キングさん家の居候   作:Xester

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村田版のワンパンマンのフブキですが・・もう色々とドチャクソ性癖にササリンティウスで誰でもいいのでサイタマとフブキのほのぼの日常のSSを書いてください(丸投げ)


プロローグ

 スーパー「むなげや」

 各都市に店舗が存在し、その地域の住民達に愛されているこの店の売りは何と言っても食材の安さに他ならない。タイムセールの時間帯は主()の目は洗練された怪人のように鋭くなり、我先にと求めている食材へと群がっていく。食材コーナーの至る所で生鮮食品の奪い合いが起きているこの光景はある意味、この店の風物詩となっていた。余談ではあるが店側が設置しているお客様の声ボックスの中身は毎日溢れかえるような「店名が気持ち悪い。変更して」という悲壮感溢れるハガキがギチギチに詰まっているのも風物詩の一つである。

 

「合計で12,240円になります」

「カードで」

 

 顔を隠すように深々と黒のハットを被り、サングラスとマスクを着けている様子はお忍びのアイドルを連想させる格好ではあるが、今の時間帯(タイムセール時)()()()()()()忍んで買い物をするにはうってつけの時間であるため、ある意味で重宝している。手慣れたように財布からカードを出して会計を済ませて、エコバッグの中に食材を詰めてマーケットを後にする。愛車にカバンを乗せて市内を走行していると珍妙な生き物(怪人)が視界に映った。

 

「俺は女が付けている香水の匂いを嗅ぐのがたまらなく大好きで突然変異した怪人・スメシリンだ!女共ォ!お前らの匂い嗅がせろォォ!!」

 

 スクランブル交差点のど真ん中に陣取っている怪人は人の形はしていたが鼻の穴だけが一般人と比べて異様に大きく、吸い込む力が尋常じゃないのか手あたり次第、近くにいる女の子を吸い込みで近づけて抱きつき、全力で鼻呼吸をしていた。ヒーロー協会が指定している災害レベルに当てはめるのであれば、素人でも狼以下のレベル(脅威度)しかないと分かる弱さではあったが、あまりの気持ち悪さに顔が引き攣った人間で周りは溢れかえる始末。一部の男からは「こいつ・・天才か?」と羨望の眼差しを向けられていたが。車を降りて()()()()()()()()()のだが、自分・・・私自身も気持ち悪さを感じていたので脅威度を考慮した上で無視することにした。

 

 都心を抜けて、高級住宅街が並ぶ郊外をも更に抜けること凡そ20分。鈍色に覆われた一際目立つ建物(アパート)が現れ、機械式屋内立体駐車場へと車を入れる。荷物を降ろしてエレベーターに乗ると部屋番号を指定し()()()()()()()()()を入力すると、()()いる階層(最上階)へと動き始めた。私は靴をその場で脱ぎ始め、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()帽子を取り、身嗜みを整えると長い廊下の先にある扉へと一直線に進む。

 

「ただいま」

「・・おかえり」

 

 扉を開け、広々とした空間にあるのは色とりどりの家具・・ではなく生活水準を満たす最低限の家具が置かれていた。その家具すらも付属していた物だと言うのだから、この部屋の主はよほど家具(インテリア)に興味がないのだろう・・今まさに目の前にいるわけですが。

 そんな事考えているとは露知らず、部屋の主は最近購入したテレビの前に座り、黙々とゲームをしていた。今まで幾度となく見てきているその姿に何処か安心感すら感じると、台所へと足を運ぶ。

 

「リクエストは?」

「冷え込んできたから鍋にしない?」

「いいわね」

 

 他愛もないやり取りである。言った手前手伝ってくれるのかと思いきや、こちらを見て申し訳なさそうに「もう少しでセーブポイントだから・・」と彼は呟く。世の夫婦喧嘩の大半はこのような些細な火種から勃発するらしいが、未だに私は()()()()()()()()()()。冷蔵庫で寝かせておいた昆布出汁を土鍋の中に入れ、料理酒、白出汁を入れて火をかける。沸騰するまでの間に白菜、長葱、春菊、椎茸、豆腐を切り分けて、大皿に盛りつけていく。主役(メイン)をどうするか考えていた時、携帯の着信音が()()()()()

 

【A市にて巨大怪人出現!。推定災害レベル【竜】!。付近のヒーローは現場へ急行してください!】

 

 簡潔なメールが画面に表示され、あまりのタイミングの悪さに少し辟易しながら顔を顰める。メールに添付されていた出現座標を確認すると距離もあるため、適当な理由を並べ立てて断っても良いのかもしれないが全ては部屋の主・・あらためS級ヒーロー“()()”キングの御心次第である・・がそのキングは露骨に嫌そうな顔をしながらヒーロー協会の者と電話をしていた。腕を組みながらキングの方を見ているとテレビに映し出されているゲーム画面の端にワイプ形式でA市の中継が緊急放送のように表示され、怪人の姿を確認することが出来た。下半身人型、上半身海洋生物の何処かで見た事のあるような風貌をしていたが、特筆すべきはその大きさ。30階はゆうに超えているであろうビルが触手の横薙ぎでいとも簡単に崩れた所を見ると災害レベル【竜】というのは的を得ているのかもしれない。中継局のカメラが怪人の足元をクローズアップすると私の知る限りでC~A級ヒーロー数十名が交戦しているようだが状況は見るからに芳しくはないように見てとれた。

 

「分かった」

 

 それだけを伝えるとキングは電話を切り、一つため息を吐くと別部屋へと入っていった。小声で「あと少しでセーブポイントだったのになぁ・・」と呟いていたが。私は食材が乗っている大皿にラップをかけ、冷蔵庫に押し込んだ。そして昆布出汁の味の調整をしていた、その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・ドッドッドッドッ

 

 何処からともなく重低音が響き渡り、キングが姿を現した。先ほどまでゲームをしていた無気力顔から打って変わり、表情筋は引き締まり、三白眼は鋭さを増していた。顔の傷も相まってその表情は、対する敵を一切の慈悲なく葬り去る修羅を連想すらさせた。こちらを見向きもせずに通りすぎるキングを後目に、私は土鍋に蓋をして後に続いた。

 

「アーテラ氏・・君は」

「キングが居る場所が私の居場所」

 

 その一言でキングは観念したのか、それ以降何も言うことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 A市ヒーロー協会本部。

 全面黒塗りで覆われた部屋に通された重役職員は狼狽えながら現れた巨大怪人をモニター越しに見ていた。都度都度入ってくる情報は向かわせたヒーローが悉く敗北した情報ばかりでいよいよ自分たちの本部までその脅威が迫ろうとしている現状に、怯えている者もいれば、市内から脱出を試みようと保身に走ろうとする者など室内は阿鼻叫喚で埋め尽くされた。

 

「A級ヒーロー、イナズマックス、スマイルマン、音信途絶しました!」

「現場に到着したC級ヒーロー15名!、B級ヒーロー13名!、A級ヒーロー、ブルーファイア、バネヒゲ、三日月フトマユゲの3名敗北!撤退を開始しました!!」

 

「A市壊滅の危機だ!すぐにS級ヒーローを招集しろ!」

「現在、アトミック侍、タンクトップマスター、金属バットの3名が現場へ急行中!。他のS級ヒーローとは連絡が付きません!S級ヒーローの豚神は手配した車に身体が入らず、現在ヘリを手配中!その間に徒歩で向かうようですが到着は4時間はかかるとのこと!。番犬マンはA市よりQ市と一言だけ言われ即切られました!」

 

 刻一刻と迫りくる絶望を前に諦めかけた、その時。

 映し出されていた怪人が木端微塵に砕け散り、肉片一つ残らないモノへと姿を変えた。あまりの一瞬の出来事に部屋内にいた職員全員が微動だに出来ない中、一本の電話が室内に鳴り響いた。オペレーターが電話を取ると同時に、モニターに映し出された顔を確認すると顔からは夥しいほどの汗をかきながら、その名を口にした。

 

 

 

「エ・・・エンプレス・・」

「ごきげんよう。A市の怪人は処理が終わったわ。他に怪人の情報はないの?」

 

 先ほどまでA市が壊滅寸前だった脅威を日常会話のように処理報告をされ、呆気に取られるもすぐさまパネルを操作して必要事項のみを報告した。

 

「い・・今の所は怪人報告はありません」

「そ。ならその辺に倒れている有象無象(ヒーロー)の回収をお願い」

「・・分かりました。倒したのはエンプレス・・貴方ですか?」

 

「・・・()()()

 

 彼女が首を振るのと軌道衛星がその姿を映し出したのは全くの同時だった。怪人の返り血を全身に浴びても尚、拳を握ったまま仁王立ちしている男の姿を。地の果てまでも轟きそうな重低音(キングエンジン)を響かせたその男は、手の甲で口元を拭った。その顔を見たオペレーターは「・・ひっ!」と声を出すと失禁し始め、辺りは小水の匂いが立ち込めるも、その匂いが後からになって気付くほど他の職員も皆、その男の顔に釘付けになっていた。女職員は()()の念を。男職員は()()の念を。それぞれ感じながら彼女は高らかにその名を詠いた。

 

「・・キングよ」

 

 それだけを伝えると通話は消え、部屋の中で唯一聞こえるのは呼吸音のみであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜の帳が降りた頃。私とキングは川沿いの遊歩道を歩いていた。そこにロマンチックさは一切無く、キングが前を歩き、後ろから私が続くといった他人から見れば主従関係のような散歩である。キングの背格好は既に()()()()()()()()()()()になっており、周りの住民から見てもただの散歩として捉えられるだろう。ふとキングが足を止め、こちらに顔を向けると年相応のはにかんだ表情で言った。

 

「鍋・・何鍋にしよっか?」

「まだ決めてないのよね・・どうする?」

 

「怪人倒して思ったんだけど・・海鮮鍋とかいいね」

「今の時期的にピッタリね。食材途中で買ってく?」

「寄りたいけど変装どうしようか?」

 

 

 

 

 

 

「「・・・・今日くらいはいいかぁ・・・・」」

 

 

 

 

 

 日常と非日常が交差する世界線。出現する怪人を気の向くままに倒して、気の向くままにこの日常を謳歌する。私は決して()()()()()()、キング以外の()()は全て等しく一律であり、芥。むなげやでの買い物を終え、買い物袋を手に下げて目の前を歩くキングの優しさを噛みしめながら

 

 S級ヒーロー“4位” アーテラ

 ヒーローネーム 【エンプレス】

 

 はこの日常を守るために今日も奮闘する。

 

 

 

(・・いや・・キング優しい上に強いってかっこよすぎでしょ・・??いやもう・・しゅきぃぃ・・!!!)

 

 脳内がこんな事になっている事を知らぬは当人ばかりである。




亀更新です。
一年に一回更新を目標にしたい。見てくれてる視聴者はフブキをすこれ(直球)
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