今回も話し方は意識してみましたが、イメージと違ってたらごめんなさい。
お気に入りしてくれた方ありがとうございます!
「ねぇ、カイチョー」
「どうしたんだテイオー」
トレセン学園の生徒会室、そのソファで横になっていたトウカイテイオーは言った。
「プレゼントって何あげたらいいのかな」
もうすぐトウカイテイオーの担当トレーナーの誕生日。その祝いの日にあげるプレゼントの相談だった。
「ふむ。テイオーは何を渡したいんだ?」
「うーん。よくよく考えたらボクってトレーナーの事何も知らないんだ」
好きなこと、食べたい料理、やりたいこと、欲しいもの、彼はいつもトウカイテイオーを優先していた為、彼の好みを把握出来てはいなかった。
「カイチョー。どうしたらいいかな」
いつもであれば元気いっぱいな姿を見せてくれるが珍しく弱気なトウカイテイオー。それほど真剣に考えているということなのだろう。
「テイオー。祝いの日に渡すのは何もプレゼントに限らない。大切なのは他にある」
「大切なのは他にある…」
「気持ちだよ。テイオーの気持ちが伝わればきっとトレーナー君も喜んでくれるはずだ」
(トレーナーはいつもボクを優先してくれた。やりたいことも、欲しいものも、出かけるといつも買ってくれた。)
なら、今度はボクがそれをやってあげれば良いんだ!
そう考えついたトウカイテイオーは明るい表情をシンボリルドルフに向けた。
「わかったよカイチョー!」
「ならば行ってくるといい」
「うん、行ってくる。カイチョー、ありがとー!」
生徒会室を飛び出し、すぐに向かったのはトレーナー室。
いつもならこの時間はトレーナー室にいる。そう思ったトウカイテイオーは勢いよく扉を開けた。
「トレーナー!」
「っ!?ど、どうしたんだい、テイオー」
びっくりした様子で肩を揺らしたトレーナー。今日も彼はデスクの書類と睨めっこしていた。
「週末って空いてる?」
「週末?空いてるけど…、それがどうしたんだい?」
「ほんと!?なら10時に校門に集合ね!約束だからね!」
「あ、ああ」
流れのまま、トレーナーはトウカイテイオーと約束する。
「絶対だよ?それじゃ!」
嬉しさのあまり、テイオーステップを踏みながらトレーナー室を去るトウカイテイオー。
まるで嵐のようにトレーナー室に来て、去っていったトウカイテイオーにトレーナーは首を傾げながら、再び書類と睨めっこを始めた。
約束の日。集合時間よりも少し早く着くために、トウカイテイオーは早めに寮を出る。
寮から学園まではすぐ近く。今日はトレーナーをエスコートするためにトウカイテイオーは意気込んでいた。
「あれ、トレーナー!もう来てたの?」
「おはようテイオー。さっき着いたばかりだよ」
爽やかに微笑むトレーナー。
(ぐぬぬ。ボクが早く着いてトレーナーを迎えようと思ってたのにー。でも今日は始まったばかり、これからだ!)
「それで、これから何処にいくんだい?」
「それは行ってからのお楽しみだよ!」
そう言ってトウカイテイオーは歩き出した。
移動時間に数十分。着いた場所は水族館だった。
「着いたー!」
「水族館か!」
「どうどう?楽しみでしょー。ほら早く早く!」
トレーナーの手を引っ張り、トウカイテイオーは水族館の中へと入る。
休日というだけあって、子供から大人まで多くの人で賑わっていた。
「人がいっぱいだー」
「逸れないようにね、テイオー」
「子供と一緒にしないでよ、もー」
頬を膨らませる彼女をみて、トレーナーは笑みを浮かべた。
近くにあったパンフレットを手に取り、広げて2人で見る。中央には大きくイルカショーと書かれていて、それを見たトウカイテイオーは目を輝かせる。
「やっぱり水族館に来たらイルカショーは外せないよね!」
「そうだね」
1日に3回やっているイルカショー。昼の部と書かれた時間はまだ少し先の時間だった。それまではゆっくりと水族館を見て回ることにした。
「見てよトレーナー。魚、おっきいよー」
「あっちの方がもっと大きいよ」
「わぁーホントだー!」
「なんか先端がギザギザしてるー!かっこいい!」
「あれはノコギリエイだね」
「エイっ!?」
「ボク、クラゲって苦手なんだよね。なんかブヨブヨしててさ」
「泳いでるクラゲは可愛いと思うけどね」
「えぇー。変わってるねトレーナー」
「そうかな?」
気づけばイルカショーが始まる時間に近づいていた。
「イルカショーを見るなら1番前だよね!」
「ならカッパを買わないとね」
イルカショーが行われる場所の近くにある店と入り、カッパを購入。トウカイテイオー達はそれを持って1番前の席へやってきた。
始まるまでもう少し、どんどんと人が集まっていき、あっという間に席は観客でいっぱいになった。
「楽しみだね」
「そうだね」
ワクワクとするトウカイテイオーにトレーナーは微笑んだ。
すると扉から出てきた人が台の上に立ち、挨拶をする。イルカショーの始まりの合図だ。
イルカショーでは、イルカが高くジャンプをしたり、ぶら下がっているボールを尾で叩いたりと、凄まじい演出で観客を楽しませる。
イルカが水の中に戻るたびに水飛沫を浴びたが、嫌がることなく、2人でショーを楽しんだ。
「凄かったねイルカショー!あんなに高く飛んでさ!」
終わった後でも興奮が冷めることはなく、トウカイテイオーははしゃいでいた。
すると、ぐぅ〜という音がトレーナーの隣から聞こえてきた。
トレーナーが音の方を見ると、少し顔を赤くしているトウカイテイオーがいた。
「えへへ。お腹すいちゃった」
「ここには美味しい魚料理のお店もあるみたいだから、そこで食べようか」
「えっ!?魚食べるの!?」
信じられないものを見るような目でトウカイテイオーはトレーナーを見ていた。
お腹もいっぱいに膨れた所で、水族館を後にする。
「トレーナー!水族館、楽しかったね!」
その言葉を言ってトウカイテイオーはハッとする。
(何やってんのさー!今日はトレーナーを楽しませるために来たのにボクが1番楽しんでどうするのさー!)
ぐわー、と頭を抱えるトウカイテイオーにトレーナーは心配の声をかけるが、トウカイテイオーはなんでもないと返した。
(次こそはトレーナーを楽しませるんだから!)
「テイオー?」
「トレーナー!次の場所はこっちだよ!」
「あ、ああ」
トウカイテイオーに案内された場所は見慣れた場所だった。
「ゲーセンでーす!」
ゲームセンターの前で両手を広げるトウカイテイオー。
「欲しいものがあったらなんでも言ってね!ボクの華麗なボタン捌きで取ってあげるから!」
「ありがとうテイオー」
2人揃ってゲームセンターの中へと入る。
1階はUFOキャッチャーとゲームなどのコーナーに分かれていて、2階はメダルゲームのコーナーとなっていた。
「ボク達のぬいぐるみだ!あ、カイチョーのぬいぐるみ!こっちはマックイーンだ!」
「取ろうか?」
「良いの!?じゃなかった…。今日はボクがトレーナーの欲しいものを取るんだから!」
「…なら一緒にやろうか。それなら良いかな?」
「……まぁ、トレーナーがどうしてもって言うんだったら」
「どうしても」
「しょーがないなー!一回だけだよ」
トレーナーが百円のコインを入れると機械から音が流れ始める。
「見ててねトレーナー!……ここだー!」
押していたボタンを離すと、アームが広がり、ぬいぐるみの方へと沈んでいく。
トウカイテイオーの狙いはカイチョーこと、シンボリルドルフのぬいぐるみだった。
アームは見事にシンボリルドルフのぬいぐるみを掴み、持ち上げるが、一番上まで持ち上げると激しく揺れてしまい、ぬいぐるみが落ちてしまう。
「ぐぬぬー。もう一回!」
再び、百円のコインを入れて挑戦するが今度は持ち上がることなく失敗する。
「もう一回!!」
再度挑戦。今度はしっかりとアームがぬいぐるみを持ち上げる。一番上まで持ち上がって落ちることなく、落とし口へまで運んでいく。
「いっけぇ!」
しかし、途中でアームからぬいぐるみが滑り落ちてしまった。
「もぉ、なんで落ちるのさー!」
「次、やってもいい?」
「いいよー?どうせ落ちると思うけどね」
「まぁ、そこは運かな」
持っていた百円のコインを入れてボタンを押す。正確に動かし、アームがぬいぐるみを掴む。
しっかりと持ち上がり、落ちることなく落とし口へとぬいぐるみを運び、取り出し口にぬいぐるみが落ちた。
「運が良かったみたいだ」
取り出し口から取り出したシンボリルドルフのぬいぐるみを手にトレーナーは笑った。
「はい。欲しかったんでしょ?」
「…ありがとう。次はトレーナーの欲しい物だよ!ほらほら遠慮しないで」
「それじゃあ、あれを取ってもらおうかな」
トレーナーが指さすのはトウカイテイオーのぬいぐるみだった。
「ボクのぬいぐるみ?」
「ああ。ずっと前から欲しかったんだけど、機会がなくて。取ってもらえるかな?」
「もちろん良いよ!このテイオー様のぬいぐるみが欲しいなんてトレーナーは分かってるね!」
どこか嬉しそうにするトウカイテイオーは自分のポケットから百円のコインを取り出して入れる。
「絶対に取るからね!」
そう言ってボタンを押す。機械をしっかりとトウカイテイオーのぬいぐるみの真上に移動させてボタンを離す。
アームが広がり、ぬいぐるみを目掛けて沈んでいく。
しっかりと掴んだアームはぬいぐるみを持ち上げて移動を開始する。
ぬいぐるみをそのままに、落とし口まで運んだ機械はアームを再び広げてぬいぐるみを落とす。
「取れた…。取れたよトレーナー!」
わーい、とはしゃぐトウカイテイオーに自然と笑うトレーナー。
「ハイ!ボクのぬいぐるみなんだから大切にしてよね!」
取り出し口から出した自分のぬいぐるみをトレーナーに手渡す。その顔は少し赤くなっていた。
「もちろんだよ。大切にする」
トウカイテイオーのぬいぐるみを嬉しそうに眺めるトレーナーを見てトウカイテイオーは思わず頬を膨らませた。
(プレゼントできたのは良いけど…。むぅ〜。なんかスッキリしないなー)
「ありがとうテイオー」
「うん。あっ、あっちにゲームがあるよ!行ってみよーよ」
「そうだね。行ってみようか」
ぬいぐるみを袋へしまい、トウカイテイオーの言うままにゲーム機が沢山あるコーナーへとやってくる。
「ダンスゲームだって!トレーナーも一緒にやろうよ!」
「ダンスか…。苦手なんだけどね」
「良いじゃん!やろうよー」
「……わかったよ」
渋々と頷き、百円のコインを入れる。
爽快な音楽が流れ始め、トウカイテイオーが踊るための曲を選択する。
「トレーナーの為に、軽めの曲にしてあげるね」
「お願いするよ」
決定ボタンが押されて曲が流れ始める。
床の機械と画面は連動していて、画面の奥から流れていく音符に合わせて、床を踏むという単純だが奥深いゲームだ。
「始まるよトレーナー」
「頑張る…」
笑顔のトウカイテイオーとは対照的にトレーナーの表情は暗い。
「〜〜♪」
「…っ、難しい……」
軽やかにステップを踏み、完璧に踊るトウカイテイオー。その隣で踊るトレーナーの顔は必死であり、ぎこちなかった。
数分の曲が終わり、結果が画面に表示される。
「す、すごいねテイオー。パーフェクトって…」
「これくらい余裕余裕!トレーナーは……、うん。初めてはこれくらいだよ…」
フルコンボと表示されている横で、グット回数が一桁、バッド回数がほとんどを占めているスコアが表示されていた。
「ダンスだけは得意じゃないんだ…」
「今度ボクが教えてしんぜよう」
「遠慮しておくよ…」
ダンスゲームを終えた2人が次に挑んだのはカーレースゲームだった。
自分でハンドルを握り、擬似的にレースを体験するゲームだ。
「負けないよー!」
「これならまだいけるかな?」
321の合図でスタートする。
お互いにミスは無く接戦していたが、終盤に差し掛かり、トウカイテイオーが壁にぶつかって失速してしまう。
そのまま差が埋まることがなくゴールした。
「負けたー!」
「僕も負けてばかりじゃないんだよ?テイオー」
「むぅ!なら次はアレで勝負だー」
指さす方向にあるのはエアホッケー。パックと呼ばれるものを器具を使って弾き、相手のゴールに入れるという単純なアーケードゲーム。
時間制限の中でどちらが相手よりもスコアを取れるかの勝負だった。
「えいっ!」
ガチャンという音を立ててパックがトレーナー側のゴールに入る。
中々相手のゴールに入ることは無かったが、トウカイテイオーが時間ギリギリにゴールを決めて終了となった。
「やったぁ!やっぱりボクって最強!」
「負けたか」
気がつけば時間を忘れてゲームセンターを堪能していた。
日は沈み始め、ゲームセンターの外に出ると夕焼けが道を照らしていた。
(トレーナー。楽しんでくれたかな…。ボクに付き合う為に無理してなかったかな…)
静かに2人で帰っていると、屋台がトウカイテイオーの目に入った。
「あっ…」
はちみつドリンク。トウカイテイオーがいつも飲んでいるものだ。
「飲むかい?」
トレーナーも気付いていたようで、トウカイテイオーに向かってそう言った。
静かに頷き返し、トレーナーは屋台の方へと歩いて行った。
トウカイテイオーは近くのベンチに座り、トレーナーが来るのを待つ。
(今日はトレーナーの誕生日。楽しんで欲しくて誘ったのに、結局ボクが1番楽しんでた。水族館も、ゲーセンも、提案したのはボクだけど、トレーナーに甘えてた)
トレーナーは本当に楽しめたのかな、そんな考えが頭によぎった。
「テイオー。固め、濃いめ、多めだよ」
「ありがとうトレーナー」
耳を前に垂らすように伏せるトウカイテイオーの姿を見てトレーナーは察したように言った。
「今日はありがとうテイオー。ボクのために水族館やゲームセンターに連れてきてくれて」
「うん…。でもボクが1番楽しんでた。トレーナーに1番楽しんでもらいたかったのに」
「そうかな?テイオーより僕の方が楽しんでたと思うよ?」
その言葉にトウカイテイオーは耳を立てた。
「水族館では色々な魚が見れたし、イルカショーも迫力があった。料理も美味しかったしね」
水族館の後に魚料理を食べようと言った時にテイオーに引かれたのはちょっとショックだけど、と続けた。
「ゲームセンターではテイオーのぬいぐるみがゲットできたし、ダンスは、まぁ…いい経験になった。テイオーとの勝負も楽しかったよ」
トウカイテイオーのぬいぐるみが入った袋を大事そうに持ち直し、トレーナーは真剣な眼差しでトウカイテイオーの方へと向いた。
「でも、それもこれもテイオーと一緒だったからだよ」
不安だった気持ちが爆発するかのようにトウカイテイオーは口を開いた。
「ボクね、今日のためにいっぱい考えてたんだ!プレゼント、何あげれば喜ぶのかなとか、どういう場所が良いのかなとか。でもボク、トレーナーの事何も知らなくて…。カイチョーにも相談して…、それで…、それで…」
気づけばトウカイテイオーは泣いていた。
トレーナーが楽しんでくれたという安心感から、我慢できずに大粒の涙が溢れ出していた。
するとトウカイテイオーの頭の上に大きな手が乗せられ、優しく撫でられていた。
「ありがとうテイオー。僕のために色々考えてくれて」
優しい声音に不思議と涙が止まる。
「うん。トレーナー。誕生日おめでとう!いつもボクを支えてくれて、わがままを聞いてくれてありがとう。これからも一緒に最強目指して頑張ろうね!」
寮に帰るまでトウカイテイオーの耳は嬉しそうに動き、尻尾は激しく揺れていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
またウマ娘が泣いてます。トウカイテイオーは中等部なのでお許しを…。
気分的にはなりますが、これからも投稿していくつもりなのでよろしくお願いします。