マヤノトップガン。彼女はあらゆる脚質を自在に使いこなす変幻自在なウマ娘だ。また何でも
「ねえトレーナーちゃん。これなぁに?」
「マヤノ!?どうしてそれを!?」
ある日のこと、トレーナー室にてトレーナーは担当ウマ娘であるマヤノトップガンに追い詰められていた。彼女が翳すのは彼のスマホ。画面には
[彼女]
と書かれた連絡先
「いやそれは…………てかなんでマヤノはロックがかかってるはずの俺のスマホを開いてるの?実名書いてなくて良かった!」
「駄目だよ、実家の電話番号の下四桁なんて。開いてくださいって言ってるようなもんじゃん」
トレーナーの漏れでた声に耳を反応させつつマヤノの問いは続く
「おかしいよね?トレーナーちゃんはマヤと出掛けるとき以外学園の外に出ないし出る必要も無いよね?」
そう、このトレセン学園は買い物などが学園内で完結出来るようになっている。不用意に出掛けてファンなどとトラブルを起こさないためだ。まあ完結出来るだけであってトレーニングやら息抜きのお出掛けやらで割りと外に出る者は多い。しかしこのトレーナーはマヤノトップガンとのお出掛け以外での外出を禁じられていた。というのも
「マヤ言ったよね?トレーナーちゃんにはマヤだけいればいいって」
「言った………けど………」
思春期、全寮制、マンツーマンでの指導、何も起こらない筈もなく、トレーナーと担当ウマ娘が恋に落ち(ほぼ100%ウマ娘側のアプローチ)寿退社は頻発している。それゆえトレセン学園は常にトレーナー不足に悩まされている。
「じゃあなんでこんな連絡先があるの?不要だよね?」
一応仕事をする上で欠かせないたづなさんや理事長の連絡先は許されているものの連絡の中身はこっそりチェックされている。
「それはそのー、俺も彼女欲しいなぁって」
「トレーナーちゃんにはマヤがいるじゃん。不服なの?」
「だっt「だって教え子だから?聞き飽きたよそれ」!」
「マヤは何でも分かってるよ。だからトレーナーちゃんはマヤに手を出さないし、こうやって他の女の人と付き合おうとする。駄目だよそんなの」ピッ
無慈悲に消される連絡先。マヤノトップガンの目を掻い潜って漸く手に入れた学園に関係ない異性の連絡先を消されたトレーナーは当然怒った。
「何て事をするんだ!いくらマヤノでもやっていいことと悪いことg」
「いくらトレーナーちゃんでもやっていいことと悪いことがあるんだよ」
「ヒッ」
一瞬で間合いを詰められる。背後は壁、スマホとドアはマヤノトップガンの背後。詰みである。
「前言ったよね。次やったら許さないよって」
「………」
そしてあろうことかこのトレーナー、初犯ではない。既に何度か試みてはバレている。
「じゃあ、ヤるしかないよね」
「!やめてくれ!あれだけはやめてくれ!」
「やーめない♡」
流石にマヤノトップガンも越えてはいけない一線は理解している。学園に在籍している以上その一線は存在する。そしてこのトレーナー、致命的な弱点があった。それは
「こういうの好きだよねトレーナーちゃん。マヤ分かっちゃってるよ?しかも半ば期待しちゃってる」ササヤキ
「!!!!!」ビクビク
とにかく異性慣れしていないのである。なまじまともに異性と付き合ったことのないトレーナーは囁き一つで用意に腰抜けになる。
「だからパスワードは変えないし露骨にあんな画面を出しちゃう」
「だ、だって…………」
最初は偶然だった。しかしその最初に食らったマヤノトップガンのお仕置きにすっかり魅了されてしまったのだ。因みに最初の時点でマヤノトップガンはトレーナーへの恋心を自覚している。
「いい加減墜ちちゃおうよ。いつまで持つのかな?」
抱き締められながら囁かれる。トレーナーのトレーナーも既に元気一杯だ。
「やめ…………てくれ」
「いいよ」
「あ…………」
あっさりトレーナーから離れるマヤノトップガン。名残惜しそうなトレーナー。
「ふふふ、じゃあ、また明日ね!トレーナーちゃん!」
元気よくトレーナー室を出ていくマヤノトップガン。足音が完全に消えたのを確認して
「よし、逃げるか」
あらかじめ用意してあった辞表を机に置いてこれまた用意しておいた荷物を持ってその夜、トレーナーはトレセン学園を抜け出した。マヤノトップガンに手を出してしまう前に逃亡を選んだのだった。
「ふぅん」
同時刻。寮にて何かを悟ったような声が漏れた。
★★★
トレーナーが一目散に向かった場所。それは
「お帰りなさい」
「ただいま」
実家である。生活基盤は整っておりドがつくほどの田舎なため追いかけられる心配もない。更に住所は喋ったことがないから知らないはず。
「部屋は掃除してあるよ。取り敢えず休みなさい」
「ありがとう」
階段を登る。ドアを開ける。そこにあったのは
「ありがたい」
出ていったときと何ら変わらない懐かしの自室。ここではじめて安心感を得る。そして
「流石に疲れた…………」
最終列車に飛び乗っての帰省。眠るのは夕方と随分早かった。
★★★
「ん?」
翌朝、落ち着く暖かさで目が覚めた。そこでおぼろげな意識の中気がつく
[隣に誰かいる!?]
パニックになり思考停止。すると耳元で
「おはよう♡トレーナーちゃん」
絶望を運ぶ声がした。
「朝ごはんできたよー。彼女さんも一緒に来なねー」
下からこの状況を受け入れているらしき母の声
「辞表は出しちゃったね。どうしたの?震えちゃって。可愛いなぁ」
隣を見られない。見たくない。ささやかなトレーナーの抵抗
「ねぇねぇ、マヤから逃げられたと思った?逃がすわけ無いじゃん」
柔らかな手で、抵抗空しく無理矢理頭を動かされる。目の前には見慣れたマヤノトップガンの顔
「これからよろしくね。あなた♡」
私はね、外堀を埋められて気がついたときにはもう遅いのが大好きです。
投稿時間でお分かりでしょうが深夜テンションです。おやっという点があっても気にしないでください。