【完結】もしもウマ娘がブラコンお姉ちゃんだったら最高だよね杯 作:藤原ロングウェイ
誤字報告ってっあんな感じで来るんですね。ハーメルンで書くのは初めてなのでちょっとびっくりしました(笑)
複数姉&続きものです。
姉が二人なら話が二倍になってもしょうがないですね?
俺の名前はアスカ。トレセン学園の新人トレーナーである。
現在、色んな事情があってスカウトをしているのだが……
「あのー、ちょっとお話いいかな?」
「え、なんで……ひぃ!?」
声をかけたウマ娘ちゃんが振り向くが、一拍おいて悲鳴を上げる。
「いや、あの、怪しいものじゃないんだ。俺はトレーナーのアスカっていって。まだ新人なんだけど」
「新人トレーナーのアスカって……まさか【
「ノォォォ──!! プリィィィズウェェェイトぉぉぉ!!」
全力ダッシュで逃げられてしまった……
実は俺、新人ではあるがここではけっこうな有名人である。
かなりの若さで中央トレーナーライセンスを取得したことや上位の成績でトレセン学園を合格したことも理由の一つであろう。
だが、それ以上に有名なのは『
それに加えて、人間にも関わらず【狂騒バ】という不名誉な二つ名がついていることも知名度に拍車をかけている。
なぜそんな物騒な二つ名があるかというと、トレーナーになる前にトレセン学園で盛大にやらかした経験があるためだ。
実は去年、トレセン学園に無断で侵入した。
まぁ無断といってもウマ娘の関係者で忘れ物を届けに来たーといって正門を突破したのだが。
その日はハヤねぇが模擬レースをする日で、どうしても直接見たかったのだ。
模擬レースでハヤねぇは一着だった。しかもダントツで。
多くのトレーナーたちがハヤねぇをスカウトしようと近寄っていったが、途中で空気は変わった。
突然アンねぇが現れたのだ。
アンねぇは目つき鋭いし口は悪いし無愛想なため、一見すると怖くて冷たそうに見える。
しかし内心はとても姉弟思いの優しい
今回もハヤねぇのレースを見ておめでとうを伝えたかったのだろう。
しかし多くのトレーナーが方向を変えアンねぇに近づき『ぜひうちのチームに!』とか言ってる。
ハヤねぇをまるで無視するように。
その時点で俺はイライラしていたのだが、あるトレーナーから最悪の一言が放たれた。
「あ、ビワハヤヒデくん。よかったら君も
俺はブチギレた。ついでとはどういうことだ、と。
そしてそのトレーナーに向かって走り出した。
…………実は、このあとのことはよく覚えていない。
気づいたら変な扇子を持っている俺より背の低い女の子(あとで理事長だと知ってビックリした)と同じ部屋にいて『感嘆! 君は家族想いなのだな! ぜひトレーナーになってトレセン学園にくることを期待している!』と言われタクシーで送ってもらった。
両親にはめっちゃ怒られた。
あとで聞いた話によると『あんたらの目は節穴か』とか『ハヤねぇはすごいんだ』とか『ハヤねぇとアンねぇの努力も知らずに知ったような口を聞くな』とか怒鳴りまくったらしい。
トレーナーライセンスも持っていない若造が超エリートの集団、天下のトレセン学園のトレーナーたちに向かって、だ。
今だから言えるが、ぶっちゃけ出禁レベルのやばいことやったよね……
まぁその後は警備員に捕まり、理事長に引き渡され事情を聞かれ……という流れらしい。
結局ハヤねぇとアンねぇがその場で謝罪し俺が二人の弟と判明。
トレーナーたちも最初は憤慨していたが、理事長から説明を受け俺がブチギレた理由とその意味を理解すると『自分たちも無神経だった』と謝罪してその場は収まったらしい。
(その後、なぜか一部のトレーナーに気に入られ遊びに来いと誘われたりトレーニングを見学させてもらったりした。トレセンのトレーナーは人間出来た人ばっかやで……)
その後はなんとか無事トレセン学園のトレーナーになれたのだが、その事件が『
というより可愛がってくれたトレーナーさんたちが面白がって広めたらしいが。ちくしょう。
「せめて話を聞いてクレメンス……」
「はぁ……また逃げられたな。計算式が間違っているのではないか?」
項垂れる俺に、学内屈指の実力バであり俺の姉でもあるビワハヤヒデ、通称ハヤねぇがそうボヤく。
ちなみに、声をかけるウマ娘全員に逃げられるのは俺のこの異名のせいである。
間違いない。それ以外の理由など存在しない。
決して、俺がスカウトしてる時は常に俺の隣にいてメガネをクイッとしながら仁王立ちしているハヤねぇのせいではない。
加えて言うと、俺が声をかけたウマ娘全員を値踏みするように眉をひそめながら上から下まで睨め回すハヤねぇのせいではない。
さらに言うと、その態度と髪のボリュームと眼力の強さからめっちゃ威圧しているように見えるハヤねぇのせいではない。
ついでに言うと、周囲に『弟は優秀なトレーナーなので、担当ウマ娘には打倒ブライアンくらいの気概がなくては弟を任せるに足りない』とか言い放っているハヤねぇのせいではない。
決してだ。いいね?
「あのー、ハヤねぇ? 自分のトレーニングしてきていいよ? オレはオレでちゃんとやるから……」
「そうはいってもまた前のように暴れられても困るからな。姉としてしっかり見張っておかないと。困った弟だ」
それを言われると何も言い返せないんですが……
しかも口では『困った弟だ』とか言って悩み顔だが、耳と尾は機嫌良さそうにピコピコ動いているし……
その後もスカウトは失敗し続けた。
「……さて、残念ながら時間切れだ。もうすぐ昼食の時間なのでカフェテリアに向かおう」
「いや、俺はもうちょっと──」
「カフェテリアに向かう。これは確定事項だ」
「はい……」
基本ハヤねぇは俺の話を聞いてくれない。
いや、ちゃんと聞いてくれはするのだ。
聞いてくれるのだが、最終的に『私の弟に対する理解と理論は完璧であり、勝利の方程式は揺るがない』としてハヤねぇの判断が優先される。
俺の人権どこ……? ここ……?
「ふむ……トレセン学園は広大、アスカは新人で地理に疎い、私の頭の中にはこの学園の地理が全て頭に入っている、そしてカフェテリアは混雑が予想される。これらのことから導き出される勝利の方程式、それは──」
あーこれはいつものやつですね。
「手を繋いでいけば迷子になることもはぐれることもない! 完璧な理論だ!」
ヒュー、さすがハヤねぇ! 賢さSSぅ!
……なんだろ、ハヤねぇは頭の回転も早いし知識もすごいんだけど、俺が絡むと高確率でポンコツ計算機になるんだよなぁ……(遠い目)
「さぁいくぞアスカ。私の理論上、今の時間を逃せばカフェテリアの席を確保するのは難しくなってしまう」
「了解っす」
何を言っても無駄だし、ぶっちゃけ俺はシスコンなので別にハヤねぇと手を繋ぐのが嫌なわけでもなし。
二人で仲良く手を繋いでカフェテリアへと向かう。
練習場を出ると、そこには見知ったウマ娘が壁に寄りかかって立っていた。
「アンねぇ!」
「よう、アスカ。姉貴も。奇遇だな」
壁に寄りかかっていたのはナリタブライアン。
名実共にトレセン学園でも最強バの一人として数えられるウマ娘であり、俺のもう一人の姉でもある。
そのアンねぇが手と繋いでいる俺たちを見て、呆れたような顔で口を開く。
「相変わらずだなあんたらは。ブラコンシスコンめ。少しは人目を憚れ」
「ブラコンシスコンということは、つまり弟と妹を大事に想っているということ。誇りこそすれ、人目に触れて恥じるものなどなにもないな」
「同じく!」
アンねぇの言葉に胸を張って答えるハヤねぇと俺。
シスコンブラコンを
(なお、エアグルーヴは近くにいないのでやる気は下がらない模様)
「それに、先程の言葉はそっくりそのままお返ししよう。『偶然』『奇遇』『散歩』で毎日ばったり会うことなど理論上ありえんよ。このブラコンめ」
「……………………偶然だ」
ハヤねぇの言葉に、目が泳ぎまくって今にもドーバー海峡横断しそうなレベルのアンねぇ。
この
かわゆすかわゆす。
そんなことを思っているとアンねぇが睨んでくる。
「なんだその顔は」
「いや、別に。今日もアンねぇはかわいいなぁと思って」
「……お前は目が悪い。医者にいけ」
「アンねぇがかわいく見えなくなるくらいならこのままで結構です!」
「…………なら病気だ。やはり医者へいけ」
「シスコンは不治の病だからね! しょうがないね!」
顔を赤くしたアンねぇが何かを言おうと口をパクパクさせるが、結局何を言っても恥ずかしい思いをするだけだと思い至ったのか、ため息をつく。
「はぁ……ああ言えばこういう。屁理屈ばかりこねやがって。頭でっかちめ」
「誰の頭がでかいって!?」
「姉貴には言ってない!!」
次回へ続く!
モブ娘A「アスカトレーナー、すごい優秀みたいだけどお姉さん二人が怖すぎて無理……」
モブ娘B「求められる最低ラインがビワハヤヒデ、ナリタブライアンレベルとかハードル高すぎでしょ……」
モブ娘C「シスコンすぎて担当になっても『君は二番目に大切なウマ娘だよ(一番は姉たち)』とか言われそうで、ちょっと……」
今回のビワハヤヒデ✕弟✕ナリタブライアンの話はアプリのビワハヤヒデのシナリオに少し絡んでます。
ちなみに弟が存在することでビワハヤヒデとナリタブライアンの関係なんかもアプリと少し変わっています。