1993年
北海道にあるひだか太平牧場で生まれ、2歳(現1歳)となった若駒達がデビューに向けて馴致を行っていた。勿論それは私ことキャンペンガールの1992も例外ではない。
同期の他馬が苦戦する中、私はたった数日で全ての馬具に慣れ1週間経つ頃には人間が出す指示に完璧に従う事が出来るようになった。
何故しなければならないのか理解している、というアドバンテージや『前』の時は知らなかった事も、ヒトの会話に聞き耳を立て知識として脳内にインプットし更に周りと差をつける事が出来たためだ!。すごい!
馴致が早めに進んだので、育成牧場であるイーストファーム空港牧場に移動し育成を受けることになった。
幸い身体が頑丈で疲れも取れやすい体質+これまで昼夜放牧を何度も乗り越えたこともあり、2歳馬にしてはハードな調教の数をこなすことで更に今後の馬生に繋げていく。えらい!
余生を過ごす為にもしっかり走ってしっかり休まなければ…休ま…やす…
「おい!おまえ最近ナマイキすぎるぞ!おれがボスだってこと忘れてるんじゃないか!?」
出た…この育成厩舎のボス馬栗毛くんだ…
喧嘩に勝ったら私がボス馬になって、面倒なことになるかもしれないけれど、言いつけを守りたい気持ちもあるし負けるのも癪だし!
故郷では自由に走る為ブイブイ言わせてたんだ、なんとかなれーッ!
「いいかげん決着つけろッ」ヒヒィィィン!
「よっしゃその喧嘩買ってやるッ!」ブヒヒィィィィィィイイィィイイイン!!!!
フフフ…どうだい?放牧地を走りまくって鍛えた肺活量から繰り出す私の嘶きは……
「くっ……流石おれが見込んだライバルだ、」
…ライバル!?
「ライバルって何!?」
「おまえここに来たときからデカいし賢いし、それに肝がすわってるからな!頼りになりそうだし、すぐボスの座をうばわれるんじゃないかとおれはおも……て…」
そんな……
ボスって嘶きバトルで買ったヤツがなるんじゃなくて……頼りになるやつがなる……ってコト!?
喧嘩の仲裁とか面倒なんだけど?
でも、なってしまったものはしょうがないか……
1994年
この北の大地にも段々と春が近づいてきた頃。
私の名前の申請が通り、正式に『ノーブルキャップ』と登録された。由来はフランス語で高尚、高潔、気高いなどの意味を持つNobleに父名の一部でノーブルキャップ。
私は庭先取引で購入された馬なのだが、牧場へ馬主さんが私を見に来た時、鳥の群れが飛び立つ音に動じずにいた事から名付けたんだとか。
ただ少し自分には"ノーブル"の意味は分不相応な気がしなくもない。けれど確かに中身は人間だから些細な音では驚くことも無いし、そう感じられるのかも?
そして育成、幸いにもソエ*1や深管骨瘤*2といった病気や、腰フラ*3などの重い病気になること無く進んでおり、かなり順調だ
いつも通りにご飯をたくさん食べ、その分を筋肉に変えるべくバリバリ調教をこなし、そのあとはお腹がよく減るので馬房の前を通りかかったヒトにご飯をせびりまくるのがいつもの光景だ。
するとこちらに来てから世話をしてくれている厩務員さんが、どこか見覚えのある1人の男性を連れてやって来た。
私がお世話になる予定の調教師さんで栗東に厩舎を構えている、名前はたしか堀川さんと呼ばれていたような…
「いつも通り動きは抜群やなノーブルキャップは。見てくれが細っこいと感じてはいたが、こりゃ縦に伸びてるだけだな。」
「カイバは親父に似てとてつもない量を食べますし、成長するうちに肉付きも良くなっていくでしょう。
並走でも抜かせない気の強さと根性がありますが、自分が納得するまで何度も坂路を走ろうとするもんですから、抑えるのに苦労しますわ……」
それはごめん…でもやめない…
「そのくらいレースに前向きなら、そこらの気性難よりか扱い易いだろう……この様子なら予定通り5月頃には札幌に輸送して、7月デビューで問題なさそうだな。」
……!!
きた……新馬戦、7月の札幌!!
思っていたより早いけどそのぶん走れる未勝利戦の数が増えるし、勝てずに格上挑戦なんてことにはならなさそう!
ノーブルキャップ
今回名前が判明した主人公
心と身体がつえぇ馬なのか…!?
育成牧場で自身に対する高い評判を耳にしている為、無意識で中央で勝ち負け出来ると思っている
栗毛くん
馬格のある魅惑のクソデカ栗毛ボディの持ち主
主人公の方がデカさ・賢さ・判断力が高かった為、次のボスはこいつだと思ったのに…
主人公の中途半端な態度に栗毛くん、キレた!
イーストファーム
北から東に変えただけ
美味しそうな名前になった
近況
就職してから毎月ギリギリまで残業+昨年の10月頃から適応障害で休職中の為まっったく進んでませんでした申し訳ない…