魔法少女リリカルなのは 愚王の魂を持つ者   作:ヒアデス

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第27話 まさかの再会

 ずっと前に、俺となのはは似ているところがあると思ったことがある。

 すでにある程度将来を決めている友達の中で自分が進む道を決められていなかったり、理数系が得意だったり、気晴らしの趣味としてゲームをしたりなどいくつかあるが――そんなことじゃなかったらしい。

 

 なのはは誰かを守ることや救うということに関して、異常なほどの信念……いや、執着がある。

 

 二年前の『J・D事件』では、自らの身を挺してジュエルシードの暴走を止め、荒れ狂う竜巻からフェイトを救い、彼女ともぶつかり合った。今回も、本当に味方かわからないアミタさんからもらったナノマシンを躊躇なく体に入れ、強い負荷がかかるフォーミュラを使ってキリエさんとイリスを救い出そうとした。

 いずれもたいていの人間、まして子供なら躊躇ったり逃げ出すのが当たり前だ。

 

 そんな年齢に合わない使命感や守ることへの執着を、なのはが持つようになったきっかけは何なのか?

 

 それはおそらく小学校に上がる前、士郎さんが入院して、桃子さんをはじめ多くの家族が家や店の切り盛りに追われる中、一人だけ何もできずにいたのがきっかけかもしれない。

 その無力感が、魔法という力を使っての人助けや誰かを守る意志の原動力になったんだろうと思う。

 

 そういう点では、なのはは俺とよく似ている。

 

 俺が健斗として生まれ変わったのも、守護騎士やリヒト、クラウスとオリヴィエを守れなかった無力感から、『誰かを救える存在になりたい』と願ったからだ。

 俺となのはは、“誰かを救う”という点に関してよく似た考えを持っている。

 

 

 だからか、決意を固めた顔で衛星を見上げるなのはの顔を見た途端――あいつを押しのけてでも俺が行かなければならないと思った。

 

 

 

 

 

『Es wird bald außerhalb der Atmosphäre sein. Sind Sie bereit?(間もなく大気圏外に出ます。準備はよろしいですか?)』

 

 (そら)からの攻撃を避けながら飛んでいると、ティルフィングが声をかけてくる。

 

「ああ。お前こそ大丈夫か? 宇宙空間なんて初めてだろう」

 

 古代ベルカで造られた年代物の魔具(デバイス)にそう尋ねるものの……。

 

『Kein Problem. Weil ich ein magisches Werkzeug bin, das in „prähistorischen Zeiten“ geschaffen wurde, damit ich sogar im Weltraum arbeiten kann(問題ありません。当剣は宇宙空間の中でも活動できるように、“先史時代”で造られた魔具ですから)』

 

「――えっ!? そうだったのか?」

 

 “先史時代”という一言に思わずティルフィングを見て聞き返す。確かにこいつは(ケント)が生まれるより前からずっと城に保管されていた剣だったが、まさか先史時代の一品だったとは……。もしかして、初代聖王と関係があったりするのだろうか。

 

『Der Feind wird bald erscheinen. bereit machen(そろそろ敵が見えてきます。準備を)』

 

 その一言に俺は頭上に意識を向ける。もう夜明け前独特の青みと陽光の赤みはなくなり、星空がちりばめられた真っ暗な空間に出た。

 

……これが宇宙。

 

『Meister!』

 

 場違いにも妙な感動を覚えているところで、碧色の光線が放たれて、俺は避けながら光が放たれてきた先を見る。

 そこにはテレビで見た気象衛星とはかけ離れた、いかつい姿(かたち)に変えられた“衛星砲”があった。下部の発射口は、真下にある東京に向けられている。

 その衛星砲の前に、長い水色髪をたなびかせた《固有型イリス・ナンバー01》がいた。

 

「時空管理局捜査官、御神健斗だ。お前たちを操っていたマクスウェルは拘束し、イリス本体もすでに投降している。あんたも武器を捨てて投降してくれないか」

 

 青い瞳と重々しいエネルギー砲を向けてくる固有型に向けて言葉をかける。真空だがティルフィングが張ったフィールドで音は伝わっているはずだし、奴なら口の動きを読むことぐらいできるはず。だが相手は答えず、砲を下ろす様子もなかった。

 今までの固有型と違い、彼女はマクスウェルが管理局の人間を抹殺するためだけに造った個体だ。答える機能も判断能力もないのかもしれない。

 

 俺は剣を構え、じっと彼女を見据える。

 その直後、砲口から碧色の光が漏れた。それを見た瞬間――

 

「――フライングムーヴ!」

 

 そう唱えると同時に時間が制止し、彼女が撃ち出した光は中途半端に伸びたままそこに留まる。

 すべてが制止している中、俺はエネルギー弾を避けまっすぐ固有型に向かって飛ぶ。

 だがあと少しというところで……

 

「ぐっ……」

 

 体に激痛が走り、うめき声を漏らしながら思わず体を止める。それと同時に固有型も自由を取り戻し、俺に向かってエネルギー弾を撃つ。

 俺はティルフィングでそれを弾き、軋む体に鞭打ちながら彼女に迫る。

 

 そしてとうとう、固有型を間近に捉え、彼女に向かって剣を振り上げる。それに対して、相手も無言のまま巨砲を振り上げてきた。

 

「であああああああっ!!!」

「――――」

 

 ティルフィングと巨砲がぶつかる。武器の重みと腕力の差で押し負けそうになるが――

 

「負けない……」

 

 無理やり置いてきたなのはの代わりを果たすために。

 地上で待っている仲間たちと恋人を守るために。

 新しい人生を過ごした“第二の故郷”を護るために――。

 

「――(御神健斗)はそのために生まれてきたんだ!!」

 

 吼えながら技能を発動させ、再び時を制止させる。それとともに俺は剣を振るいあげ、固有型が持っている砲を弾き上げる。

 そしてさらに――

 

「――ティルフィング――」

 

 得物を手放した固有型に向けて俺は愛剣を構える。すると技能が解け――

 

Canon Sword-Modus(カノンソードモード)

 

 ティルフィングは瞬時に剣型から重々しい銃砲型になる。技能が解けたことで固有型も動けるようになるものの、武器を失った彼女はただ呆然と銃砲を構える俺を眺めるのみだった。

 

「……シュバルツ・ブレイカー!!」

 

 その瞬間、ティルフィングから紺色の砲撃が放たれ、固有型と彼女が守っていた衛星砲を撃ち砕いた。

 

 

 

 

 

「はあ…はあ……」

 

 ……終わったか。

 

 荒い息の後にそう続けようとしたものの、口から出てくるのは乾いた息と乱れた呼吸音ばかりで言葉など一つも出てこない。

 だが……。

 

「あい……つ、は……」

 

 衛星だったものの残骸を見渡しながら、その一言を絞り出す。すると――

 

『Es ist unwahrscheinlich, dass es funktioniert. Aber--(機能している可能性は低いです。ですが――)』

「――」

 

 ティルフィングが告げようとした瞬間、後ろから何者かが覆いかぶさってくる。

 それは下半身が消し飛び、上半身だけとなった固有型だった。

 固有型の左眼は赤く点滅し、そこからピピピという音が聞こえる。

 

「お前――」

 

 今さっきまで出なかった声が喉から漏れる。俺はすかさず懐にしまっていたキリエさんのヴァリアントを取り出し、彼女の体に向けた。そして――

 

「――このっ!」

 

 引き金を引くと同時に青色の光弾が彼女の胸を貫き、固有型は俺から手を離し、ゆっくり宇宙へ投げ出される。左眼からすさまじい速度の警告音を鳴らしながら。

 それを見て、俺はとっさに固有型の左眼を掴み――

 

「おおおおおおーー!!」

 

 声を張り上げながら、あらん限りの力で彼女から左眼を引き千切る。そして固有型を突き飛ばしながら、点滅音を発し続ける左眼を投げ捨てようとしたが――

 

「――っ!」

 

 そこに広がっていた青く輝く地球を見た瞬間、思わず腕を止めてしまう。ちょうどそこで――

 

――MEISTER!!

 

 ティルフィングの絶叫とともに、固有型の眼を握りこんだ右手の中からピーーという音が響いた。

 

 

 

 その瞬間、視界が真っ白に塗りつぶされた。

 

 

 

 

 

 

「――! あれは……」

 

 はるか頭上から何かが爆発したような音が響き、フェイトは上を見上げる。

 空には黄と赤が混じった爆風が見え、彼女の足元から諦観の色を含んだ声が響いた。

 

「どうやら、すべての交渉カードを失ってしまったようだね……だが、あの爆発からすると衛星が破壊されただけではなさそうだな。もしものあがきのつもりで仕込んだ玩具が起動してしまったか」

 

「――マクスウェル!」

 

 怒りのあまり、フェイトは思わずマクスウェルに歩を詰める。しかし、後ろからクロノに肩を掴まれ彼女は動きを止める。そしてフェイトはしばらくの間唇を噛んでから再び空を見上げた。

 空に映る爆風はもううっすらと消え始めていた。

 

 

 

 

 

 爆発に気付き、リインフォースも上を見上げていた。彼女の傍にはなのはとフローリアン姉妹とイリス、合流したばかりのはやてとツヴァイもいる。主と合流したことでリインはようやく魔導書の外に出ることを許されたのだ。

 その主の事も忘れ、リインは食い入るように上を見続け、

 

「ケント……」

 

 と口にした。

 

 彼が飛び去る時に抱いた予感、そして今の光景は、300年前ケントが《ゆりかご》の主砲によって最期を遂げた時とよく似ていた。

 

 

 

 

 

 

「……ぐっ…………」

 

 うめき声を漏らしながら、俺は目を開く。

 痛みは感じない。だがあの爆発の中で無傷で済むわけはなく、俺の体は血と焼け跡だらけで、右腕は肘から先がなくなっていた。

 だが、まだ生きているだけでも奇跡なのだ。あの爆発の中にいた時点で普通だったら即死していた。

 俺がまだ生きていられるのは……。

 

「おまえが……まもってくれた……のか?」

 

 目の前でバラバラに砕けた愛剣(ティルフィング)に声をかける。ティルフィングは黒い核を点滅させながら……。

 

『Entschuldige vielmals. konnte nicht vollständig verhindert werden(申し訳ありません。完全に防ぎきれませんでした)』

 

 謝るティルフィングに俺は首を左右に揺らす。

 

「いや、俺の方こそすまない……余計なことをしなければ、こんな傷を負わずに済んだのに……」

 

 俺の言葉にティルフィングは……

 

『Nein, ich denke, es ist wie bei einem Meister, der bis zum Schluss versucht hat, seine Pflicht zu erfüllen(いえ、最後まで本分を果たそうとした、マイスターらしいと存じます)』

 

「本分…………か……」

 

 その返事に俺は苦笑を浮かべながら、彼女の方を見る。

 胴体から下と左眼を失った状態で、固有型は今度こそ機能を停止していた……だが、生きてはいるはずだ。

 

「よかった……俺は()()()()、リインも、守護騎士も、ユーリも……あの子も救えたんだな」

 

『……Ja』

 

 ティルフィングは悲しげに返事を返す。俺は「そうか」とだけ言った。

 ティルフィングもあの固有型も、仲間たちに回収されて元に戻るだろう。

 

 それで十分だ……ケントだった時には救えなかった者たちを救うことができた。そう噛みしめながらゆっくりと目を閉じる。

 

 もう、思い残すことはない…………。

 

 

 

『本当にそれでいいんですか?』

 

 

 

「えっ……」

 

 ふいに響いた少女の声に俺は思わず目を開く。

 

 見るとそこは真っ白な空間で、俺の前には長い金髪を白いキャップと青いリボンでまとめ、青いドレス状の鎧を着た少女が立っていた。彼女の整った容姿には、緑色の右眼と赤い左眼が収まっている。それに加えて、彼女の肩から先には機械でできた腕と親指しか付いてない義手がついていた。

 彼女を見て、俺は思わず苦笑を浮かべる。

 

「久しぶりだな、オリヴィエ。まさか聖王様が自ら迎えに来てくれるとは思わなかった……」

 

 再会の挨拶のついでに、冗談めかしてそんなことを口にするものの彼女は笑いもせず……

 

「本当にこれで満足なんですか?」

 

 オリヴィエは再びそう尋ねてくる。彼女は続けて言った。

 

「前の世では果たせなかった、守護騎士様たちとリヒト様を“闇の書の呪い”から助け出す事に成功して、本当なら次元の狭間に堕ちて命を落としていたはずのプレシアや死んだままのはずだったアリシア、先ほどまで戦っていた固有型イリスを救い出し、そしてなのはという子の身代わりまで果たして、その末にあなたは二度目の生を終えようとしている。

 ……()()()本当に満足なんですか?」

 

「……そうだな」

 

 三度も同じ問いをぶつけてくるオリヴィエに、俺は少し視線を落としながら話す。

 

「ケントだった頃はほとんど知らなかった母親に育ててもらって、はやてやなのはと知り合ったのをきっかけに気のいい友達とも巡り合えて、思わぬ偶然から再び魔法の世界に足を踏み入れて。そしてリヒトや闇の書に誓ったとおり、大切なものを救うことができた……だからもう心残りはない

 ――わけないだろう!!

 

「…………」

 

 突然声を荒げる俺を、オリヴィエはたじろぎもせず黙って見ている。そんな彼女に続けて言った。

 

「ようやく……ようやくリヒトと再会できたんだぞ! にもかかわらず年齢の問題でキスだってまだ一度もしていないんだぞ。それ以上のことなんてあと7年経たないとできない! それなのに、あんなところで人生終了なんてバカな話があるか!!」

 

 “覚悟したフリ”なんてやめ、涙まで浮かべながら目の前の神様もどきにあさましい未練をぶつける。これでもまだオブラートに包んでるつもりだ。

 そんな俺を見て、オリヴィエは仕方なさそうな笑みを浮かべた。

 

「……やっぱり満足してないんじゃないんですか」

 

「当たり前だろう! リヒトに会うために俺がどれだけの苦労を重ねてきたと思ってるんだ」

 

 そう言って俺は鼻をすする。300年ぶりに会うからってかっこつけるのも、女の子だからって遠慮するのもやめだ。リインとキスもアレもしないで死ぬなんて冗談じゃない!

 そんな俺を軽蔑することもなく、オリヴィエは首を縦に揺らした。

 

「それが当たり前だと思います。せっかく会えた恋人と離れたくない気持ちは誰にだってあります。あの人だってきっとそう……だから、やっぱり来ちゃいけません」

 

「えっ……?」

 

 思わぬ一言に俺の口から怪訝な声が漏れる。そんな俺に立ち塞がるようにオリヴィエは両手を広げた。

 

「――あなたはまだこっちに来るべきじゃありません! あなたには今度こそ幸せになってほしいから。リヒト様や、あなたを大切に思ってる人たちを泣かせてほしくないから! だから、ケント様をこっちに行かせるわけにはいきません!!」

 

「オリヴィエ……」

 

 そう言って彼女は手を広げたまま道を塞ぎ続ける。 

 俺はしばらく彼女を見続けるものの、オリヴィエは手を広げたまま微動だにしなかった。

 俺はついに……

 

「……ふぅ、わかった。俺はこのまま帰らせてもらうよ。帰らせてくれると言われて、断る理由もないしな」

 

「それならよかったです」

 

 ため息をつきながらそう言う俺に、オリヴィエも姿勢を戻しながら安堵の笑みを浮かべる。

 

 しかし、もし仮にここから出られて命が助かったとしても、その後が大変だろうな。利き()腕が根元から吹き飛んでしまったんじゃあ……。管理局やミッドチルダなら、錬金術漫画に出てきたような自由に動かせる義手もあるだろうか?

 ――そういえば。

 

 俺はオリヴィエの方を振り返り、彼女がつけている義手を見ながら言った。

 

「ただ、そのかわりと言っちゃなんだが、その義手くれないか。右腕だけでいいから」

 

 それに対してオリヴィエはわざとらしい仕草で右腕をかばい――

 

「駄目です! これはエレミアが私に合わせて作ってくれたものですから、ケント様にはあげられません。心配しなくても、ケント様の右腕も管理局とエルトリアの人たちが何とかしてくれるはずです」

 

 その返事に俺は「そっか」と言いながら苦笑を返す。元々オリヴィエの義手が俺の腕に合うわけないし、ここでもらった物が現世で使えるのかは疑問だ。

 

「……そろそろ帰るよ。ぐずぐずしてたら帰りたくても帰れなくなりそうだ」

 

「ええ。急いだほうがいいと思います。ここは生きている人が長居するような場所じゃありませんから」

 

 別れを告げる俺に、オリヴィエはうなずいて立ち去るように促す。そんな彼女に最後の言葉をかけた。

 

「久しぶりに会えてよかった。最後はあんな別れ方で結構ひどいことも言ってしまったからな。すまなかった。でも、オリヴィエのおかげで“今”に繫げることができた――ありがとう」

 

 改まって昔の謝罪と礼を言いながら右手を差し出すと、オリヴィエも顔をほころばせて右の義手で握り返してきた。

 

「それはこちらもです。あの時ケント様が身を挺してくれたから、私もベルカを守ることができました。ありがとう。私もクラウスもあなたの幸せを心から願ってます」

 

 そう言ってオリヴィエは俺の手を離し、代わりに肩に手をかけて俺の体を真後ろに向ける。そこには、ここに場違いなほど真っ黒な穴が渦を巻きながら開いていた。

 それを眺めているとオリヴィエは俺の後ろから……

 

「さようならケント様、本当に会えてうれしかった。……守護騎士さんたちやリインフォースさんもですが、なのはさんという人の事もよろしくお願いします。あの人は遠くない将来、()()()()()()()()がお世話になるかもしれない人ですから」

 

「――えっ? それは――」

 

 どういうことだと言おうとした途端、オリヴィエは俺の背中をどんと強く押す。その衝撃で俺の体は前へ押し出され、目の前の黒い渦の中に吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

「健斗! 健斗!!」

 

 間近から声を浴びせられ、俺はゆっくり目を開く。

 

「リヒト……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 俺の目に映ったのはリインの顔だった。涙をボロボロこぼしながら、ボロボロになった俺の体を抱き留めている。名前を間違えられた事にも気付いていない様子だ。

 

「――健斗! 健斗、大丈夫か!?」

 

「リイン……なんでお前がここに? なのはやはやてと一緒にいるんじゃあ……」

 

 その問いにリインはしゃくりあげながら後ろを見る。そこには背中に(フィン)を生やしながら浮かんでいるなのはとはやて、フェイトまでもがいた。

 彼女らを見て俺はつぶやく。

 

「三人とも無茶を……フェイトとはやてなんてフォーミュラを使う準備もしてなかっただろうに」

 

「それはこちらの台詞だ! なんて馬鹿な真似を! もう二度と自分を犠牲にするようなことはしないって約束したじゃないか!」

 

 ……ああ、二年前のアースラ最終日に確かにそんな約束したっけ。

 

「悪い……完全に忘れてた」

 

「バカ……本当にバカな奴だ…………」

 

 泣きながら悪態をつき、リインはまた俺を抱き寄せる。

 その様子を見てなのはとフェイトはもらい泣きを漏らし、はやても複雑そうな顔をしながら、

 

(悔しいけど、やっぱかなわへんかな)

 

 と思いながら笑みを浮かべていた。




健斗の能力ならほぼ無傷で勝たせるのも可能だったんですが、一度“健斗”としての締めくくりをしたいのと先のシリーズの展開につなげるため、彼には腕を失うくらいの大怪我を負ってもらいました。劇場版とほぼ同じ流れですが、私の中ではこれがベストです。
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