ」
「嘘でしょ……私のフルネームが異名みたいに扱われてる……」
「というか、トレセンのサイレンススズカって、それはつまりスズカさんのことなのでは?」
俺の言葉に衝撃を受けるスズねぇと首を傾げているフクちゃん。
「……じゃあ陸のサイレンススズカでいこう」
「陸、ですか? なんかそれもスズカさんのことっぽくありません?」
「なら空のサイレンススズカで」
「空!? アスカトレーナーに空要素あります!?」
「海要素よりはあると思うが」
「海要素!? 意味がわかりませんよ!? アスカトレーナーは何処を目指してるんですか!?」
ほら、スズねぇはトレセン軍の幹部である六大軍団長の一人、先頭系ウマ娘を中心とした『超逃軍団』の軍団長で『先頭将』と呼ばれてるし、トレセン軍においては軍団共々最強と言われているから。(ダイ並感)
「あれもダメ、これもダメ。フクちゃんはワガママだなぁ」
「なぜか私が悪いことになってませんか!?」
「わはははは」
うーん、フクちゃんはリアクションが大きくてイイね。スズねぇの友達の中で一番好きかも。
エアグルーヴは怖いし、メジロドーベルは睨んでくるし、タイキシャトルはボケもツッコミも頭ハテナでスルーされるし。
フクちゃんも俺に高い運命ポイントを感じているらしく『もしも今のトレーナーさんに出会えてなかったらアスカトレーナーに担当してくださいってお願いしてたかもですねぇ』と微笑んでたのに不覚にもドキッとしてしまった。
メチャメチャうるさい珍獣が不意に見せた湿気さのせいだったりするんだろうね。ありがとうございます。
「フクキタル。私、今日アスカとご飯食べて帰るから」
「なるほど。愛妻弁当ならぬ愛弟弁当というわけですね!」
「だ、だから! 別にそんなんじゃ!」
「むっふー。シラオキ様も『お邪魔虫は凶!』と仰っているのでこれで退散します! ではでは~」
言いたいことだけ言ってニコニコ笑顔で去っていくフクちゃん。
まぁ確かに愛弟弁当っていうか夕飯作るのは基本俺なんですけれども。
「……まったくもう」
「しかしフクちゃんは打てば響くというか、いつもちゃんとツッコミしてくれるのがかわいいよね」
こちらもボケがいがあるというものだ。
俺が一人でウンウン頷いていると……
「……な、なんでやねん」
「!?」
突如スズねぇからツッコまれる。
なぜ今ツッコまれたんだ? 俺は何もしてないぞ。
……もしや俺の存在自体がネタってこと?
「な、なにが?」
「…………なんでもない」
なんでもないと言いつつ、なぜかほっぺたを膨らませたスズねぇが俺の左右のほっぺたをぐいーんと引っ張る。
「…………でも私のほうが走るの速いと思う」
「ほうはへ」
なぜいきなり速さアピールを?
うちのお姉さんが『異次元の逃亡者』とまで呼ばれている理由は弟である俺が一番知ってるんだけど。
俺の愛姉とはいえ、相変わらずスズねぇは不思議なウマ娘だなぁと思う俺なのであった。
これにて『もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯』、完結でございます。
今までご愛読ありがとうございました。
もし高評価、感想、ここすきなどをいただけたらとても嬉しいです。
特に藤原はここすき大好きマンなので、評価や感想はめんどくせーなって方は気に入った話の気に入った文章にここすきだけでもいただけたら幸いです!
また、活動報告に完結記念のおまけとして『作者の力量不足により泣く泣くお蔵入りとなったお姉ちゃんズ』を載せておきます。よかったらどうぞ。
またどこかの姉弟小説でお会いしましょう!