魔法少女リリカルなのは 愚王の魂を持つ者   作:ヒアデス

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第59話 罰

「なんで健斗まで来るんだ。君はただの民間人だ。おとなしく食堂か部屋に戻ってろ」

 

「俺はプレシアさんをアースラに連れてきた当事者だぞ。話を聞いていく権利くらいあるはずだ。それとも聞かれたら何かまずいことでもあるのか?」

 

 そう言いながら艦長室のソファに座り込む俺をクロノは真正面から睨んでくる。そんな息子にリンディさんは言った。

 

「話に立ち会うぐらいならいいでしょう。被疑者の処遇については執務官が最終的な決定を決めることに変わりありませんし、後でごたごた文句を言われても困ります」

 

「そうそう、こういう話は開かれた形で行わないと」

 

 リンディさんに同意しながら俺はコーヒーをすする。そんな俺にクロノは「調子に乗るな」と釘を刺した。

 そんなことを言い合う俺たちに呆れながら、リンディさんは緑茶に大量の砂糖とミルクを入れ、砂糖とミルクが入った容器をプレシアさんに差し出す。

 

「あなたはどう? コーヒー、そのままだと苦いでしょう」

 

 砂糖とミルクがふんだんに入ったお茶を見て、プレシアさんは顔を引きつらせながら……。

 

「い……いいわ。私は普段ブラックで飲むのよ」

 

 そんな風に、プレシアさんにも断られリンディさんは「マリーは好きなんだけど」と言いながら容器を下げた。

 マリエルさんは好きなのか、これ……?

 

 

 

 それから一連について一通りの確認を終えて、クロノはぬるくなったコーヒーを飲み干してから再びプレシアさんに向かって口を開いた。

 

「プレシア・テスタロッサ。いかなる事情があったにせよ、あなたが今までに行った行動のいくつかは明らかに法に反している。

 今回の件に限定しても、管理外世界への密入界の指示と幇助、同世界およびアースラへの魔力攻撃、そしてロストロギアの違法所持。これらだけでも数十年の禁錮は免れない。ジュエルシードと闇の書の危険性を考えればさらに重い罪になるでしょう」

 

「――っ!」

 

 クロノが告げた言葉にプレシアさんは唇をかみしめる。そして彼女は言った。

 

「わかっています。私は法に触れることを承知でロストロギアを集め、次元断層を起こそうとした。その罪は一生をかけて償うつもりです。でも、フェイトは――あの子たちは許していただけないでしょうか? 私は一生牢屋に入れられても構わない! でもフェイトたちだけは――」

 

 そう言ってから、プレシアさんは机にぶつかる寸前まで頭を下げる。それを前にしてもクロノは仏頂面のまま答えた。

 

「彼女たちは今までの間、何度も管理局の局員や協力者たちと交戦していますし、微弱ながら次元震を引き起こしたこともある。通常なら主犯とほぼ変わらない刑に処されるところですが――」

 

「そんな――」

 

「ですが!!」

 

 無情な宣告にプレシアさんは声を上げかける。クロノは今までより大きく声を張り上げてそれをさえぎった。

 

「彼女たちが置かれた状況はかなり特殊ですし、あなたに命令されて仕方なくジュエルシードを集めていたこともはっきりしている。そのことを踏まえれば、数年間の保護観察――事実上の無罪を勝ち取ることは十分可能です」

 

「……」

 

 

 その言葉にプレシアさんはほっと息をつく。そこへクロノが「でも」と続けた。

 

「でもあなたはそういうわけにはいかない。時空管理法とロストロギア規制法を知りながらそれに反したんだ。禁錮百年以上……実質無期懲役は確実でしょう」

 

「そうでしょうね……」

 

 覚悟していながら、辛そうな声でプレシアさんは返事をする。アリシアを取り戻しフェイトと和解することができた矢先に、彼女たちと離れなければならないのだ。自業自得とはいえ、平静を保ち続けるのは難しいだろう。

 

「娘さんたちについては私たちが責任を持って面倒を見るつもりです。少々大所帯ですが、息子も大きいしリニスさんとアルフさんにも家事を手伝ってもらえれば何とかなるでしょう。フェイトさんとアリシアさんが希望すれば養子にすることも考えています。実は昔から娘が欲しいと思っていたので私にとって願ったり叶ったりなんです。もちろん息子(クロノ)を疎んじているわけではありませんけど」

 

「かあさ――艦長!」

 

 抗議しようとするクロノと両手を向けながら彼をなだめるリンディさん。そんな二人にプレシアさんは小さく笑い、

 

「よろしくお願いします。ご迷惑をかけることもあると思いますが」

 

 感謝の言葉を述べながらプレシアさんは二人に頭を下げる。

 そこへ――

 

「待ってくれ!」

 

「「……?」」

「……」

 

 突然口を挟んできた俺に、リンディさんとプレシアさんは怪訝な顔を、クロノはやはりと言いたげな顔を向けてくる。

 そんな三人のうち、彼女に向かって俺は言った。

 

「プレシアさん、本当にそれでいいんですか? ようやくアリシアを取り戻すことができたのに、また離れ離れになるんですよ。フェイトだって絶対に納得しない。あいつの事だから『母さんの反対を押し切って、アルフとリニスを無理やり付き合わせて独断でジュエルシードを集めていた』なんて言い出しかねないぞ。そうなったら保護観察の話もなくなってフェイトも刑務所送りだ。本当にそれでいいのかよ?」

 

「……」

 

「フェイトさんなら言いかねないわね」

 

 プレシアさんは押し黙り、リンディさんはそう漏らす。

 俺は乱れた口調も直さずさらに続けた。

 

「だいたい、これだけ人様に迷惑かけておいて、無期懲役なんかで償えると思ってるのか。フェイトたちやアリシアのためにも、あんたはシャバで苦労しながら罪を償うべきだ。リンディさんもクロノもそう思わないか?」

 

「……確かに、フェイトさんやアリシアさんの事を考えたら、私もそう思わなくもないけど……」

 

「だがさっきも言った通り、彼女がやったこととやろうとしたことを考えれば、無期懲役は免れない。それを覆すにはよほどの理由が必要だ」

 

 クロノの説明に納得しながらも俺は懸命に頭を働かせる。

 確かにプレシアさんが次元断層を起こせば、地球を始め、《時の庭園》のまわりにあるいくつかの世界が断層に巻き込まれて消滅してしまっていた。同じく法を犯したとはいえ、ロストロギアを封印するために動いていたグレアムさんたちとは事情が違う。

 むしろ無期懲役で済むのが幸い。昔のベルカだったら間違いなく死刑に処されていただろう。

 

 それを承知で俺は、プレシアさんの刑務所送りを防ごうとする。彼女に()()()()()()()()()()()()()()

 

「リンディさん、管理局には司法取引とか減刑措置のようなものはないんですか? 以前、そういうものがあるみたいなことを言っていましたが」

 

「それは……」

 

 俺の問いにリンディさんは言い淀む。そこへクロノが言った。

 

「確かに君の言う減刑措置――管理局への協力などで更生の意思を示して、上に刑の減免を図ってもらうことは可能だ。管理局、特に僕らが所属する『次元航行部隊』は常に人手不足だからね。だがプレシア氏の場合、それだけで放免されることはないだろう。よくても一生本局暮らしだ。フェイトやアリシアと離れることに変わりはない」

 

 その説明を受けて俺とプレシアさんは顔を落とす。確かに牢屋よりはましだろうが、プレシアさんにとって永遠に娘たちと離れ離れになることに変わりはない。

 俺が唇を噛んでいるところで――

 

「だが、管理局が長年手を焼いていた闇の書の驚異を払ったのは大きい。そのこととプレシア氏の事情、さらに彼女が行った行動について()()()()()()()()説明すれば、酌量の余地ありと判断されることも考えられなくはない」

 

 クロノが漏らした言葉に俺たちは思わず顔を上げる。リンディさんも意外そうな顔で息子を見ていた。

 クロノはコホンと咳払いをして、「今回だけですよ」と言った。

 

「プレシアさん、今までのことを深く反省し、もう二度と法を犯すような真似はしないと約束するのなら、今回に限って懲役を免れるように手を打ってもいい。ただし、もし約束を破って再び犯罪を犯すような真似をすれば、僕たちは容赦なくあなたを逮捕しますし娘さんたちからも切り離します。それを承知していただけるのならですが」

 

 厳しい口調で確認してくるクロノに対し、プレシアさんは首を縦に振った。

 

「ええ、約束するわ。もうロストロギアに手を出したりしない。アリシアが戻って来たのにそんなことをする必要なんてないわ!」

 

 よく通る声でプレシアさんが固く誓うと、クロノはうなずきを返して続けた。

 

「いいでしょう。ではその代わりに、十年前の『ヒュウドラ暴走事故』についてあなたが知っている限りのことを聞かせていただけませんか。あなたの身上について説明するには、僕たちもあの事故について詳しく知る必要がある。それに、あの事故にはあなたも知らない“闇”が隠されているかもしれないんです。あなたの証言によってそれを暴くことができるかもしれない」

 

「“闇”……?」

 

 クロノが言った言葉を復唱しながらプレシアさんは怪訝な表情をする。そんな彼女にクロノは首を縦に振って説明を始めた。

 

 

 

 

 

 十数年前に起きた、アリシアが死んだ原因でもある『ヒュウドラ事故』。

 その事故において、ヒュウドラの開発を請け負っていた『アレクトロ社』は、設計主任兼安全責任者だったプレシアを糾弾した。無論プレシアは頑としてそれを認めず、逆に自身が勤めていた会社を相手に訴訟を起こした。

 

 だが裁判において、事故の調査にあたった執務官と執務官補佐は会社側に有利な証拠を提出。さらに会社が雇った弁護士の巧みな弁舌は裁判官や陪審員たちの心を掴み、一審は会社側の勝訴となった。

 それでもプレシアは諦めずに控訴し、第二審に備えて準備をしていたが、それを見計らったように会社はプレシアに和解を提案。告訴を取り下げ裁判を打ち切れば、事故におけるプレシアの責任を追及せず、一審で費やした裁判費用を埋めて余りある額の和解金を払うと言ってきた。

 

 何かおかしい。プレシアはそう思ったものの、この頃には正直裁判の勝敗などに興味が薄れ始めてきた。

 

 裁判に勝ったところで娘が返ってくるはずもない。むしろ会社側がぶら下げてきた金をうまく使えば、アリシアを取り戻すことができるのではないか。

 膨大な知識と卓越しすぎた頭脳を持つがゆえに、普通なら思いもしないことをプレシアは考えついてしまった。

 そしてプレシアは会社との和解を選択し、その代償に彼女はヒュウドラ事故に関するすべての責任と罪をなすりつけられ、首都クラナガンから姿を消す。

 

 

 

 

 

 ここまでは管理局の記録にも残っていることだ。俺も一週間前の一時帰宅の際にクロノやエイミィさんから聞いている。だが、これからクロノが告げることは俺はもちろん、プレシアさんも初めて耳にすることだった。

 

「僕たちが調べたところ、あの裁判は会社側が勝つように仕組まれた疑いが強いものでした。裁判官や口先の回る何人かの陪審員に賄賂を渡しておき、そして多額の金で買収した執務官たちに会社側が用意した“証拠”を提示させるという、最初から勝者が決まっていた出来レースだった可能性が高いんです」

 

「……」

 

 裁判の裏で行われていたという裏工作に、俺もプレシアさんも言葉を失い、リンディさんも顔を曇らせる。

 一方、クロノは淡々とした口調で説明する。

 

「本来なら、あの裁判は会社側が圧倒的に不利だったはずなんです。プレシアさんが安全基準を設けていたにもかかわらず、作業員たちはそれを無視して危険な開発を進めていたんですから。傍目から見てもプレシアさんが責任を問われるいわれはない。でも実際には裁判は会社の勝訴で終わっている」

 

 負けるはずだった裁判。それをアレクトロ社は金の力で無理やり勝利に持ち込んだ。確かにそれなら、二審に入る前になって会社が和解を持ち掛けたのもうなずける。裁判官たちに包む賄賂も安くはないし、二審以降は陪審員の人選もより厳正なものになる。それを賄賂だけで勝ち抜いていけるほど甘くはないだろう。

 

 クロノはそこで声色を重くして言った。

 

「それだけじゃない。その裁判から二年後に、ヒュウドラ事故を担当していた執務官の補佐が不審な死を遂げているんだ!」

 

「それってまさか――」

 

 プレシアさんとリンディさんは目を見張り、俺は思わず声を上げる。

 クロノは首を縦に揺らして言った。

 

「口封じに消されたのかもしれない。アレクトロ社か上司の執務官、そのどちらかの手によって」

 

「――!」

 

 思わぬ犠牲者に俺たちは驚愕で目を見張る。事故の調査を担当した執務官と彼の補佐官についてクロノは説明した。

 

 執務官は幼い頃から学に秀で、若くしてその資格を取るほど優秀な人物だったが性格面では横暴なところがあり、自分より立場が低い者にはしばしばそれを露わにしていた。また金銭への執着が強く、執務官の立場を利用して違法に金品を受け取っていた疑いがある。

 一方、彼の部下だった補佐官は真面目だが気が弱く、上司や先輩に逆らえない人物で、上記の執務官の言うことにも流されるままだった。その上、友人の一人が借金を残して行方をくらまし、金銭的に困ってもいたらしい。

 

 そこから推察すると……。

 

「つまり、その二人は多額の賄賂で会社に加担して、事故の責任をプレシアさんになすりつけた。だが事故や裁判から二年経って、補佐官は良心の呵責に耐えかねて自首しようとしたかアレクトロ社を告発しようとした。そこを会社側の人間か執務官のどちらかに……そう考えてるんだな?」

 

 俺の問いにクロノはこくりとうなずきを返す。

 

「ああ。特に怪しいのは元執務官の方だ。部下が謎の死を遂げてから彼はすぐに執務官を辞め、それ以後は十年間定職につかずに暮らしている。にもかかわらず彼の生活ぶりは派手になる一方で、金が底を尽きる様子はない。彼の実家にそれほどの資産はなく、運用とも無縁だ。ギャンブルはほとんど負けている」

 

「……」

 

 聞けば聞くほど救いようのないクズだ。そんな奴にプレシアさんは陥れられたのか。

 ともあれ大体いきさつが見えてきた。

 

「悪事をもみ消すために部下を殺し、ヒュウドラ事故と口封じをネタにアレクトロ社をゆすりながら生活しているというわけか。そんな怪しい奴、よく十年も野放しにしてたな」

 

「……補佐官の件は事故と判断されていたし、一主任の暴走とされていたヒュウドラ事故とは結びつけようがなかったんだ。元執務官の現状も補佐官の死も、ヒュウドラ事故を洗い直して浮かび上がったものだ」

 

 管理局の職員、そして執務官の一人であるクロノは拗ねたような顔で言う。それから彼は気を取り直してプレシアさんに顔を向けた。

 

「今まではヒュウドラ事故があなたの独断と暴走によるものとされ、アレクトロ社とその協力者に手を出せずにいましたが、あなたが再び法廷で証言すれば、ヒュウドラ事故と芋づる式に補佐官の死の真相も明らかにできるかもしれない。それがあなたを弁護する条件の一つです」

 

「……一つ聞いてもいいかしら?」

 

 プレシアさんは少しの間考えた後、クロノに向かってそう尋ねた。

 「何でしょう?」とクロノは聞き返す。

 

「死亡した補佐官とあなたは何か関係があるのかしら? その人の話をする際、少しだけ声に熱が入っていたし、私の罪を軽くしてまで事故について証言させようとする理由はそれぐらいしか思い浮かばないのだけど。その補佐官はあなた、あるいはご両親と縁がある人なのかしら?」

 

 プレシアさんの問いに、クロノは少し恥じ入りながら首を縦に振った。

 

「実は、死亡した補佐官は父の部下だった人らしいんです。研修で一時的に父の下についていただけでしたが」

 

「その人の話は主人から何度か聞いています。『気が弱くそれに伴う失敗が多い奴だが、仕事にはひたむきで将来は化けるかもしれない』と。ヒュウドラ事故と彼の死に主人は怪しいものを感じていたみたいでしたが、主人もそのすぐあとに起こった闇の書事件で……」

 

「……」

 

 クロノとリンディさんの話を聞いて、プレシアさんは納得すると同時に複雑そうな顔をする。

 死んだ補佐官はプレシアさんにとって、金につられて自分を陥れアリシアの死を穢した者の一人だ。そんな人間の仇を討ってくれと言われても素直にうなずけるわけがない。そう俺は思った。

 だが――

 

「……わかったわ。今回の証言に加えて、あの事故についてもう一度だけ法廷で説明させてもらう。でもアレクトロ社と元執務官の罪を暴けるかはわからないわよ。また裁判官が買収されるかもしれないし、彼らのバックには“あの会社”がついている。そうなったらまた……」

 

「大丈夫です。あなたの話を聞くのは、次元犯罪を扱う本局の裁判官。どれだけ積まれようと決して買収なんかに応じたりはしません。あなたと会社側、双方の言い分をしっかり聞いて公正な判断を下すと約束します」

 

 了承しながら不安そうに言うプレシアさんに、クロノは力強くそう答えた。

 

 

 

 

 

 

「待ってちょうだい!」

 

 リンディさんたちと別れ、艦長室を出て部屋へ戻ろうとした俺の背に、同じく艦長室を出たプレシアさんが声をかけてくる。

 俺は後ろを振り返って彼女の方を見た。

 

「あなたにはお礼を言わなければいけないわね。あなたが助けてくれたおかげでアリシア――娘たちと暮らせるかもしれないわ。あなたには今まで散々迷惑をかけたというのに」

 

 照れくさそうに、微笑を浮かべながらプレシアさんはそんなことを言ってくる。

 だが俺は首を横に振って――

 

「別に助けたつもりはありませんよ。さっき言った通り、あんたはこれから相当苦労することになる。余計な事を言ってシャバに留めた俺のことを恨むようになるかもしれないぜ」

 

「えっ……?」

 

 プレシアさんは怪訝そうな声を漏らす。俺は口調を変えたまま続けた。

 

「だってそうだろう。あんたが今までフェイトを無視したり虐めていたなんてアリシアが知ったら、あの子はあんたに愛想つかしてリンディさんのとこに転がり込むかもしれないし、フェイトだってある日突然グレて毎日あんたを罵倒するようになるかもしれない。そうならないように、あいつらに気を使いながら生活するのは相当大変だぞ。とんでもない額の罰金も払わなきゃならないしな。何もせずに牢の中で過ごす方がどんなに楽か」

 

「…………」

 

「気が変わったのなら今の内だ。艦長室に戻って刑務所送りにしてくれって言えばいい。だが、フェイトたちに償いたいと思ってるなら、残りの人生をすべてあいつらのために使う覚悟でいてくれ。それがあんたに下されるべき“無期懲役”だ」

 

 俺がそう言い切ると、プレシアさんは苦笑して……

 

「厳しいわね。確かにそちらの方が大変かもしれない。でもやるわ。フェイトもアリシアもあれだけ頑張って来たんだもの。私だけ楽な思いはできない」

 

「ああ、頑張ってくれ。俺もフェイトやアリシアの友達として少しは手助けしてやる」

 

 敵だった頃のような口調のまま、俺は片手を振りながらプレシアさんに別れを告げる。

 そんな俺の背中をしばらくの間プレシアさんは眺めていた。

 

 

 

(『あたらしいパパ』か……私がもう少し若くてあの子が大きかったら、考えてみたかもしれないわね)

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