【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯   作:藤原ロングウェイ

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皆さんのブクマ、高評価、感想、ここすきのおかげでうまあねが完結ぶりにランキングに載りました。ありがとうございました。

ジェンティルドンナ(姉)実装!
育成シナリオやりました。完全にプレイアブルなボスキャラになってましたね。ライブアライブかな?
シナリオやって解像度が上がった分チルねぇに違和感があるし、本物のジェンティルドンナ弟まで出てきちゃったし……うーん。
ということで今回のお話は急遽番外編に変更し、いつも通り藤原の妄想詰め合わせパックとなっております。


【番外編】もしもジェンティルドンナ(ブラコン度:S)と弟の場合だったら

「ふぅ……」

 

 担当ウマ娘の朝練のためにグラウンドに来ると、ちょうど一人のウマ娘が走っているところだった。

 

「おはようヴィルシーナ。今日も頑張ってるね」

「あ、アスカトレーナー! おはようございます!」

 

 笑顔で挨拶してくれるヴィルシーナ。

 この子とは縁があるんだよね。

 学園に向かう途中で道端で何かを探してるウマ娘がいたから声をかけたのが始まりで。

 妹にもらった大切なキーホルダーを落としたって聞いて一緒に探して。

 それから学園にいって、休み時間に自販機でジュースを買おうとしたら同じボタンに指が伸びて。

 女子生徒に『すいません!』って頭下げられたから『こちらこそごめんね、お先にどうぞ』って言ったらその生徒が顔を上げて。

 そしたらお互いに『さっきの!』ってなって。

 それ以来こうして顔を合わせてよく話すようになったんだよね。

 しかし……

 

「やっぱりキレイだな」

「……へ?」

 

 俺の呟きにポカーンとした顔をしたヴィルシーナだったが、数秒してボンッ!と音が鳴ったような気さえしそうなほど顔が真っ赤になってしまった。

 

「あ、あの、その……あ、ありがとうございましゅ……」

「あ……わ、わぁー! 違う違う! そうじゃない! 勘違いしないで!」

 

 これじゃただのセクハラ野郎やんけ! 

 新人トレーナーにしてクビ待ったなし! 

 

「……勘違いってどういうことですか」

「えっと、ごめんね。君の容姿がキレイって言ったんじゃなくて、君の走りがキレイだって言いたかったんだ!」

「走り、ですか……?」

 

 小首をかしげるヴィルシーナ。

 うーん、言語化しにくいが、ここでちゃんと言葉にしないとセクハラ野郎として社会的に死んでしまう。

 頑張れ、俺! 

 

「なんと言えばいいのか……雲一つない青空の下に吹く一陣の春風、とでもいえばいいのかな? 見ていて気持ちが良いほどの良い走りだなと思って」

「ああ、そういう……えっと、褒められている、でいいんですよね?」

「うん。俺としては最大級の賛辞のつもり」

 

 怪訝な顔をしていたヴィルシーナだが、俺の言葉に笑顔になる。

 

「……ふふっ、ならありがとうございます」

「もちろん君がキレイだっていうのも本当だけれどね」

「あ……あぅ……」

 

 また真っ赤になってしまったヴィルシーナ。

 人はなぜ同じ過ちを繰り返すのか……

 中等部の生徒に『君はキレイだね』とかもはや犯罪だろ。

 きっと『こいつキモいけど我慢しないと』の赤さなんだろうな……つらたん。

 

「アスカトレーナー、もしよかったらこのまま私の走りを見て──」

「この(わたくし)というウマ娘がいながら」

 

 ヴィルシーナの話を遮るように力強い声がかけられる。

 そして後ろからギュッと抱きしめられる。

 

「他のウマ娘の走りにうつつを抜かすとはどういうことかしら。ふぅー」

「うおぉぉぉぉ……」

 

 さらに耳元に息を吹きかけられる。

 

「……ジェンティルさん」

「あら、おはようヴィルシーナさん。良い朝ね。絶好のトレーニング日和」

 

 俺を抱きしめているのはジェンティルドンナ。通称チルねぇ。

 俺の姉にして担当ウマ娘であり、入学直後から他を圧倒する走りで周囲から恐れられている強者である。

 あとなんで【チルねぇ】かというと、子供の頃の俺が『ジェンティルドンナ』と発音できなくて『じぇんちるどんな』と言っていたので、それが今まで続いてしまっているのだ。

 子供っぽいし変えようかとも思ったのだが、チルねぇ本人からそのままでいいと言われてしまったしなぁ。

 

「……朝から公然と男性を抱きしめるなんて、はしたないとは思われません?」

「あら、そう? 私は思わないわ」

「…………」

 

 そしてこの二人、相性が圧倒的に悪い。

 仲が悪いわけではない。ただただ相性が悪いのだ。

 いつも俺に笑顔で穏やかに対応してくれるヴィルシーナもチルねぇ相手にはガルルル!って感じ。

 一方のチルねぇもヴィルシーナ相手だと喧嘩上等!みたいな態度になっちゃうんだよね。

 お互いトリプルティアラを狙ってるライバル同士だからピリピリしちゃうのかな? 

 普段はそこまでピリピリしてないんだけど、俺がいるとなぜかいつもこうなっちゃうんだよなぁ。なぜだ。

 それよりも。

 

「あの、チルねぇ。当たってるんだけど」

「当ててるのよ」

「なぁっ!?」

 

 俺達のやり取りを聞いて、また顔を真赤にするヴィルシーナ。

 

「ふ、不潔! 不潔よ! 不純異性交遊だわ!」

「フフッ、あなただって妹を抱きしめてるとか抱きしめられてるって話をしていたでしょう? それと同じよ」

「い、妹と弟は違うでしょ!?」

「違わないわ。私達姉弟はとても仲良しなの。そうよね、アスカ?」

 

 そう言ってさらに強く俺を抱きしめるチルねぇ。

 昔は背骨折れるかと思うくらい強く抱きしめられたが、ずいぶん加減が上手くなったもんだ。

 弟は嬉しいです。

 

「仲良しなのは否定しないけどね。さすがに学園の中では自重しようよ」

「ほら見なさい! アスカトレーナーだって困ってるわ! さぁ、いますぐにアスカトレーナーから離れなさい!」

「却下よ」

「んなっ!?」

 

 ですよね。アスカ知ってるよ。

 この重度のブラコン姉が人になにか言われたからって俺を離すはずがないって。

 

「それで。私がいない間に何の話をしていたのかしら?」

「うん? ああ、ヴィルシーナの走りはキレイだねって話をね」

「…………ふーん。そう。キレイ、ね……そうね、ヴィルシーナさんの走りは美しいわ」

 

 俺を抱きしめたまま話を続けるチルねぇにさっきの話をする。

 ちゃんと良いものは良いと認める。さすがチルねぇだね。

 ……あれ、でもなぜか俺を抱きしめる力が強くなってますね。ちょっと痛い。

 

「えっ!? あ、そう……ありがと──」

「でも、美しいだけね。力強さが足りないわ」

「!?」

 

 お礼を言おうとしたヴィルシーナの動きがピタッと止まる。

 

「レースとは戦い。必要なのは他を圧倒し退ける力。美しいだけでは勝利に届かないわ」

「なんですって……!」

 

 チルねぇのその言葉に、こちらを睨むヴィルシーナ。

 ……ふむ。

 

「そうかな?」

「えっ?」「…………」

 

 俺の言葉にキョトンとした顔をするヴィルシーナ。

 そしてさらに強くなる無言のチルねぇのハグ。かなり痛い。

 

「ヴィルシーナの走りは刀剣のそれと同じだと思うよ。美しく、鋭い。甘く見たら痛い目を見るのはこちらだと思うけどね」

「アスカトレーナー……」

 

 感激したようにウルウルした瞳で俺を見つめるヴィルシーナ。

 いや、この子ほんとに美人だな。中等部だけど、そんな瞳で見つめられるとちょっとドキドキしちゃうわ。

 とか思っているとチルねぇから思いっきり両方のほっぺたを引っ張られる。

 

「あお、えはくちゃいはいんえすけお……」

「アスカ。あなた、さっきからヴィルシーナさんを褒めちぎっているけれど、誰のトレーナーなのか理解しているのかしら?」

 

 理解してるからこそ言ってんでしょ! 

 自分でもヴィルシーナの走りを認めてるくせにすぐマウント取りたがるのはチルねぇの悪い癖! 

 トレーナーであり弟の俺だからこそちゃんと言わないといけないの!

 

「あなたは誰のものなのか、二人きりでじっくりわからせる必要があるみたいね」

「ちょ、ちょっと!? 何よその手の動き!? はははは破廉恥にも程があるわ!?」

 

 そんな時、背後から脳天気で破天荒な声が届いた。

 

「よーお前ら! こんな朝っぱらから何やってんだ?」

「……はぁ。何って、みればわか……」

 

 ヴィルシーナの声がそこで止まる。

 ん? なんだ? 

 チルねぇを背中にくっつけながらくるりと後ろを向く。

 そこには……

 

「見てわかんねーから言ってんだろ?」

「…………誰?」

 

 そこにいたのはゴールドシップ、の着ぐるみを着た誰かだった。

 マートレレベルで出来いいな……

 

「あん? 見てわかんねーのかよ」

「見てわからないから聞いてるんでしょ!」

 

 激おこのヴィルシーナ。

 声的にゴルシなんだけど、ゴールドシップの着ぐるみを着たゴルシとか意味がわからん。

 

「こんなん見たら一発でわかんだろー? お前らダメダメだわマジで。もっと真面目に生きろよ。功夫(クンフー)がたりねーんじゃねーの?」

「「はぁ?」」

 

 ゴルシ?の煽りに一瞬でブチギレるチルねぇとヴィルシーナ。

 ああもうめちゃくちゃだよ……

 

「この私に功夫が足りない? ならその身を持って味わってごらんなさい」

「真面目に生きろはこっちのセリフよ!」

「ひゃははは! ばっはは~い!」

 

 意味不明な速さで逃げ出すゴルシ?と、それを追いかけていくチルねぇとヴィルシーナ。

 ……まぁ朝から全力の併走トレーニングってことでいいか。

 仲良しなのか仲悪しなのかよくわからんなぁ。

 俺としてはチルねぇの次くらいにはヴィルシーナも気に入ってるから仲良くしてほしいもんなんだがね。

 そして俺は一人、早朝の青空を見上げるのであった。

 

 

 

「お、アスカトレーナーじゃん。ぴすぴーす。一人で何やってんの?」

「……え?」

 

 振り向くとそこにはゴルシがいた。

 なんで走っていった反対方向からゴルシが? 

 

「……あ? ゴルシちゃんがゴルシちゃんの着ぐるみを着て走ってた? なんでゴルシちゃんが朝っぱらから自分の着ぐるみ着て走らなきゃならねーのよ。頭大丈夫か?」

「…………え?」

 

 トレセン学園。

 謎多き学園である。




もし気に入った話があったら高評価、感想、ここすき等いただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします。

ヴィルシーナ、ちょっと運命を感じちゃった人がまさかのジェンティルドンナのトレーナーであり弟でもあったという脳破壊事案発生。ごめんね。

これにてハフバの復活投稿は終了です。
お付き合いいただきありがとうございました。
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